掲示板「チームオンコロジー」

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EDUCATIONAL SEMINAR
9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
橋口 宏司(横浜南共済病院) 2011/04/22
皆さんこんにちは!横浜南共済病院 薬剤師橋口です。
本日午後にヒューストンに到着しました。

空港からホテルまではタクシーで移動。
道の広さと、車のデカさに早速アメリカを体感しました。

ホテル到着後、近所の全員でスーパーにて日用品の買出し。そして、その後チャイニーズレストランで早めの夕食を取り本日は終了。
各自、部屋に戻って明日からの研修に向けて準備をしているはずです。
(自分はこの文章を書きながら寝てしまったため、起きて慌てて書きはじめました・・・)

これから5週間このメンバーで研修の模様をレポートします。
掲示板をご覧の皆様もご意見、ご質問ありましたらぜひお聞かせください。

医師
三浦 裕司 虎の門病院 臨床腫瘍科
豊田 昌徳 神戸大学医学部附属病院 腫瘍血液内科

看護師
中田 登紀江 神戸大学医学部附属病院 看護部
帶刀 朋代 東京医科大学病院 看護部

薬剤師
河添 仁   愛媛大学医学部附属病院 薬剤部  
橋口 宏司 横浜南共済病院 薬剤科


現在、現地時間23時30分。私も明日からの研修に備えて眠りにつきます。
明日からどのような毎日になるか、ドキドキです!!
Re:9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
秦 晃二郎(国立がん研究センター中央病院) 2011/04/22
橋口先生さっそくの書き込みありがとうございます。

私は、チームドリームキャッチャー(D)にいた薬剤師の秦です。河添先生と同じチームでした。

MDAでの研修報告楽しみにしております。くれぐれも御身体には気をつけてください。
こちらヒューストン(4月22日)
三浦 裕司 三浦(虎の門病院臨床腫瘍科) 2011/04/23
虎の門病院臨床腫瘍科の三浦です。

今日はいよいよMDACCに初出勤(?)でした。ほとんどが事務手続きで終わりましたが、たまたま通りかかったKim's Placeという小さな小部屋を案内してもらいました。ここは、15~30歳の患者さん、もしくは患者さん家族むけの、院内にあるリラックススペースです。以下にMDACC web siteから転載します。

Kim's Place is the ultimate tribute to a woman whose brave battle against cancer touched the hearts of fans around the world. Kim Perrot, a guard for the 4-time champion WNBA Houston Comets, died of lung cancer in August 1999 at the age of 32. Kim wanted to create a special place where young adults at MD Anderson could just hang out and be themselves.

http://www.mdanderson.org/patient-and-cancer-information/care-centers-and-clinics/childrens-cancer-hospital/about-us/kims-place.html

中には、ビリヤード台、バスケットゲーム、パズル、ミニシアターなどがありましたが、単なる気分転換だけでなく、自身と同じくがんに立ち向かう子ども達を勇気付けたいという、Kimさんの気持ちが伝わってくる様な場所でもありました。

写真掲示板にもupしてますので、のぞいてみて下さい。
時差ぼけとの戦い
帶刀 朋代 (東京医科大学病院) 2011/04/25
お疲れ様です。
昨日(土曜)の報告をしたいと思います。

昨日はメンターのDr.Feigがヒューストン市内をドライブしながら案内してくださいました。
The Earth Dayである昨日は、市内のある公園で行われているフェスティバルに参加するところから一日が始まりました。
参加、といってもたくさんの(30くらい)ブースがそれぞれ実践している地球にやさしいことを、来たお客さんに説明するというのが趣旨?のようでそれをはたから見学していたということになります。
電気自動車のチャージステーションのブースやソーラーパネル、植物の植栽などのブースがありました。
そして、広場にはステージがあって生バンド。そんなに規模が大きいイベントではないにもかかわらず、生バンドが演奏していることにアメリカを感じました。

続いてのドライブは急きょ私達のリクエストにこたえてくださり、ショッピングモールに移動することとなりました。
道中、上野先生のご自宅を道端から見学するという楽しいハプニングもありました。
モールでは約30分の買い物時間をいただき、私は何も買えなかったのですが、思い思いに買い物をしていた男性陣に、やはり買い物は男女別に限ると改めて教えてもらうことができました。

その後はBBQレストランに移動。
This is Huston!なお肉や豆のサラダや甘ーいパイをおなかいっぱい食べました。お肉は、ソースとお肉の絶妙な焼き加減、少し燻ってあるのかとても香ばしくてナイフ要らずの柔らかさでほんとにおいしくいただきました。

その後は再び、ドライブ。
古くからあるトラディッショナルな商店街を走り抜けたり、綺麗なRICE大学の周辺や美術館、映画館などを私たちの要望に応じてドライブしながら案内してくださいました。
RICE VILLAGEという路面店がたくさん並ぶエリアは代官山と吉祥寺と下北沢を彷彿とさせました。安全!
MDACCも平日には難しいため、このときに外観写真を撮りました。あちこちで写真を撮られる三浦先生のカメラマンぶりに脱帽いたしました。

最後に近所のスーパーでビールを購入。
Big partyでもするのか?と言われるほど買い込みました。
が、私の予定では途中で無くなるはずです。
重くて購入を躊躇していたので本当に助かりました。

16時ごろ解散。
暗くなったら外はやめておいた方がよいといわれておりましたので、19時ごろにご飯でも…という話をして各自散り散りになりました。
しかし、時間になっても一向に連絡がつかず連絡を取ると半分の方がお休み中。夜寝られなくなりますよ、と思いつつ疲れもそれぞれなので、そっとしておくことにしました。

まだまだ時差ぼけと環境の変化での(語学面含む)易疲労ですので、各自奮闘中です!

以上、帯刀の徒然日記でした。
失礼いたしました。
こちらヒューストン(4月25日5:00am)
三浦裕司(虎の門病院臨床腫瘍科) 2011/04/25
虎の門病院臨床腫瘍科の三浦です。

今週からいよいよ本格的にJME2011 programが開始します。

この週末で我々は以下の3つのPledgeを立てました。
1. Speak English!
2. Don't be shy!
3. Don't be afraid of mistakes!
この週末で大分緊張も顔面の筋肉もほぐれて来たので、きっとうまく行くと信じております。

初日に上野先生から、6人いれば6通りの見え方があるから、同じ経験をしてもそれをどう感じたか皆で話し合う様アドバイスを受けました。そういうこともあり、この掲示板にも一日一報告というわけでなく、徒然とそれぞれが感じた事を書き込む事にしました。

まとまりのないものになってしまうかもしれませんが、数で勝負(?)というわけでなく、質も高く保とうと思いますので、よろしくお願いします。


こちらヒューストン(4月25日)
河添 仁(愛媛大学医学部附属病院薬剤部 ) 2011/04/26
お疲れ様です。
今日(月曜)の報告をしたいと思います。

今日は従業員オリエンテーションに参加しました。その後、オンライントレーニングを予定していましたが、システムダウンというトラブルでログインできず、そのままオンライントレーニングは未終了で一日終わってしまいました。

最後の講義で、Dr.Feigから電子カルテ操作説明があり、不思議に感じた点をいくつか質問させてもらいました。その後、情報共有という概念にMDAと日本では大きな違いがあるのでは?とJMEメンバーで振り返りました。
MDAでは入院患者の日々の診療記録は紙ベースで患者ベッドサイド?病棟にあり、電子カルテ上はサマリーのような記録しかありませんでした。Dr.Feigから入院期間が日本と比べて短い点、必要に応じて看護師、薬剤師からすぐに連絡が入るという話しがありました。
私たちはMDAの病棟ラウンドをまだ見ていませんので、推測になりますが、MDAでは病棟ラウンドなど、多職種コミュニケーションの機会が頻繁にあり、情報共有は当たり前のことになっているのではないか?逆に、日本ではそのようなコミュニケーションの機会がほとんどないため、多職種が電子カルテ上に各々情報を記載して情報共有としているのではないか?
今後、病棟見学の際、上記に関して質問してみたいと思います。

以上、河添の徒然日記でした。
失礼いたしました。
Re:9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
佐藤 由美子(名古屋市立西部医療センター) 2011/04/26
Team 2011の皆様

