コラム/エッセイ

チームオンコロジーへの道

Essay: Road to TeamOncology

あちこちよりみち チームオンコロジーへの道

薬剤師:中村美波理

中村 美波理 Bibari Nakamura

薬剤師

元 聖路加国際病院 Former St. Luke's International Hospital

おばちゃん?!

人生の折り返しとなり、年齢から考えるとりっぱなおばちゃんなのだが、中身はまったくもって成長しておらず、いつまでたっても感覚は「のんきなお嬢ちゃん」のままで、奥さんとかおばさんと呼ばれることに(ものすごく)違和感を感じるが、お姉さん、お嬢さんと呼ばれることにはなぜか違和感を感じない。

今振り返って思うと、若いころは、天然だねぇ~、と優しく受け入れられてもいたけれど…。医療者として年齢相応の自信があってもいいところなのだが、成長なきままに課題を日々積み残し、結局、私の趣味って「だらだらと時間を過ごすこと」なのではなかろうかと思ったりもする。

最近はあまりできなくなってしまっているのだが、テレビ(とりためた2時間サスペンスがHDDレコーダーに詰まっていればなお最高)とソファーとスナック菓子のある予定の無い午後は至福の時間なのである。

あ、こんなカミングアウトができるようになったということは、やはりおばちゃん化しているのであろうか…。「久しぶりに会うけど、変わらないね~」といわれることが心から嬉しいのである。ちなみに嫌いな言葉は、「若づくり」。

公言してはだめなことはわかってはいるのだが、Facebookは時々しか開かないので、これは書き込みたいと熱く思ったスレッドは2週間前に過ぎ去ったもの…。片や夫は、即レスで家庭の個人情報と偏った見解を垂れ流していることを共通の友人の書き込みから知るのである。

感謝!!

そんな私でも、この年になったからこそ見えるものがあり、感じられることがあり、わかることがあるように思う。いろいろ辛い思いもしたけれど、今の自分でいられることに感謝。元気に働くことができることに感謝している。

鉄砲洲の氏神様、どうもありがとう。美味しい料理をおごってくれて気持ちよく酔いつぶれるまで付き合ってくれる友達に感謝。家族を癒してくれる築地と赤坂のお魚の美味しい料理店(千秋/ラ・スコリエーラ)や同郷の店主による新富の野菜料理のお店(潤菜どうしん)、鉄砲洲稲荷神社前のカフェ(カフェ・ド・カノン)の皆さんに感謝。

なんだかんだ言いながら支えてくれる家族に感謝。患者の立場の辛い気持を切々と語って下さった患者さんに感謝。私のことを気遣って優しいお手紙を下さった患者さんに感謝。薬剤師として社会人としての基礎をたたき込んで下さった師匠・恩師に感謝。一緒に働いて下さっている職場の皆さんに感謝。そして、J-TOPをはじめいろんなグループで一緒に活動して下さっている皆さんに感謝。

チームオンコロジーへの道

チームオンコロジーへの道、振り返ると結構長い道のりなのである。タイトルでは、語呂がよいことと、一本道ではなかったので「よりみち」と書いたのだが、すべては今に通じる本当に大切な道ばかりである。

九州の大学病院では手術室の薬品管理や病棟活動を学び、岡山の大学病院では外来化学療法室の開設に携わった。共に働く薬剤師に恵まれて、先進的な活動ができた。2004年にJapanese Medical Exchange (JME) ProgramでMDアンダーソンがんセンターに行かせていただき、日本とのギャップにおののき、薬剤師なのにあんなこともこんなこともしているの???と、驚きの一端としてCollaborative practice agreements(CPA:医師と薬剤師の文書合意に基づく薬剤師による薬物治療管理)を日本の学会で紹介させていただいたりした。

その後、東京の病院にやってきてCRC(臨床研究コーディネーター)として新たな世界を知ることになった。CRCとして、新たに人のつながりができて、同じ仕事を一緒にすることで看護師さんや検査技師さんとの職種の垣根がなくなったし、医師との距離が近づいて、患者さんに深く関わる経験をすることができた。そして、6月から、また新たな道を進み始めることになっている。

これからも心は若く、好奇心を持って、新しい時代を感じて働きたいと考えている。あ、それから、おばちゃん化というものも、「カッコつけなくてよくなった、自然体になった」と考えるとそれはそれでいいものである。おやじ化しないように気をつけようっと。

(2013年 5月執筆)

ちょこっと写真、ちょこっとコメントMy interest at a glance:

今年は東京の桜の満開が早かった。
オリミネベーカーズという早起きのパン屋さんで、スモークサーモン&クリームチーズとサバサンド(鯖パン)とキューブカスタードクリームとくまパンを買って、ホットココアとともに、近くの公園で家族と一緒に桜を見ながら至福の朝食を頂いた。
これぞ、世界一の朝食?

写真は、聖路加国際病院近くの公園に咲く桜の花。背景のビルは聖路加タワー。

(2013年 5月執筆)

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