掲示板「チームオンコロジー」

Bulletin board

治療とその選択
放射線治療について、お尋ねいたします。
伊藤 淑子(京都府) 2009/01/09
「乳房温存手術後,再発リスクの低い患者に限定すれば、放射線治療をしなくても再発しない例が多いことが、研究で確認された」という記事がありました。これらのことを踏まえて、相談内容は次の通りです。①49歳。②右乳頭付近、1.2CM小病片で周囲1CM以上の余裕を持って内視鏡下摘出術③昨年12月1日に実施④腋下リンパ節転移なし⑤ホルモンレセプター陽性⑥顕微鏡による広がり診断マイナス⑦現在HER2検査結果待ち⑧腹部皮下注射による閉経前ホルモン治療1回実施 以上が私の状況です。主治医の先生は、HER2検査結果を待って、放射線治療の有無を決定するそうです。放射線治療の必要性に対するさまざまな見解がありそうなので、初心者の私には、標準療法のひとつとして捉えるべきか、冒頭に書きました試みに身をゆだねるべきなのか判断がつきかねます。再発を抑えるために、どのように考えればいいのか教えください。わらをもつかむ気持ちです。よろしくお願いいたします。

   
Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
山崎真澄(東京都) 2009/01/09
投稿して頂き、有難うございました。
あくまでの私の病院での方針について書かせて頂きます。
伊藤様の乳癌の結果を解釈すると
1、閉経前、ホルモン陽性(ER?PgR?)
2、腫瘍径2CM以下
3、リンパ節転移なし、リンパ管浸潤なし
そして・・・欲しい情報として
4、浸潤癌?非浸潤癌?
5、HER2?
6、断端ー?
7、細胞の種類は?炎症性乳がんでもないですよね
このような結果の場合、当院ではホルモン療法のみ(ノルバデックス±ゾラまたはリュープリン)です。
しかし、多くの病院では放射線療法を行っていますよね。
先生とよく話し合ったうえで、治療方針を決められることが最善だし、納得のいく治療と思います。
御理解いただけますか?
分かりにくかったらごめんなさい!
Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
shige(東京都) 2009/01/09
伊藤さん こんにちわ

質問のもとにあった記事ですが、なににのっていて、どなたのどんな研究の報告であったか教えていただけますか。

思いあたる先生がおられれば、お教えください。

伊藤さんもご指摘のとおり、標準治療の枠のなかでは、乳房温存術後に放射線をしない選択はすすめられていないとおもいます。知る限りでは、70歳以上、ER陽性、リンパ節転移陰性、T1の腫瘍でホルモン療法をうける患者さんが省略も可能とNCCNガイドラインにのっているもののみですが。
Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
あんず(東京都) 2009/01/09
昨年の乳癌学会@大阪の発表ではないでしょうか?

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jbcs2008/200809/507979.html

患者はこのようなニュースには敏感です。私自身は全摘で放射線治療の経験はありませんが、関心を持って読んでいました。
Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
ちゃしば(東京都) 2009/01/12
J Clin Oncol.に下記論文が出おり、こちらはランダム化試験結果です。

Radiotherapy After Segmental Resection of Breast Cancer With Favorable Prognostic Features: 12-Year Follow-Up Results of a Randomized Trial
Journal of Clinical Oncology,

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19114687

予後因子が良好な乳癌での部分切除後の放射線治療:ランダム化試験の12年間の追跡結果

目的:術後乳房照射は乳癌の乳房温存手術後の標準治療とされている。組織学的に進行度が低い腫瘍径の小さな患者集団での局所再発防止における放射線治療の効果を評価した。
患者と方法:1cmの断端マージンでの乳房部分切除と腋窩リンパ節郭清で治療した40才以上の女性(n = 264)が乳房照射(累積線量50Gy)の有無でランダムに割り付けられた。腫瘍径は20mmまでとし、リンパ節陰性、プロゲステロン受容体陽性、高分化または中分化、孤立性、低細胞増殖率(すなわちS期分画7%、核内Ki-67発現<10%)、そして乳管内進展が目立たないことを条件とした。ランダム化割り付け後の追跡期間の中央値は12.1年である。
結果:放射線治療群と対照群でそれぞれ16例(11.6%)、34例(27.2%)の局所再発を認めた。局所再発までの期間は放射線治療群のほうが長かった(ハザード比[HR], 0.36; 95% CI, 0.20 to 0.65; P = .00071)。追跡期間中に放射線治療群で21例、対象例で26例が死亡した。放射線治療群と対照群との間で全生存期間(HR, 0.63; 95% CI, 0.35 to 1.12; P = .11)、無遠隔転移生存率(P = .94)、乳癌特異的生存率(P = .56)の有意差は認めなかった。
結論:病理学的に予後因子が良好で、少なくとも断端マージン1cmで切除された腫瘍径の小さな乳癌患者においても、乳房部分切除後の放射線治療は同側乳房再発率を減少させる。

