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EDUCATIONAL SEMINAR
Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
Ozaki Yukinori(虎の門病院) 2016/09/02
関係の皆様方の様々なサポートのおかげをもちまして、なんとかチームJME2016は、本日2016年9月1日、無事にHoustonに到着致しました!第一報は、尾崎 由記範(Ozaki Yukinori)がご報告致します。
忘れないうちに事務的な内容も書いておきます。
【成田空港にて】
特に困るようなことはありませんでした。ワインや日本酒、和風お菓子など、空港でたくさん買えますね。
【Houstonの空港にて】
いよいよ最初の難関(?)、入国審査がやって参りました。appointment letterがあること、WBを要求することをみんなで再度確認し、戦闘態勢に入ったのですが、なぜかESTAの機械のところでチームは2分されてしまいました。暫定的な結論としては、指紋の登録がうまくできなかった人とそうでない人に分けられた、ということになっています。この仕分けが正しいとすれば、KumikoさんとYumiさんが指紋取れた組、それ以外は指紋取り直し組で、待ち時間がかなり異なりました。私の方の指紋取り直し組は14時30分ごろに並び始めて15時30分ぐらいまでかかりました。審査では、appointment letterを見せて、"J-1かい?"と聞かれたので、"Waiber Businessが必要です"と答えました。そして、後ろに続くの4人の女性も同じチームで、全員WBが必要だ、と主張してみました。すると、気のいいおじさんで、"うんうん、わかったよ、MD Andersonには僕らもお世話になってるんだよ" くらいの感じで、何の問題もありませんでした。指紋優秀組も当然問題なく、結果的に全員トラブルなくWBと記載してもらい、ひと安心、空港をあとにしました。
【空港からKirby Placeまで】
出るとすぐに"MD Anderson"と書かれた紙を掲げた方を見つけ、大型高級車に案内していただきました。移動時間は30分くらいはかかりました。
【Kirby Place】
部屋はとても広く、きれいで、文句のつけようのないアパートです。ただし、真っ先に確認すべきは、トイレットペーパーがあるかどうかだということに後で気が付きました。。ない部屋もあったので、注意が必要ですね。
【夕食】
JoyceさんとJeffryさんが、近くのメキシコ料理店へ連れて行ってくださいました。メキシコ料理、日本人の味覚にはとても合うように思います。非常に美味しく頂きました。有難うございました。
【帰りにMarketへ】
帰りに、Kroger market placeに寄って頂きました。なんでも揃っているデカいスーパーマーケットです。今日から必要なものとして、最低限の水や食料などを入手しました。トイレットペーパーが部屋にない場合はこうしたチャンスで買っとくべきですね。
【明日の予定】
明日から遂にMDACCでの研修が始まります。とても楽しみです!明日は朝から院内を案内していただく予定です。
1日目の現地報告でした!ではまた!
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
帶刀 朋代 (東京医科大学病院) 2016/09/03
尾崎先生、JME2016のみなさん

無事のご到着、お疲れ様です!
長いようであっという間の時間だと思いますので、楽しんでください!
特に、メキシコ料理は楽しみすぎるとあとあとが大変ですので、ご注意を!
JME 2016 2日目報告です
田澤咲子(昭和大学) 2016/09/03
JME2016 2日目は、今回病理医として参加させていただいております、田澤咲子が報告させていただきます!
今朝は初めて Kirby place からのシャトルを使い MDACC へ行ってきました。朝は、近くにお住いの河野美保先生にシャトルにご一緒させていただき、助けていただきました!朝の Academic and VISA administration での Check in を皮切りに、MDACC 内を探検しました。私達用の Office をお借りしたり、白衣やPCをお借りしたり外来も少し見学させていただきました。結果的にSky bridge を何度も往復し、帰宅後の iPhone では合計20,324歩、歩いたことになっています!私たちに関わるすべてを丁寧に対応してくれて一緒にたくさん歩き回ってくれた Marcy さんにはとても感謝しています。
午後は、MDACC にお勉強にみえていらっしゃる三浦裕司先生と藤原紀子さんに Cultural considerations of living and working in the U.S. というタイトルのレクチャーをしていただきました。治安の事や、コミュニケーションのこと、insideMDA というサイトの使い方など、とても実用的なことを色々と教えていただきました。Conflict management や anger management についても教えていただき、とても興味深く拝聴するとともにこれからのグループワークで是非実践してみたい!と感じました。
シャトルでの帰り方を三浦先生、藤原さんのお二人にお教えいただき、無事に帰ることができました。
夜は、US mentor の皆様にWelcome party をしていただきました。お食事が美味しかったのはもちろん、mentor の皆さんに気さくに接していただき、自分自身の中の言葉の壁を感じつつも、とても楽しい時間を過ごさせていただきました!
週末は体を休めるようにとのご配慮を頂き、火曜日からの研修に向けて英気を養うことができそうです。
本格的な研修はまだまだこれからですが、本当にたくさんの方に支えて頂き、このような機会を頂いているということを改めて実感している次第です。
今日のご報告はこのくらいにさせていただきたいと思います。
次回のご報告をお楽しみに!
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
Ozaki Yukinori(虎の門病院) 2016/09/03
帶刀さん
有難うございます。5週間、ご指摘の通り、あっという間だった、と感じるんだろうと思います。なので、1日たりとも無駄にしない!という意気込みで日々挑もうと思っています。メキシコ料理も後先考えずにたくさん頂きました!チームのみんな(多分お腹が一番弱いのは私ですが、、)が体調を崩さないように支え合いながら行こうと考える次第です。
JME2016 3日目
吉井 由美 (奈良県立医科大学附属病院) 2016/09/04
ヒューストンに到着してから右も左もわからないまま、いろんな人に親切にしていただき、無事に3日目を迎えました。
「まずは時差ぼけを治して万全の体調で研修に臨むように」との有り難いご配慮で、今日と明日はお休みです。
日本出発前からドタバタの日々が続いていた我々にとって、とっても貴重な骨休みの日となりました。
そんなわけで、今日はそんなまったりdayの様子を奈良医大腫瘍センターの吉井がリポートしたいと思います。

まだ残る時差ぼけのために今朝は4時に目覚め、そんな時間に起きられた自分にちょっとうれしくなる。ちょうどこの頃日本は夕方の6時過ぎ、日本にラインをしたりして過ごす。

なんやかんやで朝9時。お腹がすいたので、朝食に日本から持ってきたおそうめんを食べる。ちなみに個人的にそうめんは奈良の三輪そうめんがおすすめです。

洗濯や掃除をしたりして過ごし、その後他の3人と一緒に一番近くにあるスーパー、Krogerまで10分ほど歩いて買い出しへ。
コストコのような広大な店内に、何かとデカいサイズの食料品が並ぶ壮観な眺めに圧倒される。
野菜は少し日本と違い、きゅうりは日本の3倍から5倍ぐらい、心なしか他の野菜も横綱級です。ちなみに牛乳は2Lぐらいが標準サイズ。
日本のように発泡スチロールのパックに入っているのは少なくて、青物などはミストの出る棚の中でそのまま売られていました。
この日はパンや野菜、果物、魚などの食材と、洗剤やスポンジなどの生活用品も購入。もちろん洗剤もデカいです。
何気にカートも日本のホームセンターにあるサイズで、調子に乗ってポンポン放り込んでいると知らず知らずのうちに荷物がすごいことになります。
大量の荷物を前に、腹が減っては戦はできぬということでスタバでいったん休憩。
スタバといえば、日本ではハイソでおしゃれなイメージですが、こちらでは結構大衆的なコーヒースタンドって感じです。
さっきスーパーで買ったものを開けて食べている人もたくさんいて、私たちもクロワッサンとフライドチキン、ポテトのセットを食べました。

お腹も満たされたところで、再びアパートへ。
一通り片付けたら、夕方に各自の部屋で作ったものを持ち寄って夕食は自炊することに。
さて、ここからが魔の時間。
時差がなくても眠くなる昼食後の時間は、日本時間の明け方近く。
時差調整のため、迫りくる睡魔との闘いです。
もちろん私はあっさり負けて、気づけば3時間本気で爆睡。
今夜の不眠を確信しながら、みんなで夕食を作りました。

私たちのグループの担当は、トマト、アボカド、レタス、チキンのサラダとブロッコリとマッシュルーム、玉ねぎのスープ、それにサーモンのムニエル。
他のメンバーが家から遠いオーガニックスーパーまではるばる行って仕入れてきてくれた、素材の味を生かしたメニュー(ケールとラディッシュのレインボーサラダ、5種のキノコとスモークベーコンのガーリックソテー、カラフルポテトのオーブン焼き、デザートのフレッシュオーガニックマスカット)、それから白ご飯と昨日、一昨日のレストランでの夕食の残りを含めた豪華なディナーが食卓を飾りました。
自分たちで作った食事はまた格別に美味しくて、みんなでワイワイと楽しくいただきました。
こうやって、共同作業ができるのもJMEの楽しみの一つです。

その後、MDACCに留学中の三浦先生に車に乗せていただいて、4人で水など重いものの買い出しへ。
地元の人による買い物術はとってもためになりました。
食料品と日用品にわけてスーパーをはしごしていただき、さらにはちょっぴりラボの見学もさせていただくという、至れり尽くせりのサポートに大感謝です。
こちらに着いてまだ3日目ですが、既に日本人の留学生の皆さんには幾度となくお世話になっています。ありがとうございます!

お留守番メンバーは、今回の研修でお世話になる人へのプチギフトをラッピング。
書きやすいと評判の日本のキティーちゃんボールペンと老舗の抹茶飴を折り鶴と一緒にせっせとラッピングしてくれました。
ン十年ぶりの折り紙に少々苦戦しつつも、みんなで過ごす楽しい時間はあっという間に過ぎていき、こうして3日目の夜も更けていくのでありました。
さて来週からはいよいよ研修開始。
この休日に養った英気と絆で頑張ります!
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
山上睦実(東京大学大学院) 2016/09/05
早くも滞在4日目になりました。
本日は日曜日、完全オフの休日です。
今日は一部屋に集まり、見学の際やお世話になった方々へのミニプレゼントを作成いたしました。
日本を感じていただけたらと思い、千代紙で折った鶴を入れてみました。

夜ご飯は日本から持参したお米や海苔などいろいろ持ち寄りました。そして初めてのグループミーティングをしました。
まずは自身の参加動機や思いを発散し、相互理解を深めました。
それぞれの専門分野、関心が違う中、どうやってプロジェクトにしていこうかとそれぞれ思案しつつあります。

Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
藤田行代志(群馬県立がんセンター) 2016/09/06
2014, 2015と手こずったMDAでの申請も上手く行ったようで何よりです!
大人になってからの合宿は楽しくもあり、チームビルディングを学ぶ場でもあり…多くの思い出と学びがありますように!

あと、行きたい場所とかは早めに考えて、MDAメンター達に伝えておくと良いですよ~JME2014は海に行きたい!とJeffにメキシコ湾まで連れて行ってもらい、ザリガニも食べました。
Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
藤原登茂(聖路加国際大学大学院) 2016/09/07
ヒューストンに到着してから5日目は、聖路加国際大学院 藤原がレポートします。
今日は、JTOPのchairであるJoiceのお宅に招待していただきました。
MDACCへ留学中の三浦先生がお迎えに来て下さり、高速に乗り我々の滞在先から30分ほどの郊外にJoiceのお宅があります。
Joiceのお宅は想像以上に広大で、
到着するや否や大きなプールにダイブしひとしきり遊ぶ者、Joiceの愛犬Zoeyと遊んでもらったりと、普段の生活とはかけ離れたactivityを思い切り楽しみました。

今回は放射線科医のCalisa、乳腺腫瘍内科医のBora、薬剤師のTinaファミリー、同じく薬剤師のKatieファミリーも一緒に参加し、総勢14名のホームパーティとなりました。
それぞれのお宅から持ち寄ったお料理や、Joiceが朝から準備して下さったお料理がずらりと並び、アメリカの国旗カラーのカップケーキに感激し、いつもとは違うホームパーティを堪能しました。

帰りは、広い地平線と美しいサンセットを見ながら地元の北海道を思い出し、少しだけセンチメンタルな気持ちになりつつも、明日からいよいよ始まるプログラムへの緊張感が高まる1日となりました。

お忙しい中、私達が楽しめるように準備をして下さったJoiceを始め、送迎だけではなく楽しい時間を過ごして下さったMDACCの皆様に感謝致します。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
松本奈都美 (聖マリアンナ医科大学病院薬剤部 ) 2016/09/07
昨日は休日だったため、今週の研修は本日火曜日からスタートしました。
早めにMDACCに行き、みんなでカフェの朝食を食べました。私は大きなパンケーキとスクランブルエッグを焼いてもらいました。
まず、金曜日に行ったVISAオフィスに行き、オリエンテーションを受けました。オリエンテーションと言っても、書類へのサインをしてIDを受け取り、Employees Healthというところへ行って書類に認証印を押してもらうというものでした。恐れていたSakaiの再テストもなく、無事にIDカードを取得できました。しかし、事前に提出したID用の写真が引き伸ばされ、やけに丸顔な写真となってしまいました。また、後の動作確認で、一名ドアロックが開かないというトラブルが発生しました。
お昼前には日本から帰ってこられた上野先生にもお会いでにました。明日は上野先生とのディスカッションの時間があるので楽しみです。
お昼ご飯は中央にあるThe parkのカフェに行きました。スムージーはスモールを頼んだはずが、超ビッグサイズで飲み切れませんでした。
午後はボランティアのAndreaさんにMDACCツアーをしていただきました。英語を聞き取るのは本当に大変でしたが、最も印象に残ったのは、職員は職種や地位に関わらず、MDACCのcore value、Caring, Integrity, Discoveryの精神をもとに、チームとして患者のケアに貢献しようという精神を持っているということです。
先週も院内を回りましたが、新たに知る場所もあり、MDACCの大きさを改めて実感しました。
ツアー終了後はMarcyさんに付き添っていただき、明日の集合場所を確認しました。MDACCのAccessという道案内システムを使用しても場所が見つからず。最終的に目的地の看護師さんに連絡して案内してもらいました。迷子にならないように、場所は事前に確認しておくべきだと肝に銘じました。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
田澤咲子(昭和大学) 2016/09/07
藤田さん、コメントありがとうございます!昨年のアカデミーの際にご挨拶させて頂いたように記憶しています。ご無沙汰しております!
大人の合宿、今の所は和気あいあいとやっています。
たくさんの学びを持って帰れるように頑張ります!
リクエストはしてみます!アドバイスありがとうございます。
臨床研修スタート!
島 久美子(北里大学医学部 ) 2016/09/09
ヒューストンに到着して、ちょうど一週間が経とうとしています。祝日などの影響もあり、本日が白衣を着ての実質的な研修1日目となりました。

