掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
オンコタイプDXの中間リスクと術後療法について
パリス(北海道) 2014/01/24
はじめまして、ご相談させてください。

昨年11月末に左胸の乳房温存手術を受けました。
今月から放射腺療法とホルモン療法の治療を開始しています。
・年齢41歳・女性
病理結果
・浸潤性乳管癌
・腫瘍径7×6mm 侵潤径5×4mm
・センチネルリンパ節転移なし
・ER(+)100% PgR(+)70%
・HER2 2+ →FISH検査をし陰性
・断端は陰性
・KI67 30%
・グレード1(2+1)
・明らかな脈管侵襲は認めず

オンコタイプDX結果
・スコア18・再発率11%・ER 8.1 PR 7.6  HER2 9.2

主治医からKI67の数値が高いため、化学療法が必要かどうかをはっきりさせるためオンコタイプDXの検査を薦められました。
KI67の数値以外は特に問題は無く、主治医も自身の経験からも低リスクででるでしょうとのことだったため、今後治療へ向けて自分の気持ちをすっきりさせるため検査をうけたところ、スコアが18という中間リスクになってしまい、予想外の結果に非常に気持ちが落ち込んでしまいました。結果について、主治医は化学療法は必要ないとの一言で内容について詳しい説明もなく、納得できないまま次の治療(放射線療法+ホルモン療法)へ進んでしまい不安がつのっています。

①上記の私の病理結果からは化学療法は必要ないのでしょうか
②ネット上ですが調べていくと、いろいろな方の病理内容とオンコタイプの結果をみていると、日本の病理結果が悪くてもオンコタイプのスコアが低スコアがでているのですが、この検査についてどうしてそのようなことになるのか内容を少し詳しくご説明していただければ助かります。私の病理結果で、オンコタイプの結果が中間リスクというのは高いと思うのですがどうしてこのような結果がでたのでしょうか。
③放射線治療についても、年末年始があったため術後9週間経ってからの治療ですが、今後再発への影響はないのでしょうか
④ホルモン療法についてですが、現在タスオミンを服用しております。主治医からオンコタイプの結果が自分で高いと思うなら、リュープリンを併用したらとの説明だけだったのですが、副作用もあるので納得した上で併用したいと考えます。この治療が私には必要で効果があるのか、併用するとしないのとではどの程度ちがいがあるのか教えていただければと思います。

以上、どうぞよろしくお願い致します。








Re:オンコタイプDXの中間リスクと術後療法について
Hiro(茨城県) 2014/01/29
パリス様

乳がん治療のさなか、体調はいかがでしょうか。いろいろな不安がおありのことと思います。

パリス様の疑問に対してできる限りお返事したいと思いますが、まずは本掲示板は、診断および個々の皆様の治療の相談(セカンドオピニオンなど)の場としてもうけられてはいないことをご了承ください。

オンコタイプDxと病理結果はそのリスク評価が必ずしも一致するものではないことが報告されています。病理結果ではおとなしめのタイプであってもオンコタイプでは再発リスクが高いと考えられるもの、反対に病理結果では悪性度が高そうでもオンコタイプDxでは再発リスクが低そうな場合などそれぞれ5%前後はあると考えられます。

これはオンコタイプDxに限られたことではなく、ほかの遺伝子発現解析によるリスク評価でも同様のことが見られます。原因としてはオンコタイプなどでは複数の遺伝子発現を見ており、病理検査ではER,PgR,HER2,Ki67などある程度限られたもののタンパク発現や細胞の形態から判断しているため,それぞれの検査法が、ある程度違うものを、違う手法で評価しているためと考えられます。

全く一致するようであればもともと両方の検査を行う必要はないことになります。異なる結果が生じうるからこそ、少しでも多くの情報を収集して治療をどうするかを検討することになります。

いずれの手法でも残念ながら100%再発の有無や治療効果を正確に予測することは、まだかないません。病理結果とオンコタイプのどちらを信用するのか、の2者択一ではなく、病理検査とオンコタイプの二つの検査結果を踏まえてどうするのかの考慮が必要になります。