可能な人はぜひ無再発生存のグラフをご覧ください。最初の数年で判断することの危険性は明らかだと思います。一つの群が100症例程度でも長期的には見た目に明らかな差が出ています。
余談ですが、先日がん治療認定医のセミナーがありましたが、非浸潤性乳癌に対する術後放射線治療について、事前配布されたテキストでは『悪性度や大きさ、断端の状況により適応を検討』という表現となっていましたが、実際の講義では原則、全例に施行すべきということに修正されていました。こういう臨床試験結果もありますし・・・

ORTC Breast Cancer Cooperative Group; EORTC Radiotherapy Group, Bijker N, et al. Breast-conserving treatment with or without radiotherapy in ductal carcinoma-in-situ: ten-year results of European Organisation for Research and Treatment of Cancer randomized phase III trial 10853--a study by the EORTC Breast Cancer Cooperative Group and EORTC Radiotherapy Group. J Clin Oncol. 2006 Jul 20;24(21):3381-7.

私は実臨床で、これらのグラフも患者さんに見せた上で治療にあたっています。
Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
伊藤淑子(京都府) 2009/01/12
参考になる貴重なご意見ありがとうございます。私の状況をもう少し詳しく説明いたします。
1 ホルモン陽性(ER、PGRともに80パーセント以上)
4 胞巣辺縁には、P63陽性細胞が見られないことから、浸潤性病変(浸潤度微少)
5 HER2結果待ち
6 切除断端には、異型細胞が見られない マイナス
7 炎症性乳癌ではありません solid papillary carcinoma
8 ホルモン療法は,リュープリン使用
主治医の、放射線治療についての意見は、放射線をかけても、再発しない率が98パーセントが99パーセントになる程度だ、とのことです。私の癌は、乳頭に近い位置にありましたので、再発すれば、乳頭を切除しなければなりませんので心配です。再度、ご意見をいただければありがたいです。よろしくお願いいたします。

Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
ちゃしば(東京都) 2009/01/12
(個別の話は法的にも問題があるかと思いますので、一般論ですが・・・)

例示した論文のデータですが、放射線治療施行群と無施行群ではそれぞれ、無再発生存率が5年で98%:86%、10年で90%:72%、15年で85%:71%、全生存率が5年で99%:96%、10年で91%:85%、15年で84%:71%となっています。また、局所再発率を50才以下と50才を超えた症例で分けて検討した結果は、50才以下では放射線治療施行群と無施行群ではそれぞれ、無再発生存率が5年で83%:72%、10年で83%:55%、15年で83%:55%、50才を超えた群では5年で98%:90%、10年で92%:77%、15年で86%:75%です。

今のところ、温存術後の放射線治療を省ける群を特定できていないのが世界的な現状だと思いますが?
Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
shige(東京都) 2009/01/13
ご意見、情報いただいたみなさまありがとうございました。

記事があんずさんのご指摘のものであるとすれば、残念ながら現時点では一般診療の基準を変えるだけの重みのあるものとはいい難いとおもいます。

ちゃしば先生がくわしく書いてくださったところが現状とおもいます。

たしかに悪性度や進行度が低いので放射線を省略できないかという伊藤さんの気持ちもよくわかります。

一方、温存術後の放射線照射には、手術の時点ではみつけることのできない、手術範囲外にぽつんとある非常に微少な癌を制御してくれるようなメリットもその効果に含まれているようにおもいます。

これまでのみなさんのご意見内容から、伊藤さんの状況でも、放射線照射をおこなうことが現時点では標準的な選択なのだなと感じていただけたと思います。

先生からお話された内容や、伊藤さんがご自身であつめられた情報をもとにしてよく主治医先生と相談され、標準外の選択にはなるが、照射省略を希望するという結論に達するのであればそれはOKとおもいます。

同じ考え方で、ホルモン療法のほうも、注射だけでよいか、タモキシフェンという飲み薬は使用しなくていいのか、どれが標準治療として選択枝にあって、どんな理由でこの方法を選択することになったかなども、主治医先生とお話して、ご自身で了解した選択になるとよいなとおもいます。


Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
nozomi(東京都) 2009/01/13
何かの参考になるかもしれませんので・・M.D.アンダーソンニュースから。

http://www.cancerit.jp/xoops/modules/cancer_reference/index.php?page=article&storyid=572

http://www.cancerit.jp/xoops/modules/cancer_reference/index.php?page=article&storyid=603


示された論文に関するちゃしば先生のページ
http://www.geocities.jp/nekoone2000v/pages/YOTABANASHI/YOTABANASHI61.html

Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
ちゃしば(東京都) 2009/01/16
だいたいの結論めいたものが提示されていると思いますが、せっかくですので、昨今米国などで流行ってきている術後乳房部分照射に関してのシステマティックレビューがありましたので、ご紹介します。
Offersen BV, Overgaard M,Kroman N, et al. Accelerated partial breast irradiation as part of breast conserving therapy of early breast carcinoma: A systematic review. Radiother Oncol. 2009;90(1):1-13.
実は、この論文の前半には、今回の話題に密接した問題点が解説されています。異論があるかもしれませんが、私が前半部をまとめたものがありますのでよければご覧ください。

http://www.geocities.jp/nekoone2000v/pages/YOTABANASHI/YOTABANASHI63.html

放射線治療に関してはエビデンスを必ずしも重視していない面が多々あります。実際、たとえば陽子線治療と通常照射のランダム化比較試験は必要ないと言い切っている重鎮もいます。残念ながら、コストと利潤を中心に学会も動いている面があるのは否定できません。