今日からAグループとBグループに分かれての研修でした、
Bグループは、午前は婦人科外来の薬剤師さんにつき、午後は乳腺の腫瘍内科医について見学研修でした。システムの違いや外来のオペレーションの違いなども色々と伺いながら、日本の医療提供体制や現場のオペレーションと比較しながら、今後色々と考えるための引き出しを増やしました。

色々と興味深く、もっともっと色々と聞いたり見たい!と思いながらも、朝の8:00~ずーっと現場のバタバタの中でネイティヴな英語を聞き続け、更に個人的には久々の活気ある医療現場(最近は企画系の部署の仕事をしているため)に圧倒され、午後の研修が終わる頃には脳ミソから煙が出て、ほとんど機能できていない状況になっていました。

午前・午後の研修を通して、本日一番の学びは、医師を始めスタッフのコミュニケーション能力の高さと患者さんとその家族を人としてあたたかく包み込みながら患者さんとその家族がどのような状況の中でも最善の選択をする事、そして最善の時間を過ごす事を全力でサポートする姿勢でした。

ここでも、前日の病院ツアーをしてくれたAndreaに引き続き、MD Andersonのcore valuesであるCaring, Integrity, Discoveryの元にそれぞれ個性を活かしながらプロとしての仕事をする姿を目の当たりにし、MD Andersonの素晴らしさに感動すると共に、この素晴らしい組織を形成する原動力や仕掛けをもっと知りたい!と思いました。

Last but not least...
午後の研修後に、渡米後初めて上野先生とのミーティングがあり、キャリア形成についてやリーダーシップ研修としての入り口として、「自分をよく知る」事の大切さ、研修をより実りあるものとするための心構えを教えていただきました。

最後は、ヘトヘトでアパートに帰り、みんなで本日の研修の復習をしながら夕食を食べて速攻で寝ました。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
Yukinori Ozaki(虎の門病院) 2016/09/09
今日はweek 1の木曜日です。
私が所属するチームAは、午前中はBreast Medical Oncologyでした。今の乳癌に対する化学療法について、時間の許す限り質問しました。
dose dense AC、weekly PTXとdose dense PTXについて、臨床試験についてなどですが、ここでは詳細は省かせていただきます。
印象的だったのは、やはり一つの部屋でNurse Practitioner、Registered Nurse、Medical AssistantとPhysicianが一緒に仕事をしている姿でした。多職種でミーティングなどはしますか?という質問に、「何かあったら相談しているけど、、?」と、やや不思議な顔で返されました。むしろ「なんでそんなこと聞くの?」みたいな感じでした。
日本の多くの施設では、医師、看護師、薬剤師は外来診療においてほとんど顔を会わせる機会がない→ミーティングが必要だ!というのは我々発想です。MDAのチームはいつも一緒の部屋にいるので、常に相談しながら診療しています。ですから、ミーティングを特別に設ける必要もない、あまりそういう発想はない、といったことなのでしょう。

午後は、上野先生のカンファレンスに参加させていただきました。基礎の先生方のデータをみんなで議論していました。正直、内容は15%くらいしか理解できていませんが、その風景はとても新鮮でしたし、薬剤の新規開発における厳しさを思い知らされた気がします。私が最も参加したいと思っていたカンファレンスのひとつでしたので、大変有意義でした。来週のカンファではもう少し理解できるように努力します。

Bチームは、午前中は乳腺の手術見学でした。詳細は省きますが、看護師、研修医、麻酔をかける看護師(!?)、病理医など、様々な職種の方との連携に基づいて最適な診療が行われている、といった報告を聞きました。

夕方はMentor/Mentee meetingが行われていました。それぞれのメンバーがそれぞれの思いの丈をぶつけていたことと思います。私は、明日が最初のMentor/Mentee meetingです。楽しみです。

初日の現地報告を書いてから、もう1巡したのか、、と思うと、焦ってきました。
明日の朝も6時35分のバスなので、これで失礼します。
明日の夜はBase ball観戦です!!!
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
吉井 由美 (奈良県立医科大学附属病院) 2016/09/11
JME 9日目
早いもので、9月6日から始まった5週間のプログラムのうち、1週目が今日で終わってしまいました。
着いた当初は病院の広さときれいさに圧倒され、まるで海外ドラマ「ER」のセットの中に迷い込んだかのようで、グリーン先生やベントン先生に似てる人を見つけては一人で勝手に盛り上がっていましたが、そんな人はいっぱいいるということに気づいた今はただ黙々と片道10分の長大な渡り廊下、スカイブリッジを疾走する日々です。
さて、今日は朝からGrand Roundという各科が持ち回りでやっている院内勉強会に参加しました。本日のテーマは次世代シークエンス法の臨床応用について。早朝にも関わらず、およそ100人ほどの会場には立ち見も出る盛況ぶりでした。いつもながらに最先端の内容が盛りだくさんでしたが、わかりやすい解説でとても勉強になりました。
その後、スカイブリッジをダッシュして上野先生の乳腺腫瘍外来へ。着いた早々、臨床試験に参加中の患者さんのPET検査を直前になって保険者が認めてくれないというトラブルが発生。リサーチコーディネーターが交渉し、それでも難航して上野先生が直々に説得してようやく解決という日本ではあまりお目にかからないようなことがこちらではごく普通とのこと。またまたカルチャーショックを覚えるとともに、日本はつくづくいい国だなと思いました。その他にも転移性乳がんであまり状態がよくなく不安を訴える患者さんの治療の道筋を明快に素早くつけて安心させたり、ウイルスに免疫療法を組み合わせた腫瘍溶解性ウイルスの臨床試験を受けている患者さんを診療されたりと、あっという間に時間が過ぎていきました。
午後は看護師のTheresaをはじめ管理部門の看護師さんから、アメリカでの看護師の制度や看護師の研究、教育におけるMDアンダーソンでの取り組みについての講義があり、看護師のみならず医師、薬剤師も興味深く聴講しました。MDACCのような大きな病院でも看護師不足は懸念されているようで、離職率を下げるにはどうしたらいいか?やりがいを持って働くためのガバナンスの構築、研究を支援してアカデミアでの活躍を推進していく取り組みなど、いろいろと学ぶべきところがありました。
さてその後はいよいよお待ちかね、ミニッツメイドパークでの野球観戦。地元HoustonのAstros対Chicago Cubsの試合でした。野球といえば個人的には甲子園球場で1回だけ阪神戦を見たのと、あとは野球拳ぐらいしか経験のない私ですが(ウソです)、ビールとホットドッグ(これまたでかい)を片手に、途中ではHouston Astrosの応援歌を「六甲おろし」よろしく熱唱する場面もあり、陽気でご機嫌なアメリカンに囲まれての観戦はとても楽しかったです。試合はアストロスが2アウト2塁、3塁で一発逆転を狙うも残念ながら逆転ならず。上野先生は悔しがっておられましたが、その横でCubsファンのJoyceは高笑いしていました。
試合後は勝った方も負けた方もみんなで仲良く花火を鑑賞。
アメリカで思いがけず見られた花火は、たまや~とはすこし違った趣きでしたが忘れられない夏の思い出の一つになりました。
次週からはいよいよ第2週目。私たちの珍道中はまだまだ続きます。
JME 2016 10日目報告です
田澤咲子(昭和大学) 2016/09/12
JME2016 11日目の朝を迎えています。
昨日は土曜日ということで、のんびりした1日を過ごさせていただきました。
お昼前から、再び三浦裕司先生にご協力いただき一部のメンバーが食材を含むいろいろを買い出しに行ってきてくれました。
夕方にはみんなで集合し、夕食を作り(今日はカレーとサラダと豚カツでした!くるみ入りブラウニーのデザート付きです!)美味しくいただきました。その後、我々の理解を助けるため、尾崎先生が乳癌についての全般的な講義をしてくれました。とてもわかりやすく、また私自身は治療に関する知識など、とても学ぶことの多い講義でした。
今のところは、7人で和気あいあいと信じられないくらいとても楽しく毎日過ごしています。今日は夜にチームでミーティングを行う予定です。
徐々にチームのプロジェクトや各自の mission/vision にも focus していきます!
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
上野 直人(M. D. Anderson Cancer Center) 2016/09/12
みんなんで楽しく過ごしているのを聞いて安心しました。がんばってくださいね。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
山上 睦実(東京大学大学院) 2016/09/12
JME11日目
 本日は日曜日です。天気も良くさわやかな一日の始まりにハエの仲良しファミリーがリビングにやってくるというアクシデント(!)がありましたが、日本から持ってきたスプレーで戦いに勝利をおさめることができました。そして昨日三浦先生が連れて行ってくださったスーパーで購入した食材で優雅な朝食を頂きました。
 日中はメンバーそれぞれメンターと会ったり、ランチに出かけたり、食材の買い出しに行ったりと各々過ごしていましたが、夕方にはチームごとにミーテイングを行いました。Bチームはただいま発散の段階、amazonUSAで購入したホワイトボードペーパーを活用して問題意識やお互いの考えを伝えあいました。
 そしてその後はまたみんなで夕食、本日はテキサスにきたら一度は食べたい極厚ステーキをいただきました。たいへん大きなお肉でしたが、すっぽりと胃袋に収まりました。徐々に胃袋もアメリカサイズへと拡大しつつあります。
 夕食後は吉井先生が造血幹細胞移植についての講義をしてくださいました。もうすでに移植の外来へ見学を行ったメンバーもおり、米国と日本の医療体制や支援、入院期間などの違いも大きいようです。
 明日から再び研修です。今週もいろいろな部門の見学と金・土はサポーティブケア・緩和ケアのカンファレンスへの参加が予定されています。多くの貴重な機会をいただいたことに大変感謝し、今週も広い広い院内を駆け回りたいと思います。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
松本奈都美 (聖マリアンナ医科大学病院) 2016/09/13
今日(9月12日)から研修2週目がスタートしました。昨夜もおいしい手作りごはんと共にみんなとの会話が弾んでしまったので、少し眠い目をこすりながら病院へ向かいました。

私たちAグループは午前はLim先生についてBreast外来を見学しました。初めて会う患者さんであるにも関わらず、ハグをしたり昔から知っているような雰囲気の中で診察されている姿がとても印象的でした。また日本から研修に来ているということを伝えると、Fabulous!と言って快く見学を受け入れてくださる患者さんに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

午後からはBreast外来の薬剤師さん(Clinical Pharmacist)につかせていただきました。一人一人の患者さんについて、医師、Nurse Practitioner、Clinical Pharmacistがディスカッションしているのですが、薬剤師として具体的にどのようなことを話をしているのか、どの点に着目して患者さんをフォローしているのかを教えていただきました。

外来業務終了後も別室に移動して熱心に教えていただきました。

・MDアンダーソンでは業務毎に担当する職種が細分化されているが、各職種の役割はオーバーラップ、混合(blend)しており、お互い助け合いながら業務をこなしている。その中で、専門性を活かせるところには時間を割いて介入する。それぞれの専門性を活かすためにもできる業務が重複していることは重要。
・TeachingとはTraining programやResidency program等、Educationとしてのものもあるが、一緒に働いている身近な人(friendと表現されていました)に何かを伝えることもTeachingになり、friendがまた次のfriendに教えることでそれをどんどん広げることができる。
・チームへ貢献するステップは、まずrelation shipを作る→信頼関係(trust)を作る→尊敬し合える関係(respect)を作る→チームに何かを教える→教えた人がいなくてもそれができるようにし、チームが機能するようにする。この方法によって、20人の医師に対して5人しかいない薬剤師がEfficiently, Effectivelyにチームに貢献している。
・何かを構築していくのにはとても時間がかかる。薬剤師が今のようになるのには20年かかった。

チームへの貢献の仕方のエッセンスを教えていただいた貴重な時間でした。Thank youしか言えなくてもどかしいですが、英語力の乏しい私を見捨てずに丁寧に教えてくださった薬剤師さんにどうか感謝の気持ちが伝わりますように。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
Y.Kojima(St.Marianna) 2016/09/13
お疲れ様です。
今回の経験を上手に持ち帰って、自分が所属する環境で、よりeffectiveなチームビルディングができたらいいですね。
Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
藤原登茂(聖路加国際大学) 2016/09/15
JME13日目
上野先生の外来を見学させていただきました。MDACCでは医師、看護師(ナースプラクティショナー、RN)、薬剤師がチームとなり診察をしています。
常に同じ空間に全職種が揃っているためタイムリーに患者さんの情報を共有でき、スタッフ全員が平等に意見を言い合う姿を目の当たりにしました。
経験年数の違うスタッフでも相手を信頼しコミュニケーションを取っている姿は、日本に戻ってからも応用できる姿だと感じました。
MDACCの最先端のチーム医療を学びつつ日本で実現できることを視野に入れながら、今後も学びを深めていこうと思います。
14日目: Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
島 久美子(北里大学医学部 ) 2016/09/15
Time flies!!!
Houstonに来て既に2週間が経ってしまいました!

本日の私のtake awayは、psychological safetyとmindful communicationでした。

2週目に入り、こちらの生活にも慣れてきて、研修も本格的に走り始めました。

個別研修のアポイントも増えてきて、より一層個人のタイムマネジメント能力やリーダーシップ能力が問われてきています。

上野先生とのミーティングやMentor-Mentee面談も始まり、自分たちのキャリア形成について自分自身と真剣に向き合う時。

自分が情熱を持っているものは何か?そして、それはなぜか?

自分が覚悟を持って将来実現したいことは何か?そして、それはなぜか?更には、どのようなプロセスで達成しようと考えているのか?

自分の人としての哲学は何か?プロフェッショナルとしての哲学は何か?

自分のuniqueさはどこにあり、それを自身のキャリアの中でどのように生かしたいと考えているのか?

今までの自分を振り返り、実際に達成してきたことは何で、どのようなプロセスで達成してきたのか?なぜそのプロセスを選んだのか?自分の勝ちパターン(強み)は何か?逆に苦手なこと(弱み)は何か?

自分が達成したい目標は何か?そして、それはなぜか?達成するために必要な資源は何で、障壁は何か?目標達成のために必要なスキルは何か?