レポートありがとうございます。
いつも楽しく拝見しております。
河添先生の、「カルテの使い方と情報共有の概念の違い」、
おもしろい視点だなと思いました。
また今後見えてきたことや感じたことがあったら
ぜひ教えて下さいね。
9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
中田・豊田(神戸大学病院) 2011/04/27
こちらヒューストン
ただ今、4月26日22時40分です。

<中田>
2日間のオリエンテーションが終了。今日からいよいよ本格的に研修が始まりました。

まずは、Dr.Ferri のpresentation からstart。nurseである彼女は現在、patient observation、research、educationの3つの役割を発揮し、career developmentを自らの研究の成果で示してくれました。Dr.Ferriのようにcareer development が実現できるのは、彼女の努力以外に、教育環境があること、メンターの存在があること、が大きな要因だと思いました。

次はDirector of Nursing であるPatricia から看護部の組織についてpresentationがありました。ここでは特に日米の違いを痛感!看護部の組織の中にresearch部門があること、また外来はservice部門として組織の中で大きな部門として確立しており、これは入院期間の短い米国ならでは当然といえば当然。日本でも診療が外来にshiftしてきていますので、どのように大きな外来部門をManagementしているのかは、今後しっかり見学したいと思っています。

<豊田>
午前の最後は、Texas Woman's UniversityのKaren C. LyonによるEducation Issues for Nursing & Other Health Professionalsの講義でした。
Nurse/Pharmacist/Doctorなど、患者とコミュニケーションをとる全てのHealth care providorは同じ基礎の上にたっており、学生においても、Nurse/Pharmacist/Doctorを同じ場で教育することが大切である事を強調されていました。また、教育の中にも、science・reserch・practiceが盛り込まれているようです。

午後一番は、Integratede Medicine(統合医療)を実践されている、Dr. Leeの講義でした。
MDAにおいて、Complementary and alternative medicine(CAM)はEvidenceを基にして、徐々に成長してきているようです。Integrative medicine においてもEvidenceを構築するようにClinical trialが実践されており、また個々の患者のニーズに合った医療を医師がコーディネートして提供している事を学びました。針であったり、漢方であったり、音楽であったりと、それぞれが一つの治療方法として確立していく過程にあるようです。

午後の2番目は、Faculty DevelopmentのJanis Aptedによる講義でした。今日は、Leadershipに必要な10個の要素について学び、各人のCareer and Professional Goalについて思いを馳せました。Leadershipやcareer developmentについては、なかなか日本でじっくり考える事がないので、非常に有意義なひと時でした。

ホテルに帰ってからは、本日の講義内容を皆でShareし、Leaderって素質なのか?スキルなのか?自己分析は?交流分析もいいんじゃないか?など、熱い議論がなされました。

本格的にプログラムが始まった初日から大変なボリュームですが、これから毎日が楽しみです。

以上、4月26日の徒然日記でした。
ボストン到着。
帶刀 朋代 (東京医科大学病院) 2011/04/28
佐藤先生、コメントありがとうございます。
コメントをいただくと私たちも励みになります!
ありがとうございます!

さて、日にちも変わりまして今日は28日となりました。
昨日(水曜)のことを書きます。

朝はメインビルディング内のツアーから始まりました。
病理を含めた検査部門が充実していることにびっくりしつつ、病室の入り口にある郵便受けのようなものが記録とその保管場所であることにも驚きました。(カギはかかる)

続いてチルドレンアートプロジェクト。病院の一部門としてこのような部門があることに驚きました。インターネット販売もあるとのことです。

その後、ランチを頂きながらの統計の講義。
まず何を知りたいと思う?の各人へのインタビューから始まり、統計の知識が皆無といっても過言ではない私に合わせてわかりやすいところから講義を頂くことができました。また、他のメンバーがフォローしてくださりそのことも大変うれしく感じました。あと2コマ残っているのでどこまで深化できるか復習に勤しもうと思います。

午後はメンターとの面会。私はメンターのNickさんと今後の予定などについて打ち合わせを行いました。私の英語力のためにしょっちゅう会話は詰まるのですが、真摯に聞いてくださる姿に安心感を持つことができます。これは、多くにメンターさんや講師の先生にも共通する姿勢で、アクティブリスニングは国境を超えるのだと日々体感しています。

面会後、私たちは今日から始まるONS(Oncology Nursing Society)に参加するためにボストンへ移動してきました。空港まではDr.Feigが送ってくださり、Joyceさんは私たちに飛行機とホテルを合わせてくださりサポートしてくださっています。自分たちが行きたいと言ったばかりにこんなたくさんの方が助けてくださることに本当に深く頭が下がる思いが募ります。
しっかりとJoyceさんの発表を聞いてきたいと思います。

さて、今日も長々書いてしましすみません。
以上、帯刀の徒然日記でした。
こちらヒューストン(4月27日)
三浦 裕司 (虎の門病院臨床腫瘍科) 2011/04/28
虎の門病院臨床腫瘍科の三浦です。

4月27日の報告の追加です。
本日、MDACCのgeneral tourを案内して下さったのは、Division of Operations and Facilities Management (OFM) という部署で働いておられる建築士の方でした。MDAには非常に巨大で多くの施設(建物)があり、今もどんどん拡張していっているとの事ですが、これらをplaningしたり、designするのが彼らの仕事だそうです。以下にOFMに関するリンクを張りましたので、詳細はこちらからご覧下さい。

http://www.mdanderson.org/careers/career-opportunities/careers-operations-and-facilities.html

今回のtourでは、MDAの中央検査室や病理、中央薬剤部などを主に見学しました。非常に印象的であったのが、各部署が非常に広いスペースである事と、皆ゆったりと仕事をしている事でした。(単にそう見えただけかもしれませんが...)国土の広さが違うので、これを言ってもしょうがないのかもしれませんが、環境の違いにはやはり驚かされます。

ちなみに、中央検査室には70人の職員がおり、そのほとんどがmedical technicianという事でした。さらに、病理と中央検査室を合わせると、なんと総勢900人もの職員がいるそうです!
こちらヒューストン→ボストン(4月28日)
橋口 (横浜南共済病院) 2011/04/29
ヒューストンから飛行機で約4時間、只今JME2011メンバーはボストンに来ています。
ボストンでは、ONS(Oncology nursing society)のannual congress に参加しています。

オープニングセレモニーでは、各国の看護師の入場行進あり、キャンサーサバイバーの歌手によるライブありとちょっとしたお祭りのような雰囲気です。
学会の模様は写真掲示板の方にアップします。

現在ボストンは朝の5時半。徒然日記、橋口がお送りしました。
こちらボストンONS(4月29日)
三浦 裕司 (虎の門病院臨床腫瘍科) 2011/04/30
Oncology Nurse Society (ONS)も今日は2日目に入りました。昨日は疲労困憊でほとんどまともに参加できませんでしたが、今日は元気一杯参加しています。

本日参加したLunch-on Seminarは、Novel Agent and Symptom Management in Castrate-Resistant Prostate Cancer: New Challenges for Nursesと題されたものでした。日本で未承認のSipuleucel-T、Cabazitaxel、Abirateroneの話が聞けるという事で参加してきました。

内容は、各薬剤における副作用のprofilingとそのマネージメントについてでしたが、infusion-reaction の対処について、neutropenia, FNが起きた後のG-CSFの使用について、服薬adherence向上についてと、そのレベルは日本で医師向けに行われる研究会やLunch-On Seminarとほぼ同等なものでした。その中で最も印象的だったのは、下記の言葉です。

Nursing Intervention:
Goal is to safety treat and keep patients on treatment!!!

