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治療とその選択
前立腺がんの治療方針について医師がはっきり言わないので不安です
aloha96815(海外在住) 2021/11/22
はじめて投稿させていただきます。
現在アメリカに在住で、父の病状についてご相談にのっていただけると大変助かります。

父は68歳男性、
今年7月の検診でPSAが14.1と高値であったため、
前立腺がんを疑われまして、8月に生検を受け、
14本中2本が陽性で前立腺がんと診断されました。

医師から説明された紙を見ますと、

グリソンスコア3+3
骨シンチ、CT、腰椎・仙骨・骨盤部MRIでは画像上転移はない
腫瘍が被膜外浸潤しており、T3a
以上より、高リスク

と書かれてありました。

父に話を聞くと、ホルモン治療あたりで反応をみて、その後、放射線か手術かなあ、と自信なさげに言われたそうです。
ビカルタミド80mgと、途中からリュープリン22.5mg
を併用して、3ヶ月後にまた来てください、とのことでした。
PSAは、ホルモン治療開始2週間後に6.2まで低下していました。

父は、がんとわかっているのに、ホルモン剤だけでいいのか?とても不安のようです。
また、放射線治療についても、外部照射と内部照射がある、と説明をうけたそうなのですが、合併症の話はあったものの、どちらをやるのかとか、理由とかは特に説明を受けておらず、さらに不安になったようです。

父が住んでいる地域にはその病院しかなく、また、小さな町で知り合いばかりなので、わざわざセカンドオピニオンを聞きに行くのも気が引けるうえに、
体力的にも電車に乗って遠方の病院に行くのは現実的には難しいので、治療に対する不安を打ち明ける人がいないようです。

私も、直接病院に電話してみたのですが、主治医は多忙のようで
電話がつながったことがなく、がんを支援する看護師さんも病院にいないようで、このままでいいのかとても不安が募ります。

ざっと自分なりに調べた限りでは、大外れはしていない気がしますが、
周りに医学の知識を持った人もいず、英語で相談できる人もいませんので
困っています。

せめて、この治療法で大きな間違いがないことだけでもわかればと思い、
藁にもすがる気持ちで投稿させていただきました。

実際に患者さんを診ずにセカンドオピニオン的なことは言えないと
思いますが、

この治療法は標準的なのか?
放射線治療は内部照射と外部照射のどちらを選ぶのか?
手術しなくていいのか?
(もし可能であれば、治療法を選ぶ基準というか、理由を教えていただければ、今後の主治医との話し合いで、こちらからも質問できると思いました。)

について、できる範囲で教えていただけると大変助かります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

   
Re:前立腺がんの治療方針について医師がはっきり言わないので不安です
TM(千葉県) 2021/11/23
aloha96815様

はじめまして。
千葉県で腫瘍内科医をしているものです。
海外で離れていらしてご心配も猶更だと思います。

頂いた情報からは、お父様の前立腺癌はご指摘のように限局期前立腺癌ですがhigh-risk (T3aのため)となります。
限局期high-riskの標準治療は、手術(前立腺全摘)または放射線治療+
+ホルモン療法、となります。

放射線治療を前提とした場合、ホルモン療法を2-3か月行ってから放射線治療を開始し、トータルで2-3年ホルモン療法を行うのが一般的です。照射に関しては、内部照射だけというのはhigh-riskの方では通常行わず、外部照射のみ、または外部照射+内部照射となります。内部照射を加えるべきか否かについてはコンセンサスはないようです。

手術療法を前提とした場合、必ずしもホルモン療法を先にすることは必要ありませんが、排尿障害などがある場合はその限りではありません。

手術と放射線治療+ホルモン療法のどちらを選ぶかは難しい問題です。手術で有利なのは、(放射線と併用する場合)2-3年必要とするホルモン療法が不要であること、手術でとった腫瘍検体を顕微鏡で観察できること(腫瘍の顔つき進展具合など、隠れたリンパ節転移がないかなどが分かる)、前立腺を全て採るので術後はPSAが測定限界値以下に低下するのが通常です、そのためPSAが測定限界値以下⇒測定可能になった時点で再発が検知できる、などがあります。一方、当然全身麻酔になりますので、周術期のリスクは伴います。

ホルモン療法は当初ほとんどの方で有効ですし、実際PSAも下がっているようですので予想通りの経過だと思います。焦る必要はないですが、今後治癒を目指しての治療選択となりますので、じっくり考えられるほうがよいと思います。
上記は一般論ですので、お父様の状況に応じたメリット、デメリットをご理解された上で治療に臨まれることをお勧めします。

TM

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