これは、今日一日で、メンターの先生方に自分を知ってもらうために自分自身に問いかけ答えた問いと、自分の中でモヤモヤしている事を整理するために、または自分自身のキャリア形成を真剣に考えるために、様々なミーティングなどを通してメンターの方々に聞かれた質問の一部です。

[こちらに来てから、毎日色々な人と話し議論しますが、皆さまとても優しく前向きです。医療者だからか、こちらの基礎体力は最大限維持しながら突っ込み(治療)をしてくれます。ビジネススクールの時のように笑顔で瀕死になるまで、滅多斬り・滅多刺しにされる事は今のところありません。皆さま全力で我々をempowerしながら議論を進めてくれます。]

JMEプログラムでは、ありがたいことに、それぞれのキャリアや関心事に合わせて、メンターを1~2名つけてくれます。


私の場合、私についてくださるメンター2名のうち1名にしかまだ会えていないのですが、朝の6:30にメンターがアパートまで迎えに来てくださり、朝食を食べながら8:30頃まで、色々と自分の考えや想いをテーブルに載せては、メンターにもっと具体的に理由も含めて簡潔に説明してみてなどと、ちょこちょこ突っ込まれながらディスカッションを楽しみました。

最後に、人に真摯に思いやりを持って接すれば、その思いやりは百倍にも千倍にもなってあなたのところに戻ってくる。だから、目の前の人や物事に常に真摯に思いやりを持って行動する事が重要だ。そして、このMD Andersonの人々はその事を理解しているので、安心して自分の想いを周囲の人に語りチャンスを掴みなさいと背中を押してもらいました。


お昼は、ランチを食べながらDr. Theriaultによる研究倫理の話と共に、目頭が熱くなるようなご自身の昔話をしてくださりました。お話の内容は、先生が自分にはできない事はないと思っていた若かれし頃、ある患者さんとの出会いを通して、医師にもヒューマニズムが欠かせないと気付かされたと言う内容でした。

そして医療者は、人としての哲学と科学者としての哲学両方を持ち合わせていなくてはならない。さて、君たちの人として、また科学者としての哲学は何ですか?とすぐには答えが出ない宿題をいただきました。

加えて、自分やチームメンバーを成長させながら、患者ケアの質を向上させるためには、常にチームメンバーからの率直なフィードバックが欠かせない。何か改善すべき事がある時は職種や職位など関係なく指摘し合える関係作りが欠かせないと教えていただきました。


本日の締めは、上野先生とのミーティングです。我々がキャリア形成を考える上で、どのような事で壁にぶつかっている事に対して、様々なアドバイスをいただきました。

ここでも、まだみんなの考えが漠然としているので、もっと具体的に書いてくれないと、こちらもアドバイスや具体的なサポートができないよと言われ、その当たり前の事を問われている状況に対して、的確な考えをoutputできず立ち止まってしまう自分に思わずため息をついてしまいました。

キャリアとして、身を立てていくためには、戦略的に自分のポジショニングを際立たせる道を模索することと情報発信が欠かせない。そのためには、自分のやりたい事を明確にし、具体的に簡潔なメッセージを発することが重要であると学びました。

またMD Andersonが、なぜチーム医療をするようになったのか?そして、どのように進化させてきたのか?など、時代の変遷と共に概略を教えていただきました。

最後にチームを作る上で上野先生が最も大切にしていることは何ですか?と伺ったら、「Psychological safety」だと仰っていたのが印象的でした。


innovativeなチーム・進化し続けるチームを作るには、時には厳しい事を互いに指摘しあったり、自分がやりたい事を安心して話し相談し合える風通しの良い環境が欠かせない。そのためには、mindful communicationとpsychological safetyが、ベースラインとして必要だなと改めて実感した一日でした。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
Yukinori Ozaki(虎の門病院) 2016/09/16
今日はweek2の木曜日でした。

朝は6時30分に、薬剤師Jeffが迎えに来てくださいました。そして、朝ご飯のチキンバーガーをご馳走になりながら、血液病棟の全体像を教えてくれました。チームは5チームあり、そのうち4チームは急性白血病の寛解導入をアクティブに行うチーム、1つは寛解後の治療を行うチームでした。今日は全体で126人の患者さんが入院していました。
私は朝8時から、寛解後の患者さんをみるremmisionチームのラウンドに参加しました。
急性リンパ急性白血病の地固め療法の患者さんが多かったです。医師、薬剤師が一緒にカルテを確認し、そこに病棟看護師が参加して、医学的内容や社会的問題も含めて様々な議論をしながらラウンドしていました。薬剤師は各患者さんの薬剤を全て確認し、調整していました。日本の、指導医とレジデントが一緒にラウンドする光景によく似ていました。臨床に身を置いている薬剤師は、日々の臨床において欠かせない大きな役割を担っていました。

午後は、薬剤師Katieから講義をしてもらいました。Division of Pharmacyの全体像、院内でのシステムなどについて学びましたが、最も驚いたのは、やはりなんといってもPharmacistの教育体系でした。学部卒業後、Post-Graduate Trainingを受けることができます。1年間にわたり、内科、救急、ICU、Oncology、緩和ケア、感染症、移植など、様々な臨床分野をローテーションして実地臨床を学ぶことができるのです。選択すれば、2年目ではより専門性の高い分野をローテーションできます。Oncology分野を選択すれば、Breast,GI,Leukemia,GU,GYN,LungなどのClinical Pharmacyを実地で学ぶことができます。私は薬剤師ではありませんが、この教育を受けたいと思うようなプログラムでした。評価法はシビアで、3~4週間ごとに各領域の達成目標があり、それをクリアしなければパスできないということでした。こうして、一般分野だけでなく専門性の高い分野の実地臨床を学ぶことで、上記のような病棟ラウンドにおいて、重要な役割を任うことができるのだと理解しました。

また、Vision and Missionについてですが、まずこの2週間で理解した、上野先生や他のMentorからのメッセージは、「一般腫瘍内科という専門もあるが、、」「人生に、いくつもの分野でSpecialistになるほどの時間はない!」「本当に自分が何をしたいのか、どうなりたいのかを考えなさい」「そこにたどり着くためにはどうしたらよいか考えなさい」です。文字にすると、なんだか前から色々な方に言われてきた内容に見えます。。。 ですが、MDA Cancer Centerは様々なロールモデルとなるSpecialistたちで溢れていて、そうした方々の姿を一人ひとり見て話を聞いていくうちに、その意味がジワジワ染みるように理解できてきたように思います。残り3週間を大切にしたいと思っています。

明日から2日間は、20th Annual Interdisciplinary Conference on Supportive Care, Hospice and Palliative MedicineがMDA内で開催されます。Palliative careについて学んできます!
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
佐々木(久留米大学病理学講座) 2016/09/16
JME2014 の佐々木と申します。
日々充実した研修を受けておられるのがひしひしと伝わってきます。

>「人生に、いくつもの分野でSpecialistになるほどの時間はない
!」「本当に自分が何をしたいのか、どうなりたいのかを考えなさい」「そこにたどり着くためにはどうしたらよいか考えなさい」

につきまして、身につまされます。
尾崎先生のご投稿をきっかけとして本当に自分がしたいこととそこへのプランを考え直したいと思います。

今後も引き続きよい経験をされますことをお祈り申し上げます。長い研修、お身体に気をつけてください。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
吉井 由美 (奈良県立医科大学附属病院) 2016/09/18
JME16日目
今日は、MDアンダーソンで開催されている、20th Annual Interdisciplinary Conference on Supportive Care, Hospice and Palliative Medicineに朝から参加しました。
緩和医療について様々な側面から体系的な講義があり、興味深かったです。このところ、医療スタッフによるカウンセリングやアプリを用いたサポートが化学療法終了後の患者の生存期間を有意に延長させ、その効果は抗がん剤をはるかに凌ぎ、さらには副作用が皆無であるという目覚ましい成果が次々と報告されており、早期からの緩和的介入の重要さが繰り返し強調されていました。興味深かったのは、病院の診療科の名前がPalliative care (緩和治療)からSupportive care (支持療法)に名前が変わったことで、より多くの患者さんが紹介され、かつ早期から紹介されるようになったということです。たったそんなことで変わるのか!と少々驚きました。
山盛りサラダの昼食をはさみ、午後。重篤な病気をかかえた患者さんとどのように対話するか?のセッションでは、シュミレーションビデオ(良い例)を見ながらフロアからの意見を出し合い、その後で隣の人とロールプレイングで実践しました。文化の違いは多少あれど、病をかかえた人の悩みや受容の仕方は洋の東西を問わず本質的には同じなのだと感じました。
その他にも、リハビリテーションや音楽療法、経口と静注モルヒネの適切な換算、個人的な痛みの感じ方に合わせたゴールの設定方法、またこれはアメリカならではかもしれませんが文化の違いに応じた終末期の精神的ケアの方法など、実際的で魅力的なプログラムが続きました。
先進的で希望に満ちた新しい治療が日々開発されていく中で、こういう人間の尊厳という最も大切な部分に関わる医療もまた患者さんたちをしっかりと支えているということに改めて思いを致すことができた学会でした。

夜は大学の先輩の同僚でMDアンダーソンに留学されている日本人の先生のアレンジで、その同僚のイタリア人とコロンビア人の研究者の方と私の4人で日本食レストランへ。こちらに来て、日本をある程度知るUSメンターの先生方はわりとすんなり私たちの持つ日本の医療的背景を受け止めてくれていた印象でしたが、そうではない人たちにとっては想像もつかないほどの違いが日米の間にはあるという前提に改めて気づかされました。拙い英語で事情を話しているうちにすっかり打ち解け、あとは陽気なラテンの血でおしゃべりが止まりませんでした。
日本にいたのでは知り合いになれなかった人と話し、気づけなかった違いに気づき、いろんなことを知ることができて、世界がぐんぐんと広がっていくのを感じる今日この頃です。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
Yukinori Ozaki(虎の門病院) 2016/09/18
佐々木先生

コメント頂き有難うございます。ご配慮いただき有難うございます。
我々JME2016メンバーは、みなそれぞれ自問自答を繰り返しながら、おそらく少しずつ前に進んでいます。とても貴重な時間を過ごしています!
これからも宜しくお願い致します。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
下村(都内某施設) 2016/09/19
JMEはじっくりと自分と向き合う時間があること、仲間たちと濃厚な時間を過ごせること(そんな機会は、社会人になってからは滅多にありませんよね。特に医療従事者は)、普段なら出会えない人たちに出会えることがとても大きいと思います。一日一日を充実したものにしてください。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
吉井 由美 (奈良県立医科大学附属病院) 2016/09/19
下村先生
コメントありがとうございます。
ほんとにそうですよね。
神様からいただいたこの貴重な時間を大事にしたいと思います。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
田澤 咲子(昭和大学) 2016/09/19
JME17日目の報告をさせていただきます。
16日目に続き、20th Annual Interdisciplinary Conference on Supportive care, Hospice and Palliative Medicineに参加させていただきました。朝はLGBTの end-of-life についてのセッションに参加し、今まであまり目を向けたことのなかった分野のお話を聞くことができ、とても印象的でした。
学会の後は、自分の mission/vision について向き合う時間を作ることができました。
自分のやりたいことを文字にしようとしているだけなはずなのに、私は正直まだとても難しいとも感じています。
夜は、JME の先輩でもある三浦裕司先生のご自宅にお招きいただきました。久しぶりにお刺身やお寿司をいただき、感動!でした。三浦先生・奥様、本当にありがとうございました。そして三浦先生とのお話の中で自分のキャリアを考える上でのいろいろなヒントもいただくことができました。
また、18日目の今日は MDACC で10年以上研究をしていらっしゃる日本人病理医の藤本淳也先生に夕食をとりながらお話を伺うことができました。現実の厳しさも教えていただくことができ、とても貴重な時間でした。
早いもので JME 2016も折り返し地点まで来ています!最近では、それぞれ見学したい部署やカンファレンスが出てきていろいろな予定を組んでいただいています。三週目も充実した一週間にしていきます。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
山上 睦実(東京大学大学院) 2016/09/20
JME18日目のご報告です。
本日、日曜日は完全オフの休日でした。
平日はほぼ朝 6:30~夕方19:00の病院での研修ということもあり、久々にゆっくり起床しました。
昼は日本から持参した味噌煮込みうどんとラーメンを食しつつ、現地調達した材料でオムライスを作り、食べました。
休みとはいえ、いつも集合しご飯をたべることが多く、家族のような一体感が生まれています。
夕飯は前回書いてくださっていた通り医師たちはお食事会へ。
残りのメンバーは車で30分ほどのショッピングモールへ。
メンバーの1人のご両親がアメリカ旅行の途中で立ち寄ってくださり、車で連れて行ってくださりました。
端から端まで1時間以上かかる広大で綺麗なモールでしたが、なんと閉店が19:00!18:00にしまっているお店もありましたが、18:30に滑り込んだ私たちはおしゃれな下着屋さんで化粧品を買い、かわいいお菓子やさんでたくさんのグミを買い込み短時間で満足なお買い物を楽しみました。
アメリカの日曜日の夜は早めにお店が閉まることが多いようです。

