コラム/エッセイ

ヤングオンコロジースペシャリストの声

Essay: Voice of Young Specialists

たくさんの出会いに育んでもらって

医師_河口浩介.jpg
河口 浩介 Kosuke Kawaguchi
医師
京都大学大学院医学研究科 外科学講座 乳腺外科学
大学院生として乳がん腫瘍免疫を中心に研究しています。患者さんとその周りの方々に笑顔を届けられるように日々奮闘しています。

はじめまして、京都大学大学院医学研究科外科学講座(乳腺外科学)所属の河口浩介と申します。未だ大学院3年目の私がこのような場で文章を綴るのは大変恐縮ですが、乳腺を専門とした研究活動に至る経緯と私を支えてくれている出会いについてお話ししたいと思います。

乳がんとの最初の出会い

私が初めて乳がんという言葉を知ったのは小学生の頃、祖母が乳がんを患っていることを知った時でした。抱き上げられたとき洋服の隙間から見えた胸の傷跡は今でも鮮明に記憶に残っています。その祖母が、高校2年生の時に亡くなったことは私の心に大きく響き、遊んでばかりいて勉強を全くしていなかった私に活を入れてくれることになりました。大学受験当日の朝も、祖母の仏前に「今から行ってきます」と報告してから臨んだのを覚えています。そんな祖母の導きもあり、今の自分があると感謝しています。

メンターとの出会い

医師となり多くの乳がん患者さんを担当させて頂き、将来乳がんを専門にして行こうと決意したのが研修医2年目の夏でした。現在のメンターである戸井先生、石黒先生と出会ったことにより、乳がんに関してだけではなく医療者としての「考え方」を育んで頂きました。常に1人1人の患者さんと向き合い、診療と研究活動を行う姿勢は私の模範となり、大学院に進んで研究を行うきっかけにもなりました。

チームオンコロジーとの出会い

研修医を終えて、医師3年目に「第6回みんなで学ぼうチームオンコロジー」に、医師7年目に「The 1st Team Oncology Leadership Academy」に参加させて頂きました。普段意識もしていなかったチーム医療とは何か、自分のMissionとVisionは何かを考えるきっかけとなりました。「今の自分のMission、Visionはなにか」と自問自答することにより、忙しい臨床の日々の中でも常に自分のモチベーションを保つことが出来ましたし、今の研究生活でも同様です。Mission、Visionを明確に持つことは、私にとって研究を行っていくなかでのコンパスとなっています。不安になったり迷ったりした時は一度立ち止まり、自分の進むべき道を確認してから動き出すようにすることを心がけています。

臨床チームとの出会い

乳腺科医としての臨床経験を約6年間積ませて頂きました。患者さん中心のチーム医療を心がけていましたが、最初は多職種間でのコミュニケーションが上手くとれないこともあり、挫折しそうにもなりました。そんな中でも患者さん、薬剤師、看護師さんをはじめとする周りの方々の助けに恵まれ、徐々に良いチームを形成することが出来、たくさんの事を学ばせて頂きました。時には患者さんから手紙やメールで励まされることもあり、未熟な私を支えて頂いたことは今でも忘れることが出来ません。

研究チームとの出会い

臨床6年間の後、大学院に入学し今の研究生活が始まりました。最初の1年間はただもがいているだけで、目に見える成果は殆ど出ませんでした。そんな中で「The 1st Team Oncology Leadership Academy」に参加させて頂き、自分の中でのMissionとVisionを見つめ直す事が出来ました。臨床だけではなく、研究活動においても患者さんの為のチームを作るべきだと再確認しました。それからは臨床、基礎を問わず、色々な研究室から助力を頂き、自分が研究チームの中で出来ること、出来ないこと、助けてもらうべきところをはっきりすることにしました。お陰様でこの2年間で多くの研究成果を得る事が出来ました(まだまだ途中ではありますが)。

以上のように、私の医療者としての人生はたくさんの素晴らしい出会いに支えられてきています。これからも「患者さんに笑顔を」届けるために、懸命に研究活動に励みたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

(2014年 8月執筆)

ちょこっと写真、ちょこっとコメント

娘が2歳になりました。客観的に見て(それは無理か)世界で一番可愛いです。

辛いことがあっても絶えず満面の笑顔で迎えてくれる、家族という私の私設応援団が支えてくれている事に感謝する毎日です。この子達の未来が少しでも良くなるように、自分が出来ることをしっかりやり遂げたいと思います。10年後、20年後にもこの子達の笑顔を見たいですね。

(2014年 8月執筆)

#