掲示板「チームオンコロジー」
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患者と医療者のコミュニケーション
浸潤性小葉癌のトリプルネガティブの予後
大自 広(東京都)
2019/04/16
69歳の母が23年目二度目の浸潤性小葉癌のトリプルネガティブ、リンパ節転移ありで、ステージⅡb~ステージⅢaの乳癌と診断され、現在2回目の抗癌剤治療中です。抗癌剤→抗癌剤→手術の予定です。
調べてると、悪いことばかりわかってきて、こちらでも詳しく教えていただきたく宜しくお願い致します。
小葉癌のトリプルネガティブと通常乳癌のトリプルネガティブの予後の悪さなどは、やはり変わるのでしょうか?
また、小葉癌のトリプルネガティブの方が予後が悪いとか合う抗癌剤が少ないとかそういうことはあるでしょうか?
トリプルネガティブの分子タイプは小葉癌が一番悪性度が高いのではと不安に思っているのは、どこかの研究で、「LAR腫瘍は浸潤性小葉がんを、IM腫瘍は髄様がんを多く含んでいた。」
「LARサブタイプは最悪の予後との関連が示された」
ということがかかれていたからです。
その辺を詳しく教えていただきたく宜しくお願い致します。
また、今回、PET検査で遠隔転移がみられなかったので、手術も予定に入っていますが、小葉癌の遠隔転移は子宮、卵巣、胃…などとのことでしたら、PET検査にうつらないので、再度検査依頼をした方がよろしいのでしょうか?
長くなりましたが、宜しくお願い致します。
調べてると、悪いことばかりわかってきて、こちらでも詳しく教えていただきたく宜しくお願い致します。
小葉癌のトリプルネガティブと通常乳癌のトリプルネガティブの予後の悪さなどは、やはり変わるのでしょうか?
また、小葉癌のトリプルネガティブの方が予後が悪いとか合う抗癌剤が少ないとかそういうことはあるでしょうか?
トリプルネガティブの分子タイプは小葉癌が一番悪性度が高いのではと不安に思っているのは、どこかの研究で、「LAR腫瘍は浸潤性小葉がんを、IM腫瘍は髄様がんを多く含んでいた。」
「LARサブタイプは最悪の予後との関連が示された」
ということがかかれていたからです。
その辺を詳しく教えていただきたく宜しくお願い致します。
また、今回、PET検査で遠隔転移がみられなかったので、手術も予定に入っていますが、小葉癌の遠隔転移は子宮、卵巣、胃…などとのことでしたら、PET検査にうつらないので、再度検査依頼をした方がよろしいのでしょうか?
長くなりましたが、宜しくお願い致します。
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Re:浸潤性小葉癌のトリプルネガティブの予後
S(東京都)
2019/05/01
大自広さん、ご相談ありがとうございます。東京で腫瘍内科医をしているSと申します。
小葉癌、乳管癌は組織学的な形態(顕微鏡で見たときの形)による診断です。小葉癌か浸潤癌かで治療方針を変えることは原則ありません。小葉癌は一般に乳管癌よりも予後が良いとされていますが、これは比較的おとなしいタイプが多く含まれていることが原因と考えられています。小葉癌のトリプルネガティブ乳がんの予後が他のトリプルネガティブ乳がんよりも悪いかどうかについては報告がないようですが、一般には小葉癌か乳管癌かで予後は変わらないと考えられています。
トリプルネガティブ乳がんという表現は、どのような薬に効果があるかという視点から乳がんを分類したものです。ホルモン受容体陽性であればホルモン療法に感受性があり、HER2陽性であれば抗HER2薬に感受性があることが知られています。トリプルネガティブ乳がんは抗がん剤にのみ感受性のあるタイプですので、抗がん剤を中心とした治療を行います。トリプルネガティブ乳がんのサブタイプ(更に細かい分類)については、現在盛んに研究が行われていますが、まだ研究段階です。実際に患者さんの治療方針を考えるときにトリプルネガティブ乳がんを更に細かいタイプに分けて調べることはありませんし、それによって治療方針を決定することもありません(そのような方針が有用であるというデータはありません)。今後研究が進んだときに、トリプルネガティブ乳がんにも薬の使い分けが出てくるかもしれませんが、現時点ではしっかりと効果の証明されている抗がん剤を使うことで、再発のリスクを下げられると考えられます。
また、小葉癌が乳管癌と違った場所への転移が多いことは事実ですが、現時点で遠隔転移が証明されていないのであれば、追加の検査のメリットはないと思われます。
まずは、現在の治療方針をどのように決定されているのか、主治医ともう一度相談してみてはいかがでしょうか?