ついに3週目ということもあり、だんだんと病院の状況に適応しつつあります。このプログラムは院内で唯一、組織横断的に興味のある分野の見学ができるものだそうです。
あちこちの病棟や外来に伺い、拙い英語で話しかける私に対して、MDAのスタッフの方々は一生懸命、説明をしてくださいます。
さらに有意義に過ごすことができるよう見学の調整と自身のキャリアプランと向き合いたいと思います。
Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
藤原登茂(聖路加国際大学院) 2016/09/21
JME19日目のご報告をさせていただきます。
 私が所属するチームAは、pharmacistのKatieが婦人科外来を案内して下さいました。婦人科外来には外科と内科を両方行うattending physician, APP(Physician assistantあるいはNurse practitioner),Clinical Pharmacist, Registered Nurse, Schedulerがチームを構成しています。5人のattending physicianが在籍しているため、チームは5つ、その中でもClinical pharmacistは2名で5チームを担当するようになっていました。
 日本の看護師は、正看護師あるいは准看護師の違いのみですが、アメリカは役割が細分化されており、大きく分けるとLVN(Licensed Vocational Nurse日本でいう准看護師),RN(Registered Nurse日本でいう正看護師),NP(Nurse Practitioner)となります。婦人科外来では、来院した患者のバイタルサインのチェック、問診をRNが行い、NPとPhysicianが話し合いながら治療方針の決定をチームで行っていました。
 RNの問診票には身体症状だけではなく、精神的に苦痛がないかを確認するためのscaleを用いて評価できるようになっています。特に「家事の困難」「子供への不安」があるかどうかをチェックできる項目まで網羅されていることに驚きました。婦人科では、子供をもつ母親も患者として来院するため、多くの職種が関わることで不安を拾い上げやすいそうです。さらに、より専門的な介入が必要な時は精神科医やチャプレンへ紹介し、タイムリーに対応しているとのことでした。ここでも、MDACCの細分化された職種間の連携、チームダイナミクスの効果を感じました。
 またAPPとClinical Pharmacistの大きな違いは診療報酬の算定ができるかどうかにあり、APPにはそれができるとのことでした。一方、Clinical Pharmacistは、承認されていない薬剤を臨床試験で使用できるように保険会社に連絡するdrug accessやeducationを主に行い「これが私達の専門性」とKatieは仰っていました。
 教育の一環として、患者用の一般的な化学療法パンフレットには妊孕性の説明があり、化学療法の影響、妊孕性温存方法、相談方法まで詳細に記載されていることには驚きました。このパンフレットは2015年に改訂されており、他には各薬剤の詳細な説明書もダウンロードできるようになっており、資料の豊富さを目の当たりにしました。
 このように、患者教育をしながら、他職種でタイムリーに患者の声を拾いあげていくという基本を確認し、これは日本でもできることではありますが、そのためには職種同士の密なコミュニケーションと意識づけの必要性も感じました。
 私自身の最も関心のある分野はがんと生殖ですが、MDACCの婦人科外来には週に2回OncoFertility外来があり、今後見学に行く予定です。効果的な質問ができるよう準備して臨んでいきたいと思います。
 
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
松本奈都美 (聖マリアンナ医科大学病院) 2016/09/22
JME20日目のご報告です。

午前中はMDアンダーソンのメインビルディングからシャトルバスに乗って、少し離れたBlood Donor Centerに行きました。
いろいろな部署を見学しましたが、顆粒球輸血についても勉強しました。MDACCは全米でも最大規模のプログラムを有し、この日も3人の方が顆粒球提供をしているところを見学できました。手技的には日本と比較して大きな違いはないようでしたが、ドナーの体格が大きいので採血量が多い、日本では基本的に家族しかドナーになれませんが、ボランティアドナーの方も提供できるということが、MDACCならではのことだと思いました。また、アメリカの主要な癌センターの中でも群を抜いて輸血量が多いことには驚きました。その60%はLeukemiaに対して使っているそうです。
タイムリーなこととして、ジカウイルスの注意書が入口にあったり、採血前にジカウイルスにかかっていないかを何度も確認したりして、ジカウイルスには特に注意を払っていました。
献血車も見学させていただきました。中のソファはなかなか座り心地が良かったです。時には往復8時間かかるところまで出動するそうです。
昨日はプロトンセンター、今日はBloodセンターに行き、日本でも見学したことがないことを見学することができ、とても勉強になっています。

お昼はintegrative medicine lectureを聞きに行きました。integrative medicineとは鍼灸、音楽、ヨガ等を治療に取り入れるというもので、悪心嘔吐やストレスの軽減の1つの方法としてNCCNにも記載されています。先日のSupportive Care Conferenceでも取り上げられていたり、MDACCにはintegrative medicine center という、それを専門に扱うセンターまであります。現在いくつかのResearch Projectも動いているようです。エビデンスのある治療として患者さんの選択肢の1つになれば良いなと思います。

本日の最終レクチャーはMyer Briggsについてでした。Myer Briggsでは人の性格を4つの指標をもとにした16タイプに分類しており、テストを受けることで自分の性格がそのうちのどれに当たるか診断することができます。4つの指標はそれぞれ2つの対向する性質を持ち、外向(E) or 内向(I) 、感覚(S) or 直観(N) 、思考(T) or 感情(F) 、規範(J) or 柔軟(P) のに表されます。それぞれの概念についてロールプレイをしたり、具体的な事例を考えることで、楽しく理解することができました。
Myer Briggsは人との相性やチーム形成の指標にするというよりも、自分自身の傾向を知り、自己理解を深めるものという印象でした。講師の先生もこれをすることで、自分は自分で良いと思えたとおっしゃっていました。
ちなみに私はISFJでした。自分を理解した上でチームメンバーに貢献していきたいと思います。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
松本奈都美 (聖マリアンナ医科大学病院) 2016/09/22
小島先生
コメントいただきありがとうございます。
英語力がなく、意図する質問に対する答えを得るのは難しいと感じています。
学んだことを実践するのはもっと難しいと思います。
ですが、活かさないと意味がないので、上手に持ち帰られるよう頑張ります!
Mentoringについて
島 久美子(北里大学医学部 ) 2016/09/23
早いもので、もう渡米してから3週間が経ってしまいました。こんなに楽しく幸せな時間が残すところあと半分なんて信じられません。想像しただけで悲しくなってしまいます。


本日の上野先生とのミーティングからの一番のtake awayは、「自分の信念を持って、メッセージを簡素化して伝える」です。

簡潔に伝えるというのは、私にとって本当に難しいです。本当に自分の頭の中をクリアにして伝えたいメッセージの本質だけをしっかり見極め、次に適切なトーンや言葉を選ぶ…考えただけでも頭がムズムズしてしまいますが、日々訓練をしなくてはと心を新たに頑張ります!


ところで、“Mentoring”または“Mentor-Mentee”などの言葉を聞いたことはありますか?

本日の午後は、Faculty DevelopmentのVikkiによるメンタリングについての講義のあと、上野先生とのミーティングではメンタリングや本日の昼に行われたランチョンのイベントの話などについて色々と興味深い話を伺いました。

Mentoringとは…
簡単に言うと、長期的なキャリアや人格形成に必要なハードスキルとソフトスキルを直接的なコミュニケーションを通して、相手(mentee)に気づきを与えたり、相手の中にある方向性や価値観などの答えを導き出すのを助け、また時には相手に必要なスキルを伝授したりすることを言うようです。そして、mentoringする人をmentor、mentoringされる人をmenteeといいます。

MD Anderson(MDA)では、人事戦略の中にmentoringの推奨があり、若手のfaculty(主に医師・Ph.D.)はmentorを持つことを、ベテランfacultyはmenteeを持つことが、人事評価の中に組み込まれています。そして、部門外や組織外にもmentorを持つことを強く推奨する事で、組織内外に直接的な利害関係を持たないタテ・ヨコ・ナナメの関係(ネットワーク)を築くことにより、faculty個人を成長させるだけでなく、組織としてのイノベーションを促そうという意図があると伺いました。

実際にMDAにおいて、研究分野のfacultyだけでなく、臨床のfacultyも研究を進める上でmentorを持つことが有用であると認識されていると聞きました。

私自身、大学院での経験から今まで、実質的に様々な方からmentoringされ、自分のことをよく知り成長できたと考えており、このような機会がもっと若い、学部の頃から意識的にあったらどんなに良かっただろうかと今でも思っています。

私にとって、なぜmentorが必要かというと、彼らとのコミュニケーションを通して、「前向きに頑張って何かを実現しようとしている人を応援しよう!」というたくさんの愛情を受け取れるだけでなく、以下の理由があります。
・長期的な視点から自分が実現したいことは何かを真剣に考える機会になる
・異なる視点や立場からの意見や観察を通して今まで自分が思いもしなかった視界・視野を得る機会になる
・相手と対峙することにより自分に対しての深い内省がしやすい
そして、これら全てのプロセスを通して、腑に落ちる多くの気づきを得て、本当に少しずつですが毎日楽しく自分を成長させることできるからです。

言い換えると…
私のような凡人が成長=行動変容をするには、他人から「~したほうが良いんじゃない?」と諭され頭で理解しただけでは、なかなか行動を変えられません。それよりも例えば、「あなたは、10年後、又はキャリアを終えるとき、どのような自分になっていたいの?それは、なぜ?今やっている事ととの整合性は?それはなぜ?」などと質問を投げられ、それに答えるプロセスを通して、「あっ 私がやりたいのはこんな事で、こんな事に情熱があるけど、そのためには今…」などと腑に落ちる気づきが、真剣に自分を変えようという原動力になります。


因みに、上野先生によるmenteeのworst rankingの条件は…
#1 何もしない人
#2 自分が落ち込んだ時のみ連絡してくる人
だそうです。

mentor-menteeはキャッチボールをする相手であり、menteeが自ら自主的に小出しでも良いから定期的に話をすることが重要であるとアドバイスをいただきました。
確かにmentorはボランティアで、相手の時間も大切です。mentorもmenteeに辛いときだけ頼られるよりも、日常的に連絡を取りながら、inspirationや元気をもらったりできるようなwin-winの関係を構築できたら理想だなと思いました。

もう1つ、mentorと会話のキャッチボールをする際に、自分のuniqueさをmentorにわかりやすく、タイムリーに伝える事で、人や仕事など様々な機会を得られる可能性があるということです。
世の中は人脈で動いており、uniqueでなければ、mentorの記憶に残らないだけでなく、mentorから見て特に区別がつかなければ選ぶ事が出来ないからとのことです。臨床はみんなできて当たり前。その上で、自分にしかできないことは何かをしっかり決める事が重要であると改めて思いました。


だからこそ、
「自分のvisionは〇〇で、missionはXXです。
なぜならば、①…., ②…, ③…です。
だから、私のvisionは〇〇なのです。」
と簡潔に相手に伝えられるようになれるように、後半戦もしっかり頑張りたいと思います。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
Yukinori Ozaki(虎の門病院) 2016/09/23
Week3の木曜日、JME22日目の書き込みです。
今日は、Wound Care Nursing、外来化学療法室の見学報告と、現時点でのMultidisciplinary teamに対する考えを記載したいと思います。

午前中は、Wound Care Nursingのラウンドを見学しました。Wound Care Nurseとは、ストマやウロバックや褥瘡などの管理、対応に関する指導・アドバイスを行う、資格を持った看護師のことです。Physicianからオーダーが入ると、入院患者さんだけでなく外来でも診療しています。通常の人工肛門の指導であれば、一回の指導は30分程度、それを3日間行います。低侵襲手術であれば入院期間も短く、ストマやウロバックなどの指導も短期間で集中的に指導しています。十分な説明を受けているせいか、多くの患者さんはあまり心配を抱えている様子はありませんでしたが、退院後もいつでもメールをするなり、予約をとってWound Care Nursing外来に来てもらって構わないことを強調していることが印象的でした。

午後は、外来化学療法室を見学しました。MDAにはメインビルディングとメイズクリニックにそれぞれ外来化学療法室があり、メイズでは1日200人以上の患者さんが化学療法を受けていました。看護師は同時に約25人程度働いていました。一度に投与できる患者さんの人数は66人と、非常に多くの人数を一度に対応しています。看護師はレジメンや血液データだけでなく、病状、既往歴など必要な情報を自分で確認し、また症状、ADLだけでなく、Pshychosocialな情報もカルテに入力していました。圧倒的な規模の大きさに驚きましたが、ボランティアの方々が化学療法室内を歩き回って患者さんに声をかけている様子も、日本では見なかった光景であり、非常に新鮮でした。

また、現時点でのMultidisciplinary teamに対して感じたことを記載します。
MDAを見学するまでは、Multidisciplinary teamと聞いて、様々な役職のspecialist集団が連携しながら患者さんを中心にケアを行っていく様子を思い描いていました。
もちろんこの内容は正しいと思いますが、ついつい「仕事を細分化し」「たくさんの役職の人がいる」ことに気をとられていました。
ですが、Multidisciplinary teamの本質は、「細分化」することではなく、「つなぐ」ことである、と感じました。
数人のMentorの先生に、「Multidisciplinaryの欠点はなにか?」と質問してみました。
返ってきた答えは、
・時間がかかるので、効果的ではあるが効率的ではない
・様々な考えの人が混ざるので、チームとしてうまくいかないこともしばしばある
ということでした。
「結局はコミュニケーションだ」といったコメントも頂きました。

MDAには多職種のspecialistをまとめる緻密なシステムがあるのか、とばかり思っていましたが、実際に見学してみると、もっと泥臭いものだと分かりました。結局は、顔を合わせて話し合うこと、周囲のスタッフとうまくコミュニケーションをとることが、Teamが効果的に機能するかどうかの本質だろうと理解しました。

やはり、文章にするといろんな講義で聞いた内容そのままのような気もしてきますが、、、それをMDAで実感することができた、というのがこのプログラムの醍醐味なんだと思いました。

