掲示板「チームオンコロジー」

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EDUCATIONAL SEMINAR
8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
朝倉 義崇 (国立がんセンター中央病院血液幹細胞移植科) 2010/04/23
皆様こんにちは。国立がんセンター幹細胞移植科 朝倉義崇です。数時間前にHoustonに到着しました。私は昨夜たまった仕事を片付けるのに徹夜だったので、飛行機では寝てばかりで、今もあまり頭が働いていないような気がします。現在 0:30ですが、今夜はよく眠り、明日からのプログラムに備えたいと思います。

今回のメンバーの中で男性は私一人で(しかもたぶん最年長)、初日から若い女性パワーにやや圧倒されています。しかし!若さに負けず、積極的に発言していこうと思います!

出発前に、一緒にワークショップに参加した当院看護師の森さんや薬剤師の文さんからは、「移植後のフォローアップはどうなっているか見てきて!」とか「免疫抑制剤のPKは誰がやっているのか、聞いてきて!」など、お土産よろしく!と言う暖かい言葉とともに、幾つかの質問をいただいています。

掲示板をご覧の皆様も、些細なことでも構いませんので、日本ではこんな風だけど、MDACCではどうなの? といった形でご質問いただければ、メンバーで責任もってお答えします。

5週間 精一杯頑張りますので、よろしくお願いします。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
佐藤由美子(名古屋市立西部医療センター城北病院薬剤科) 2010/04/24
朝倉先生、Team2010の皆様、JMEのスタートおめでとうございます!

朝倉先生がただ一人の男性とのこと、
私たちのTeam2006と同じ構成で、なんだか雰囲気が想像つきます(笑)
ぜひ、失敗を恐れずに、何にでも体当たりして、
めいっぱい楽しんで、いろーんなことを吸収してきてくださいね!!

そんなこんなのお話を聞かせていただけるのを、楽しみにしています(^^)
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
橋本 浩伸(NCCH) 2010/04/25
2010組の皆様

無事に到着されたご様子を写真で拝見しました。
楽しみですね~。

体調にお気をつけ5週間の
楽しい情報をお待ちしています。

朝倉先生
保護者に見えます・・・
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
向原徹(神戸大学医学部附属病院腫瘍センター) 2010/04/26
神戸大学向原です。
昨年参加させていただいてもう1年かと思うと、あっという間です。
きっとしばらくは、何もしていないのに、疲れるという日々だと思います。でも、どうか楽しんでください。

出発に向けて、何もお手伝いできなくてすみませんでした。
こちらから、せめて応援をしています。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
朝倉義崇 (国立がんセンター中央病院血液幹細胞移植科) 2010/04/29
皆様こんにちは。国立がんセンター中央病院 幹細胞移植科 朝倉@Houstonです。こちらは今、水曜日の夜を迎え、我々がHoustonに到着して本日で6日目となります。

月曜日まではオリエンテーションがメインでしたが、火曜日から本格的に研修が始まりました。

写真での実況中継は、女性陣にお任せして、あまり文才はありませんが、私は日々の出来事を日記風にお伝えします。

4/28 火曜日の午前中はボランティアの方に病院のメインビルディングを中心に案内していただきました。MDACC全体でボランティアは1500名くらいいるそうですが、手術患者の家族待合室の受付など、専門的知識があまり必要ない部署ではボランティアに任されているようです。その後Dr. Theriaultから倫理に関するレクチャーを受け、医療従事者としての自分のphilosophyは何か?など、難解な質問もあったりしましたが、Dr. Theriaultは話術に長けており、あっと言う間の1時間でした。

午後は昼食を取りながらDr. Richard Leeよりintegrative medicineのレクチャーがあり(integrative medicineというのは、西洋医学と代替医療や自然治療を統合させた医療です。恥ずかしながら私は知りませんでした)、鍼やヨガ、ハーブ、気功などの様々な代替医療に関するevidenceを積極的に作り上げていこうとする姿勢が見受けられました。日本語の検索サイトで癌について検索すると、たくさんの代替医療に関するホームページが検索されますが、エビデンスがあるものはほとんどありません。がんセンターでも疼痛緩和などに鍼治療を一部取り入れていますが、今のところ鍼治療に関する臨床試験の動きは残念ながらなく、こうした姿勢は日本も見習わなければいけないところだと思います。

さらに電子カルテシステムに関する難解な講義を挟んで、JanisとCarrieによるleader shipのレクチャーを受けました。今後も研修中に何回かJanisからレクチャーがあるようですが、今回は最初のレクチャーということで、5週間の研修におけるmentorとのつきあい方など、ごく基本的な事が中心でした。

本日、4/29 水曜日はホスピスの見学から始まりました。人口500万人のHoustonには、約50のホスピスがあるそうで、見学したところは入院22床の中堅ホスピスです。いわゆるショートステイのような方もいるため、毎月150名程度の新規入所者があるそうです。普段入所している方のうち、癌患者は半分以下で、残りは痴呆や心疾患、COPDなどが占めており、小児も入所していますが、大半は高齢者でMedicareにより1日あたり150ドルが施設に支払われます。150ドルを超える範囲の医療行為、例えば輸血や透析などは個人の医療保険か自己負担となるため簡単にはできないようで、これは日本と共通しています。また、ホスピスに入ることにより癌治療の主治医との関係が無くなってしまうこと、希望していてもホスピスに入ることができずに亡くなっていく人がいること(毎月25人ほど)なども、日本とよく似た状況と感じました。もちろん日本にはホスピスの実数がもっと少ないわけですが、ホスピスや緩和医療における種々の問題は同様です。尚、ホスピスの経営は決して楽ではなく、倒産してしまうホスピスも稀ではないようです。また、MDACCと同様にボランティアの方が20人ほど勤務されており、全体の5%程度の仕事を任されているそうです。

その後、昼食までに、Children’s art project、Chaplain、患者情報管理部のレクチャーを連続して聞きました。
Children’s art projectは、小児がん患者の絵などを、皿や瓶のような作品にして店頭やwebなどで販売し収益を得、がん患者の治療費の支援やがんを経験した患者さんの奨学金の援助をするプロジェクトです。米国の他の病院でも同様のプログラムがあるそうですが、MDACCは中でも古く(1973年~)、また大規模だそうです。二十数人のスタッフの他、ここでもボランティアの方が活躍されており、実に業務の90%はボランティアの方が担っています。商品の販売となると、不況の影響を受けたりしますが、自治体の協力もあって、これまでの不況も乗り越えてこられたそうです。

Chaplainについては、こちらではかなり本格的に医療に介入していると予想はしていましたが、予想以上に深い関わり方でした。日本で言うと臨床心理士が最も近い役割かと思いますが、精神的に不安定な患者さんの傍でお話を聞くだけでなく、患者さんが亡くなったときは24時間オンコール体制で対応し、亡くなった患者さんのご家族だけでなく、医療従事者に対しても精神的ケアをされるそうです。MDACCでは毎月80人の患者さんが亡くなられるそうですが、約10人のスタッフで全ての患者さんをカバーしています。こうした精神的に過酷な業務内容から、Chaplain自身が精神的に不安定になってしまうこともあるので、定期的な会合によりお互いの状況を確かめ、必要があれば担当を交代するなどして対応するそうです。非常に尊敬するべき仕事である一方で高い専門性が要求されることもあり、Chaplainになるのは狭き門です。すなわち神学校に4年間、さらに4年間 病院でChaplainとしての実地研修を受けて国家試験に望みますが、厳しい口頭試問などがあり、合格率はわずか20%だそうです。しかしこの厳格さがChaplainの質を保つために必要であるとレクチャーされたAnneは話されていました。

昼食はDr. Jack Leeと一緒にパワーポイントによる効果的なプレゼンテーションの仕方のレクチャーを聴き、その後integrative medicineを行っている”place of wellness”の見学をし、幾つかの事務的な事を済ませてから、現在は明日のレクチャーの予習をしています。
かなり長くなりましたが、このように充実した日々を過ごしております。つたない文章を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
文 靖子(国立がんセンター中央病院 薬剤部 ) 2010/04/30
朝倉先生

お疲れさまです。文です。有意義な時間をすごされていることが、日記から伝わってきます。
「効果的なプレゼンテーションの仕方」というのは、興味がありますね!なにしろ、私は、プレゼンテーションが下手でいつも怒られているので・・・(笑)
日本に帰ってきたら、ぜひそのスキルを使ってMDACC報告をしてくださいね♪楽しみにしています!
研修スタート1週間経過!!
高橋 智子(順天堂医院) 2010/05/04
JME2010の本格的な研修が月曜日から始まり今日(4月30日金曜日)で今週の研修が無事に終わりました。
日本にいた時は行ったら何とかなるかもしれないと思っていましたが、英語力のなさに打ちのめされた1週間でした!
今日は29日と30日の研修をお伝えしたいと思います。