小葉癌、乳管癌は組織学的な形態(顕微鏡で見たときの形)による診断です。小葉癌か浸潤癌かで治療方針を変えることは原則ありません。小葉癌は一般に乳管癌よりも予後が良いとされていますが、これは比較的おとなしいタイプが多く含まれていることが原因と考えられています。小葉癌のトリプルネガティブ乳がんの予後が他のトリプルネガティブ乳がんよりも悪いかどうかについては報告がないようですが、一般には小葉癌か乳管癌かで予後は変わらないと考えられています。
トリプルネガティブ乳がんという表現は、どのような薬に効果があるかという視点から乳がんを分類したものです。ホルモン受容体陽性であればホルモン療法に感受性があり、HER2陽性であれば抗HER2薬に感受性があることが知られています。トリプルネガティブ乳がんは抗がん剤にのみ感受性のあるタイプですので、抗がん剤を中心とした治療を行います。トリプルネガティブ乳がんのサブタイプ(更に細かい分類)については、現在盛んに研究が行われていますが、まだ研究段階です。実際に患者さんの治療方針を考えるときにトリプルネガティブ乳がんを更に細かいタイプに分けて調べることはありませんし、それによって治療方針を決定することもありません(そのような方針が有用であるというデータはありません)。今後研究が進んだときに、トリプルネガティブ乳がんにも薬の使い分けが出てくるかもしれませんが、現時点ではしっかりと効果の証明されている抗がん剤を使うことで、再発のリスクを下げられると考えられます。
また、小葉癌が乳管癌と違った場所への転移が多いことは事実ですが、現時点で遠隔転移が証明されていないのであれば、追加の検査のメリットはないと思われます。
まずは、現在の治療方針をどのように決定されているのか、主治医ともう一度相談してみてはいかがでしょうか?
Re:浸潤性小葉癌のトリプルネガティブの予後
大自 広(東京都)
2019/05/16
お返事をどうもありがとうございました。
次回、4回目の抗癌剤を予定しており、来月一度CTをとるとのことです。
効果がみられなければ、抗癌剤はやめて 手術に変更とのことでした。
効果がみられないとは、どの程度でそのように判断されるものなのでしょうか?
また、完全奏功すれば、トリプルネガティブでも再発率が下がるとのことのようですが、完全奏功以外であった場合は、(しこりが少し小さくなったくらいでは)やはり手術をしても数ヶ月で再発して…と覚悟をしておくべきなのでしょうか?また小葉癌なので抗癌剤は効きにくいのでしょうか?
また、質問させてください。
CT検査が近づくにつれて、とても不安でたまらないです。
次回、4回目の抗癌剤を予定しており、来月一度CTをとるとのことです。
効果がみられなければ、抗癌剤はやめて 手術に変更とのことでした。
効果がみられないとは、どの程度でそのように判断されるものなのでしょうか?
また、完全奏功すれば、トリプルネガティブでも再発率が下がるとのことのようですが、完全奏功以外であった場合は、(しこりが少し小さくなったくらいでは)やはり手術をしても数ヶ月で再発して…と覚悟をしておくべきなのでしょうか?また小葉癌なので抗癌剤は効きにくいのでしょうか?
また、質問させてください。
CT検査が近づくにつれて、とても不安でたまらないです。
Re:浸潤性小葉癌のトリプルネガティブの予後
S(鳥取県)
2019/05/20
大自広さま。ご投稿ありがとうございます。鳥取で腫瘍内科をしているSと申します。
ご心労のほどお察し申し上げます。不安な気持ちを伝えることを含めて担当医を含む医療者とお話しになるのが不安を軽減することになると思いました。聞きたい具体的な内容を紙に書き出してまとめておくといいかもしれません。担当医に聞きにくいときは、特に看護師さんが助けてくれると思います。
具体的な病気の説明は前回のお返事にあった通りです。トリプルネガティブの小葉癌で治療が変わるわけではありません。ご心配は募るでしょうけれど、いまできることをやりきる事が大切だと思います。不安な気持ちを医療者に伝えましょう。コミュニケーションを通じて情報と知識を深め、落ち着いてしっかりと治療経過を見つめることが大切だと思います。
ご心労のほどお察し申し上げます。不安な気持ちを伝えることを含めて担当医を含む医療者とお話しになるのが不安を軽減することになると思いました。聞きたい具体的な内容を紙に書き出してまとめておくといいかもしれません。担当医に聞きにくいときは、特に看護師さんが助けてくれると思います。
具体的な病気の説明は前回のお返事にあった通りです。トリプルネガティブの小葉癌で治療が変わるわけではありません。ご心配は募るでしょうけれど、いまできることをやりきる事が大切だと思います。不安な気持ちを医療者に伝えましょう。コミュニケーションを通じて情報と知識を深め、落ち着いてしっかりと治療経過を見つめることが大切だと思います。
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