副作用や症状のコントロールについては、Nurseがその力を発揮するんだ!というpassionがこの言葉から垣間見える気がしました。
こちらボストン(4月30日)
三浦裕司 (虎の門病院臨床腫瘍科) 2011/05/02
Oncology Nursing Society (ONS)の話題から少し離れて、現地で非常に話題になっていたtopicをひとつ。

この話はもう日本でもニュースなどで取り上げられていると思いますが、MIT(マサチューセッツ工科大学)のmedia labの所長に、伊藤穣一氏という日本人が大抜擢されました。これで、media labは所長、副所長と日本人となるそうです。

たまたま、MITに観光 (視察という事にしておいて下さい ^^;)に行ったところ、science festivalという学祭の様なものがあっており、media labが入ってるSchool of Architecture and Planningの建物にも入る事が出来ました。どのような事をやっているかについては、完全に理解してるわけではありませんが、この研究室は「人間とコンピューターの協調」を大きなテーマにしているようで、義足を開発しているグループもあるとのことでした。(写真掲示板をご参照下さい)

同じ日本人の活躍に非常に刺激を受けたとともに、医療とのコラボレーション(既にやられていると思いますが)など夢が広がります。
今日から再度、こちらヒューストン
帶刀 朋代 (東京医科大学病院) 2011/05/02
まとめ
今回私たちは4月28日から5月1日にかけてボストンコンベンションセンターで開催されたOncology Nursing Societyに参加しました。
 全体的な内容としては、まず、多くサバイバーシップに関する報告がされており、米国内でのサバイバーシップの関心の高さがうかがえました。また、それぞれの発表に看護への情熱や自分たちがやっていることへの自信などが垣間見え、たとえば一つとして、「自分たちが症状マネージメントをするんだ!」というような士気の高さを存分に感じました。
日本国内では医師の中でもサバイバーシップに関する関心が高まっているとのことですが、米国内ではONS参加者が私たちがこれらを先導していくんだというような意思を感じました。
そのほかにも、オンコロジーナースのモラルを考えるセッションの中で、いくつかのケーススタディを考えるシーンに次々と手が上がること、いいと思う意見には拍手をすること、発言者の方に体を向けて他者の意見を聞こうとすることなどからも、「聞きにきた」のではなく「参加しにきた」のだというそれぞれの学会に対する姿勢も知ることができました。
その他の意見として、リサーチの関する発表の少なさを感じた参加者もいましたが、現地でご一緒することができた日本人のナースから今回の学会が大きな総会であり、リサーチやアドバンス的なものよりEducation(患者やスタッフ教育)に特化したプログラムが多いという情報から納得することもできました。
最後に、MDACCにおける学会活動に目を向けると、ONSのために看護部が刺しゅう入りのシャツを作成し、参加者に配布して開会式で着ることになっていること、ポスター発表ではそのフォーマットが統一されていることから学会発表に関する組織的な関与があることを知ることができました。

以上、短いですがONSに関するみんなのまとめです。

こちらボストン(4月30日)
橋口 (横浜南共済病院) 2011/05/02
抗がん剤の安全な取り扱いに関するセッションに参加して来ました。
抗がん剤による被曝を如何に防ぐかという話で日本と同様、ガウン、マスク、グローブ等の個人防護と、作業環境の汚染防ぐことの重要性が語られていました。

しかし、NIOSHのalert等日本でもおなじみの抗がん剤の安全な取り扱いの基準があるにもかかわらず、米国でも遵守率が低いと言うのは少し意外でした。
(このセッションでは遵守率Gloves: 49-99% ; Double gloves: 11-18% ; Gowns: 3-63%と報告されていました。)

最後に発表者の方が、「患者の安全と同様に看護師の安全も重要だ」と話されていましたが、日本でもアメリカでも抗がん剤の安全な取り扱いは看護師さんの関心が低い分野なのではと感じました。
5月3日(火)の報告です。
河添 仁(愛媛大学医学部附属病院薬剤部 ) 2011/05/04
お疲れ様です。
ヒューストンは5月3日の23:18になります。
5月2日(月)、3日(火)の報告をしたいと思います。

今日は骨髄移植病棟におけるラウンドを見学させて頂きました。そこで、薬剤師の視点で小生が感じた私見、感想を述べさせて頂きます。

ラウンドは医師、ナースプラクティショナー、臨床薬剤師がコミュニケーションを図り情報を共有して、チームで患者ベッドサイドに訪床して、患者面談を行った後、スタッフステーションに戻り、治療計画を立てるという一連の流れでした。

実際に、臨床薬剤師が医師と薬物療法について協議し、薬剤の用量変更、検査オーダを書き込み、その後に医師のサインをもらうというMDAの臨床薬剤師の業務は興味深く、「multidisciplinary care approach」の魅力を感じました。

一方で、病棟ラウンド初日のみで時期尚早ではありますが、逆に少し疑問に感じた点を以下に述べさせて頂きます。というのも、MDAでの講義やメンターの先生方との話しの中でMDAも完璧ではない点や、MDAが抱える問題がちらちら垣間見えます。私たちがワークショップで学んだ「multidisciplinary care approach」や「communication skill」によるチーム治療にはMDAでも医師の個人差があり、チームによってパフォーマンスは若干異なるのではないかという印象を受けました。

私が見学した病棟では、ナースプラクティショナーが病棟看護師を呼び、バイタルサインや副作用の発現状況などの患者情報を聴取する際の態度、その後のラウンドに病棟看護師は参加しなかったことなどから看護師間のヒエラルキーを感じました。
また、私たち日本の薬剤師も「ミニドクターになるな!」と教育を受けるのですが、臨床薬剤師やナースプラクティショナーの業務は日本における研修医の先生に近い業務内容に感じました。介入に薬学的視点があるか、看護の視点があるかいなかが専門家としての重要なのではないか?と思います。

今週から病棟ラウンドが本格化します。たくさん見学、質問して上記印象の変化を楽しみにしています。

3日の研修終了後、メンターのDr.Theriaultがおいしいイタリア料理店に案内してくださいました。
グループAの3名はそれぞれ一生懸命英語で、毎日研修の振り返りをしていることや、「vision and mission」、何を学び何を日本に持ち帰るか?などたくさん相談を聞いてもらいました。JME2011メンバーは英語で伝える努力、英語を聞く努力をしながら、毎日英会話を楽しんでいます。

以上、河添の徒然日記でした。
失礼いたしました。
こちらヒューストン(5月4日)
帶刀 朋代 (東京医科大学病院) 2011/05/05
お疲れ様です。
日本はゴールデンウィークの真っただ中でしょうか?
こちらは毎日研修中です!

さて、今回の研修ですが、ご存じ、言うまでもなく大きな目的は「Team Oncolgy」にあります。
私は、日本看護協会の認定する、皮膚・排泄ケア認定看護師なる者でして、役割の中にがんと直接関係のない領域(褥瘡・フットケア等)の看護に深く携わる時間があります。
しかし今回の研修では認定分野を超え、今後のがん領域の発展を考え、学んだことがどのように生かせるだろうか、ということを前向きに考えることがひとつのミッションだと思っています。
幸い、メンバーで話し合う時間は多く、さまざまなことが共有できるという自負があるところですが、驚いたことが一つありましたので、今日はそれを紹介したいと思います。
 
 私は自施設で看護外来を運営しており、自施設のストーマ造設患者、前立腺全摘後の失禁など泌尿器系のがん患者さんの社会復帰の一助を担っている、あるいは担う任務を持っていると考えています。こういった動きは自施設・私個人だけではなく学術雑誌や業界雑誌などでたびたび報告され、広く看護界の屋台を支える柱の一つとなるような大きな流れだと感じています。(助産外来や糖尿病外来などがんと関係ないものが多いのが現状だと思いますが、、、。)そういった流れの中での私の活動はまるで荒川を流れる水のたったの一滴かもしれません。しかし、だからこそ濁るわけにはいかないという信念のもと日々の活動をしています。また、私の周囲は少なくとも何か外来でやっているらしいということは知ってくれています。しかし、今回驚いたことはそういった流れは他職種・他部署は知らないという現状です。これは、コマーシャルの問題もあるかもしれません。しかし、すくなくともストーマ領域においては20年~の歴史がある流れですが、知らない人は知らないということを知ることができました。
また同時に、これはラッキーなことだと考えました。知らない人にとってみれば、調べてみたら巻き込める人が増えることかもしれませんし、運営側としては利用していただける機会が増えることかもしれません。
見える範囲で動くだけではなく、時々は火の見やぐらに上ってなにもなさそうなところにも目を向けてみると意外とぼやが見つけられるかもしれない、これがここ2・3日の感想です。
MDACCでばしばしと触発されるような日常診療を目にするといろいろと話し合うことも増えてきます。
眠気に負けず、メンバーと話し合っていきたいと思いますので引き続き見守っていただけたら幸いに思います。

あと、ONSの追記。
JoyceさんがJMEについて発表されています。発表は持っていったビデオに撮ってあります。
ご本人の許可を頂いたのでこちらのサイトにアップしようと思うのですが、うまくいきません。ナース的にはみたいと思うかなと思って頑張ろうと思っていますがうまくいかないので心折れそうです。いかがでしょうか?

