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エッセイを読んで
TS1単独治療と、TS1+ドセタキセル併用治療どちらにすべきか?迷っています。
チャーリー(三重県) 2021/01/04
妻72歳。30年前に胃がんで胃の2/3摘出。
2020年9月の定期健診で、ポリープが見つかり
2020年10月7日内視鏡手術し、術後1週間検査で胃カメラ検査の結果、異状が見つかり、10月28日のX線造影検査で、スキルス性胃がん
と診断され、11月4日大腸造影検査で、転移を確認することになりました。
11月9日、転移なきため、残胃1/3を全摘手術行いました。
全摘手術中、18か所転移確認中13か所転移が認められ排除していただきました。
12月6日退院。12月9日検診で、薬物療法科に回され、
2020年12月23日よりTS1+ドセタキセル治療開始。
2021年1月6日TS1のみの治療14日が終了します。
1月13日からTS1+ドセタキセルが開始されます。

妻の体重は、30Kg 身長152CMです。
TS1単独療法と、TS1+ドセタキセル併用治療。
の効果は、どれほど違うのか?
ドセタキセルが、結構きついと聞いておりますので、
どちらにすべきか、迷っております。

Re:TS1単独治療と、TS1+ドセタキセル併用治療どちらにすべきか?迷っています。
S(鳥取県) 2021/01/06
チャーリーさま

腫瘍内科のSと申します。
投稿いただきありがとうございます。手術の後の抗がん剤治療は本当に悩ましいですね。
奥様に本当に利益があるかどうか、体力は大丈夫かなどご心配だと思います。
でも、医療者としては、現時点で知ることができる科学的根拠のある治療をお伝えして実行することによって、癌が治る可能性が高くなるとか、より長生きされることに繋がると信じるほかありません。

ご質問の治療について、「JACCRO GC-07(START-2)試験」というキーワードで調べてみました。

三年後の無再発生存割合はドセタキセル/エスワン併用療法で66%、エスワン単剤で50%と報告されています。この臨床試験ではエスワン単剤の治療を受ける方では、生存に関して不利益が大きいと判断され試験が中止されています。試験が途中で中止になるほどの大きな差がつくことは、あまり起こりません。治療効果に関してはドセタキセル/エスワン併用療法を強くお勧めすることになると思います。治療期間を短くしたいとご希望の場合には、他の治療法もあるようです。

一方、ご心配の副作用についてです。抗がん剤治療でよく認められる、白血球や好中球(白血球の一部です)が減る副作用はドセタキセル/エスワン併用療法では強く認められるので注意が必要です。一方で、このような状態で発熱する副作用(発熱性好中球減少症)はドセタキセル/エスワン併用療法を受けた患者さんの5%弱で認められたと報告されています。これは受け入れられる範囲の数値だと思います。他に、怠さは50%、脱毛は60%の方で認めたと報告されています。

さて、ここからが問題です。治療の内容、利益や不利益、奥様のお気持ちやご心配事など、医療者と相談してみられるのはいかがでしょうか。治療全体の組み立ては医師が得意です。お薬の詳細な情報は薬剤師に聞いてみてください。日常生活のご心配事については看護師が力になってくれます。情報をどうやって集めたらいいのはわからないときは、お示ししたキーワードを用いながら、がん相談支援センターに相談されることもいいと思います。仲間の薬剤師からは、副作用のことも薬剤師などによく聞いて、しんどいときは我慢しないで医療者にお伝えくださいと助言をもらいました。

奥様にとって、ご夫妻にとって、幸せが訪れるような治療になることを願っています。

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