追伸:いつもいつも他のメンバーの皆さんが作ってくださる素晴らしい夕食をいただいており、大変感謝しております。この場をお借りして御礼申し上げます。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
吉井 由美 (奈良県立医科大学附属病院) 2016/09/26
JME23日目。
この日は本当に盛りだくさんな一日でした。
まず朝は病理、検査医学のGrand Roundでベーラー大学のJun Teruya先生による「凝固検査のピットフォール」という、大学院で血栓止血を勉強している私には個人的にかなりストライクな内容でした。がんセンターで血栓止血の研究をされている先生と思いがけずお会いできたのに少し驚き終了後に自己紹介をしたところ、「マイナーな分野だけど頑張って」と励ましていただきうれしかったです。
その後、ナースプラクティショナーのNickに連れられ、造血幹細胞移植を受けた患者さんが退院後に通う、通院治療センターの見学へ。日本では通院治療センターといえば化学療法や自己免疫疾患の生物学的製剤を受ける患者さんが通うイメージですが、ここアメリカでは一般的に造血幹細胞移植を受けた患者さんは白血球が生着すれば完全に点滴がオフにならなくても退院されます。なので退院後数か月は通院治療センターで必要な輸液や抗生剤、輸血などの点滴を受けるそうです。MDアンダーソンにはいくつか通院治療センターがありますが、この日見学したメインビルディングの通院治療センターは60床、そのうち約20床が移植後の患者さん用に使用されているそうです。さらに驚いたことに、移植後の患者さんが順調に経過されている場合は、あらかじめ医師、ナースプラクティショナー、臨床薬剤師が取り決めたスケジュールに沿って、血液検査や骨髄検査、各種ウイルスのモニタリング、免疫抑制剤の血中濃度の測定とそれに沿った免疫抑制剤の減量、適切な抗生剤や輸血の投与などの大部分をナースプラクティショナーや臨床薬剤師が共同で行っていました。日本で造血幹細胞移植を受けられた患者さんを受け持っていた頃に自分がしていた仕事の大部分がここでは医師以外の職種によって担われているということにびっくりしました。
昼食後は見晴らしのよいMid Campus Buildingの18階でJanisによるリーダーシップの講義がありました。あなたが尊敬する人は誰か?なぜその人を尊敬するのか?を糸口に、望ましいリーダー像を紐解き、自分のCore Valueとは何か?を考え自分がなりたいリーダー像を見つける。さらにそれに基づき自分のキャリアディベロップメントを組み立てるといった一連の作業の大切さを改めて学びました。
その後はシミュレーションセンターの見学へ。ここでは急変時の蘇生処置など様々な場面を想定した訓練が行われており、医師、Mid-levelと呼ばれるナースプラクティショナーや臨床薬剤師、看護師などほとんどのメディカルスタッフは一度はどれかのコースを受けるそうです。
シミュレーションセンターの中にはたくさんの部屋があり、救急蘇生処置を訓練する部屋の他にも、小児の救急蘇生処置をする部屋、静脈注射を訓練する部屋、CVラインの手技を訓練する部屋などに分かれています。なかでも救急蘇生処置の部屋では一般病室やICU、手術室などの高画質な写真が印刷されたカーテンがあり、臨場感があふれる工夫がされていました。さらにはカメラで手技の過程が録画されており、デブリーフィングを通してよりよい手技へとつなげていくとのことでした。私たちも実際に救急蘇生のシミュレーションを使ってVFになった患者さん(名前はオザルカさん)をチームで連携して救命することができました。
帰宅後は、MDアンダーソンに留学されている先生方と日本の有志の先生をスカイプでつないだ勉強会があり、お邪魔してきました。今回は看護師の藤原さんから、臨床試験とチームビルディング、コミュニケーションスキルについての興味深いお話がありました。こんな時どうしたらいいか?という疑問に、まさにかゆいところに手が届くようにわかりやすい例を提示しつつ理論的に教えていただき、目からウロコが3枚ほど落ちました。
勉強した後は、ファヒータをつまみながらの飲み会に突入。留学よもやま話に加え、なぜかヒューストンで真田丸を熱く語りながら夜が更けました。
今日は本当に盛りだくさんなスケジュールで、頭もおなかもいっぱいになりつつ、こちらに来てから確実に成長した腹回りに気づかないふりをしながら、長い一日を終えたのでした。
さて、今週末も予定がぎっしり。そしてそれを越えると残すところあと2週間、少しでも爪痕を残せるように頑張ります!
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
田澤咲子(昭和大学) 2016/09/27
JME 2016 も残り二週間となりました。
先週の金曜日には、移植後の survivorship care clinic の見学に伺いました。日本の状況の詳細がわからないので比較が難しい上に文化的な違いもあると思われますが、看護師が薬の事から食事のこと、感染対策についてなど多岐に渡り、とてもざっくばらんに話をしながら患者さんに説明をしていて、双方向でのコミュニケーションが目に見えていたことが印象的でした。その後は GVHD の病理カンファレンスに出させていただきました。なかなか日常的には見ることのない症例もみることができ、新鮮でした。

また先週末はイベントが目白押しの二日間でした。
土曜日は、朝から Dr. Lim と Nurse の Nick に horseback riding に連れて行っていただきました。私は乗り方を間違えていたため、翌日から坐骨が痛くなっています。雨にも降られることなく、林の中を馬に乗って約一時間ぐるぐると歩き回りました。途中、Nick の馬が走り出してしまい、みんなが驚く場面がありましたが、みんな怪我をすることもなく、無事に帰ってくることができました。
夜は上野先生のご自宅にお招きいただき、夕食をご馳走になりました。とても幸せな楽しい時間を過ごさせていただくことができました。先週もいろいろな希望を叶えて頂き、またいろいろな出会いがあり、充実した一週間でした。

すっかり家族のような7人ですが、最近は徐々にグループ毎に final project に向けて話し合いをする時間も増えてきていて、本当の意味でのチームビルディングの真っ最中という感じです。病理医として自分の立ち位置の判断が難しく感じる場面もありますが、他のチームメンバーに助けられてばかりいます。
週末充電させてもらった分を、各自の mission/vision の確立や final project のためのグループワークなどに向けて、明日からまた発散していきたいと思います!
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
山上 睦実(東京大学大学院) 2016/09/28
JME26日目のご報告です。
本日は盛りだくさんの休日でした。
午前はJeffの運転でレンタルの10人乗りバンでNASA Johnson Space Centerへ。
行く途中、南部料理の朝食をいただきました。朝からフライドチキンが日常になりつつあります。大量のパンケーキ フライドチキン ワッフル ポークチョップをペロリといただきました。
NASAではアポロ11号を月におくった際に実際に使われていたMisson Controlを見学しました。今から考えるとこの設備でよく飛び立ったなと思えるようなブラウン管の画面と昔の計算機、電話などが当時の形のまま公開されていました。当時の最先端のコンピュータ技術を駆使していたとのことでしたが、当時のコンピュータは9MBだったというガイドさんからの説明の際には驚きで会場がざわつきました。
実物大ロケットの展示もあり、傍にはアポロ計画と宇宙飛行士の言葉が書かれていました。今回アポロ4~6号は無人飛行だったことや18号以降は中止になったことなどを知り、日常意識することのない人類の宇宙への挑戦を体感しました。
スペースシャトルの内部も見学し、お土産を爆買いしました。
昼は帰りにラーメンJINYAでアメリカのラーメンをいただきました。豚骨ラーメンを注文したのですが、日本のラーメンと変わらない味であることに驚きました。そしてまたまた美味しくいただきました。ラーメンはfancy foodとしてとても人気があるそうです。
そして夕方からはお世話になっているメンターさんたちに感謝の気持ちをお伝えすべくThank you party を薬剤師の2人のお部屋で行いました。日本の文化を感じていただけるように手巻き寿司や天ぷらでおもてなしをいたしました。茶道の実演では濃いお抹茶に苦笑いしたり、メンターのよもやま話に花が咲き、楽しい夜を過ごしました。
本日もメンターとの関係、お腹の肉ともに成長した1日でした。
明日より第4週に入ります。こちらで過ごす貴重な時間を大切にして自身の今後につなげていけるよう努めてまいります。
Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
藤原登茂(聖路加国際大学院) 2016/09/30
JME27日目は緩和ケア病棟の見学に行かせていただきました。
 緩和ケア病棟では、患者さんや家族が少しでもリラックスできる空間作りを目指しており、穏やかなBGMが流れています。今回、私がMDAに来て驚いたのはどの病棟も驚くほど静かだということです。何か工夫をしているのか聞いたところ私の質問の仕方が悪かったのか「特にないし今日は忙しくないから」という返答でした。
ナースコールが少ない理由がどこにあるのかと思いながら研修をすすめていくと、MDAのRNは1日にだいたい2~3人の患者を担当していることが分かりました。(日本は日勤帯で7人ほど受け持つ病院が多いと思います。)
 日本の看護師が毎日行っているバイタルサインのチェックや、清拭、リネンの交換、排泄の処理はナースアシスタントが行い、それに対してRNの業務は薬の管理、身体症状のアセスメント、医師への報告、安全の管理を含めて患者さんの生活を守ることに徹していました。
もちろんナースアシスタントが忙しく業務ができないときは、RNが行うこともあり、双方でコミュニケーションをとりながら流動的に協力し働いている姿を観察できました。
 また、こちらの緩和ケア病棟の平均在院日数は1週間で、症状コントロールがメインとのことでした。本来であれば診断時から緩和ケアが開始されるべきであるという考え方は広まっていますが、積極的治療が終了し、緩和ケアに移行してしまうというような考えを持つ方々はアメリカにも多くいるようです。そのような「恐れ」を抱いている患者さんに対して、高い技術で安楽を提供することで「恐れ」を消していく、それがやりがいであり、その根源はMDAが全米1位のがんセンターであること、そのための患者家族の期待に応えたいという思いがあると担当して下さったRNは仰っていました。
 こちらの病棟でも他職種で病床を訪れ、今後の方針や確認を患者家族と共にしている姿がありました。各病室には、Patient Goal /Communication Board というホワイトボードが貼ってあります。毎日のゴール(例えば痛みのコントロールをする。痛みのスケールが2に下がる等)と目標退院日、Care Team memberの名前、家族の名前まで書けるようになっています。このボードを患者家族の前でRNが書き直し、一つの目標に向かって一丸となっていくという姿にも感動しました。多くの他職種(医師、フェロー、ナースプラクティショナー、薬剤師、ソーシャルワーカー、ケアマネージャー)が一丸となっていること、
 そのためには各々が、他職種の違いを理解しrespectしているとも聞くことができ、日本の緩和ケア病棟でも同様であることも多く感じ、MDAの方々の誇りも感じ取ることができた1日でした。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
松本奈都美 (聖マリアンナ医科大学病院) 2016/09/30
JME27日目のご報告です。

ヒューストンに来たばかりのときは朝シャトルバスを待つ間に汗ばむ程でしたが、最近はとても涼しくなってきました。季節が移ろい、帰国の日が近付いていると思うと寂しいです。

今朝はまずBreast外来に行かせていただきました。これまでは医師の診察を主に見学させていただいていましたが、本日はレジスタードナースがバイタルをとり、Exam roomに移って問診し、医師につないでいく流れも見学しました。また、薬剤師による抗癌剤の初回説明も見学しました。各職種はそれぞれ別に患者さんに会いに行くのですが、スムーズに診察を進めるためには的確な情報伝達が不可欠だと思いました。

ランチタイムには統計家の先生にチームプロジェクトのリサーチパートの相談をさせていただきました。
メンバーのユニークさ、特に私たちのチームには病理医がいるのでそのユニークさを出せるプロジェクトを作れたらと考えています。そのために私たちはお互いの仕事や考えを理解するというところから始めました。みんなが関われるプロジェクトを考え出すのはなかなか難しいですが、これを作り出せば、病理医も含めたユニークなチーム医療構築の第一歩になるのではないかと思います。

午後は日本のメンターの看護師さんにお会いし、ミッションビジョンについてアドバイスをいただきました。私は薬剤師ですが、看護師さん目線からのお話を聞くことで、自分の専門性やもっと看護師さんと協力できることがあるということに気付かされました。
旅行の中の貴重なお時間を割いていただき、とてもありがたかったです。

研修期間も残り少なくなってきましたが、自分のmission visionも、チームプロジェクトも、妥協することなく突き詰めて行きたいと思います!
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
たいとう ともよ (TMUH) 2016/09/30
JME2016の皆様

いつも楽しく拝見いたしております。
皆様が経験されていること、懐かしくもあり、お!新しいプログラムだなと気づきあり、一番はうらやましくあります。

たくさんの学びの共有、ありがとうございます。
同じ場所で同じ経験をしたはずなのに、違う視点の学びの共有をいただき、私にとっても貴重な書き込みの数々です、ありがとうございます。

もう残り時間の方が短くなっているのですね!
最後の発表に向けて時間の流れは加速的に早くなると思いますが、思い切り楽しんでください!
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
Yukinori Ozaki(虎の門病院) 2016/09/30
たいとう様、コメント有難うございます。
去年、一昨年と比べて、色々変わっていることもあるかと思います。たくさんの関係者の皆様のおかげで、毎年進化してきているんだろうと思います。
一方で、同じ場にいたメンバー同士でも、後で話をすると、違った解釈や感じ方があることも多く、それが貴重な経験になっています。

今日は29日目の報告になります。

今朝は、乳腺の症例カンファに出てきました。乳腺腫瘍内科、乳腺外科の先生たちが20人くらい集まって、週の新規患者さんのプレゼンをしていました。新規患者さんのおそらく全症例を、多くの医師が集まって議論している様子は、とても刺激的でした。それぞれの医師が高い専門性を持って、アドバイスをし合っていました。臨床試験の話もたくさん飛び交っており、研究にもpassionを持って取り組んでいることがよく分かりました。
以前、Mentorの先生に「有効なmulti-disciplinary teamの指標のひとつは、みんながカンファレンスにきちんと出席し、参加しているかどうかだと思う」と言われたことを思い出しました。自分のことを考え、外来が忙しくて終わらないなどの理由で、カンファレンスに参加しなかったり遅刻したりしていたなぁと、反省しながら聞いていました。また、自分の専門性はこれだ、と思える分野で発言ができるようにならなければならない、と強く感じました。

午後は、チームプロジェクトを進めることに時間を使いました。
我々のプロジェクトは、若年性乳がん患者さんを対象としたものにしました。さらに照準を絞って、妊娠期乳がんに絞る方向に話は進んでいます。明日の午後もチームで話し合う予定です。

4週間目の木曜日ということで、メンバーにも少しずつ疲れが出てきています。
朝6時半のバスも慣れてきていたのですが、最近はちょっときついです。
それでも毎日、みんなで涙を流すくらい笑い合いながら頑張っています。
今日のカレーもとても美味しかったです。
明日もカレーです。
まだまだ我々のJME2016の旅は終わりません。
"Soft stuff is the hard stuff"
島 久美子(北里大学医学部 ) 2016/10/01
遅くなりましたが、28日目の報告です。
(盛りだくさんな一日を簡潔にまとめられず、今までで一番の長文になってしまったので、もしよろしければ、お時間のある時に読んでいただけたら幸いです。)

残すところあと1週間です。
グループプロジェクトにキャリア形成に関する自分の想いをまとめたり、研修報告書などの締め切りがもうすぐそこに見えて来てきます…同時に、MD Anderson(MDA)で経験したい事はあと1週間の中で行わなければなりません…。あと1週間、どうやって過ごそうかと焦りを沈めながら考えています。

今日は、以下のように盛りだくさんの一日で、本日の学びは何か?そして、何をどのように書こうか…書きながら考えています。
- 6:00~ メンターとbreakfast meeting
- 8:00~ 外来ケモ室の薬剤部見学
- 12:00~ Dr. Theriaultの倫理に関するセッション
- 13:15~ Medical Social Worker & Nurse Case Managerさん達とcoffee chat
- 15:00~ Janisのリーダーシップに関するセッション
- 17:15~ 上野先生とのミーティング
- 20:00 帰宅、みんなで夕食を食べる
ちなみに、これらの予定の間はほとんど時間がなく、キャンパス内をシャトルバスなども活用しながら、休む間も無く走り回る一日でした。