29日は朝から新規患者のブレストカンファレンスを見学しました。非常に多くの患者について話し合っており、また経験年数に関係なく意見交換が
されていました。
その後、Dr. Theriaultの外来を見学し初めて実際に患者さんの診察に立ち合いました。
術後の患者で問題のない場合はAdvanced Practice Nurse が診察しており、医師の診察は受けず帰宅していました。経済的に問題のある患者に
は、よりコストの低い薬に変更もしており日本の看護師との権限の違いに驚きました。
 
午後は薬剤師のレクチャーを受けました。MDACCは600床ですが薬剤師は415人いるそうです。その中の約50人がクリニカルファーマシースペシャリ
ストで彼らは大学や研修医へのレクチャーもしています。また、IRB(倫理委員会)を通す前にチェックリストに基づいてプロトコールチェックも
行っています。
講義の内容は難しいことも多く、私たちは途中から講義や質問内容の確認などをメンバー内で行うようにしています!

今日(30日)は、私たち看護師は初の病棟見学でした。私の付いた看護師の担当患者は2人でした。(羨ましい!!)
最大で3人の患者しか担当しないそうです。正直、日本の方がきめ細かいケアをしていると感じた点もあり、見習いたい点もありました。
午後はナーシングレクチャーを受け、日本にはないAdvanced Practice Nurse の役割を学びました。

今日は金曜日の夜ということで(HappyHour)夕食に連れて
行ってもらいました。メンターの先生たちはみんなとても親切で陽気です。私たちは英語が苦手な為、上野先生から「今年はおとなしい」といつも
言われますが徐々に自己主張できるよう頑張りたいと思います!!
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
村上 紘一 (慶應義塾大学医学部学生) 2010/05/04
JME2010の皆様

 慶應義塾大学医学部6年の村上紘一と申します。

 私も上野先生のご厚意を受け、今年の3月末に1週間MDACCを見学させていただいたのですが、日本の臨床の現場で活躍されている皆様の視点は、学生の視点から見えるものよりも深いと感じ、勉強させていただいております。

 MDACCの医療は日本の医療と違う点が多く、その差に圧倒されましたが、皆様のプロの視点から見て、MDACCの医療の中で日本に比較的すぐにでも取り入れることが可能ではないかと思えるような部分と、長期的な視点で考えて努力をしていけば取り入れることが可能と思えるような部分があれば教えていただけますでしょうか。

 また、正直なところ日本の看護師さんのレベルというのが私にはよく分かっていなかったので、十分に上手く比較することが出来なかったように感じているのですが、MDACCのAdvanced Nurse Practitionerの方々が受けられている教育・トレーニングと日本の看護教育全般やがん専門看護師のトレーニングの違いについて、何か実感されたことや日本にも取り入れたらよいのではないかと思われる点などがあれば、今後の展望も含めて教えていただけますでしょうか。

 抽象的で答えにくそうな質問ばかりで申し訳ありませんが、お時間がある時に教えていただければ幸いです。

 私は、ヒューストンに滞在している間、遅刻することを恐れて21時前には寝て3時ごろ起きるような訳の分からない生活をしていたのですが、環境がまるで違うこともあり、変に疲れがたまった記憶があります。(バーガーキングばかり食べていた食生活のせいかもしれませんが。)
 皆様も体調を崩されないようにお気をつけて、今後の研修期間を過ごされてください。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
村上 紘一 (慶應義塾大学医学部学生) 2010/05/04
JME2010の皆様

 慶應義塾大学医学部6年の村上紘一です。質問の投稿が連続になってしまって申し訳ありません。

 上野先生から、今回の研修に薬剤師の方も参加されていると伺ったので、ぜひ薬剤師の方から見たMDACCのClinical Pharmacistについてのご意見も伺いたいと思い、投稿させていただきます。

 薬学部へ進学した友人の話を聞いていると、製薬企業の就職はとても厳しく、日本の薬学部の学生は一般の企業へ就職する率が高い傾向にあるようで、大学・大学院で身に付けた専門性を現場に取り入れないのはもったいないと最近感じています。臨床の現場だけに限らず、基礎研究の分野でも十分に活躍できる能力を持った薬学部の学生さんが、日本にはたくさんいるように思うのですが。

 今後、日本の医療現場で薬剤師の方々が活躍の場を広げていくために何かヒントになるような点があれば教えていただけますでしょうか。

 よろしくお願いいたします。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
大里 洋一 (東京医科大学病院) 2010/05/05
村上さん

いつも投稿を興味深く読ませていただいております。
薬剤師の大里といいます。私は2008年にMDACCを見学させていただいて薬剤師の仕事に感動させられました。

処方権があることなどがとかく取り上げられやすいのですが、それだけではなく薬剤に対しての責任感が非常に強かったと思います。

日本の薬剤師も素晴らしい方が多いと思いますが、「薬剤師とはこうあるべき」という固定観念、イメージが強いと発展性に乏しいのかもしれないと感じています。

薬剤師の内側から変えていくのか、それとも薬剤師ではない、もっと言うと医療に関係していない側から変えていくのか。いずれにしてもイメージを変えていくことで大きく変わる気がするのです。(もちろん専門性も高めていく必要がありますが)
村上さんにとって、日本の薬剤師のイメージはどのようなものですか?

今の米国の薬剤師に対するイメージもきっと誰かの手によって作られたのだと思うのですが、そう思っているのは私だけでしょうか?
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
高橋・古賀 (順天堂医院・国立がん研究センター) 2010/05/05
村上さま

するどい質問をありがとうございます。
私たちは、JME2010でMDACCに来ている看護師の高橋・古賀と申します。
がん専門看護師の資格を持っておりませんが、私たちの分かる範囲でお答えしたいと思います。
まず、日本の看護師のレベルについてですが、地域や病院の規模により異なりますが、法律で医師の診療の補助、日常生活援助、健康促進等の患者教育と定められています。また
Advanced Nurse practitionerと呼ばれる看護師はいませんが、そのかわりに日本看護協会が定めた資格があります。以下は日本看護協会Hpの抜粋です。
「高度化・専門分化が進む医療現場における看護ケアの広がりと看護の質向上を目的に、看護界の総意で資格認定制度が発足しました。専門看護師、認定看護師、認定看護管理者の3つの資格があります。
日本看護協会では、教育機関の認定と専門の教育・研修を受けた看護職への資格認定とを行っています。1996年に専門看護師が初めて誕生し、1997年に認定看護師が、1999年に認定看護管理者が誕生しています。」

上記のように、日本ではスペシャリストの養成に力を入れ始めたのは近年の話です。日本の多くの病院では、看護師は医師のように特定の分野に特化せず、定期的な配置換えがあります。さらに、一つの病棟で複数の診療科の患者を看護しなければならないため、一つの分野の専門性を極めることは非常に困難な環境にあります。
一方でMDACCでは、新人、一人前、エキスパートナースという段階にわけて、10年ほどかけて教育をしており、この間は病棟の異動はないそうです。このようにMDACCではより専門性を追求しており、クリニカルナース(日本のRN)も、かなり専門性の高い看護を提供できるシステムをとっていることが分かりました。
私たちが日本で問題だと思う点は、まず多くの病院の専門・認定看護師は、通常業務と並行して指導・教育を行っているため、専門分野のみに専念できない状況にあります。そのため、彼らが自分たちの専門分野に専念できる環境作りは必要だと思います。

私たちもまだ研修が始まったばかりで、問題点や改善点についてディスカッションを重ね、その内容については今後も掲示板を通じてお伝えしていきたいと思います。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
村上 紘一 (慶應義塾大学医学部学生) 2010/05/06
大里さん

 コメントをいただき、ありがとうございます。

 薬剤師さんに対するイメージということですが、正直なところ病棟実習ではあまり薬剤師さんの存在を意識する機会がなく、院内薬局などで薬の調合をされている方々という程度のイメージしかありません。

 ただ、病院内には手術室などにサテライトファーマシーが設置されていて、薬剤の調整や投与内容のチェックなどを行っているという話は聞いたことがあります。

 実際に病棟で薬剤師さんにお会いしたのは、小児科を回っていた時だけですが、その時は患者さんと処方内容について、飲みにくいものがあるか、その原因は剤型なのか味なのかなどの細かい話までされていて、医師とは見方も違って患者さんにとってはこういう医療サービスが広まったらいいだろうなと感じました。