Re:9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
野木雅代 (東京医科大学病院) 2011/05/05
2011年JMEのみなさん!

 いつも詳しい徒然日記をありがとうございます。
懐かしく、そして新しい発見も見つけながら拝見させていただいています。

 帯刀さん
 ONCへの参加、本当に良かったですね!
MDACCでの、たくさんの新たな刺激が、帯刀さんを更にパワーアップさせてくれますね!
話を聴けるのを楽しみに、待っています!!!
ありがとうございます。
帶刀朋代 (東京医科大学病院) 2011/05/06
野木さん。

コメントありがとうございます!!!
パワーアップですか。無理です!
でもまた野木さんと色々語りたいです。
今日はRNについて半日過ごしましたが業務は変わらないなぁとかんじました。
でも彼女たちにはエビデンスと言う言葉がまるで血液中の一細胞かと思うくらい浸透していました。
日本もそうなるでしょうか?
2011.5.5 9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
豊田 昌徳(神戸大学医学部付属病院) 2011/05/06
現地時間 5月5日の23時まえです。

御存じのように、今週から病棟回診や外来診察の見学が始まっています。

日本とMDAの違い。。。

マンパワーの圧倒的な違いを目の当たりにすると、日本においてもソフト面の充実は重大な課題であろうことを再認識しました。しかしながら、MDAで行われている医療は、日本で行われている医療と本質的に変わらず、患者さんのために最善を尽くす!ということであると感じました。

一医師として大きく2つ気付いた事があります。
一つは、患者さんのために各職種が様々な視点で建設的にDiscussionしている場面が非常に多いということです。もちろん、日本でもチーム医療を実践されている施設は多いかと思いますが、MDAでは信頼の下に各職種が有機的に繋がっています。本当に当たり前のことですが、よりよいコミュニケーションがよりよい医療を生みだしているのだと感じました。
二つ目は、Leadership。各職種が専門家としてのリーダーシップを発揮できるか否かは、チーム内の医師のリーダーシップに大きく左右されるのではないかと感じました。
よりよいチーム医療を実践することが、患者さんやご家族の幸せに繋がるように、明日からも多くのことを学んでいこうと思います。
こちらヒューストン(5月2~4日)
三浦裕司 (虎の門病院臨床腫瘍科) 2011/05/06
虎の門病院臨床腫瘍科の三浦です。

今週から本格的に病棟、外来の見学が始まっております。月曜日、水曜日と放射線科の外来を見学しました。恥ずかしながら、日本における放射線治療の状況を全く知らなかったため、比較することが出来なかったのですが、現在、Dr. Liaoや知り合いの放射線腫瘍医(日本人です)から、web siteから情報収集しているところです。考えがまとまったら、また後日報告致します。

Dr. Liao (放射線腫瘍医)の外来では、薬剤師、看護師、medical physicist (医学物理士)、radiation therapist (放射線治療技師)がteamを組んで診療に当っていました。このほかにdosimetrist (線量測定士)という職種がおり、治療計画を医師と相談して立てるのですが、外来のteamには(その日は?)いませんでした。

他のdepartmentの外来と同様に、患者さんは先に診察室に入り、先にNs, Pharmが情報収集を行い、その結果を先に医師とdiscussionし、その後診察。診察後にさらにdiscussionをして、方針を決めると言うスタイルでした。その間、radiation therapistとも相談する場面も見られました。

日本のように診察室が医師毎に分かれているスタイルと違うのは、学生時代にUSで研修を受け知っていましたが、実際医師になり、自分で外来をするようになった段階で、このUSのスタイルを目の当たりにすると、このスタイルの良さがさらにうらやましく思いました。ただし、このスタイルの良さを最大限に引き出しているのは、言うまでもなくTeam医療が成り立っている事です。虎の門病院でも、今からより良いteam医療を構築し、数年後(もっと先?)の病院建替えで外来をこのスタイルにしてくれたら嬉しいんですが...

Team医療もしくはleadershipを発揮するための要素のひとつに、co-workerを信頼して、責任ある仕事を与えるというがありますが、各職種がprofessionalとしてのpositionを社会的にも確立している事が、我々の社会にも必要なのかもしれません。

こちらヒューストン(5月4日)
三浦 裕司 (虎の門病院臨床腫瘍科) 2011/05/07
虎の門病院臨床腫瘍科の三浦です。

5月4日に、Nursing Ethics Grand Roundというカンファレンスに参加してきました。参加者は、移植病棟のregisterd nurseとnurse practitionerでした。場合によっては、physicianやsocial worker、ethicistも参加するとの事でした。このethical roundというのは、日常診療において、倫理的問題が生じた場合に、それをteamで話し合い、時には院内倫理委員会にコンサルトをするとの事でした。

倫理的問題というと、分かりにくいかもしれませんが、日本で我々が、「社会的な問題」とよんでいる類いの問題でした。ちなみに、倫理の定義について、Dr. Theriaultに聞いたところ、"A formal, systematic, critical analysis of rightness and/or wrongness of human action."と言う定義を教えていただきました。また、Joiceは、カンファレンスの中で、"Where is the justice?"と問いかけており、"justice"も倫理の重要なfactorだと感じました。

日本にももちろん倫理委員会は存在しますが、その主な目的は臨床試験に関わる倫理的問題を議論する事であり、こちらで見たように、日常診療で生じた倫理的問題が、倫理委員会にコンサルトされるというシステムには驚きでした。
Re:9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
河面育子(Yale University School of Nursing) 2011/05/09
ボストンで皆さまにお会いできて、光栄に思います。
ONSのオープニングセレモニーは、熱気で溢れていましたね。

TXとMAの移動でお疲れかと思いますが、残りの研修が実り多いものとなりますように。アップデートを楽しみにしております。
こちらヒューストン(5月3日)
三浦裕司 (虎の門病院臨床腫瘍科) 2011/05/09
虎の門病院臨床腫瘍科の三浦です。

日にちが前後してしまい申し訳ありません。5月3日、というのは講義があった日です。

"Your Development as a Leader"という講義をJanisから受けました。
Work shopでも学んだ、Active Listening, Assertion, Conflict Managementの3つのskillについて再度確認しました。

①-1: When you want to;
Demonstrate understanding,
See other perspectives,
Build rapport,
Build trust,
Provide authentic context for communication,

→ the Skill we got to use is "Active Listening".

Key Words: attitude, open space, paying attention

Workshopでもice breakingとして行いましたが、2人組になって、
3分間ずつお互いについてフリートークを行い、active listeningの
練習をしました。

心に相手の話を聞くためのopen spaceとattitudeを作り、
相手の話に意識を集中する事で、それがほんの数分間だけであっても
信頼関係を作るのに大きな力を発揮する事を改めて感じ、
Active Listeningの重要性を再認識しました。

①-2: Block to Listening;
Distractions
- multi tasking
Premature problem-solving
Self-referencing

② When you want to:
Express your needs,
Open discussion of issues,
Establish interpersonal boundaries,
Send directive messages,

→ the Skill we got to use is "Assertion".

Passive ← Assertion → Aggressiveという関係性について学びました。

まず、なぜチーム内にspeak upが必要なのか?
1970年代にアメリカで航空事故多発し、調査の結果、コクピット内に職種間のヒエラルキーが存在し、重要な連絡事項の伝達がうまく行かず、重大な事故につながったという例えがあげられました。これは、その後、コミュニケーションスキルの導入にて改善が図られたとの事でした。医療においては、手術室の状況が非常に類似しており、改善策が取られたとの事でした。

Speak upの重要性について学んだ後、どのようにspeak upするかについてskillを学びました。しかし、これについては、日本人はアメリカ人よりpassiveな面が強いため、アメリカ人にとってassertiveな発現も時に、aggressiveに感じてしまうのではないか?といったdiscussionがなされました。

③ When you want to:
Find a collaborative win/win solution,
Encourage creativity + innovation,
Harness energy as a force for change,

→ Skill; Conflict Management

途中、議論が盛り上がり、Conflict Managementについては、あまり時間なく、講義は終了しました。

次回は、5月11日の予定です。
メキシカン
帶刀 朋代 (東京医科大学病院) 2011/05/11
今日は、いったんホテルに帰ってきてからみんなで近所にメキシカンを食べに行きました。
そろそろ、体重増加を気にし始めている今日この頃です。