今日一日を注意深く振り返った結果、私の本日の学びは、"Soft stuff is the Hard stuff"(技術的なことではなく、人に関することが最も難しいことである)と言う言葉に集約されるのではないかと思いました。

すなわち、"soft stuff" とは、コミュニケーションや人間関係などに関することを「ソフトなモノ」と呼んでいて、 "hard stuff"とは、テクノロジー関係や設備などを「硬いモノ」と"soft stuff"とは対照的なモノを指します。同時に" hard"には、「難しい」と言う意味もあるので"hard stuff"は、「難しいこと」をこのフレーズの中では意味しています。

"Soft stuff is the hard stuff"と言うフレーズを聞き、どのように思いましたか?
私はこの言葉に共感しました。私は「ひと」に関することは、最も難しいかもしれないけれど最も尊くありがたいことであると思っています。

よって今回は、
"Soft stuff is the hard stuff"だけど、"soft stuff"はありがたいモノで成長を促し人生を豊かにしてくれるもの
という観点で本日の学びを振り返りたいと思います。


《メンターとのbreakfast meeting》

「あなたにとって、JMEプログラムに参加してみて最も良かったと思うことは何?」
とメンターに聞かれ、私は真っ先に一緒に日本から来ているJME2016メンバーやMDAのメンターの先生方を始め、今までこちらに来てお世話になった方々の顔が思い浮かび、
「このJMEプログラムを通して作られた人間関係であり、ネットワークです!」
と答えました。それ以外の学びや収穫を考えても、私には"soft stuff"しか思い浮かびませんでした。

例えば、チーム医療に重要なのはコミュニケーションで、そのコミュニケーションを如何に生み、如何に円滑にするかと言うことで、そのための様々な仕組みを興味深く観察できたこと。
Facultyや職員教育と人事考課の整合性、MDAの文化などなど話し出したら止まりません。


《外来ケモ室の薬剤部》

こちらでは患者安全や職員安全のために様々な器具やシステムが導入されており、これらにかかるコストより患者さんに届くまでの全ての行程が安全であることが最重要課題であると教えていただきました。


《Dr. Theriaultの倫理に関するセッション》

4つの倫理のフレームワークを通して、患者1人ひとり価値観や社会的背景が異なるので、患者1人ひとりとしっかりと向き合いながら、目の前の患者さんのために今伝えるべきことは何か?何が患者さんにとっての最善の選択か?真摯に考える必要がある事をケースを通して学びました。

そして、これらの意思決定に大きく影響するのが、患者と医師の双方の価値観と哲学であり、Theriault先生自身の医師としての価値観は以下の2つだそうです。
- Relief suffering
- Be compassion

「がんにより生命や自分にとって大切なものを失うのではないかと言う怖れを少しでも緩和すること。
また全ての事に慈愛をもって接すること。

慈愛をもつとは、共感(自分も相手と同化すること)とは異なり、自分はしっかりと保ちながらmindfulに目の前の人の状況を理解し愛情をもって接することである。相手と同化してしまっては、周りが見えなくなり、患者さん全体を俯瞰した上でのケアや意思決定ができなくなるので、共感ではなく慈愛をもつことが重要なんだよ。」

と相変わらず深い深いTheriault先生の話に聞き入っていました。


《Medical Social Worker & Nurse Case Managerさん達とcoffee chat》

ソーシャルワーカーさんが、
「MDAで仕事していて素晴らしいことは、私が医療専門職として患者さんの精神的苦痛を緩和するとともに、患者さんの辛い時期に少しでも人生を良いものにする事に貢献できることが私の役割であり働き甲斐です!」
とキラキラした笑顔で話していたのが印象的でした。


《Janisのリーダーシップに関するセッション》

Leadershipの質に関わる事は何か?について我々のcore valuesや様々なleadershipの質に関わる要素について話し合いました。その中で、Heinzの元社長のリーダーシップに関する話がありました。

Heinzの元社長、William Johnsonによるリーダーに必要な要素:

1. Integrity
全ての行動に責任を持ち、お手本となること。倫理やコンプライアンス、何をどのようにするかなど、全てのことに不正があってはならない

2. Courage
難しい決断をし、それを実行した後の結果にも責任を持つ勇気が必要

3. Intellectual curiosity and objectivity
生涯learner (学び続けるひと)でなくてはならない

4. Resilience
辛い状況から回復する力が必要である
そのためには、コミュニケーションスキルが必要だし、過労状態に陥らないこと

5. Self-awareness and humility
自分の弱みを深く知らなければ、自分を知っていることにはならない(=相手を知ることができない)し、社会的地位に関わらず謙虚さを保てない

6. Dispassionate decision making, compassionate implementation
難しい意思決定・決断をするときほど(その意思決定が多くの人々に影響を及ぼす時ほど)、定量的な指標に基づき客観的に、
その意思決定・決断を実施・実行する時は慈しみ・慈愛をもって行うこと

これらの枠組みを習っても、今、我々のような若手にはピンと来ないことがあるかもしれませんが、リーダーシップやマネジメントは、医療・臨床とは全く異なるスキルセットやコンセプトなので、まだ頭が柔らかい今のうちに将来リーダーシップをとる機会が訪れた時に必要なスキルを身につけるための土台をつくる必要があり、このような機会が設けられているのだと思いました。


《上野先生とのミーティング》

今回の上野先生とのミーティングでは、様々な話題をざっくばらんに伺ったので、Heinzの元社長William Johnsonによるリーダーに必要な要素の枠組みに沿って上野先生とのディスカッションの要点をお伝えしようと思います。

1. Integrity
・上へ上がって行くにつれて、競争が激しくなるけど、卑怯なことは絶対してはいけない

2. Courage
・自分が何をやりたいかを相手に明確に伝える勇気があるか?(ただし、相手に明確に伝えるには具体的なビジョンとgoalが必要!)
・戦う根性はあるか?
・何を捨てるか?やるべきことに集中する時間をつくるために、自分にとってのその他の優先順位が低いモノをしっかり捨てられるか?

3. Intellectual curiosity and objectivity
・"Comfort zone"を超えた事を常にする必要がある
(欧米では、"Get out of your comfort zone!"とよく言われます。"comfort zone"の外に出なければ、自己の成長はあり得ないし、結果として人生損するよ!と子供の頃から色々な人に言われながら育ちます。)
・思いっきりやらないと、失敗もできない
・成功か失敗か明確に判断できないgoalは立てる意味がない!
(Goalはいつでも変える事ができるけど、なぜ成功できたのか?なぜ失敗してしまったのかを学ぶことで次のステップへ繋がる。collectiveに成功するgoalと失敗するgoalがあっても、同じ方向へ進んでいればOK。)

4. Resilience
・課題や達成したいことの本質を知り・開く・伝える能力
(本質を見極めるためには、自分が何を何のためにやっているか?が最重要である)
・大きな失敗をしても、次の自分のキャリアに応用できるスキル(例えば、コミュニケーションスキル、研究トライアルを組むノウハウ、論文を書く技術などなど)を常に意識的に身につけている事

5. Self-awareness and humility
・良いフォロワーになるにも、自分をよく知っている必要がある
・チームに貢献する時も、自分のユニーク性が問われる

6. Dispassionate decision making, compassionate implementation
・難しい時ほど、プロセスが大事!
・信念を持って客観的なプロセスで、かつ人間的なアプローチでどのようにインパクトできるかが重要


上野先生のミーティングからの学びを少々強引に7つの枠組みに当てはめたので、枠組みに収まらなかった話を最後に少し書きます。

上野先生が若手を指導するにあたり、大切にしていることは、良いビジョンをつくってもらうこと。更には、ビジョンを作るためのプロセスが重要であり、ビジョンを作る過程で広がる人脈(ネットワーク)も大きな財産となる。

ビジョンを作る過程で、なぜ人脈が広がるかは、この過程の第1段階で、自分をよく知り、自分が本当にやりたい事をやりたい方法で達成して行くためには、漠然としていてもとりあえず色々な人にそれを伝えてみて、フィードバックを貰い、また自分で考え直して、再び人に伝えると言う作業がなければ、自分の本当にやりたい事が明確にならないからである。

同時に、ビジョンを明確に持って何かを成し遂げるためには様々な人々とのコラボレーションや協働が必要なので、"soft stuff"に対応するためのコミュニケーション能力やconflict management能力、そしてleadership能力が必須であるので、Janisがその分野の指導をしてくれている。

そして、このMDAでのJMEプログラムは、正しくこの第1段階を思いっきりできる環境を整えて我々を受け入れてくれているプログラムであると実感しました。

残り1週間…今一度この4週間を振り返り、自分がこの4週間で何を達成したか・しなかったかを評価し、ここでの自分の学びを確認し、どのような学びを日本での生活に持ち帰るか?などを明確にしながら、最後の1週間の過ごし方を考えようと思いました。今までの日々を振り返っただけでも、既に色々な事とともに、感謝の気持ちでいっぱいです!皆様、本当にありがとうございます。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
藤田行代志(群馬県立がんセンター) 2016/10/02
島さん、いつも考えさせられることの多い投稿、有難うございます!
私達、JME経験者はJMEを通じてチーム医療…だけでなく仕事や人生に対する考えを学んだとともに、その後も学び続ける身です。そのため、JME報告記は我々にとって、単にMDAでの思い出を懐かしむためのものだけではなく、MDAでの学びを思い出しつつ、さらに深い理解に持って行くためのものなのです。
そういう意味で、島さんの感じたこと・考えたことがたくさん記されている報告は、自分自身も改めて考えさせられると言う意味で大好きな投稿です!

あと1週間。発表も目前となり、余裕の無い日々でしょうが、思いついたできることはできる限りやって来て下さい!(言っちゃいけないかもしれないけど)申し訳ないような、無理なお願いも聞いてくれます!私もプログラムに無かった薬剤部の概要を聞かせてもらったり、発表後の2日間でJoyceに付いて外来をもう一度見せてもらったりしました。ヒューストンの美術館にも行きましたが(笑)
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
山田眞佐美 (大阪府立成人病センター) 2016/10/02
とてもわかりやすいレポートをありがとうございます。
mentoringの考え方は、人材育成、組織力強化、発展のためにもとても重要だとわかりました。

"Soft stuff is the Hard stuff"(技術的なことではなく、人に関することが最も難しいことである)
わたしは大学院で看護師が働きやすい職場環境構築のために、物理的環境マネジメントを通して、人的環境を整えることを考えていました。
今回のレポートを拝見して、やっぱりそうなんだなあと思いました。

リーダーに必要な要素など先生方のお話は心に沁みますね。
わかりやすく伝えること、どんなにいいことをしても、これが一番難しいと思っていますが、日々悶々としながらも小さなチャレンジを続けたいと思います。ありがとうございます。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
島 久美子(北里大学医学部 ) 2016/10/03
藤田さん
貴重なアドバイスとコメントをいただき、ありがとうございました。そして、当方の投稿がMDAでの学びを思い出しながら、さらに深い理解に持っていくことに役立っているのならば、当方にとってのこれ以上の誉め言葉はなく、本当にうれしく光栄です。

これからも、JMEの先輩後輩として、日本(と世界?!)の医療をより良くするための地道な活動仲間として、共に学んで行けたら幸いです。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
吉井 由美 (奈良県立医科大学附属病院) 2016/10/03
30日目
前日の神のようなブログの後で、何を書いていいやら悩んでいます。
これはもう神が降りてくるのを待つしかない、と思いましたが今日は10月1日。そう神無月の始まりです。神、無し。チーン。

さて、研修は4週間目の金曜日。最近は2グループに分かれて最終プレゼンテーションに向けてのグループワークをしたり、各自が興味のある分野の見学に行ったりしています。
私はこの日、Benign Hematology clinic(血液良性疾患外来)へ。がんセンターといえば悪性疾患の患者さんばかりなイメージがありますが、がん治療をされる患者さんが血栓症や出血性疾患などの良性疾患を合併されていたり、最近では免疫療法などの副作用として自己免疫性貧血や血小板減少症を合併されることもあります。決して花形ではないのかもしれませんが、これらをコントロールすることでがん治療を横から支えるというのも重要な役割だと感じました。
このClinicでは、血液腫瘍内科志望という優秀なレジデント2人が次々と患者さんを診察し、予診を取り、それをワークルームで指導医にプレゼンテーションし、最後に一緒に診察室に行って診察するというスタイルで診療が進んでいきます。
それぞれの患者さんが多彩な疾患背景を持ち、治験も含めた多種多様な治療をされている中で、知識を統合して診断、治療に結び付ける過程は見ていてとてもエキサイティングでした。またレジデントへの教育に関しても、きちんと文献を示しながら系統立てて説明されていて、わかっちゃいるけどなかなかできていない自分を反省しました。

日本でもよく「血液内科はなんだか難しそう」と言われますが、その原因は
①血液がんの治療は固形がんの治療とあまりにも違う。血液の常識は固形がんの非常識
②悪性疾患だけでなく、良性疾患にも稀少な疾患が多く、馴染みがない
③中でも凝固系のカスケードは見ただけで吐き気が…。
④重箱の隅をつつくようなことをやっている先生はだいたいみんな変わり者
ぐらいでしょうか。
天然記念物、絶滅危惧種といわれて久しく、近年の腫瘍内科隆盛の影に隠れてなんとなく日陰者の道を歩んでいる血液内科医ですが、裏を返せば他の診療科にはないスペシャリティーをいかして橋渡し役にもなり得るのだなと、今更ながらに思いました。変わり者上等!ただそれには、もっと周辺の知識を系統的に補う必要性を感じました。

午後はビザオフィスに行きチェックアウトの手続き。この楽しい時間がもうすぐ終わってしまうのが寂しく、少ししんみりしました。
そこから帰宅までの時間を利用して、グループワーク。私たちのチームは全員がMBTIのP person(かなりざっくりとまとめると、締め切りを気にしないひとたち)。徐々に発表の日が近づき、このままではやばいとようやくお尻に火が付いてきました。
その後、Joyceと上野先生、三浦先生に連れて行っていただきハッピーアワーに。こちらでは6時ごろまでの夕方の時間に軽くビールなどを楽しむという習慣があり、晩夏の夕暮れ時、ようやく少し心地よくなってきた風に吹かれながらおしゃべりを楽しみました。
実はそのままの勢いで帰宅後も盛り上がり、真面目で健康的な生活を送っていた私たちには珍しく深夜までの飲み会に突入。いろんな意味で思い出に残る夜でした。
さて明日、明後日はいよいよ最後の週末。少々二日酔いではありますがグループワーク、頑張ります!
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
島 久美子(北里大学医学部 ) 2016/10/03
山田さま