 見ていないだけで行われているのかもしれないのですが、病棟管理の中心である若手の医師たちと比べて薬剤師さんの薬の知識は決して劣らないのではないかと思うので、薬剤師さんが患者さんと話す機会が増えていっても良いのではないかと個人的には思っています。その方が、患者さんが薬のことを話す機会が増えて理解が深まりますし、何を飲んでいるかよく分からないけれど、とりあえず飲んでいるといった状況は改善されるのではないかなと思います。

 いまひとつまとまらないコメントで申し訳ありません。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
村上 紘一 (慶應義塾大学医学部学生) 2010/05/06
高橋さん、古賀さん

 コメントをいただき、ありがとうございます。

 配置転換などで専門性が養えないのはもったいないですね。患者さんの持つ病気によって看護において注意すべき点もだいぶ違うでしょうし、ただでさえ厳しい環境でお仕事をされているのに、何年か経験を積んでやっと慣れてきた職場を強制的に変更されるのは精神的にも負担が大きいように感じます。
 病棟ごとに看護師さんが専門性を身につけていける環境になれば、指導・教育の負担も分散されるかもしれないですね。

 入院患者さんが同じ科でもいくつもの病棟に分かれて入院されているのは何のためなのかよく分からないなといつも疑問に思っていたのですが、看護師さんにとっても特にメリットがあるわけではないのですね。
 あのシステムは一体誰のためなのでしょうか?

 また何かお気づきの点などありましたら教えていただきたいです。よろしくお願いいたします。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
橋本・閔(国立がんセンター・順天堂医院) 2010/05/06
村上さん

初めまして、JME2010年組、薬剤師の橋本・閔です。
いつも掲示板でのやりとりを興味深く拝見させていただいています。
薬剤師へのご質問ありがとうございます。


私たちはともに、8年ほど前に薬学部を卒業しています。
最近の就職状況については具体的に把握しておりませんので恐縮ですが、当時の就職状況では病院、調剤薬局などへの就職のほか、製薬会社への就職も多くありました。一般の会社への就職は特別な事情がない限りほとんど見かけませんでした。
現在では薬学部も6年制になり、臨床はより臨床の分野へ、研究はより研究の分野へシフトできる教育制度へと変革してきています。そのような背景から、臨床実習も増えて、薬学部生はより臨床を目指すようになることを期待しています。

貴施設におかれます状況は存じ上げませんが、私たちそれぞれの病院では、多くの病棟に薬剤師が配属されており、MDAにおけるClinical Pharmacistに似た役割をしています。
いまだに、薬剤師は薬局内で調剤をしている印象が強く、具体的な仕事のイメージを持てないこともあるかと思いますが、現在の薬剤師は調剤のみならず臨床へのフィールドを広げつつあります。また、がんや感染、糖尿病など専門薬剤師制度もでき、臨床現場においては薬の知識について最も広く深くあるべきだと考えています。

薬剤師の仕事をより理解してもらうためにも、私たちはMDAで学んだことを始め、病院薬剤師の役割の認知度を高め、医療系の学生や医療従事者など様々な方々に実際に日本の薬剤師の仕事を理解していただく機会をつくることができればと思います。
また、現在私たちはMDAにおいて研修中であり、日本におけるチーム医療がどうあるべきかという問いに対する答えは模索中です。
村上さんは、MDAを見学し、日本における「チーム医療」とはどういうものだという印象をお持ちですか。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
村上 紘一 (慶應義塾大学医学部学生) 2010/05/06
橋本さん・閔さん

 私の質問にコメントをいただき、ありがとうございます。

 専門薬剤師制度のことなど、勉強不足でした。
 友人の話は、おそらく一つの大学の状況を表しているに過ぎないので、世の中全体の流れとしては橋本さん・閔さんがおっしゃるような方向に進んでいるのかもしれません。
 この点については、もう一度よく調べてみます。

 日本における「チーム医療」に対する印象というのは、現状に対してということでよろしいでしょうか。

 私のいる大学でも病棟ごとにかなり差があるので一概には言えないのですし、おそらく学生の目では見えていないことも多いだろうとは思いますが、MDAに比べると日本では職種間のコミュニケーションが圧倒的に少なく、お互いに欠けているところを補い合う関係というより、単に仕事を分担しているだけといった印象です。
 潜在意識の中にどことなく職種間の上下関係のようなものがあったり、お互いに仕事を押し付けあったりといった場面も時々見られ、正直なところ少なくともお互いを高めあっているような印象はほとんどありません。
 もちろん、中には他職種と良好なコミュニケーションを取っておられる先生もいらっしゃるのですが、完全に各医師の性格や考え方に依存しているというのが現状ではないでしょうか。

 また、「チーム医療」という言葉から連想するのは、他科の医師との協力や看護師さんとの協力というのがいまのところは中心のイメージです。
 薬学部が6年制となり、今後臨床の現場での薬剤師さんの重要性が増してくることを考えると、医師・医学生も自ら薬剤師さんの専門性について理解する努力が必要ですね。

 日本のチーム医療に対する今後の展望など、研修を通して見えたものをまた教えていただければ幸いです。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
小川 (J-TOP事務局) 2010/05/07
村上紘一さま

当サイトを運営しておりますJ-TOP事務局の小川と申します。
さて、村上さんの上記コメントの一部に重複する文章がありましたので、勝手ながら修正させていただきました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
ヒューストンは夏です
閔(順天堂練馬病院) 2010/05/07
☆☆☆☆☆

  齊藤先生

心のこもったお言葉をいただき本当にありがとうございます。
研修も2週間をすぎようとしています。
私たち6人には毎日が本当に刺激の連続で、多くのことを感じ、考えさせられています。

J大、3人娘(?)
Dr中川はダンナシックにめげず、
Ns高橋は英語に負けず自己主張をし、
Ph閔は糖分と油分におなかのお肉をやられないよう細心の注意を払いながら、
日々精進しています。

今後ともあたたかく見守ってください(*^.^*)

☆☆☆☆☆


さて、ヒューストンは本格的に夏の様相を呈してきました。
到着した当時は長そでを着ていても肌寒さも感じるほどの冷夏でしたが、現在は日差しも強さをましています。

本日、私たち順天堂チームは、幹細胞移植の病棟ラウンドに参加させていただきました。

ラウンドのチームはちょうど3チームあり、3人がそれぞれ1チームごとに配属されました。
とても贅沢ですがそれ以上に英語にあせります(--;)

チームメンバーは、Dr、Advanced Practice Nurse、Clinical Pharmacist、Social Workerなど、様々な職種で構成されています。
フロアは全体で52床あり、3チームに分かれて回診しているので、1チームあたり20床前後を担当しているそうです。
ラウンドは毎日行われており、土日に限りDrのみで行っているとのことでした。
毎日午前8時から開始し、午前中いっぱいまで(午後になることも)行っているので、種々の問題をチーム全員で検討して話し合っており、患者さんやご家族とのコミュニケーションもしっかりとれているようでした。

時間が勝負の私たちの環境からするとうらやましい限りでした(^ ^;)

また、アメリカという気質のせいか、患者さんもスタッフも比較的明るいなというのが私の印象でした。



さて、そんななか病棟の壁にこんなものをみつけました。
(Team Oncology写真掲示板の「8th JME Program が始まりました」をご参照ください。)

夜に万が一転倒した際、頭部の怪我を最小限にしようとするためのナイトキャップ着用のよびかけのポスターです。

作りも凝っていてとてもかわいらしいのですが、転倒の件数やリスクなどの具体的なデータも載せてあります。
ここにもやはり、EBMです。

実際にかぶっていらっしゃるのか確認はできませんでしたが、仮に患者さんがみなさんかぶって眠っているのを想像すると、なんだかほほえましさがこみ上げるのでした。
研修2週目報告
朝倉義崇 (国立がんセンター中央病院血液幹細胞移植科) 2010/05/10
皆様こんにちは。国立がんセンター中央病院 朝倉@Houstonです。先週、研修第2週目の様子をダイジェスト形式にてご報告します。