さて、日中に話を戻しますと今日午後はブレストクリニックの見学でした。
ブレストクリニックではNPでなくとも継続のケモオーダーをRNがコンピューターに入力しておいて、医師がもう一回確認して確定するということが日常です。
また彼女らは、一回の来院で記載されるべき用紙をあらかじめ患者と面接して埋めておくという仕事も重要な役割のようです。つまり、診療の補助、というのが大きい役割のようで、いわゆる看護独自の機能と技術をみることはできませんでした。(ただし2週間前の放射線の見学ではNPが診察していてその技術をみることができた)
詳細については他のメンバーから追記もあるかもしれません。
 私たちは、何かこの細分化に納得のいかないことも感じつつ、でも、ではなぜ患者満足度が高いのか?などと考えてみました。まだ結論には至りませんが、他職種が患者のところに入れ替わり行ってあれこれと話している、それが、トータルすると25分ぐらいになったりする事実もあって、まだまだ満足を支える要因を知ることができそうです。残りのクリニック見学も楽しみです。
医療は変化するものです。
疲れ切った医師が一生懸命に患者さんの話を聞いて、たくさんのオーダーを一人でしなければならない時代は終わるのかもしれません。老々介護している患者さんには他職種が介入できる時代になってきました。足りてはいないのかもしれませんが、核家族化などを社会的な背景に、それでも昔よりは一人ひとりの負担は減っているのではないかと思っています。
これからのことを思う時、ほんとにちっぽけ自分ですが、でも、こんな私でも何ができるのかを考えながら残りの研修も引き続き楽しみたいと思います!
また長々と。
今日は帯刀の徒然でした。失礼しました。
5月10日現地レポート
中田登紀江(神戸大学医学部附属病院) 2011/05/12
こちらは、“National Nurses’ Week May 8-14, 2011”のまっただ中です。院内では様々なイベントが開催され、看護師のStress Managementや MRSAのIsolation などのポスターセッションも行われています。
 折しも昨日は、Nursing Practice Congress に参加しました。この会は月1回開催され、議題は看護実践におけるIssueに関することで、それを採択するかどうか議論されます。投票権がある人は約35名で、その多くが Nurseだそうです。昨日は、現在手書きの看護記録のカーデックスの電子化(この件は活発な議論がなされましたが、採択されませんでした)、低血糖時のアルゴリズムの検討、胃管管理の手順の改善、などが議論されていました。
 この会で思ったことは2点です。まず、この会にはメンバー(投票権がある人)だけでなく、参加は自由で誰でも意見がいえるということです。日本ではこのような会に自由参加で意見が言えるというのは少ないのではないでしょうか。個人(少数)の意見の尊重やここでも議論をとても重視しているように感じました。また、採択されたことは各ユニットで実施されるそうですが、院内統一までの決定権はないそうです。しかし、統一を目指して多方面に継続的に働きかける力は持っていると委員会メンバーの方が話してくれました。ここでもNurseの力のすごさ、日本でもよく言われる“病院は看護部(看護師)でもっている”を思いだし、Nurseの力強さは世界共通のようでした。他のメンバー、特に医師2名も同感!でした。
5月9日 JME2011現地レポート
豊田昌徳(神戸大学医学部付属病院) 2011/05/12
Chaplaincyについて

まず驚いたことは、chaplainにもcertificationがあるということです。Certified Chaplainになるには、修士課程を修了した後に、さらに9年ものトレーニングが必要であり、それだけ時間がかかるにも関わらず、2nd careerの方が多いとの話でした。
Chaplainはspiritual careに特化しており、特定の宗教にしばられているわけではなく、communicationの中でも特にListeningの技術を要する職であると教えて頂きました。
がん患者さんには、Physicalな面とSpiritualな面をケアする事が必要であり、多くの日本の病院では医師・看護師・薬剤師・臨床心理士などが分担してChaplainのような役割を果たしているのが現状だと思います。
MDAでは、あらゆる職種が専門に特化しており、その集合体が協力して患者・家族を支えています。日本に合った、よりよいがん医療を模索し続ける事が大切なんだと実感しています。
Re:9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
田口 (大阪府立成人病センター) 2011/05/12
中田さん
Nursing Practice Congress の紹介、興味深く拝見しました。
採択されることよりもいろいろな意見を聴く、発言する、論議するということに重点が置かれているような印象を受けました。
参加は自由ということでしたが、どのような立場の看護師が参加していたのか教えていただけませんか?
Re:9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
伊藤高章(桃山学院大学/Graduate Theological Union) 2011/05/12
 豊田先生 はじめまして。Chaplaincy についてのご報告、ありがとうございます。伊藤高章と申します。J-TOPの関係者です。この一年カリフォルニア州バークレイに研究滞在していますので、第9期の皆さんとはお目にかかったことはないと思います。日本で臨床チャプレンの養成をしています。日本スピリチュアルケア学会も専門職資格認定(2013年度より)を目指して、現在準備中です。
 スピリチュアルケアを含む医療人文学 Medical Humanities が大切にしている姿勢の一つが、治療を受ける中で患者さんが絶えず心の中で紡ぎ出している、ご自身が主人公の「物語 narrative」に耳を傾けることです。「がんとの戦い」という物語を生きている方、病の中で自分の人生を振り返っている方、「家族との関係回復」の物語の真っ最中の方、いろいろです。聴く側の聴きかたや関心の向けかたで、話のテーマやその内容は変わってしまいます。話の背後にある価値観を理解したり、話者と聴き手のダイナミックスに配慮したり、特別な訓練を必要とします。治療の対象としてではなく、「治療を生きる創造的な主体」としての患者さんと向きあうのがチャプレンの仕事です。精神腫瘍科医や臨床心理士とも違う役割であることがお分かりになると思います。このような職種がいることで、医療への信頼度が上がり、患者さん自身が積極的に参加してくるチーム医療実現に近づくことができると思っています。
 患者さん同様、医療者も、日々自分の物語を生きていらっしゃいますよね。JMEは今後の医療者としての皆さんの物語を方向づける大切な経験でしょう。よき学びをされますように。
 6月はじめに、College of Physicians and Surgeons, Columbia University の "Narrative Medicine Workshop" に参加しますので、また報告させていただきます。
9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
中田登紀江(神戸大学医学部附属病院) 2011/05/13
田口さん
 掲示板を読んでくださってありがとうございました。ご質問はNursing Practice Congressに投票権がある人以外に参加できるのは、どのような人ですかということだったと思います。
 回答ですが、参加できる人はまさに自由です! 職種や職位を問わず、議題に関心があれば誰でも参加できます(もちろん関心度のチェックなどはありません)。私たちが参加した当日も、議題のプレゼンテーション後から採決するまでに、投票権のある人はもちろんですが、自由参加の人達からも質問や意見がありました。全体的には発言の順番に困るほど挙手があった場面もありました。簡単ですが、以上です。

Re:9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
田口 (大阪府立成人病センター) 2011/05/13
皆様研修お疲れ様です。

中田さん 質問への回答ありがとうございます。
私の表現不足でしたね。
自由参加と記載されていたのですが、実際の参加者は職位や経験も様々で、自分がテーマに興味があるから参加し発言をしていたということなんですね。
日本でもそのような会を行うときにどのように参加者のモチベーションを維持するのか、強制ではなくどのように自由に自己意思で参加していただけるのかに興味があったので質問させていただきました。ありがとうございました。

みなさま、体調管理に気をつけて研修で学んだことを教えてください。
伊藤先生 コメントありがとうございます
豊田昌徳(神戸大学医学部付属病院) 2011/05/13
この場をおかりしまして、
伊藤先生、はじめまして。よろしくお願い致します。
とてもadvisableなコメントを頂き助かりました。有難うございます。
 Chaplainという職の大切さは、実際にお話を直接伺うまで自分自身の中でもよく分かっていなかったと思います。日本においても、Psychologicalだけでなく、Spiritualなケアの必要性が十分に理解され広く受け入れられて、多くの患者さんのspiritual painが救われる事を願っています。
 MDAでは、最初一人のボランティアからChaplaincyが始まり、徐々に必要性が理解されて拡大し、今では10人のスタッフと5人のレジデントと5人の教会から学びに来ている聖職者を有する大きな組織となったようです。しかしながら、その理念や精神からか、診療とはみなされていないため診療報酬はついていないようです!それでも総勢20人!!