オンコタイプでは再発スコアとともに、ホルモン治療を行った場合、またホルモン治療に化学療法を追加した場合どの程度再発を予防できるかの指標も示されていることと思います。化学療法の有害事象なども考慮しつつ、化学療法を追加するのか、タモキシフェンのみとするのか、リュープリンやゾラデックスを追加するのか、主治医の先生とうまくご相談できるといいですね。

放射線治療に関しては,元々の手術が断端陰性ということでもありますし、9週間という間隔はあまり気にしなくてもよろしいのではないかと思います。

決断は時に勇気がいるものであると思います。
パリス様が納得のいく決断ができますように。
Ki67高数値オンコタイプdx検査の低数値の違い術後療法について
渡邊和(秋田県) 2021/06/21
はじめまして。
パリス様、同様Ki67が高い数値とオンコタイプdx再発率数値の違いにどちらを信じて治療を決めたら良いのか悩んでおります。
オンコタイプdxの検査について教えて下さい。

45歳、閉経前、9ミリの浸潤がん
ホルモン受容体(陽性)
HER2タンパク(陰性)
Ki 67増殖マーカー(41.5%)
異型度 (2)
骨転移なし
CT リンパ節腫大なし
肺、肝に転移なし
ステージIの診断で4月30日に全摘手術を受けました。
センチネルリンパ節2個の内【1個】に転移あり腋窩リンパ節郭清を行い【22個のうち0個】でした。
手術で切った結果1つと思われていたしこり(9ミリ→6ミリ)の下にもう1つしこり(7ミリ)が見つかり
ステージIIになりました。

リンパ節転移とKi67増殖マーカー数値の結果、今後の治療は抗がん剤と言われKi67の数値が確かな物なのか納得が出来ず、抗がん剤治療を受ける為に自分が納得出来る数値が欲しく医師に頼みオンコタイプdx検査をお願いしました。

届いたオンコタイプ検査結果が、
再発スコア【9】
9年の遠隔再発率が【12%】
化学療法の上乗せ効果【明らかに上乗せ効果なし】
と出ましたが、担当医が閉経前な事、リンパ転移がある事もあり抗がん剤治療をする事で無再発率が94%になりますよ!ホルモン治療で行くと89%なので差5%を良く考えて治療を選んで下さいと言われました。

更に悩む事に、かつ医師に確認した所、私は抗がん剤の効きにくいタイプとの事で効きにくいのに抗がん剤治療に進む方が良いのかが納得出来ずにおります。
抗がん剤が効きにくいタイプ人とは何%位しか効かないものなのでしょうか?
でも閉経前な事、リンパ節転移があった事、手術をしてもう1つのしこりが見つかった事など、ホルモン治療でお願いしますとも自分の意識でハッキリ言う事が出来ずに日々だけ過ぎて行きます。
術後抗がん剤の投与期間ん確認した所8週間と言われ期間も迫っていてハラハラ気持ちが安定しません。

後、オンコタイプ検査はしこり1つの検査結果なのでしょうか?
2つあったしこりを別々で調べてのKi67の高数値でオンコタイプ検査数値が低い数値になったのでないのかと不安でなりません質問タイトル:抗がん剤治療でいけば良いのかホルモン治療でいけば良いのかアドレスをお願い致します
質問内容:治療方向に悩んでおります。
アドバイスを下さい。お願い致します。
45歳、閉経前、9ミリの浸潤がん
ホルモン受容体(陽性)
HER2タンパク(陰性)
Ki 67増殖マーカー(41.5%)
異型度 (2)
骨転移なし
CT リンパ節腫大なし
肺、肝に転移なし
ステージIの診断で4月30日に全摘手術を受けました。
センチネルリンパ節2個の内【1個】に転移あり腋窩リンパ節郭清を行い【22個のうち0個】でした。
手術で切った結果1つと思われていたしこり(9ミリ→6ミリ)の下にもう1つしこり(7ミリ)が見つかり
ステージIIになりました。