月曜日の午前は、Dr. Liaoのオリエンテーションの後、6人別々にRadiation oncologyの見学を行いました。主に、医師はattendingについて患者さんの外来、看護師は看護業務、薬剤師は放射線治療技師について照射業務の見学でした。外来ではDr. TheriaultのBreast medical oncologyの外来と同様に、Mid level practitioner(今回の外来ではphysician assistant(PA))が外来業務の一部を担当しており、患者さんが来院すると、clinical nurseのvital check→PAの問診・診察→医師の問診・診察と進んでいきます。Radiation oncologyの部門には薬剤師はいませんが、日本より遙かに多くの医学物理士(medical physicist)と線量計算師(dosimetrist)が勤務しており、治療計画から照射業務まで密に関与していました。また、Radiation therapist(放射線治療技師)は、いわゆる放射線技師(レントゲンなどの撮影を行う)とは完全に独立しており、教育課程も全く異なります。Radiation therapistはさらに教育を受けると、dosimetristの資格を得ることができるので、dosimetristはRadiation therapistの上位の資格といえるでしょう。
午後は、2回目のDr. Theriaultの外来見学です。少し勝手も分かってきましたが・・・朝からずっと立ちっぱなしだったので少々疲れました。

火曜日は、昨日に引き続いてRadiation oncology部門の見学です。午前中は国立がんセンターグループと順天堂大グループに分かれ、私たちは本館(main building)の施設内を見学した後、頭頸部がん領域のclinical nurseにRadiation oncology後の皮膚障害のケアについて教えていただきました。途中で昨日紹介していただいたDr. Komakiにお会いすることができ、英語でうまく説明しづらい細かな部分を日本語でお聞きすることができました。Dr. Komakiは非常に気さくな方で、写真掲示板の方で中川先生も書かれていますが、MDACCではproton centerの開設などに多大な貢献をされています。順天堂大学グループは、外来治療棟(Ambulatory care building:ACB)にて、dosimetristの業務見学を行ったそうです。MDACCには、リニアックが20台(!) ありますが、Breast、Gynecology、Genitourinaryの3部門はACB、残りの部門は本館で治療を行っています。その他、γ-knife 1台があり、リニアックの一部は同室にCTを備えており、照射範囲を細かく調整することが可能です。また、Simulation用のCTの他、Radiation oncology部門独自のPET-CTを有しています。

お昼は、Dr. Leeの講義を受けながら、昼食を摂りました。今回のレクチャーでは統計ソフト「R」の基礎を教わりました。「R」はInternet上で公開されているフリーな統計ソフトですが、高度な統計解析機能も有しています。ただ、英語で統計ソフトの講義を受けるのは、やはりちょっと大変でした。

午後は、Radiation oncology部門のnurseのレクチャーを受けた後、proton centerの見学をしました。proton centerでは、日本人のphysicistの方に案内していただいたので、細かなところを詳細にお聞きすることができました。内容は中川先生が写真掲示板に書かれている通りです。
Proton centerから、また病院に戻り、医療訴訟などに関するレクチャーを受けました。MDACCでは、全ての医師が共通の医療過誤保険に加入しており、保険料は基本的に病院(各部門)が負担しているそうです(うらやましい・・・)。
がんセンターグループはこれで終了ですが、順天堂大グループは、明日のIRB見学のため、さらにDr. TheriaultによるIRBの講義を受けました(来週はがんセンターグループがIRB見学です)。

水曜日の午前は、国立がんセンターグループは幹細胞移植科の回診、順天堂大グループは緩和科の回診に参加しました。移植科回診では、日本と最も異なるのは、医療従事者の人数で、15-20名の患者に対し、attending 1名、fellow 1名に加え、advanced nurse practitioner(ANP)が3名、pharmDが1名、さらにresearch nurseでしょうか、毒性を評価する人がついていました。
正午には、移植科ナースによる倫理症例検討カンファランス(月1回だそうです)に参加しました。ANPではなく、clinical nurseが症例の相談をしていましたが、「今日は回診につけなかったので、医師がどう説明したのかは分からないのですが・・・」というような発言もあり、日本と似た状況もある事が分かって、安心(?)しました。
順天堂大グループのみ、IRBの見学をした後、医師二人は病理部門の見学です。病理部門は幾つか分かれて存在し、手術室のすぐ横に、検体受け取りと迅速診断のための部署があり、1階に永久標本作製部門があります。本日は時間が限られていたこともあり、2部署の見学のみで終了でした。
夕方、extraなeventとして、スペースシャトル Atlantisに乗員してISSの建設に携わったDr. Robert Satcherの講演をお聞きしました。Dr. Satcherはmusculoskeletal oncologistです。スペースシャトル打ち上げの映像は見慣れているつもりでしたが、何だか初めて見たときのように感動しました。

木曜日は、国立がんセンターグループは白血病グループの回診、順天堂大グループは幹細胞移植科の回診に参加しました。白血病グループで最も驚いたのは、ほとんどの治療を外来で行っていることで、寛解導入療法後も特に問題がなければ、すぐに退院させています。中心静脈ラインは留置したままで(MDACCでは感染症の懸念などからポートは殆ど使用していません)退院するため、1日1回 Heparinのプレフィルドシリンジにてフラッシュをしています。中心静脈ラインの管理については、週2回 患者教室があるので、そちらで学んでもらうようです。好中球減少の患者さんが殆どなので、点滴の抗生剤も継続したままの退院となりますが、これも患者さんが自分で1日2回など、投与しています。なぜか中心静脈ラインは、鎖骨下静脈ラインではなく、末梢留置型が多いようでした。尚、AMLの地固め療法では、大量キロサイド療法を施行していないので、外来で全て治療を行うそうです。多少専門的なお話で申し訳ありませんが、通常日本でAMLの治療は、途中で1週間程度の退院があっても、4ヶ月くらいは入院が必要です。
午後は、3回目のDr. Theriaultの外来見学でした。詳細は省きますが、今回の外来では治療方針の難しい患者さんが多く、皆で色々と議論しました。MDACCでは、様々な合併症を持った患者さんが多い-開業医が対処困難な患者が送られてくる-ため、そのぶん治療選択肢決定に難渋する事も少なくないようです。ちなみに、Breast medical oncologyの入院患者さんは15人程度ですが、2週毎にattendingが交替で担当しているそうです。日本では考えられないことですが、病院における治療方針が統一されており、attending同士にコンセンサスが得られているからこそ可能だといえます。

金曜日は、6人それぞれのmentorについて、研修内容の相談や外来・病棟見学を行いました。私のmentorはDr. Theriaultですので、新患を一人診ながら、今後のvisionや臨床試験の進め方など、様々な事をお話ししました。

これで1週間ですが、実はこの週は看護週間でしたので、院内で幾つかイベントがありました。日本の看護週間は、看護師の仕事を知ってもらうことが主な目的のようですが、MDACCでの看護週間は、看護師さんに感謝しよう、ということが大きな目的の一つです。例えば、病棟の壁には看護師さんに対する感謝のメッセージを掲示してあったり、病院入り口で服に貼り付ける「看護師さんありがとう」シールを配布したりしていました。関連のイベントも、いわゆる看護研究発表(ポスター)の掲示やミニコンサートなど、多種多様ですが、ミニコンサートは大いに盛り上がって、本当に楽しそうでした。看護研究発表ではEBMに基づいた臨床研究が殆どで、文献調査などであっても、きちんとPICO(Population-Intervention-Comparison-Outcome)が明記してありました。

以上が先週の報告です。長文になりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは、お休みなさい。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
文靖子(NCCH) 2010/05/10
がんセンターの文です。
お疲れ様です。
海外(主に米国なんでしょうか?)では、大量化学療法や移植も外来で行うというのを他施設に研修に行かれた先生からも伺いました。とてもリスクが高いような気もしますが、患者教育を行っていれば大きな問題にはならないのでしょうか。
外来通院はどの程度の頻度で行い管理されているのでしょうか?
また、入院で行う治療はどのようなものがあるのでしょうか??輸注日に1泊2日・・・というような感じですか??
移植治療関連の報告
朝倉 義崇 (国立がんセンター中央病院血液幹細胞移植科) 2010/05/11
国立がんセンター中央病院 朝倉です。文さん、投稿ありがとうございました。やや専門的な話になりますが、MDACC幹細胞移植科における実地臨床について、これまでに見学した内容からご報告します。

まずは、簡単に復習ですが、幹細胞移植は、自分の幹細胞か他人の幹細胞かという点で自家移植と同種移植に大別され、同種移植はさらに血縁者と非血縁者があります。同種移植の前処置は、その強度から骨髄破壊的移植(フル移植)と骨髄非破壊的移植(ミニ移植)と分類されています。