MDAはまさに、巨大な Do the Right Thing の塊です。
こちらヒューストン(5月15日)
河添 仁(愛媛大学医学部附属病院薬剤部 ) 2011/05/16
お疲れ様です。
ヒューストンは5月15日の17:18になります。
MDAのナースプラクティショナー(NP)や臨床薬剤師に聞いてきて欲しいと宿題を預かっていましたので、その内容について報告させていただきます。

<質問>NPや臨床薬剤師が診察をした際に、その判断が適切でなかった場合(重篤な副作用症状を見逃した)、処方オーダに医療過誤(過量投与のオーダ)があった場合にその責任はどうなりますか?

<回答>医師を含めチームでコンセンサスが得られていた場合は、チームで責任を負う。当然、当事者も責任を負う。医療過誤の場合で、薬剤部、病棟看護師の投与量確認(ケモはオーダ~投与までに7回確認が入る)も通過した場合はその確認者も責任を負う。

アメリカでもMDAは特別な施設であるということを前提に、役割拡張の実態を以下にまとめます。臨床薬剤師、NP以外に日本でいう看護師(registered nurse:RN)も処方オーダ(ケモやオピオイドは医師のサイン必要、その他はサイン不要)可能です。また、移植外来ユニットは医師の診察は週に1回のみで、通常はNP、臨床薬剤師が診察を行い、医師の指示のもと治療を行っています。つまり、患者様はNP、臨床薬剤師による診察、治療を受けるのみの来院があります。

本邦の実地臨床において、われわれ薬剤師はケモに対する支持療法の変更やレジメン選択について医師へ提案し、その同意が得られるケースがあります。しかし、必ずしもそのアウトカムが良い方向とは限りません。私は提案しっぱなしで終わらず、その後のアウトカムがどうなったか?を常々心掛けてモニタリング、評価を行っています。
「multidisciplinary care」における「各職種の役割拡張とその責任」について、皆さんいかがお考えになるでしょうか?現在、本邦において「特定看護師」が注目されている中、「臨床薬剤師」について、皆さんいかがお考えになるでしょうか?

以上、河添の徒然日記でした。
失礼いたしました。
CWOCNについて
帶刀 朋代 (東京医科大学病院) 2011/05/19
CWOCN…Certified Wound,Ostomy and Continence Nurseは米国WOCN学会が認定する看護師の略名です。(以下、WOCとする)
これは私が有する資格の米国版にあたる資格であり、私はこのラウンドをひそやかに楽しみにしておりました。
私がこのラウンドを楽しみにしていた点は2点ほど知りたいことあったからです。
1、米国と日本でその役割に差があるか。
2、米国のWOC業界における最新の動向

まず、1について。
役割に関してはほとんど差がないと考えてよいと思いました。
こちらでは、WOCが判断した処方・処置・検査については医師ではなくNPに提案する点で違いがありましたが、機能は変わりがないとかんじます。
私はコンサルタントだ、医師ではないという自負もONSで見たそれに酷似していました。看護師としての誇り、これは本当にナースをより素敵に演出すると身を持ってあらためて確信することができました。
ただ一点大きな違いがあるとすれば、日本の認定看護師は現任教育にもう少し活動のボリュームを置いていると感じています。

2、こちらについては、いろいろな最新の製品等の評価について、共にラウンドした医師・薬剤師が呆れるくらいディスカッションをしました。詳細は省きますが、このディスカッションから、あらゆるアプライアンスにおいて日本は遅れを取っていないということが理解できました。日本の関連メーカーさんに感謝です。また、評価の視点なども同じであることをむしろ誇らしく、また、こちらのWOCとも楽しく共有することができました。
褥瘡に関しては、日本発信のDESIGNツールについてむしろ聞かれたくらいです。

If you think of anything we might change or add in our practice here, please let me know.
とも言っていただいて、私はメンターのニックさんと共にスケジュールの調整を行っています。

研修も佳境です。最後には学んだことのプレゼンテーションもあるので毎日準備に追われています。
ですが、日本で培った寝不足生活が、今とても役に立っています。
Re:9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
すぎやま(測量地質健康保険組合健診センター) 2011/05/20
2011年組のみなさん

いつも思慮深い書き込みを、興味深く拝見しています。なかなかコメントできずに申し訳ありません。
MDAに着いた最初のころは、アメリカンな巨大さに圧倒されている様子だったのが、次第にその中で働く個人がどんなマインドで仕事をしているのかや、役割に応じたリーダーシップやコミュニケーションのありかたの考察に変わってきているように感じました。

読んでいると、自分が参加させていただいた2008年が遠く感じられます(笑)。ちなみに私が一番感じたことは、日本で仕事してた時にこんなに他職種の人と話す機会、なかった。ということでした。「看護師さんて、薬剤師さんて、こういうものの見方をするんだ」と感動すら覚えた記憶があります。でもそれは、それまで職種間の意識を共有していなかったということの裏返しだったことにちょっとショックも受けました。もし同じように気づいたりしたことがあれば、ぜひ教えてください。

いよいよ佳境ですね。プレゼンテーションにむかっての準備は、さらに一層濃厚な時間になることと思います。

私たちがMDAに行った2008年に比べて、日本におけるチーム医療は確実に進化したように感じています。その中で今回行かれた皆さんが、さらにすばらしいものを持って帰ってくださることを確信しています。

体調に気をつけて、残り楽しんできてください!
こちらヒューストン(5月20日)
河添 仁(愛媛大学医学部附属病院) 2011/05/21
お疲れ様です。
ヒューストンは5月20日の23:19になります。
今日、グループAはそれぞれのメンターに依頼して最終プレゼンの予演会を行いました。プレゼンの原稿は未完成ですが、アドリブで発表を行い、プレゼンのfocusやstoryについて相談しました。今週末にかけて、臨床試験のsample sizeを計算して、統計のメンターに相談します。
http://www.swogstat.org/Stat/Public/cgi-bin/binomial.exe

木曜日はメンターのHillary先生とJeff先生が私たち6名を地中海料理(イスタンブールのケバブ)に招待してくれ、とても楽しい時間を過ごしました。Houstonに来て覚えた「rock'n roll」や「okey dokey」を使って全員で爆笑していました。
金曜日、昨日のことを話していて、お互いの会話の辻褄が合わないことから気付いた面白いことがあります。私たちが言っていた「rock'n roll」がネイティブには「Lock and load! 」に聞こえていたようです。
Hitoshi→Hillary
「Hi, Hillary. Do you mean rock'n roll? What does "Lock and load! " mean?」
Hillary→Hitoshi
「That is so funny. Both are used. We thought Dr.Yuji was saying lock and load, not rock and roll. Rock and roll means "let's go." Lock and load may mean "get ready."」
英語の発音「r」と「l」、舌を上顎に付けるかどうかの違いは難しいなあ!と今更ながら感じた一日でした。
失礼いたしました。
こちらヒューストン(5月21日)
河添 仁(愛媛大学医学部附属病院) 2011/05/21
杉山先生、コメントありがとうございます。
自分なりに感じたことを述べたいと思います。「multidisciplinary team」におけるコンセンサスビルディング及びレジメン選択における薬剤師の役割について触れます。

5月17日(木)に「Thoracic Outpatient Clinic」へ連れて行って頂きました。LKのNSCLC患者様の一次治療として、CBDCA(AUC4)+GEM(800mg/m2)+Bev(15mg/kg)がorderされていました。

その際、小生が疑問に思った点をKatie先生に質問させて頂きました。
1点目:「現在、Bevとプラチナダブレットの併用療法はCBDCA+PTX(OSで有意差あり)、CDDP+GEM(PFSで有意差あり、OSで有意差なし)以外の第Ⅲ相臨床試験はない。標準治療ではなく、なぜCBDCA+GEMがBevの併用レジメンとして一次治療に使用されているのですか?」
2点目:「投与量が標準投与量ではない。dose-intensityとして標準量(それぞれAUC6、1,000mg/m2)ではなく低用量となっているのですか?」

上記症例は「multidisciplinary team」におけるコンセンサスビルディングの結果、agreeとなったとのこと。そのプロセスこそが本邦にも求められているEBMのひとつではないか?と考えます。

日本と米国における保険制度は大きく異なり、米国における保険会社が治療費を払わないと判断した際は、その治療は中止となり、医療施設は代替案へ変更するそうです。CBDCA+MTA+Bev(1クールに要する薬剤費が100万円以上)も保険会社から承認されれば実施可能とのこと。