コメントをいただき、ありがとうございました。

組織はヒトの集まり、特に病院は労働集約型産業であるため、ヒトは組織の財産であり、ヒトのマネジメントや人事戦略が重要になってきます。また日本を取り巻く様々な変化の中で、日本の医療政策が病院の機能分化や地域包括ケアを推進している今、多くの病院は何かしらの「変革」が求められていると思います。そのためには職種や職位に関わらず、コミュニケーション能力やリーダーシップ能力が必須であると考えております。

MD Andersonも長年かけて現在の体制、そして文化を醸成していったということを学びました。そして、それは様々なチャレンジに立ち向かいながら少しずつ改善している地道な努力の歴史の結果であり、華々しいreputationの裏にはどこにも負けないぐらいの血のにじむような努力があることを垣間見る機会となりました。
31日目
田澤咲子(昭和大学) 2016/10/04
最後の土曜日の報告です。
前日の金曜日は遅くまで起きていたので、やや二日酔いの方もみられました。
お昼から Neelam と Theresa にアパートから連れ出してもらい、 local food という近郊で採れた新鮮な野菜などを使った料理を出しているお店に連れて行ってもらいました!量・質ともに満足度の高い美味しいサンドイッチをいただきました!
午後は Galleria というショッピングモールに連れて行っていただきました!とても大きな施設で圧倒されましたが、メンバーはそれぞれお土産など購入してきました。帰宅した後は、グループワークを少ししてから、残り物で夕食をとりました。最後の週末を過ごしていることにやや感傷的になりつつも、いつも通りみんなで過ごしているうちにあっという間に夜中になってしまいました。

個人的には、先週は金曜日に私の mentor である 病理医の Aysegul Sahin 先生とお別れのご挨拶をする機会がありました。この一ヶ月の間お忙しいのに、とてもよくしていただきました。 MDACC の病理は私の勤務する施設とは何もかも規模が桁違いなのですが、当然のことながら診断に関してやっていることは根本的には同じでした。一緒に顕微鏡を覗いて、質問をされたり質問したりという時間も作っていただき、貴重な体験となりました。それから、どこに行っても皆さんが進んで色々なことについて教えて下さったことが印象的でした。また、MDACC では特定の臓器の病理を専門としてやっていらっしゃる先生方がみえます。私の現状ではそれをそっくりそのまま日本に持ち帰ることはできないのですが、高い専門性を持ってお仕事をされている病理医の方々を目の当たりにしました。また上野先生との対話を通しても subspeciality の重要性を改めて認識する機会となり、今後のキャリアを考えるきっかけになったことは間違いありません。

私にとってのこの一ヶ月で一番の収穫はたくさんの人との有難い出会いであったと感じています。
上野先生や Sahin 先生をはじめとする US-mentors、JME のプログラムに関わって下さった皆様、そうではなくても院内・院外でお会いした皆様。
そして JME 2016 のメンバー6人。
この出会いを、これからもずっと大切にしていきたいと思います。

もちろん、そのほかにもたくさんの収穫はありました。
特に career development、leadership について、それからチームを育てるということについては、これからももっと理解を深めていきたいと考えています。

残り4日となりましたが、最後まで少しでも多くのことを学んで帰りたいと思います!
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
山上睦実(東京大学大学院) 2016/10/06
とうとう最後の日曜日になりました。
午前中はclinical research nurseについて看護師の藤原さんのお家にお邪魔してお話を聞かせて頂きました。臨床研究が重要視され、世界的にもclinical research nurseが注目されています。臨床にいて臨床研究をすることのできる看護師がclinical research nurseです。臨床試験のスタッフには医療のバックグラウンドがないスタッフもおり、患者に関わらないスタッフもいます。
research nurseは新しい治療法の効果を試すなかにおいても、対象患者の視点に立ち、看護師として現在の患者と未来の患者の両方を守ることに貢献できるとのことでした。
そのほかにも私の考えを整理することや、自身のキャリア開発についてお話をするなかでメンタリングをしてくださいました。
ヒューストンに来てたくさんの出会いがありました。こちらでのご縁はどれも大切にしたいものばかりです。次に繋がるような関わりをこの先も続けていけるよう成長していきたいです。

本日午後は 最終週のプレゼンテーションの準備を各グループごとに行いました。
Bグループのテーマは骨転移になりました。
木曜日のプレゼンまで眠れない夜が続きそうです。
とうとう最終週です。
気を引き締めて最後まで広い院内を駆け巡りたいと思います。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
松本奈都美 (聖マリアンナ医科大学病院) 2016/10/09
JME34日目の報告です。

本日はgenetic counseling clinicの見学からスタートしました。
今回はBreastのgenetic counselingを見学しましたが、他の科にもカウンセラーがおり、Breastには6人、GIには2人、Endocrineには1人、Gynecologyには3人のカウンセラーがいます。
カウンセリング対象者の選択はNCCN guidelineに沿って行われており、遺伝子テストの結果によって治療方針が変わってくるような患者(術前の患者、臨床試験に乗せる患者)はurgent patientと呼び、優先してカウンセリングを行っているそうです。
Councelingの主な内容は家族歴の聴取、遺伝性癌の説明、遺伝子テストを受けるに当たっての同意取得でした。一人当たり大体20-40分の時間を要するそうです。
Genetic councelingが本格的に広まってきたのはここ数年のことで、遺伝子カウンセラーはアメリカでもまだまだ不足しているそうです。

午後はP&T(Pharmacy and Therapeutics committee)を見学させていただきました。P&Tとは、MDアンダーソンのフォーミュラリーに入れる薬剤を審議する委員会で、月1回行われ、1回の委員会で2-4薬剤を審議します。
Drug information department のClinical pharmacistと、レジデント1年目の薬剤師さんに連れられ、P&Tが行われるカンファレンスルームに行きました。レジデントの薬剤師さんは見学かな?と思っていたら、なんと、審議される薬剤についてプレゼンテーションを行っていました。他にも2人のレジデントがいて、他の薬剤についてそれぞれプレゼンテーションを行っていました。
前に薬剤師さんに薬の勉強法は?と聞いたらとにかくプレゼンテーションをすることだとおっしゃっていたことを思い出しました。情報を整理してまとめ、アウトプットする能力を徹底して鍛えている様子が伺えました。

この日の締めくくりは、念願のソフトクリームでした。ソフトクリームが食べられる場所があるとは聞いていたのですが、なかなか辿り着けておらず。この日、ついに食べられました。自分でカップにソフトクリームを絞り、たくさんあるトッピングの中から好きなものを選んで乗せられました。

夜は目前に迫る最終プレゼンテーションに向けて準備を行いました。連日夜遅くまでの準備で疲れも出てきていますが、メンバーで力を合わせ、良いプレゼンテーションができるように頑張ります。
High Preforming Teamをつくるために
島 久美子(北里大学医学部 ) 2016/10/11
5週間が経過し、明日が最終発表です。そして、本日が実質的な上野先生との滞在中最後の定例ミーティングでした。また、JME期間中の私の担当ブログも今回が最後です。

さて、本日の私にとっての学びは、
「High Preforming Teamをつくるために、MD Anderson(MDA)が行っていること」です。

そのための具体的なポイントは、以下の通りです。
・ Face-to-faceのコミュニケーションを密にとることにより実現している(トヨタ顔負け?!の)擦り合わせ文化
・ Mission/Vision/Goalsは三位一体(3つのうち1つでも欠けたらHigh Performanceは期待できない)
・ Mentor-Mentee制度の推進により、仲間を増やして協力的な文化を醸成し、燃え尽き症候群も防ぐ
・ 病院収入とMDAブランド向上に欠かせない主に“M.D., Ph.D.”の肩書を持つ集団である “Faculty”への手厚いリーダーシップ教育とサポート
・ 職員はFacultyも含めて直接雇用

今回は、主に最初の2点、コミュニケーションとMission/Vision/Goalsは三位一体について詳しくお話したいと思います。


《Face-to-faceのコミュニケーションを密にとることにより実現している(トヨタ顔負け?!の)擦り合わせ文化》

私がこの5週間研修をする中で驚いたことは、MDAではトヨタ顔負け?!と思うくらいの、Face-to-faceの擦り合わせ文化が醸成されていたことです。同時にface-to-faceのcommunicationを通して擦り合わせを行っていかないと、組織のMission/Vision/Core Valuesの本当の意味での浸透や、Performance Managementは実現できないのではないかという事を学びました。

私が、MDAに来て最初の頃から、職種(専門職・非専門職)・職位を問わずお会いした方々に色々と話を伺っていく中で、すごいなと感心していたことが2つありました。それは、私が話を聞いたほぼ全員から、「日常業務において最も大切にしていることはコミュニケーションである。(一方で、コミュニケーションは最大のチャレンジでもある)」という事と、「私が行っているこの業務は、MDAのcore valuesのこれにつながっている」などと自分の業務がどのようにMDAの組織全体としてのMission/Vision/Core Values/Goalsなどの上位概念につながっていて、組織に貢献しているかをそれぞれが自分なりに説明できたことでした。
私が感心した2点について、MDAではなぜ皆そのようなことを言っていて、そして、どのように実現していたのかについて具体的な例を以下に2つ書きます。

1つ目の例である日常診療業務について注目しても、外来クリニックを見学した際、その日の○○医師診療チーム(医師・medical assistant・nurse・nurse practitioner/physician assistant・pharmacist) が、Physician Work Roomという小部屋に一堂に会して診療を行っていきます。これにより、物理的にも対面でのコミュニケーションを促進しやすいシステムができているとも言えます。(アメリカでは、患者は診察室にずっといて、様々な職種が順番に患者の診察室へ入っていき患者の診療を行います。) 具体的には、アメリカの医療保険の関係での経済的なプレッシャーが大きいこともあり、賃金の安い職種から順に彼らができる範囲の患者の情報収集やアセスメントを行っていき各職種が次に患者に会いに行く職種(例えば、看護師→Nurse Practitioner→医師)に患者情報を引き継いでいきます。情報の引継ぎは、他のチームメンバーもいる小部屋で行うので、直接情報を引き継がれていないスタッフも必然的にその引継ぎ内容を聞いていますので、何か懸念事項があれば、いつでも引継ぎの会話に入って一緒に議論しています。これだけを見ていても、確かにコミュニケーションを常に円滑にすることを考えていないと、日常業務が地獄のようになってしまいそうです。

2つ目の例では、今度はもう少し視座を上げて、組織全体がコミュニケーションを通してどのように機能しているかを見てみようと思います。
MDAのトップであるPresident Officeが決めた組織戦略を組織のMission/Vision/Core Valuesとともに各Divisionへトップダウンでおとし、各Divisionはそれらに基づいてDivision Goalを設定し、そのGoalが組織戦略などとしっかりalignしているかなども含めて、President Officeの承認を得ます。各Divisionで設定したGoalはその下にある各Departmentへbreakdownして各Departmentは、各Division Goalに沿ったGoal設定をします。このようにして、最後は各チームのGoalから個人のGoalへと落としていき、組織全体で一つの目標に向かってPerformance向上に貢献していきます。このプロセスにおいて、MDAでは必ずinteractiveなコミュニケーションを通してかなりガリガリと擦り合わせを行ってくようです。例えば、manager-staff間では、原則として3カ月に1回はミーティングを行い、staffはmanagerに対して、自分の日々の業務がいかにしてMDAのMission/Vision/Core Valuesとつながっているか?そして、自分の今年度のGoalの達成具合などについて説明し、managerは、その上でstaffに対して何ができていて何が足りないので努力すべきかなどについて具体的にフィードバックを行わなくてはなりません。よって、年度末にstaffが自分のmanagerからの評価を知らないなどという事は許されないそうです。なぜならば、年間を通してmanagerは自分のstaffに対して常にmanager評価をstaffが理解できるように対面でフィードバックし、フォローしていることが前提であるからです。

よって、これらの状況からの私の学びは、ここまでガリガリギリギリと心も身体も擦り減るのではないかと思うくらいのface-to-face communicationを通して擦り合わせを行っていかないと、組織のMission/Vision/Core Valuesの本当の意味での浸透や、Performance Managementは実現できないのではないかという事でした。

そして、このようなシステムを機能させるために、管理職研修のみならず、コンサル機能を持つ人事担当者のサポート体制、そして組織内で唯一頂点まで出世できる資格があり、かつ各部門の多くでリーダーとして機能しているFacultyに対しては、若いころから特別なリーダー育成のための研修が用意され、時には非常に難しい状況でのコミュニケーションに対応できるだけの素養をとスキルを身につけるためのプログラムが準備され、さらに職位が上がれば、それに応じた教育・研修およびサポート体制が準備されています。


《Mission/Vision/Goalsは三位一体 -3つのうち1つでも欠けたらHigh Performanceは期待できない》

上野先生との最後のミーティングでの私の一番の学びは、Mission/Vision/Goalsは三位一体であり、3つのうち1つでも欠けたらHigh Performanceは期待できないという事です。
「チームのMission、Vision、Goalsを突き詰めて、かつそれがチーム内でしっかり共有化されないと続かない。かつ、定期的にこの3つを突き詰める習慣がないと、一瞬盛り上がって、何もできない。」という上野先生の言葉になるほどそうだなと改めて実感しました。

ここでさらに理解を深めるために、Mission・Vision・GoalsおよびCore Valuesの関係性について簡単に補足しようと思います。
・ Missionとは、あなた(またはチーム)の使命や目的を明快に説明し、あなたが誰で、どのように生きるのかを定義するもの。
・ Visionとは、あなた(チーム)のユニークで鮮明なまでに具体的なあなた(チーム)が実現している将来のイメージである。
・ Goalsは、あなた(チーム)のMissionを実施するときのチェックリストであり、かつ必ずSMART goalで書くこと。
SMART goalとは、goal設定をする際に必ず網羅している必要がある以下の5つの要素を示したもの。
   - Specific(具体的に)
   - Measurable(測定可能な)
   - Achievable(達成可能な)
   - Related(経営目標に関連した)
   - Time-bound(いつまでに目標を達成するか、その期限を設定する)

そして、これらのMissionに基づいたGoalsが達成された先には、Visionの実現があるかをしっかり突き詰めていく必要がある。ただし、このプロセスは、1人ではなかなかできないので、メンターや仲間と取り組むことが効果的である。