MDACCでは、自家移植は基本的に全て外来治療、同種移植はフル移植・ミニ移植に関わらず、入院治療にて行っています。

自家移植では、外来で前処置・輸注・移植後治療を行いますが、連日通院が必要です。外来では基本的にANP(Advanced nurse practitioner)が診察・検査・治療を担当しています。医師の診察は週1回くらいだったと思います。休日もANPの外来があり、問題があれば入院して治療といった形です。

同種移植は、GVHDの問題があるためか、ミニ移植も含めて原則として入院で行っているようです。平均在院日数などは聞き忘れましたが、回診の印象では合併症がなければ、1ヶ月くらいで退院しているようでした。

患者教育に関しては、十分聞けていないので、もう一度確認します。ただ、どの診療科でも同様ですが、外来でのサポート体制がしっかりしています。患者から電話があった場合には、担当のANPや主治医が対応し、症状が重篤な場合には、Emergency centerでの対応となります。Emergency centerで初期対応を行い(入院も可能ですが)、さらに入院が必要であれば、病棟へ転棟となっているようです。

電話での問い合わせのほか、各患者さんは、My MD Andersonというホームページに個々のIDとパスワードでログインすることにより、自身の検査結果や紹介状のダウンロードの他、担当のANP・主治医にe-mailで質問や相談をすることが可能です。

こうした体制がしっかりしているからこそ、外来治療が可能な訳ですが、そのぶんCV管理や抗生剤投与など、患者さんが自分で行わなければいけない処置も多くなります。また、もちろん入院費が非常に高額であることも、外来治療を進める大きな要因になっています。

以上簡単ですが、幹細胞移植科の実地診療の報告です。ご参考になれば幸いです。よろしくお願いします。
研修3週目スタート!
高橋 智子(順天堂大学医学部付属順天堂医院) 2010/05/12
研修もいよいよ3週目に突入です!!
最初は冷蔵庫のようなMDACCで過ごしていけるか心配していた私たちですが、
ヒューストンも夏を迎え徐々に寒いと思うことも少なくなってきました。

今週の月曜日は1日病理医のDr.Sahinより乳癌の病理について学びました。
レクチャーはかなり専門的で難しくもありましたが、実際に手術検体から病理標本ができるまでの過程を見学することができて大変興味深かったです。
それまで穏やかだった現場も検体が届くと急に慌しくなり、私たちまで緊張してしまいました。外科医により迅速により正確な診断を伝えるために、各自が自分の役割を果たしておりチーム医療を支えるのは、実際に患者と関わる職種だけではないと心から実感しました。MDACCでも看護師が病理医に直接会うことはあまりないそうですが、外科医が忙しいときは看護師が病理医に結果を聞くそうです。
その為には、看護師も病理について最低限の知識は持っていなければならないはずで改めてMDACCの看護師の知識の深さに驚きました。

火曜日の午前中はNursingPracticeCongressSessionを見学しました。これは各病棟・外来から看護師が参加する各種委員会の中間報告のようなもので月に1回開催されています。
静脈穿刺や疼痛マネジメントについての報告の他、薬剤師から冷所保存の薬品の保管方法についてのレクチャーもありました。報告と言っても質疑応答が活発で、より良いケアの為に自発的に会に参加する姿勢は見習いたいと思いました。
午後は乳腺外来の見学でした。見学は3回目ですが前回(Dr・APN・RNの3人1チーム)と違い今日のDrのチームには薬剤師(ClinicalPharmacySpecialist)がいて、副作用症状のマネジメント・開始薬の説明・医師や看護師とのディスカッションを行っていました。
患者数が多く忙しい中でも、各職種がお互いに遠慮することなく意見交換をしていました。
日本では(うちの病院では?)忙しいときに「今、忙しいから話しかけないで」というオーラが出ており話しかけにくい雰囲気を周囲に出している医療従事者もいますが、このチームでは患者さんのことで意見を求められれば忙しくてもお互いにきちんと向き合ってディスカッションしており、とても良いコミュニケーションをとっており見習いたいと思いました。

私たちはこの研修で各自のビジョンとミッションを明らかにするとともに、チーム医療についてプレゼンテーションを行います。
現在、試行錯誤しながら進めていますがこれまで学んだことを生かして残りの日々も頑張りたいと思います!!
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
古賀 範子(国立がんセンター) 2010/05/14
ヒューストンの気候や室内冷蔵庫にもだいぶ慣れてきた6人ですが、ここ数日は曇りが続いています。自己紹介の仕方もすっかりアメリカンナイズされ、自分たちから積極的に握手をしにいっているように感じます。

水曜日はJanisの講義がありました。ここでは、チーム医療に必要なコミュニケーションやリーダーシップスキルについて講義を受けました。11月のworkshopと同様にMyers-Briggs Type Indicatorを用いて、自分のタイプを分類しました。これは、一人ひとりの性格を心の機能と態度の側面からみたもので、「ものの見方(感覚・直観)」「判断のしかた(思考・感情)」及び「興味関心の方向(外向・内向)」「外界への接し方(判断的態度・知覚的態度)」の4 指標であらわされ、16 タイプに類型化してとらえようとしているものです。個人一人ひとりが自分の心を理解し、またお互いの違いを理解することを目的にしているそうです。
2010年組6人も皆タイプが異なります。タイプにはそれぞれの特徴があり、チームには様々なタイプの人々が存在しているため、お互いの特徴を理解することは人間関係の構築やチームで課題に取り組む際に有用だと思います。
その後、2人ずつに分かれてアクティブリスニングを実践しました。この講義を受けて、改めて自身の行動や言動を振り返るきっかけになりました。またこのスキルは、繰り返し練習することが大切であり、仕事の場だけでなく日常生活でも用いることができるとJanisはおっしゃっていました。

木曜日の午後はGIクリニックを見学しました。そこでは、Dr、PA(physician assistant)、PharmD、CN(clinical nurse)と様々な職種が働いており、仕事内容は職種によって細分化されていました。見学したチームは、physicalな問題だけでなくsocialな問題まで情報を共有し、必要であればsocial workerを紹介し、治療環境を整えて治療方針を決定していました。それぞれの職種が、自分の役割をきちんと果たすことで、スムーズに治療方針や治療のための患者教育が行われていたように感じました。

今日までの見学から看護師として感じたことは、多様なケアや業務を行う日本の看護師とは異なり、MDACCでは作業の途中で遮られることが少なく自身の仕事に集中しているということでした。話し合うときは話し合う、その後自分の役割を果たすといったように効率的に仕事をしており、患者さんや家族と向き合う時間もしっかりと確保されているように感じました。
見学を通して、日本で見直さなければいけない問題を実感すると同時に、日本の細やかな看護にも気づくことができ、良き部分をさらに発展させ、日本における問題に対しどのように取り組む必要があるのか考えていきたいと思いました。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
橋本 亜衣子(国立がんセンター中央病院) 2010/05/17
国立がんセンター中央病院の橋本です。

研修3週目を終えました。ヒューストンに来てから今日まで、あっという間でした。
私たちは今、研修の最後に行うプレゼンテーションに向けて興味のある症例を取り上げ、チームとしてどのように関わっていくか、話し合いを進めています。プレゼンテーションには研修から得たことをたくさん盛り込み、日本に帰ってから何らかの形でチーム医療の向上に役立てたいと考えています。

毎週金曜日は、メンターと1対1あるいは職種ごとに分かれて各自のvision,missionについて相談したり、個人的に興味のある分野を重点的に見学したりすることができます。
Visionは大きく、夢があり、他の人に共感をいただけるような分かりやすい表現にする必要があります。私は「より良い医療」、「QOLを高める」といった抽象的な表現をしてしまいがちで、また言葉の壁もあるため、自分の考えがきちんとメンターに伝わっているか時々不安になります。
日本にいると自分の意見が正しく相手に伝わっているかを確認することはあまりなく、お互い分かっているだろうと考えがちですが、こちらではそういう訳にはいかず、コミュニケーションの大切さや難しさを身をもって学ぶ毎日です。

今日はNASAのJohnson Space Centerに連れて行っていただきました。お天気もよく、スペースシャトルの実物を見、宇宙探求の歴史と未来について学び、おみやげも買って、とても楽しい休日でした。
研修もあと2週間
朝倉義崇 (国立がん研究センター中央病院血液幹細胞移植科) 2010/05/18
国立がん研究センター 朝倉です。研修もあと2週間となり、皆、研修最終週の症例発表に向けての準備を着々と進めています。
5/17 月曜日午前は、順天グループがphamDとともに白血病チームの回診、国がんグループが移植科のRNについて研修をしました。

