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治療とその選択
肺腺がんステージ4の治療方法について
おか(大阪府) 2021/03/29
急ぎのご相談です。突然申し訳ありません。
母親80歳が非扁平上皮非小細胞肺癌ステージ4 EGFR活性化遺伝子変異が認められ、エクソン21L858R変異というタイプで現在骨転移4箇所
という状態です。
病院でタグリッソを使用する
もうひとつ治験に参加することもすすめてもらいました。その治験はエルロドチニブ+ラムシルマブとタグリッソを比較する第3相臨床試験とのことです。

タグリッソ単独の標準治療で行くのか、治験にさんかするのか明日までに家族で決めるように言われて非常に困っています。

母は高齢ですが毎日水泳教室に通うような元気な生活を送っており現在骨の痛みを感じるようになってきている状態です。

タグリッソの効果が無くなったあとのことを考えると、治験にトライしてみた方が良いのか、それともよく効くとされているタグリッソを使う方が良いのかわかりません。
またエルロドチニブ+ラムシルマブを最初に使用した場合、T790M変異が生じなければ、タグリッソが使用できないということも懸念しております。

エルロドチニブ+ラムシルマブを使用してみて、副作用が強い場合は、タグリッソが使えるとのことですが、どれくらいの期間使用してタグリッソ変更は可能なのかもよくわかりません。
明日までにということで、病院で頂いた資料と、ネット検索をして、先程こちらのサイトを見つけて藁にもすがる思いです。

よろしくお願いいたします。

   
Re:肺腺がんステージ4の治療方法について
S(東京都) 2021/03/29
おか様、投稿をありがとうございます。腫瘍内科医のSと申します。
担当医から標準治療と治験の両方を提示されて、迷われているのですね。非常に難しい選択で、お悩みになるのも当然だと思います。
具体的にどちらを選ぶべきか、ということについてはここで回答することはできないのですが、その理由と治験、標準治療とは何かについてご説明いたします。

まず治験に参加するのと標準治療のどちらが良いか、ということですが、それは「わからない」というのが回答になります。その理由は、
・標準治療とはその時点で最も効果が高いと考えられている治療のこと (オシメルチニブ(タグリッソ)は、他のEGFR阻害剤(ゲフィチニブ、エルロチニブ)と比較して効果が高いことが証明されました。エルロチニブ+ラムシルマブ療法はラムシルマブを併用しない場合と比べて効果が高いことが証明されました)
・治験は標準治療と新しい治療を比較して、新しい標準治療を作るために実施されること (現在、オシメルチニブとエルロチニブ+ラムシルマブのどちらが優れた治療か、ということについてはわかっていません)

治験がない状況であれば、標準治療を選択するのが最も良い選択ですが、今回のように標準治療が複数ある場合、どちらを選択するかは現時点では副作用や通院頻度などから選択する以外に方法はありません(どちらが優れた治療かはわかりません)。

治験に参加する場合のメリットとしては次のようなものが挙げられます。
・新しい薬を使えることがある (今回の治験はどちらも標準治療なので該当しませんし、新しい薬を使うことが必ずしも良いとは限りません)
・医師だけではなく治験コーディネーターと呼ばれる専門家とともに治験を進められるので、相談しやすい
・薬の投与の規準や治療効果の判定方法が厳密に定められているので、どの医師が担当しても同じように治療が可能 = より安全 (ただし検査が増えるというデメリットにもなります)

ゲフィチニブやエルロチニブを使うと50-60%の方でT790Mが新たに出てくるとされていますので、治験でエルロチニブ+ラムシルマブ療法に当たったとしてもオシメルチニブを使える可能性はあると思います。ただ、そのどちらを優先して行うべきかは誰も答えを持っていないので、おか様が提案された治験が実施されています。

もしお決めになれないようであれば、もう一度担当医や治験コーディネーターに治験に参加した場合のメリットデメリット、標準治療の場合のメリットデメリットについて聞いてみてはいかがでしょうか?