リンパ節転移とKi67増殖マーカー数値の結果、今後の治療は抗がん剤と言われKi67の数値が確かな物なのか納得が出来ず、抗がん剤治療を受ける為に自分が納得出来る数値が欲しく医師に頼みオンコタイプdx検査をお願いしました。
届いたオンコタイプ検査結果が、
再発スコア【9】
9年の遠隔再発率が【12%】
化学療法の上乗せ効果【明らかに上乗せ効果なし】
と出ましたが、担当医が閉経前な事、リンパ転移がある事もあり抗がん剤治療をする事で無再発率が94%になりますよ!ホルモン治療で行くと89%なので差5%を良く考えて治療を選んで下さいと言われました。

更に悩む事に、かつ医師に確認した所、私は抗がん剤の効きにくいタイプとの事で効きにくいのに抗がん剤治療に進む方が良いのかが納得出来ずにおります。
抗がん剤が効きにくいタイプ人とは何%位しか効かないものなのでしょうか?
でも閉経前な事、リンパ節転移があった事、手術をしてもう1つのしこりが見つかった事など、ホルモン治療でお願いしますとも自分の意識でハッキリ言う事が出来ずに日々だけ過ぎて行きます。
術後抗がん剤の投与期間ん確認した所8週間と言われ期間も迫っていてハラハラ気持ちが安定しません。
どうか治療方向をアドレス下さい。
宜しくお願い致します。

後、オンコタイプ検査はしこり1つの検査結果なのでしょうか?
2個あったしこりを別々で調べてしまいKi67が高数値でオンコタイプ検査数値が低い数値になったのでないのかと不安でなりません。

閉経前、リンパ転移1あり、手術しこりが2個になってもオンコタイプdx再発率は正しい数値なのでしょうか?

どうか、教えて下さい
Re:オンコタイプDXの中間リスクと術後療法について
NS(東京都) 2021/06/22
渡邊さま

手術後の治療選択についていろいろと悩まれていらっしゃるのですね。
こちらにご質問を寄せて下さりありがとうございます。

ご質問を整理しますと、

· 1㎝以下のしこりが2つ、腋窩リンパ節の転移が1つでステージ2(ステージ2になった理由は、しこりが2つあることではなく、リンパ節転移が1個あったから、ではないでしょうか。)

· ホルモン受容体陽性、HER2陰性で、Ki67は45%と高かったが、オンコタイプDX検査の再発スコア結果が9。

· 報告書には、化学療法の上乗せ効果が【明らかな上乗せ効果なし】(「明らかに」、とは書かれていないはずなので、念のためご確認下さい)と書かれており、先生にも抗がん剤(化学療法)の効きにくいタイプであると言われていて、抗がん剤をするかどうかを迷っておられるのですね。抗がん剤が効きにくい、というのは何パーセントくらいなのか?というご質問もありました。

· また、しこりが2つあったことから、Ki67が高いと出た腫瘍と、オンコタイプDX検査に提出した腫瘍が違っていたのではないかということも心配されていると理解しました。

まず、抗がん剤が効きにくいタイプ、と先生がおっしゃったことは、一般的に、ホルモン受容体陽性、HER2陰性乳がんはそのように考えられていることから来ているのではないかと思います。HER2陽性タイプやホルモン受容体陰性タイプに比べると、ホルモン受容体陽性乳がんは抗がん剤の効果が少ない(抗がん剤を行っても、それ以上再発を抑える効果が少ない)ことが知られています。ただ、それが具体的に何%であれば効果があり、何%であれば無いのか、というはっきりとした基準はないのが現状です。

オンコタイプDX検査は、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の早期乳がんの方が抗がん剤を行った場合、どのくらい再発リスクを減らすことができそうか、という情報を得られることから、抗がん剤を行うかどうかを迷った時などに使用されていると思います。

ただ、その結果をどのように判断したら良いかは、迷うこともあると思います。

オンコタイプDX検査の報告書には、これまでに行われた臨床試験に基づくデータが掲載されているのですが、一つ知っておいて頂きたいこととして、現在のリンパ節転移がある患者さんの報告書の元になっているデータは、閉経後の患者さんを対象とした臨床試験に基づいています。