がん医療の均てん化が求められている現在、本邦においても薬剤師が「multidisciplinary team」におけるコンセンサスビルディングや、レジメン選択に関与する必要があると考えます。

今日はメンターの先生方に飲みに連れて行って頂き、3次会まで盛り上がり楽しいhappy hourを過ごしました。

以上、河添の徒然日記でした。
失礼いたしました。
こちらヒューストン(5月21日)
三浦裕司 (虎の門病院臨床腫瘍科) 2011/05/22
皆様

またもやお得意のHoustonとは全く関係ない話になりますが、TEDxというイベントをご存じでしょうか?「ideas worth spreading」世界に広げるべき素晴らしいアイデアを共有する場、をコンセプトに創設されたイベントです。

この週末に東京で開催され、上野直人先生が今年のTEDxTokyoでプレゼンを行われました。日本とアメリカの医療の違いを、患者さんと医師のコミュニケーションの点からお話しされております。
http://www.youtube.com/watch?v=Cqe5cKhgFFc&feature=list_related&playnext=1&list=SP1F809D2A49E4B49C

今日、その事についてFaculty DevelopmentのJanis先生と話しをしましたが、「私たちの両親は、やっぱりお医者さんに質問したり、意見したりしてなかったわよ。」と言われました。日米に関わらず、時代とともに変化していく事もある事に気付かされました。日本でもだいぶ、患者さんが自分の治療について勉強し、医師と積極的にコミュニケーションを取るようになってきた様な気がします。(特に乳がんの患者さんは)

もうひとつ、Garr Reynoldsという人をご存じでしょうか?プレゼンテーションZENという本の作者です。プレゼンテーションの極意が堪能できますので、是非ご覧下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=9g8T8MsFIp0&feature=list_related&playnext=1&list=SP1F809D2A49E4B49C
こちらヒューストン(5月22日)
河添 仁(愛媛大学医学部附属病院) 2011/05/23
お疲れ様です。
ヒューストンは5月22日の23:50になります。
臨床試験をデザインする際、研究者と統計家はお互いにどのような点を理解し、相談した方が良いかについて学んだことを述べたいと思います。
Dr.JackとDr.Shenに紹介して頂いたYouTube「Biostatistics vs. Lab Research」のURLになります。
http://www.youtube.com/watch?v=PbODigCZqL8&feature=related
お互いにかみ合わない会話が続き、最終的には「Please, go away!」と決裂してしまいます。
私たちは「How do statisticians collaborate w/ investigators?」と講義で学びましたが、逆に「How do investigators collaborate with statisticians?」と考えました。

以上を踏まえ、Dr.Jackに最終プレゼンに組み込んだ臨床試験のサンプルサイズについて相談したところ、お忙しい中、とても丁寧にアドバイスして頂きました。
Dr.Jack→Hitoshi
The sample size calculation is correct. I made a few minor comments on your description below.

Our clinical question is whether the intervention of multidisciplinary care program can reduce the all grade of X side effect for patients receiving by Chemo or not.
Our study design is a prospective randomized clinical trial (1:1).
So we will compare the outcome of two groups between multidisciplinary care program and normal program which can provide the patients care.
We will use chi-square test for comparison among the two groups.
We decided that the incidence of X side effect in normal group was 65%.
We searched the several manuscripts for these issue which show the effect of multidisciplinary care.
After that, we decided the hypothesis that our intervention might reduce the incidence of X side effect to 35%. (NOTE: This is a pretty large reduction. You need to make sure this assumption is realistic.→Yes. we checked this large reduction already. We accepted STEPP trial for preventive intervention.)
We used the web site of SWOG to calculate the patients number estimation.
We estimated the two-sided alpha error and power were 0.05 and 0.80, respectively.
As a result, estimated sample size was 98 patients (49 per each group). We will consider the loss of patients, so we will finally include the 10% increase of patients number.
カウントダウン、あと6日!
帶刀 朋代 (東京医科大学病院) 2011/05/23
お疲れ様です。
杉山先生がおっしゃるようにチーム医療の姿は日本国内において変わりつつあり、私にとってはこの研修でもそうなのですが、職種間のコミュニケーションは日常的なことになってきたように感じています。
ただ、看護師個人として今思うことは、やはりSpeak Upの重要性を痛感しているということでしょうか。自分が何を考えているのか、必ずしも相手に同意する内容ではないとしても、伝えることは義務であり、責務であると思いました。もっとも相手のアクティブリスニングの上に成り立つスキルであるのでしょうが。あるいは他職種にSpeak Upしてもらうために自分にアクティブリスニングのスキルが必要ということでもあります。

さて、今日は、個人的な宿題に一定の結論が見えてきたので報告したいと思います。
それは、個人のMission&Vision(以下、V&M)が組織のそれとあるいはその逆においてどのように影響あるいは位置づけがされているのかを知るというものです。
まず、第一にわかったことはMDACC自体がゆるぎのないV&Mを持っているということです。従業員個人のV&Mはここから始まるか、これをもとに集まってくるかであろうということです。
Making Cancer Histry(R)という言葉に乗せた強い信念は、まるで院内の空気の一部のように院内に流れていて、従業員は自分たちが歴史を作るあるいは見届ける、という心づもりができるということです。
就職して一か月以内に見終わらなくてはならないオリエンテーションビデオ(約6時間程度)には「がんとは何か」「臨床試験とは何か」、について伝えるパートもあります。
それによって、組織のV&Mは個人に役割を生み、個人は役割を生むか与えられることによってCareer developmentしていくということを知ることができます。そのことは生き生きと働く職員それぞれが自分は何をすべきかを知っているという点で裏付けができます。
さて、このことを今後にどう生かすか、これが次の自分の宿題です。
以上、また徒然いたしました。
失礼します。
こちらヒューストン(5月23日)
河添 仁(愛媛大学医学部附属病院) 2011/05/24
お疲れ様です。
ヒューストンは5月23日の21:56になります。
ONSの記事で橋口先生が触れられていた「抗がん剤の安全な取り扱い」について、MDAで学んだことを述べたいと思います。

以前、愛媛県の薬剤師の先生方に協力して頂き、抗がん剤調製における薬剤師の被曝認識調査と調製手技の集合研修を行いました。
日本病院薬剤師会雑誌,46,651-655,2010
日本病院薬剤師会雑誌,46,1086-1090,2010
閉鎖式薬物混合システム、BSCの導入などハード面だけでなく、調製手技などソフト面も充実させていく必要性がありました。

近年、本邦の抗がん剤を調製する薬剤師、医師、看護師、病棟薬剤師の尿や、病棟のミキシング台、床などからシクロホスファミドが検出され、環境改善策が必要とされています。

MDAでは危険薬物についての院内ガイドラインがあり、全ての抗がん剤は薬剤部において陰圧室のBSC、閉鎖式薬物混合システムを用いて混注され、看護師はPPEのもと患者様に投与という流れでした。

このPPEによる投与は、以前に国立がんセンターの大腸がんDVDの中で見た記憶があります。間違いだったらすいません。皆様の施設は手袋だけで投与していませんか?
Joyceに聞いたところ、MDAでは抗がん剤投与の際の医療者の安全確保について10年以上前から検討に入っていたそうですが、3年前からPPEが行われるようになったそうです。

本邦において、医療環境における抗がん剤曝露の問題は緒に就いたばかりかもしれませんが、今後私たち薬剤師が中心となって医師、看護師に対しても啓発と対策を行っていかなければならないと考えています。

以上、河添の徒然日記でした。
失礼いたしました。
こちらヒューストン(5月25日)
河添仁(愛媛大学医学部附属病院) 2011/05/26
お疲れ様です。
ヒューストンは5月25日の19:38になります。
Dr.JackとDr.Shenによる統計の講義の中で学んだことに触れます。

「あなたは統計学で何が知りたいですか?」と質問して頂いた際、私は症例対照研究に用いたロジスティック回帰分析をより深めたいと希望していました。近年、電子カルテの普及に伴い、私たち薬剤師も検索機能を用いることで臨床データの抽出が容易になっています(「疫学研究に関する倫理指針 (平成19年8月16日全部改正) に従って、倫理委員会の承認が必要)。
実際に、後ろ向き疫学研究として論文投稿した生データを用いて、連続尺度を2値変数化して名義尺度に変更する統計的手法、多変量ロジスティックモデルに加える説明変数の選択方法にステップワイズ変数増加法など複数あり、どうすれば良いかなど丁寧に教えて頂きました。統計家の先生から本格的に学ぶことができ、大変感謝しております。