また、お母様ご自身は治験についての話をお聞きになられてどのようにお感じでしょうか? 治験に参加するにしても、標準治療を受けるにしても、治療を受けるのはご本人ですので、ご本人のお元気さやご意思が最も重要だと思います。そのお気持ちも含めて、担当医や治験コーディネーターにご相談いただけると良いと思います。

しっかりと疑問点を解消して、納得して治療を選択いただけることを願っております。
Re:肺腺がんステージ4の治療方法について
おか(大阪府) 2021/03/29
腫瘍内科医のS先生 様

お忙しい中すぐにお返事をいただき心より感謝申し上げます。

母は、副作用が少ない方を希望しております。本日家族で相談した時は、タグリッソが長く効くように願って、治療を頑張るという話が中心でした。明日、先生と治験コーディネーターの方に最終の相談をして決定したいと思います。

すみません、追加で4つ質問させてもらいたいのですが、

タグリッソが、長く効果が出るように、母が気をつける事はありますか?

現在骨転移が、4箇所、脳や肺以外の臓器に転移はしていない可能性が高く、リンパ節は微妙との検査結果です。骨転移に対してはランマーク治療を行う予定ですが、どんどん転移しないように気をつけることはあるのでしょうか?

タグリッソの効果がなくなった場合、母は膠原病(エリトマトーデス)を以前発症しており、免疫チェックポイント阻害剤の使用が難しいかもしれないと先生のお話でありましたが、全く使えないのでしょうか?

最後にタグリッソの効果がなくなった後に服用できる新薬は近いうちに出される予定はあるのでしょうか?

沢山の質問申し訳ありません。
よろしくお願いいたします。
Re:肺腺がんステージ4の治療方法について
S(東京都) 2021/03/29
おか様、ご家族で相談されているのですね。ぜひ、納得がいくまでお話していただくと良いと思います。

追加のご質問ですが、1つ目と2つ目については、次のように回答させてください。
・副作用が出たときに早めに相談すること(相談できる体制を作っておくこと)、これは主治医はもちろん看護師さんや薬剤師さんがお力になれると思います
・病気のことで頭の中をいっぱいにしないこと。いまは難しいと思いますが、うまく病気をコントロールしてできるだけこれまで通りの生活を送ることが治療の目的です。病気のこと、治療のことで頭がいっぱいになってしまうと、治療のために生活しているようになってしまうことがあります。少しずつ落ち着いてきたら、治療はうまく続けながらできるだけこれまでの日常に近づけていっていただけると良いと思います。
・転移は新たに起きてくる可能性はありますが、現在の医学ではそれを予測する手段はありません。これからスタートさせる治療がうまく効いてくれれば、新たな転移も起きにくくなります。そのためには上記のことに注意していただき、治療をうまく続けられることが重要です。

3つ目と4つ目についてはお母様を診療していない状況ではお答えするのが難しい質問です。まずはお母様のお体のことを一番良く把握している主治医にご質問いただくのが良いと思います。あるいは、セカンドオピニオンなどをご活用いただいても良いと思います。

いずれにしても、副作用をうまくコントロールしながら治療効果を引き出して、いまの生活を続けられるようにするのが治療の目標になります。病院の医療者はそのためにお母様やご家族を支えたいと思っています。ぜひ疑問点や不安な点はご質問いただき、納得して治療を進めていただければと思います。
お母様の治療がうまくいくことを願っております。
Re:肺腺がんステージ4の治療方法について
おか(大阪府) 2021/03/29
腫瘍内科医S先生 様

早速お返事をいただきましてありがとうございます。
S先生がおっしゃるように、明日主治医の先生とよく話をしてきます。

母が前向きに治療が受けられように、家族でしっかりとサポートしていきたいと思います。
そして病気で気持ちが支配されないように十分に気をつけたいと思います。

こちらのサイトは今朝見つけましたので、これからよく見て参考にしたいです。
また掲示板に書き込みをさせてもらうと思います。その際はどうぞ宜しくお願いいたします。
今回は本当にありがとうございました。

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