移植科は、以前にAPN・phamDの方とグループ回診に参加しましたが、今度は各病棟のRNの立場からみた研修です。
RNはmidlevel practitionerほどの権限はないですが、それでも日本の看護師と比較するとかなりautonomyが確保されています。同種幹細胞移植を行う際には、貧血や血小板減少、好中球減少性発熱、免疫抑制剤投与や下痢、抗ウイルス剤投与に関連する低カリウム血症、低マグネシウム血症、低リン血症などが日々問題となりますが、これらについては入院時の指示に従い、RNの判断で輸血や電解質補充などをすることが可能です。
尚、RNは2交代制で、だいたい2-3人の患者さんを担当し、夕方以降の入院や夜間の化学療法を施行することもあるので、日勤と夜勤の人数はほぼ同数となっています。患者さんを直接担当するRNの他、charge Nsとdischarge Ns、PSC(patient service coordinator;夜勤もあり)が勤務しており、PSCは病棟クラークのような役目を果たしていますが、全てのNsコールの仲介をしたり、様々なチェックシートをプリントアウトしたりと、日本のクラークよりも専門性が高く、RNからの信頼も厚い印象を受けました。
ただ、分業体制が整っているためか、日本の看護師に比べてRNは仕事の余裕があるように見えました。日本の看護師は、調剤も患者さんの搬送、退院指導まで一人でこなさなくてはいけませんが、こちらでは全て別の担当者がいます。
逆に、同じ患者さんを何人もが担当するということは、担当者の間のコミュニケーションを密にしなければ、ケアの質が低下してしまいます。このため、RNの勤務帯間での申し送りにはエクセルで作成した患者さんの情報一覧、患者搬送担当者での申し送りにはhand-off sheet(temporary)、ICUなど患者さんの転棟時にはhand-off sheet(permanent)、RNとdischarge nurse、social worker、case manager、nutritionistの間での情報交換のための申し送りシートなど様々な書式が用意されています。また、午前中の移植科グループ回診の際は、自分の担当患者さんの時に回診に参加して、治療方針について密に確認をしていました。
私がご一緒させていただいたのは、指導者クラスのRNでしたが、新人教育期間は6-8週間とのことで、教育プログラムが用意されているようです。ただ、日本の病棟でよく見かける看護基準などはないようでした(見つけられなかっただけかもしれません)。その代わりに、GVHDや出血性膀胱炎など、各合併症に対する処置・治療のガイドラインがあるので、これに従っているようです。考えてみれば、同じ患者さんを治療しているので、医師と看護師でガイドラインと看護手順のように分けるよりも効率的かもしれません。

5/17 午後は、5回目となる乳腺内科外来見学です。見学の度に乳がんに対する自分の知識をテストされているような気分ですが、本当に様々な患者さんがおられ、勉強になります。外来見学後は、数例の乳がん症例に対するmultidisciplinary conferenceを見学しました。乳腺内科の他、外科医、放射線治療医、形成外科医などが参加して行っていましたが、皆が一番驚いたのはカンファランスルームでの症例呈示の後、診察室で待機している患者さんを医師数名で実際に問診・診察していたことです。日本では真似するのはちょっと難しいように思いました。

以上が月曜日の報告です。それでは、お休みなさい。
5月18日の報告です。
中川 智恵(順天堂大学乳腺科) 2010/05/19
順天堂大学乳腺科の中川です。
今日の午前中はDr.Sahinと乳腺病理を学ぶ3回目で、fellow対象の教育的病理カンファレンスの見学と、免疫染色のレクチャーでした。カンファレンスは教育的なものと、週に2回各科医師とともに術後病理結果などを確認するカンファレンスがあるとのことです。
日頃からKi67などの免疫染色のsubjectiveさが気になっていましたが、Dr.Sahinとともにスライドを見ながら、何%と判断するか各自で回答していきました。確かにばらつきはありますが、実際にやってみるとhigh/lowが異なることはほとんどない印象で、Dr.Sahinもそれ故、objectiveにする必要性を感じ得ないと話しておられました。

午後は、診療や臨床試験の倫理的な問題に関わるethicistの仕事を紹介していただきました。
日本の病院内では、まずお目にかからないethicistですが、ICUや小児科、緩和ケアを回診し、患者と医療従事者間、患者と家族間における倫理的な問題(例えば治療方針に対する価値観の違いなど)の解決にあたっていきます。MDAは本当にいろいろな専門性を持った職種がチームとなり患者の診療にあたっているのだと改めて思いました。

最後のプレゼンの日が、徐々に迫ってきました。
そろそろ気合いれて頑張ります。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
橋本 浩伸(NCCH) 2010/05/19
2010年留学生のみなさま

書き込みご苦労様です。
国立がん研究センター中央病院の橋本浩伸(男)です。

そろそろ研修も後半戦に入ってきましたが、いかがでしょうか?

持ち帰るものが沢山あると思うのですが、何かいいものはありましたでしょうか?
日本の医療にとって、自分の職場にとって、自分達のチームにとって、自分自身にとって・・・どれでも結構です。
私どもにもお土産になりそうなものがもしあれば教えてください。

帰国されてからでもよいです。

お願いしま~す
5/19の報告です。
朝倉 義崇 (国立がん研究センター中央病院血液幹細胞移植科) 2010/05/21
国立がん研究センター 朝倉です。橋本さん、投稿ありがとうございました。本日は簡単に日々の報告をした後で、特にチーム医療に関して、これまでの研修で感じた私の意見と6人で話し合ったときの議論の一部をご紹介します。

まず、5/19の報告から。
5/19 午前は、順天グループは移植科RN(普通のナース)について見学、国がんグループは緩和科回診の見学でした。緩和科回診では、時間が短かったこともあり、あまり色々と聞けていませんが、概略を述べます。緩和科病棟は12床あり、見学したときには、10人の患者さんが入院されていました。Terminal stateでopioid剤投与により日中も眠っておられる方も、症状が安定したのでそろそろ退院という患者さんもおられました。他に、他科入院中の患者さん(30人ほど)を担当するmobile teamがあり、さらに外来もあります。医師は10人おられ、緩和科病棟team 一人、mobile team 三人で、1ヶ月毎にrotationし、外来は1日二人の医師が担当し、phamD(臨床薬剤師)の一人も外来に勤務してします。緩和科病棟teamには、他にphamD(臨床薬剤師)やAPN、fellow、discharge Ns(退院担当のRN)、chaplain、social workerが回診に参加しています。Chaplainやsocial workerは、時に回診後も病室に残り、患者さんやご家族とお話を続けられていました。緩和科といっても腹膜炎に対する抗生剤や心筋梗塞後でβブロッカーを内服されている方もおり、医師はphamDやAPNと相談して、薬剤の変更や中止を決定していました。治療内容は基本的に日本と同様に思いましたが、状態が悪く入院継続が必要な患者さんばかりですので、全ての方に中心静脈カテが挿入され、何らかの点滴をしていました。

5/19午後はIRB見学です。前日にDr. TheraultからIRBに関する講義を受けていましたが、この日は8つの臨床試験について審査が行われました。MDACCには5つのIRBがあり、3つはclinical 、laboratory、translational studyを、1つはpsychosocial、behavioralやhealth serviceに関するstudyを取り扱い、残りの一つは、IRB全体のpolicyを審議しています。
臨床試験が開始されるまでのプロセスは、研究代表者が試験のconceptを所属科のconcept review meetingにかけ、利益相反のない所属医師全員が同意した後、CRC(clinical research committee)で審議されます。CRCのreviewerは、医師二人、看護師一人、薬剤師一人、統計学者一人、放射線診断医一人が基本ですが、時にpublic memberとして患者団体の代表者などが加わることもあります。CRC前にreviewerによるprotocolの批判・評価が行われ、研究代表者は適切に変更・訂正し、CRCで実際に審議されます。CRCで承認されると、翌週のIRBで再度審議され、承認されます。事前のCRCでかなり議論は尽くされているので、IRBで承認されないことは稀のようですが、承認されなかった場合には、その理由とともにFDAに報告しなければなりません。尚、IRBでの投票はボタン方式で、匿名です。この日も承認されないprotocolはありませんでしたが、非常に活発な議論が行われていました。

