掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
肺腺がんステージⅣ今後の治療方針について
あきら(兵庫県) 2019/06/09
お世話になります。
父77歳が2017年に右肺腺がんステージⅣを告知されました。
胸膜播種及び縦隔リンパ節転移でした。

当初の検査でEGFR、ALK、LOS1全て陰性、PD-L1 80%でした。
ファーストライン治療でキイトルーダ単剤、2018年7月に耐性終了。
2018年春に受けたLCスクラムジャパンの結果、EGFRexon20挿入変異があり、セカンドライン治療でタグリッソ単剤、先月、肝転移出現にて耐性終了。
サードライン治療で先月、カルボプラチン、アリムタ併用導入療法開始。

現在、脳転移1ヶ所5mm、右肝転移2ヶ所数mm、左腸骨転移 造骨型1ヶ所、
胸膜播種、縦隔リンパ節転移
があります。

カルボプラチン、アリムタ併用導入療法が効果無しの場合、どのような治療法が考えられるでしょうか?
脱毛しない薬で、副作用の少ない方法を取りたいです。
PS1ですが、咳と痰が結構出ます。
痛み等はありません。

私はテセントリク単剤もしくはオプジーボ単剤、イレッサ単剤、タルセバ単剤、低用量ジオトリフ単剤を考えています。
アバスチンを追加したいのですが、キイトルーダ投与後にしばらく血痰が続いた事を理由に主治医は使用しないと言っています。
私は血痰はもう1年近く出ていないので、アバスチンを追加して欲しいです。

よろしければ教えて下さい。
他の方法でもいいです。
よろしくお願い致します。

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Re:肺腺がんステージⅣ今後の治療方針について
M(秋田県) 2019/06/14
あきら様

 初めまして。呼吸器内科医のMと申します。この度はお父様を間近で支えながらお悩みのところ、当掲示板にご相談いただきありがとうございます。私たち多職種で構成されるチームメンバーで相談したうえでの返答をさせていただければと思います。

まず情報を整理させていただくと、お父様の治療経過は以下のようであったと認識しています。
1次治療で免疫チェックポイント阻害薬(キイトルーダ)の投与
2次治療で分子標的薬の適応となる遺伝子が見つかりEGFR-TKIであるタグリッソの内服
3次治療としてCBDCA+PEMの併用化学療法中
再発したらどうしようかな?脱毛は嫌だな・・アバスチンは使えないかな?とのご質問であったと思います。
順番に返答させてください。

①アテゾリズマブやオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬について
免疫チェックポイント阻害薬の再投与に関しては安全性、有効性ともに確認できていないのが現状の認識です。
また限られた症例ではありますがタグリッソ投与した後にオプジーボを投与された症例のうち7例で間質性肺炎による死亡症例の報告がありますのでEGFR投与後の免疫チェックポイント阻害薬に関しては、副作用のリスクもありお勧めできません。
オプジーボ、アテゾリズマブなど免疫チェックポイント阻害薬の臨床試験の結果からは、お父様のようなEGFR遺伝子変異陽性患者さんへの免疫チェックポイント阻害薬単剤は殺細胞性抗がん剤より有効性が低いとされています。

②イレッサ、タルセバ、ジオトリフの投与について
EGFR遺伝子変異陽性の中でお父様のようなExon20挿入変異の患者さんは特例としてEGFR-TKIが効きにくいとされています。
実際日本肺癌診療ガイドラインでもExon 20挿入変異の症例にはEGFR-TKIの投与は推奨しないと記載されています。その中でタグリッソは効果があるかもしれない・・と臨床試験のサブグループ解析でも検討されていることから主治医も使用したのではないかなと思います。
以上より、お父様についてイレッサ、タルセバ、ジオトリフを進められる根拠がない状況です。

③アバスチンについて
あきら様のおっしゃるようにアバスチンに関しては選択の余地があるかもしれません。主治医は血痰を認めていたことからアバスチンを使用せずに経過を見ていたようですが、現在血痰も治まっており使用できないかお悩みなのですね。
血痰の症状があると使用しにくいですが、それ以外にも病変の場所が体の真ん中によっている、病気の場所に大きな血管がくっついている、出血してしまうリスクがあるなど他にも使用できない要因はあります。
また65歳以上の高齢者には安全性の面からも慎重投与とされています。しかしながらあきら様がお悩みになるのはもちろんですし、投与するとすれば現在のカルボプラチンとアリムタと一緒に投与するべきと思いますので、これまでも十分に主治医とお話しされていると思いますが、今一度アバスチンの適応についてご質問いただき、お話し合いしていただくことをお勧めします。

今後のお父様の治療にあたっては、治療効果はもちろんですがお父様、そして近くで支えられているご家族の皆様の考え方やご希望、価値観によって治療を考えていかなければならないと思います。ぜひ主治医と納得いくまでお話し合いいただきながら、治療に向かっていただければと思います。

あきら様のお父様、あきら様が少しでもご納得いく治療方法をご選択され、治療効果があることをお祈り申し上げます。

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Re:肺腺がんステージⅣ今後の治療方針について
あきら(北海道) 2019/06/16
M様
お忙しいところ、お返事ありがとうございました。

主治医にもう一度アバスチンの事を話すのは勇気がいりますが、話してみようと思います。

アバスチンを追加する事で、かなり効力は違うのでしょうか?
あるのとないのとでは大違いと言うくらい違うのでしょうか?

また、今の治療法に行き詰まったら、次の治療薬はどのようなものが考えられますか?

よろしければ再度お返事をお待ちしております。

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Re:肺腺がんステージⅣ今後の治療方針について
M(秋田県) 2019/06/17
あきら様

この度はご返信ありがとうございます。呼吸器内科医のMです。ご質問の内容に関しまして改めて返答させていただきます。
まず、一度主治医にもアバスチンのお話をされているのですね。その上でもう一度同じお話をされるということは、あきら様の言うように非常に勇気のいる事ですね。
もし主治医に直接言いにくいことは、看護師さんや薬剤師さん、がん相談支援室の方にまずお話をしてみてもいいかもしれません。代弁してくれる場合や相談にのっていただき、良い相談方法が見つかることもあります。少なくともあきら様にとって主治医との関係が壊れるような方向にはならないと思いますので、ぜひお話ししにくいことも他のスタッフにご相談いただければと思います。

アバスチンの上乗せ効果に関してですが、いくつかの臨床試験で異なる結果が出ているため主治医により考え方が様々といったところが正直なところです。
もちろんアバスチンの方が効果が低かったという報告はありません。

最初に米国のECOGというグループが行った臨床試験では、薬を投与された患者さんの全生存期間が投与されていない患者さんより平均で約3か月延長するといった結果が出ました。
しかしながらその後にヨーロッパで行われた試験では全生存期間に差は確認されず、日本で行われた臨床試験でも同様に全生存期間に差は確認できませんでした。
※しかしながら日本の臨床試験では薬の効果が継続する時間はアバスチン併用群で長かったと報告されています。

いずれも75歳以下を対象とした臨床試験であり、日本肺癌学会のしめす肺癌診療ガイドラインでも75歳以上の患者さんへのアバスチンの上乗せは推奨されていないのが現状です。

いずれの治療も、少しでもお父様が元気に過ごされることが前提になるかと思います。ぜひ主治医と、今何を一番大切にして、何よりお父様はどのようにしていきたいのか・・そのことを踏まえてご相談いただければと思います。

繰り返しになりますが、お父様、あきら様にとって少しでも良い選択肢が見つかることをお祈り申し上げます。

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