さらに、MissionやVisionを突き詰める際の、上野先生からのアドバイスは、多少「バカバカしい」と思うくらい、または「言って恥ずかしい」くらい突き詰めたモノを一度つくってみると良いとのことでした。ただし、何が「バカバカしい」のかを周りから理解されないと意味がなく、Uniqueさを追求する際、MissionかVisionかProcessのどれかが1つがUniqueであればよい。ただ何がどのようにUniqueなのかを周囲の人に分かってもらえるように説明できれば良いのである。

Core Valuesがこれらにどのように関与するかというと、何をMissionとし、何をVisionとし、どのようなGoalsを設定して、どのようなProcessで行うかの選択・意思決定の根幹になる概念である。よって、Core Valuesが明確にないと、意思決定がブレブレになってしまい、一貫性を失えば目指すところへ到達できないだけでなく、チームなどは崩壊の危機へと追いやられることとなる。

最後に、明確なMission/Vision/Goalsをもって邁進する際、Mentor-Mentee関係構築により仲間を増やすこと自体が推進力になるだけでなく、Mission/Vision/Goalsがどんどん明確になり、仲間がいることで燃え尽きてしまうことも防ぐことができるので重要である。また、反対しない人を大切にすることも何か新しいことを前に進めていく上で非常に重要なカギである。

約1時間強のミーティングを通して、こんな厳しくもあたたかいエールをいただき、「日本に帰国してからが、皆さんの勝負です!」とさらに最後に激励していただき、本日一日を終えました。


僭越ながら、私の個人的な経験からも、心が折れそうになったりしたとき、いつも周りの方々にたくさん救っていただき今日の私があります。今回の5週間は、さらにありがたい出会いを通して、様々な方から暖かく背中を押してもらい、また、素晴らしい仲間と出会い、仲間の輝きを少しずつ分けてもらい、刺激をたくさんもらいながら、自分を取り戻す旅になったと自負しています。この言葉にはできないほど有難い5週間を実現するためにサポートしてくださった皆々様にこの場をお借りしてお礼申し上げます。この恩を忘れずに、皆様に直接、または社会へ少しずつですが、恩返しできるように精進して参ります。引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。またこのご縁を大切に今後も、地球のどこかで皆様とお会いできたら幸いです。
本当にありがとうございました!
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
Yukinori Ozaki(虎の門病院) 2016/10/12
最終週の木曜日のブログです。
この日はプロジェクトの発表日でした。午前中にはみんなで必死にプレゼンの資料を作っていました。
我々Aチームは、妊娠期乳癌のマネジメントについて、チームBは骨転移のマネジメントについて、でした。

準備を始めたのは4週間前、まず自分たちでテーマを決めるところから始まります。
こういうものはテーマをどのように決めるかが、まず1番大切ですよね。
Aチームは、病理医、看護師、薬剤師、腫瘍内科医の4人で、まずそれぞれのvision、mission、興味のある事を話し合うことから始めました。みんなが問題意識を持っていて、主体的に関わることが出来る分野を1つ1つ確認していきました。
一度は若年性乳癌(35歳未満)を対象とすることになりましたが、さらに話し合って行くうちに、妊娠期乳癌に焦点を絞ることになりました。各自がこの問題に対して、自分の専門性を持ってどのように関わることができるか、と考えながらテーマを絞って行く過程(2-3週間程度)が、このプロジェクトの最大の醍醐味だったと、振り返って感じます。我々は、みんなが納得のいくテーマに焦点を絞ることに成功しました。
その後は、プレゼンのアウトラインを決めて、分担し、それぞれの分担部分を準備し始めました。少し進めたところで止めて、全員でその内容を確認し、自分たちが今回本当に話したい内容に沿っているかを何度も確認しました。
メンバー全員がそれぞれの役割を果たしました。

・ どんどん自分の分担部分の勉強を進めて、スライドを作成し、他の人の手助けをする人
・ 出てきた問題に対して即座にUS mentorに相談し、あっという間にmentorからの返事を共有してくれる人
・ 少し進むたびに、全体の流れに合っているのか、全員が納得しているのかを鋭く見張ってくれている人
・ 大詰めの発表日前日に、風邪をひいて早々に寝る人...

それぞれがリーダシップを発揮して準備を進め、プレゼンに臨みました。
最終的には、我々としても納得のいく発表ができたと思っています。
でも終わりではありません。ここで発表した内容について、今後実際にResearchを行うために、さらに議論を重ねていかなければと思っています。

夕方には、Reception partyが開催されました。
それぞれのMentorの方々から、輝かしい修了証を頂きました。この会を通して、5週間楽しみながら学んできたことの大切さと、Mentorの方々の思いを感じることができました。このJMEに参加させて頂いたことのありがたみを痛感しました。
でも終わりではありません。ここからがまた新たな始まりなんだと、その賞状は語っているようでした。

翌日はついに最終営業日です。
Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
藤原登茂(聖路加国際大学院) 2016/10/13
かなり時間が経ってしまい、メンバーとのブログも前後しますが33日目のレポートとなります。
この日はJanisの講義を受けました。
Janisの講義を2回受け、英語が苦手な私をサポートしてくれたチームメンバーの協力を元にリーダーシップに必要な要素を以下にまとめたいと思います。

Leadership is all about relationships with others and with yourself.
 
これはJanisが講義で強調して言っていた言葉です。
 良きリーダーは学び続ける必要がある。学ぶとは、自分自身を知ること、そして自分が直すべきBehaviorを1から2つ決めて、1から2年かけて徹底的に直すこと。自分が直すべきBehaviorを決めるためには自分の価値観を知り、自分の思考を知ることから始まる。
我々はJanisからCatalyst Leader Self-Assessment sheetをいただき自分の傾向を知ることもできました。特に私が弱かった点は、他人の問題点を自ら明らかにして解決しようとする点でした。要するに私には、相手が自分の問題点を自ら認識し解決できるよう手助けするスキルが必要だということでした。
 Janisは、Leadershipは行動変容が重要なキーワードの一つで、自分の行動そして他人の行動を如何に良い方向へ変容するかにもかかっていると話しており、まさに「自ら解決するのではなく、他者を良い方向へ導く」というスキルがリーダーシップには必要であることを学びました。
 リーダーシップには他者と自分自身の関係全てである。というJanisの言葉を振り返ると、そのために必要なのはコミニュケーションスキルであることも自ずと分かります。他のチームメンバーがブログで挙げていたように、他職種間でコミュニケーションを密にとっていることがMDAのスタッフ間では印象的でした。それぞれが自分自身のことを知ると共に、違いを理解すること、そのためには対人スキルが必須です。
そして、意見を言っても良い場所である安心感、その背景には専門職としての誇り高き知識やスキル、経験(学び続けている)を持っているからこそ成立すると感じました。
 JME前にはTeam developmentとLeadershipの関係性を十分に理解できませんでしたが、臨床場面やJanisの講義を通じて少しずつ理解できてきたのではないかと思います。
 今回私達もグループワークを通じて、お互いを知ること、自分は何ができるかを話し合う時間が多くありました。その時間を通して、背景の違う我々がVisionを決めて向かっていくまでに、大きなconflictはありませんでしたが相当の苦労がありました。
私は看護師として自分に何ができるのか、臨床経験を元に患者さんの代弁ができるよう声を挙げていきつつ、他のメンバーからエビデンスを指導してもらい最終的にはバランスのとれたチームになったのではないかと自負しております。

Janisは、医療者はclinical やscientific trainingを十分に受けてきたが、managementや leadership skillについては十分に勉強できない環境にあると言っていました。十分に勉強できなかったからこそ、これから少しずつ学び続けていこうと思います。
 最後にこの学びを惜しみなく与えて下さったメンターの皆様、忙しいにも関わらず辛抱強く質問を聞いて下さったMDACCのスタッフの皆様に感謝いたします。
そして、この5週間をずっと支えてくれたチームメンバーとの出会いに感謝しかなり遅くなったブログを終え、最終ブログにバトンタッチします。
Re:Japanese Medical Exchange Program2016 現地報告
吉井 由美 (奈良県立医科大学附属病院) 2016/10/16
研修最終日
ついにこの日が来てしまいました。
今日は私たちがMDアンダーソンで過ごす最後の一日です。

前日の最終プレゼンテーション、Farewell Partyの興奮も冷めやらぬ中、この日メンバーはそれぞれに少し感傷的な気分で最後の日のアポイントメントに向かいました。
私は3回目となるBenign HematologyのDr. Rojasのclinicへ。この日もIgG4関連疾患と診断された患者さんやTET2遺伝子変異のみを持つ血球減少の患者さん、自己免疫性骨髄線維症の患者さんなど、興味深い症例が集まりました。他院でなかなか診断がつかなかった症例をレジデントとともに一つ一つ丁寧に紐解きながら、疾患の理解を深め診断に至るプロセスは横で見ていてとても勉強になります。その上で「Good news!あなたの病気がわかりましたよ。心配はいりません。」と伝えた時の患者さんの安心されたお顔もとても印象的でした。文化的な背景や診察スタイルの違いももちろんあるのかもしれませんが、こちらでは心なしか医師、患者ともにコミュニケーション能力が高い人が多い気がします。
午後、少し時間があったので、日本からのちょっとしたお土産を渡しがてら、私のメンターの一人になって下さい、とお願いしてみました。だめと言われたらどうしようと、まるで愛の告白かと思うぐらいに緊張して言ってみたのですが、結果はあっさり“Yes, my pleasure.”
そういえば、もう一人のメンターであるボラ先生や上野先生にも、メンターとメンティーの関係は恋愛や結婚に似ていると言われたことがあります。メンターとのご縁も、結局のところ価値観や相性、タイミングなどに大きく左右され、時には運命の出会いなんてのもあり、縁は異なもの味なもの。上手くいくときもあればいかないこともあり、せいぜい出会いを楽しみなさいということでしょうか。私にしてもまさかMDアンダーソンでメンターを見つけられるとは予想だにしていなかっただけに、この出会いに感謝です。願わくは、恋のお相手の方もそろそろ見つかるといいのですが…。
Dr. Rojasからはこちらでされている臨床試験などについてお話をたくさん伺い、機会があったら戻ってきなさい。これからもKeep in touchしようと言っていただきました。
本当にいつか戻って来たいと、一つ目標ができた気がします。

さて、その後はMDアンダーソンの中にあるGlobal Academic Program(GAP)という部署の方からお話を伺う機会がありました。世界の様々な大学や研究機関との共同研究や臨床、および研修プログラムなどを手掛けられていて、まさに世界の医療を知り尽くしたお話を聞くことができました。私たちJMEやJTOPのプログラムに関しても、このGAPがなければ実現は難しかったとのこと。私たちがこのプログラムを通じて学んだことを拙いながら心を尽くしてお話し、少しは恩返しができたでしょうか。
それから、私たちの渡航やこちらでの研修を陰に日向に支えてくれた秘書のマーシーにお別れを告げた後、上野先生の最終総括でした。
まさかのビデオ撮影からスタートし、女子はいっせいにお化粧直しに走ったのは言うまでもありません。その内容の一部は公開されていますので、よろしければご覧ください。

ヒューストン最後の夜は、上陸初日にJoyceとJeffが連れてきてくれたメキシコ料理PICOSに再訪。上野先生、Joyce, Nick, Jeff, ありがとうございました。
ここで食べたメキシコ料理は私の大好物の一つになりました。
アパートに帰ってから、みんなでパッキングに勤しむはずが、まさかのプールにダイブ!
みんなプロジェクト以来ほとんど寝ない日が続いているにもかかわらず、なんだかよくわからないエネルギーを発散し、ほとんど徹夜で出発の日を迎えました。
ちなみに伝説のJMEであることを自負する私たちは、なんとこの深夜、出発日のみんなのお弁当として鮭のおにぎりと焼き芋、デザートのフルーツまで準備するという徹底ぶり。最後までそれぞれが自分の役割を考え自発的に行動するチームでした。
翌早朝、空港に向かう道すがら、バスは登り始めたばかりのまるで日の丸のような朝日に向かって走り、車内でおにぎりを頬張るみんなの顔が朝日に輝いていたあのなんとも象徴的な光景を私は一生忘れないでしょう。


今回の研修を終えて、私の前の一枚の扉が今まさに開いた気がします。その先に見えたのは、少し開けた世界とたくさんの扉でした。
これから先、あなたはその扉を自ら選び、自ら開けて、新しい経験を積み、結果を残して、たくさんの人に良い影響を与える人になりなさい。
そしてそのためには何をすべきかを考えなさい。
自分はどういう人間なのか。
自分が大事にしているものは何なのか。
自分のやりたいことは何なのか。
なぜ、それをしたいのか。
どうやったらそれができるのか。
もし道に迷ったり、失敗してくじけそうになったとしても、あなたの周りにはあなたを見守り、支え、自分の経験を語ってくれる人がいる。
だから、遠慮なくその人たちを活用しなさい。
そしてもし自分がそれを見つけたら、今度は他の人にその経験を惜しまずに教えてあげなさい。そして、一緒に成長しなさい。
既にたくさんの扉を開けてきた人たちの、そんな言葉に背中を押されながら、自分と向かいあった5週間でした。

この素晴らしい機会を与えて下さった日米メンターはじめ全ての皆様、5週間超の長きにわたる留守を許して下さった職場の皆様、家族、そしてこのハードなプログラムをともに乗り越え、楽しみ、高めあった6人のJMEメンバーに心からのお礼を申し上げます。
本当に豊かで幸せな経験をありがとうございました。
数年後、あのJMEの夏があったからこそ今がある、と思える自分を目指し、それぞれに精一杯頑張ろうと思います。


これにて私達がMDアンダーソンで過ごした37日間のレポートを終えさせていただきます。
この掲示板の記事におつきあい下さった皆様、また折に触れてあたたかいコメントを下さった皆様、本当にありがとうございました。
私達のこの研修記録が拙いながらも少しでも皆様の心に触れることができたとしたら、それは私達の望外の喜びです。
研修は終わってしまいましたが、ここからが私達のスタート地点。
今回扉は向こうから開けて頂く形となりましたが、ここから先は自分の力で開けていかねばなりません。
またいつか、扉の向こうにある成果をご報告できる日を目指して、メンバーそれぞれに頑張っていこうと思います。
本当にどうもありがとうございました。
それではまたお会いできる日まで、ごきげんよう。さようなら。