これから本題に入る予定でしたが、予想以上に長くなってしまいましたので、一度コメントを終わります。
チーム医療とは?
朝倉 義崇 (国立がん研究センター中央病院血液幹細胞移植科) 2010/05/21
さて、本題です。生意気なことばかり言っているかもしれませんが、ご容赦ください。私自身のチーム医療に対する考えですが、チーム医療が具体的にどういった診療体制を意味しているか定義するのはとても難しい事です。患者さんの疾患や併存疾患・全身状態、医療従事者や施設の専門性の違い、医療資源の豊富さ(都会か田舎か)、医療システムの違い(日米の違い)などにより、チーム医療の形態は異なってくるからです。

米国におけるチーム医療は、高度に分業化し細分化された業務内容とmid-level practitionerの存在により特徴づけられていると思います。すなわち、分業化することにより、多科・多職種間のコミュニケーションが必須であり、診察・検査・診断・治療の一連の流れでmid-level practitionerが大きな役割を果たしているため、医師とmid-level practitionerとの間のコミュニケーションも必要不可欠です。逆に、薬局に常駐している薬剤師や病棟の一般の看護師と、各科のチーム(医師やmid-level practitionerから成る)の間のコミュニケーションについては、前者は殆どありませんし、後者も恐らく日本と同じ程度です。例えば、カンファランスでは、医師やmid-level practitionerによるカンファランスは存在しますが、一般の薬剤師や看護師と一緒にカンファランスすることはないようです。

従って、MDACCのチーム医療を日本に適用しようとした場合、少なくともmid-level practitionerの存在は不可欠と思われますが、行政でそのような動きが見られ始めているものの、全国的に浸透するには何年もかかるでしょう。現時点では、mid-level practitionerがいない、あるいは非常に少ない状態での、日本流のチーム医療を考える必要があると思います。日本流のチーム医療を考える上で、私が必要と思う要素は、コミュニケーション、専門性、コンセンサスの三つです。コミュニケーションは当然ですが、各職種にある程度の専門性がないとコミュニケーションも不十分なものになります。また、各医療従事者の間で、診断や治療に対する一定のコンセンサスがなければ、複数の医療従事者で一人の患者さんをケアすることは不可能です。これらの要素を達成するために最も簡便なのは、私は多職種でのカンファランスだと思っています。カンファランスを行うことにより、お互いの情報を共有し、知識を高め、コンセンサスを得ることが可能と考えるからです。何より意見をぶつけ合うことで、チーム医療を行う上での問題点も明らかになります。もちろんカンファランスといっても、参加者の一部しか発言できないような環境では有効なカンファランスとはいえません。全員が遠慮無く発言できるカンファランスでなくてはなりません。チーム医療を考える上で様々な取り組みが考えられると思いますが、私はまず多職種でのカンファランスが最も重要ではないかと思っています。

これまでの4週間、参加した6人の間でチーム医療に関して何度も議論を交わしました。様々な意見がありましたが、他の方から提案していただいた意見の中に大変面白い意見がありました。あえて名づけると、チーム医療バッジプロジェクトとでも呼びましょうか。きっかけは、医師以外の職種の専門性が患者さんや一般の方に十分に理解されていない、という思いです。例えば、看護師は「白衣の天使」という印象が強いせいか、頼めば何でもしてくれるというようなイメージが先行しがちですし、この間の村上先生のコメントにあるように、薬剤師の専門性については医学生ですら理解できていません。専門性を生かしてチーム医療を行っていることをどうやって周知させたらよいか、ということを話し合い、ピンクリボン運動が話題に挙がりました。ご存じのように、バッジや広告など様々な媒体によりピンクリボンというシンボルを広め、乳癌の撲滅、検診の早期受診を啓蒙・推進するというピンクリボンキャンペーンをチーム医療に応用できないか、というアイディアです。チーム医療のシンボルマークを作成し、バッジやポスター、Webなどで広告し、チーム医療という概念そのものを周知してもらう。翻って私たち自身も、患者さんや一般の方に聞かれたときに、チーム医療とは何かをきちんと説明できるようになっていくでしょうし、実際にチーム医療を推進していくという意志・情熱=visionを多職種でshareさせる効果もあると考えます。私はこれを聞いたとき、すごい発想だ、と感動しました(もうどなたかが考えられていることでしたらすいません)。

皆様このアイディアは如何でしょうか?忌憚のないご意見をお願いします。

毎回長文にも関わらず、最後まで読んでいただいてありがとうございました。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
橋本 浩伸(NCCH) 2010/05/23
朝倉先生
2010年留学生のみなさま

日本でのチームに必要な要素が、コミュニケーション、専門性、コンセンサス、その要素を達成するために必要な全員が遠慮無く発言できる他職種カンファランスの必要性、同感です。

遠慮なく意見をぶつけ合うって難しいと感じてます。これに必要なものってなんでしょうか?work shopでは、active listeningやassertiveといった言葉が聞かれそういったスキルの必要性を言われますがどう思います?
自分自身を見てみると自分の性格にはない部分をコントロールをする上でもそういったスキルは必要だと思ってます。


チーム医療バッジプロジェクト面白いアイデアですね。「薬剤師の専門性については医学生ですら理解できていません。」という点はその通りだと思います。以前、薬剤師主演のTVドラマが作られる様に薬剤師の専門性を高め、その役割を啓もうしていくという意見があったのを記憶していますが、各職種の取り組みをプロジェクトの中に組み込んでいくことも重要だと思います。

ただ、言うまでもなくチーム医療の中心は患者さんです。
プロジェクトでshareするvisionと患者さんが治りたい、長生きしたいと思うvisionとのベクトルがうまく合わせられるかが課題のように思いまがいかがでしょうか?

ほかの皆様は同じご意見でしょうか?

本当に遠慮せず意見を書いてしまいました。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
上田(市立伊丹病院) 2010/05/24
「チーム医療のシンボルマーク」とても面白い発想だと思います。緩和医療の「オレンジバルーン」のように、日本でも実現している事例がありますので、非営利的なプロジェクトとして展開できる可能性は大きいと思います。

先生のご指摘の通り、このシンボルマークを付ける人が、目指すべき日本型がんチーム医療の将来像について、具体的な共通の認識を持ち、それを説明できる必要があるかと思います。

「このプロジェクトの成功により、将来的な日本のがん医療が*****となることを目指している。」

このメッセージは、橋本先生の示された患者さんの治りたいという思いや、将来のがん患者の為の日本における臨床研究の発展、将来的ながん診療体制の在り方を包括するものである必要があると思います。

また、このメッセージが日本におけるがん医療全体の方向性を示し、そしてわかりやすくシンプルであることが、たくさんの支持者、支持団体を得る秘訣ではないかと思います。

MDアンダーソンのロゴの改定についても、シンプルですが、これらのエッセンスを包括した、共感を呼ぶ発想だと感心しました。こういった企画や戦略についても、MDACCは学ぶべきところがあります。
チーム医療とvision
朝倉義崇 (国立がん研究センター中央病院血液幹細胞移植科) 2010/05/24
橋本先生、上田先生、皆様

国立がん研究センター 朝倉です。ご意見ありがとうございました。

本日は、Joyceの新居(引っ越して1ヶ月だそうです)にお邪魔して、夕食をごちそうになりました。11月のWorkshopの時、私のJoyceに対する印象は、バリバリ仕事している人だけあって、とても厳しくて何だか取っつきにくいという感じでしたが、実際はとても気さくで優しい方でした。双子の息子さんがいらっしゃるそうで、同じ双子の息子の父親として、何だか親近感を感じます。私の専門が幹細胞移植でもあるので、何かと質問して対応していただいており、明日はGVHD外来を見学させてもらう予定です。

本題に入ります。橋本先生が指摘されているように、active listeningやassertive skillはチーム医療における議論を円滑にする上で必要だと思います。日本では、こうしたskillに関してJanisのような専門家が院内にいることは殆どありませんので、院外の研修を利用する、もしくはJanisから教わったスキルを、私達が広めていくという事になるでしょうか。

チームのvisionと患者さんのvisionの共有については、難しいテーマです。一人一人の患者さんは、ある程度異なったvisionを持っていると思いますので、私が考えるチームの方向性は、チームで患者さんを治療するときに、患者さんのvisionに合う治療やケア、サポートのoptionを提供し、患者さんがそのoptionを選択する時にサポートできる、ということです。

何だか、ちょっとわかりにくいですね。現在、私たちが取り組んでいるプレゼンテーションを例に取って説明します。私たちは、ある症例を対象として、その症例を含む患者さん集団を対象としたプログラムを作成しています。そのプログラムにおいては、各職種が診療の各時点において、患者さんのニーズに応じて各種サービスを提供しますが、患者教育、利用可能なサービスの説明、必要とされるサービスの判断など、いわば各職種へのトリアージをするのがチームの大きな役目と考えています。

こうしたチームを想定した場合、広い意味ではチームのvisionと患者さんのvisionのベクトルは同じ方向だと思いますし、チームは患者さんのvisionを共有できているのではないかと思いますが、いかかでしょうか?