そして、最近発表されたデータからは、化学療法の効果には年齢や閉経状態が関係していることが明らかになってきています。

主治医の先生がおっしゃった、ホルモン治療だと無再発率(正確には、再発だけでなく、対側の乳がんや、新たに他のがんにかからない確率なども含まれます)が89%、抗がん剤を行うと94%という数字は、昨年発表された一番新しいレスポンダー(RxPONDER)試験という臨床試験の結果から来ています。この臨床試験では、リンパ節転移が1~3個の患者さんを対象に、再発スコア結果が0~25の人がホルモン療法だけを受けるか、ホルモン療法に抗がん剤を加えるかのいずれかの治療にランダムに割り振られました。

その結果、閉経後の患者さんでは抗がん剤をしてもしなくても結果が変わらなかったのに対して、閉経前の患者さんでは抗がん剤をしたほうが良い結果だったことが示されています。

その「良い結果」というのが、先生のおっしゃった5% という数字になります。

これを言い換えると、5年以内に再発などが起こる確率が、ホルモン療法だけの人は11%だったところが、抗がん剤を行うとその確率が6%に下がった、という事になります。

(さらに言い方を変えると、再発スコア結果が0~25の人100人が抗がん剤を受けた場合、5人の方には抗がん剤の効果があり再発しなかった、と言えます。89人は抗がん剤がなくても再発せず、6人の方は抗がん剤をしたけれども再発があった、と言う事でもあります。さらに悩ませてしまったらごめんなさい。)

この差を大きいと思うか、そう思わないかは、それぞれの方の価値観によっても異なるかもしれません。それゆえ、この結果だからこの治療、と単純に結びつかないところがあり、一層難しいところでもあると思います。

ここで渡邊さんにお考え頂きたいのは、抗がん剤の副作用なども含めて考えたときに、この差が、抗がん剤を受けて得られる差としてご自身にとってどれくらい納得がいくか、という点になろうかと思います。そこで重要になってくるのは、渡邊さんが人生で何を大事になさりたいのか、という事ではないかなと思っています。それをすぐにイメージしたり、言語化したりするのは難しいかもしれませんが、ぜひ、治療の選択の際にはとても大事なことなので、お考えいただけたらと思います。

もう一つ考慮して頂きたいこととしては、閉経前の患者さんにみられたこの抗がん剤による効果は、抗がん剤そのものの効果だけでなく、抗がん剤により早期に閉経に至ることで得られるホルモン療法的な効果が関係している可能性がある、という議論があります。この議論はまだデータ不足であり解決していない問題ですが、最新の海外のガイドラインではこのことを踏まえて、抗がん剤をしない選択をする場合にも、卵巣機能抑制剤という卵巣の機能を止める働きをするお薬を併用することを勧めている、ということもお伝えしておきます。

卵巣機能抑制剤は皮下注射のお薬です。副作用としては、やはりお薬を使って閉経の状態にするので、更年期のような症状が出ることが多いです。また、骨密度などにも影響を与えることがあるので、一言でホルモン療法といっても、どのような治療の選択肢があり、それぞれどのような副作用があるのか等の情報についても、主治医の先生とご相談されることをお勧めします。

腫瘍のどの部分が検査に提出されたかについては、一般的にはその腫瘍のうち悪性度が最も高く、かつ代表的な腫瘍の部分を提出することになっていますので、通常問題ないかと思いますが、正確な情報については主治医の先生にご確認頂くのが良いと思います。

長文となってしまい、かえって混乱させてしまっているのではないかと心配していますが、受けて頂いた検査の結果も含めて、治療選択に活かして頂ければと願っています。渡邊さんが治療を進めていかれる上で何を一番大事になさりたいのか、何のために治療をなさるのかをよくお考えの上で、また主治医の先生ともよくご相談なさり、納得して治療を選ばれますことをお祈りしています。

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