今日の午後、Dr.Liuから「Global Academic Program」の講義があり、MDAの歴史、寄付、研究の話しがありました。
Dr.LiuからMDAの臨床薬剤師は日常診療が中心になっており、もっと研究活動ができる環境を整えてあげたいという話しがありました。MDAの医師などには診療以外に研究に従事する時間があるそうです。
大学病院に勤務する私は診療、教育、研究の3本柱を心掛けて働くように指導を受けており、改めて臨床疑問を解決する介入研究を行えるよう努力したいと思いました。

明日、いよいよJMEプレゼンテーションです。今から原稿読み合わせを行い尺を詰めたいと思います。上野先生からは原稿を棒読みせず、聴衆者に語りかけるようにとアドバイスを頂いています。
以上、河添の徒然日記でした。
失礼いたしました。
JMEが終わり、無事帰国しました。
河添仁(愛媛大学医学部附属病院) 2011/06/02
JME後、報告書(帰国直前に英語版があるとは聞き、さらに締め切りが6/10・・・)の作成に一生懸命な毎日を過ごしています。
今回、JMEに参加させて頂き、すばらしいinspireを受けました。本当にありがとうございました。MDAではメンターの先生方にとても親切にして頂き、楽しく5週間を過ごしました。J-TOPのすべての関係者の方々に大変感謝しております。

最終日に上野先生と長時間お話することができ、JMEメンバーそれぞれが疑問に感じたこと、聞いておきたいことをたくさん質問させてもらいました。

私はMDAの抗がん剤レジメンで疑問に思っていた「実地臨床に標準治療以外のレジメンが存在する理由」をわかりやすく教えて頂きました。詳細は割愛させて頂きます。

MDAでは8~9割の治療が臨床試験であり、実地臨床は残り1~2割になります。その実地臨床でこれは標準治療ですか?と疑問に感じることがありました。プロ集団におけるコンセンサスビルディングの結果実施されるのですが、「multidisciplinary team」におけるコンセンサスビルディングのピットフォールと考えることもできるかもしれません。

本邦においては多くの施設でレジメン委員会が機能しており、レジメン登録には施設として責任を持って審査・登録が行われています。
当施設の具体例を提示します。ToGA試験の結果を踏まえ「SP+trastuzumab」のレジメン申請があった際、「XP+trastuzumab」とは異なるため臨床試験として行うべきという意見を述べました。レジメン委員会の結論としては、申請医師に倫理委員会へ自主臨床研究として申請を依頼しました。本邦において、自分ができることを考えていく上で、私はレジメン委員として責任を持って、薬剤の適正使用に貢献したいと考えています。

本当にありがとうございました。
Re:9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
増田紘子(岡山大学/MD Anderson Cancer Center) 2011/06/12
皆さん、お久しぶりです。岡山大学の増田と申します。昨年のワークショップでは、teamDとして、参加させて頂きました。
河添先生と一緒のチームで、熱い議論を交わしました。詳しいご報告をありがとうございます。先生の熱いお気持ちが伝わって来ました。

ザンクトガレンから帰って来たそうそう、パソコンのアドレスを盗まれる、という衝撃的な出来事にあい、一部の皆様にはオレオレ詐欺的な、不快なメールが送られてしまったと思います。
自身の不注意で、皆様に御迷惑をおかけし、大変申し訳ありませんでした。
この場をかりて、お詫び申し上げます。

私は今回、MD Anderson cancer centerと、日本対癌協会が主催
する、第1回my oncology dream奨励賞を頂き、この6月1日より、MDACCでclinical reseachをさせていただける事になりました。
自身の希望する分野での研究が可能で、乳腺外科の私は、breast medical oncologyのpostdoctoral fellowという立場で、研究をさせて頂いています。
ヒューストンについたのが、5月28日の夜で、最初の1週間は生活のset upで、あっという間に過ぎて行きました。
こちらに来るまでのpaper workもなかなかでしたが、こちらに着いてからの、お家を決めて、銀行の口座を作って、などといった生活準備、英語能力の高くない私にとって、かなりの珍道中でしたが、上野先生をはじめとするMDACCの皆さん、日本から来られている先生方に助けられ、ようやく少しずつ、研究をスタートさせる事が出来ました。
exchange programの皆さんが、ご紹介されたように、MDACCでは非常に多くのclinical trialが行われています。研修をはじめて1週間ですが、まさにphase1,2のtrialの生まれる瞬間、そして、laboから臨床応用への移行、そういった場面に立ち会わせていただく事が出来ました。
これから勉強を重ね、皆さんにご報告できれば、と思っています。
また、私自身も自身の臨床研究を進め、この素晴らしい機会を与えて下さった皆様に(この賞は日本対癌協会、患者さん、ご家族の方々の支援イベント「リレーフォーライフ」に寄せられる寄付で運営されています)少しでも何かお返しできるように、頑張って行きたいと思います。
上野先生の外来で、治療効果の結果を心待ちにされている患者さんにお会いしました。
国は違えど、一緒です。同じ様に不安になり、一喜一憂され、それでも素敵に自身の人生を生きておられる。私自身もこの機会を大切に過ごして行きたいと思います。



Re:9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
河添仁(愛媛大学医学部附属病院) 2011/06/13
増田先生、ご無沙汰しております。
Facebookのcowgirlとてもお似合いです。
今回、JME2011として研修中、TeamDreamCatcherのメンターであったDr.Liaoから「なぜ増田先生、リーダー、Harano先生はここに来ていないの?」と質問され、私のことは忘れられていました(笑)。

増田先生の英語力、パッションはとても素晴らしいと思います。1年間と長い留学になりますが、お体に気をつけてがんばってください。先生からのご報告楽しみにしています。
Re:9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
藤田行代志(群馬大学医学部附属病院 薬剤部 ) 2011/06/17
研修に参加された皆様、お疲れさまでした。

第7回みんなで学ぼうチームオンコロジーに参加させていただいた、藤田と申します。
大学病院の薬剤師の研修で一緒になった、河添先生がMDACC研修に参加すると聞き、大変嬉しく思っていました。
同時に、どのような報告をしてくれるのか?と楽しみにしておりましたので、興味深く全て読ませていただきました。

皆さんの報告を拝見していると、研修では、平素、我々が業務を通じて学ぶことより、かなり広い内容について学び、経験してくるのだな、ということがよく分かりました。
短期間で様々な初体験を繰り返すうちに、情報を消化しきれず、溢れてしまうのではないか?、といらぬ危惧をしてしまいましたがどうなのでしょう。

11月のworkshopでは、研修に参加された皆様にもお会いできるのでしょうか?
河添先生に誘ってもらったので、仕事と家庭の調整がつけば、参加申し込みしようと考えています。
Re:9th Japanese Medical Exchange Program現地レポート
三浦裕司 (虎の門病院臨床腫瘍科) 2011/06/17
藤田さん

ご質問とコメントありがとうございました。帰国してあっという間に時間が経っておりますが、このように御投稿いただけますと嬉しい限りであります。

JMEの5週間は非常に濃密なスケジュールをこなすことになり、また自分の専門外の分野についても数多く経験します。このため、ご指摘の通り、情報の消化不良状態に陥ります!

ただ、JMEに参加しながら心がけた事は、「分からないから」、「専門外だから」、「今まで興味がなかったから」という理由で、「情報をシャットアウトしない!」と言う事でした。

このようにして過ごしていくと、さらに知りたくなる情報が増えてきて、ホテルに帰った後もネットで検索しまくったり、さらにメンターに質問したり、とさらに情報過多になるのですが、それで良いと思いました。

なぜなら、JMEはもちろん現地で学ぶ場でありますが、そのコンセプトのひとつに、「帰国後も継続して学び、実行し続ける」というものがあり、情報の消化作業は今も続いております。もちろん、現在振り返って理解できない事については、JME member同士が連絡を取り合い、そしてMDAのメンターに連絡を取り、今でも学びは続いております。

このように、継続してJ-TOPメンバーと学び続け、実行していく事が、このJMEというプログラムの最大の利点かと思っております。

11月のWSでは、このような事をみなさまにお伝えする事が出来ればと思います。お会いできるのを楽しみにしております。