「チーム医療のシンボルマーク」について、上田先生の指摘されている点までは、我々の話に挙がっていませんでした。まずは、チーム医療と各職種の専門性の宣伝・周知・啓蒙という感覚です。しかし、これは患者さん側だけでなく、医療従事者側も対象としています。私自身が考えるチーム医療の目標は、大きな意味では、患者さんとご家族やcare giverが満足できる治療・ケア・サポート・環境を提供する、ということです。

例えば、がん患者さんのサバイバーシップを考えた場合、病気が治癒可能である場合と、残念ながら治癒が難しいという場合では、ケアの方向性は全く異なりますので、いずれの場合においても、患者さんが満足を得られるサポートを提供する、というような文言が包括的かな?と考えました。

ちなみに、奇しくも11月のワークショップで私を含めてメンバーの4人が所属していたチームDのvisionは、「To Find treatment that meets patients’ satisfaction!! 」であり、現在とだいたい一致していました(!)。

私がMDAに来て、もっとも感銘を受けたのは、上田先生もご指摘されているように、明確なvisionがあり、そのvisionは1万人を越える職員が共感・共有できるvisionであるということです。組織というものは、大きくなればなるほど、face to faceのつきあいが薄れ、それぞれのベクトルが徐々にずれてしまう印象があります。1万人以上から成る組織といえば、一つの町のような感覚ですので、その意識のベクトルを完全ではないにしろ、一致させるのは並大抵のことではなかったと容易に想像がつきます。

私が所属する国立がん研究センターは、4月から独法化して嘉山先生が初代の理事長に就任され、何年かあるいは何十年かに一度の大変革期にありますが、ここ数年は医師の間ですらvisionのベクトルが全く異なり、迷走していたように思います。今後は、病院のvisionを再確認し、職員一丸となって日本のがん診療の発展に尽くしていけるように、一職員としての決意を新たにしました。

また、とりとめのない長文となってしまい、すいません。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
佐治(SMU IMC) 2010/05/24
単純にシンボルつくりたいですね。
JTOPでみんなでがよいです。

朝倉先生、詳しくありがとうございました。

のこりの娘さんたちは、元気でのりきれそうですか!
掲示板に弱音をもらしてもいいのです。

Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
橋本 浩伸(NCCH) 2010/05/24
朝倉先生

先生のアイデアが病院を動かしていますよ。
嘉山理事長が国立がん研究センターの標語(英語)を募集してます。職員は誰でも応募可能だそうです。

MDAのように全職員が一丸となれる標語を作れるとよいですね。私も考えてみます。

しかし、いつの間にアイデアを出していたのですか?
恐るべし・・・。
プレゼン終了!
朝倉義崇 (国立がん研究センター中央病院血液幹細胞移植科) 2010/05/29
朝倉です。佐治先生、橋本先生 コメントありがとうございました。

更新が遅くなり申し訳ありません。昨日(木曜日)に無事プレゼンテーションが終了し、本日でめでたく研修修了となりました。今回は、昨日のご報告をします。

昨日午後がプレゼンテーションでしたが、その直前の数日間は、両チームともに激しい議論をしながら、プレゼンテーションを作り上げました。

順天堂大チームは、プレゼンテーションまでの議論をロールプレイングで再現したり、3人のメンターをアニメのキャラクターで表現したりと(Dr. Feigがトトロでしたっけ?) 、アイディア満載の発表でした。アイディアの一つとして、上野先生の大大大好きなPerfumeの映像が再生できなかったのは残念でしたが、皆から高い評価を受けていました。

メインメンターはDr. Feigですが、土日や夜間にもホテルまで指導に来ていただくなど、まさに熱血指導でした。発表前日夜には、順天堂大チームだけでなく、国がんチームもアドバイスを頂きました。本当にありがとうございました。NickやJeff、Hillaryなど、他のメンターの方々も、議論が煮詰まった時のアドバイスが何よりもありがたかったそうです。改めてありがとうございました。

国がんグループは、化学療法関連の早発閉経・不妊の問題からスタートして、サバイバーシップへ議論を発展させましたが、上野先生とDr. Theriaultの助けがなければ、visionが明確にならなかったのではないかと思います。また、JoyceやDina、Hillary、Dr. Littonからの適格なアドバイスにより少しずつスライドを修正していき、まとまったプレゼンテーションを完成させることができました。メンターの皆様、本当にありがとうございました。

質疑応答では、プレゼンテーションの内容に関連する質問もさることながら、日本でサバイバーシッププログラムを充実させていくために必要な費用から発展して、日米の医療経済の問題にまで議論が白熱しました。おりしも、オバマ政権が公的保険制度の拡大政策を推進していることもあり、日米の医療制度比較など、活発に意見が出て、楽しい一時となりました。

夜のFarewell partyでは、順天堂大チームが浴衣(!)で登場するサプライズもあり、大盛況にて終了しました。

プレゼンテーションが終わってみると、5週間は本当にあっという間だったな、という実感が改めてわいてきます。メンターの先生方には、レクチャーやプレゼンの準備だけでなく、夜の飲み会や休日の様々なイベントにも時間を割いていただき、本当にありがとうございました。

この5週間で学んだことについては、この掲示板などでご報告していきたいと思います。ありがとうございました。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
佐治(SMU IMC) 2010/05/30
くわしいレポートありがとうございました。

ファイグ先生の熱血指導が目にうかびます。

ぜひ、今回のプレゼンを次回のみん学あたりで、他のチューターのみなさんにも披露できるといいなとおもいました。

まずは、お疲れさまです。
無事のご帰国を。。
本日帰国しました!
朝倉義崇 (国立がん研究センター) 2010/05/31
国立がん研究センター 幹細胞移植科 朝倉です。佐治先生 コメントありがとうございました。実は私は岐阜大学出身ですので、佐治先生の後輩になります。外科のポリクリの際には佐治教授に大変お世話になりました。

閑話休題。本日3時間ほど前に6人そろってHoustonから帰国しました。5週間の研修は終わってみると、あっという間で、軽い風邪をこじらせた事があったくらいで皆元気に研修を終えることができました。

今回のJMEプログラムは、チーム医療に加え、それぞれのcareer developmentに重点が置かれたこともあり、昨年に比べ医師・看護師・薬剤師が別々に行動することが多くなっていました。また、金曜日はmentor dayで1日free timeとなっており、mentorとの面談や個人の希望の研修をしたりする事が可能でした。

私はmentorのDr. Theriaultと午前・午後と合わせて、1日に4時間くらい話し込んでいたこともありましたし、私の専門である血液内科の先生を紹介していただいてご質問させていただく機会にも恵まれました。Dr. Theriaultとの面談では、言葉の壁はありますが、本当に様々なことに相談に乗っていただき、今回の研修の内容に限らず、今後のcareer planningや、それこそ人生に関係することまでアドバイスをたくさん頂きました。

また、上野先生には、お忙しいなか何度も面談してご相談に乗って頂き、ありがとうございました。Houston最後の夜は、上野先生ご家族と一緒に、ブラジル料理をご馳走になりました。色々お話が聞けて楽しかったですが、中でも上野先生のperfume好きは奥様や息子さんには半ばあきれられていて、上野家のshared visionでないという話には爆笑してしまいました(失礼な言い方ですいません)。出発の朝には、別の用件もあったのですが、お見送りまでしていただき、何から何までお世話になりっぱなしでした。本当にありがとうございました。

Houstonでは、たくさん学ぶことがありましたし、自分自身を見つめ直す機会にも恵まれました。ある意味、自分の能力の限界を試されているような感覚でした。仕事に復帰後も、Houstonで抱いた気持ちを忘れずに、今後に生かしていきたいと思っています。
Re:8th Japanese Medical Exchange Programが始まりました
佐治重衡(SMU IMC) 2010/05/31
わああ。朝倉先生。早くいってください。
無条件に+10点です。
NCC肝胆膵の奥坂先生もそうですね。
お仲間たくさんこのあたりにおります。

それはさておき、mentorshipは継続が大事です。

これを機会にTheriault先生をはじめ、今後もコミュニケーションをどんどんとっていってください。

MDAメンターのみなさんもそれを望んでいるとおもいます。