新しい知見は大切ですが、あまり振り回されずに、冷静な目で最適な診療を行うことが必要な時代だと思います。
Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
上野 直人(海外在住) 2009/01/16
一度、主治医が信じている、この状況における標準療法を聞いていただけますか?
そしてその信じている根拠を聞いていただけますか?
Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
izumippy(東京都) 2009/01/21
はじめまして。2008.4月に癌発見(直径3cm)術前抗がん剤治療FECを3クールするも縮小せず。急遽8/4に右胸筋温存乳房切除+右腋嵩リンパ節廓清手術をしました。病理検査の結果は 癌の大きさ4.7x3.6x3.5cm リンパ転移無 ホルモン感受性エストロゲン10% プロゲステロン5% 術後に抗がん剤治療で、タキソテール3週間に1回点滴 併用でゼローダを2週間服用 これを6クール。今週でようやく抗がん剤治療も終了しますが、主治医より今後の治療として、放射線+ホルモン療法5年間を勧められました。 全摘で放射線はあり得ないと思っておりましたので、どうするか大変悩んでおります。主治医曰く、癌が大きく勢いがあった為、念のため放射線をした方がいいとの事ですが、抗がん剤の副作用で体中が弱ってる上、さらに放射線.... 身体への負担を考えると、かなり不安です。
どうか、意見をお聞かせ下さい。宜しくお願い致します。
Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
上野 直人(海外在住) 2009/01/22
投稿していただきありがとうございます。
このサイトはセカンド・オピニオンサイトではないことを前提に話させてください。

いくつか聞きたいことがあります。

1. 「全摘で放射線はあり得ないと思っておりましたので、どうするか大変悩んでおります。」この不安を主治医に伝えましたか?
2. 「念のため放射線をした方がいいとの事ですが」この科学的根拠はどのように説明をうけましたか?
3.「抗がん剤の副作用で体中が弱ってる上」どのように弱っているのでしょうか?
4.「さらに放射線.... 身体への負担を考えると、かなり不安です」どのような負担があると理解されていますか?
5.FECの効果が顕著でない後の治療は標準治療として説明を受けているのでしょうか?

Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
izumippy(東京都) 2009/01/23
ありがとございます。1/21にご質問させて頂きましたizumippyです。
1.この不安につきましては、主治医には伝えておりません。
 なぜならば、主治医が放射線をする前提で話を勧めてきたからです。
2.主治医が勧める理由としては、短期間で成長した勢いのある癌である為、出来る限りの治療はしておいた方が良いとの事。放射線をかける基準が5cmであり、癌細胞がほぼその基準サイズであること。
3.脱毛、関節痛、むくみ、胸痛、かすみ目..... 一番酷いのは手足症候群です。足裏の痛みで歩くのも辛いです
4.気持ち悪くなったり、乳房再建時に支障がでると、理解しております。
 また、一度放射線をかけた部位には、二度とかける事が出来ないとの事ですが、仮にその部位近くで、再発してしまった場合、放射線治療は出来ず、選択肢としては、抗がん剤しかないということでしょうか... 
5.FEC治療→手術のあとの抗がん剤 タキソテール+ゼローダについては、通常よりも 量が多いときいております、
 以上です。 知識不足で申し訳ありません。参考意見をお聞かせ頂ければと思います。宜しくお願い致します。  

 
Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
上野 直人(海外在住) 2009/01/25
知識不足ではありませんよ。笑
なんとかよりよい生活にもどらないといけないし、納得の治療を受けてもらいたいと思いいかにレスポンスさせていただきました。さらに質問しましたが、これらの質問がどのように対応するかのガイドになればと思います。

1.この不安につきましては、主治医には伝えておりません。
 なぜならば、主治医が放射線をする前提で話を勧めてきたからです。

伝えていただくことは可能ですか?不安を伝えることはとてもコミュニケーションを今後とっていくので大切だと思います。
単に不安だけでなく、なぜ不安なのかを事前に箇条書きにしてまとめて主治医に伝えてください。どうでしょうか?


2.主治医が勧める理由としては、短期間で成長した勢いのある癌である為、出来る限りの治療はしておいた方が良いとの事。放射線をかける基準が5cmであり、癌細胞がほぼその基準サイズであること。

もっと科学的根拠を教えていただけたらいかがでしょうか?あるいはその後納得できなければセカンド・オピニオンを聞いてみるのはどうですか。

3.脱毛、関節痛、むくみ、胸痛、かすみ目..... 一番酷いのは手足症候群です。足裏の痛みで歩くのも辛いです

なるほど、これらに対してはどのような対処がされているのでしょうか?

4.気持ち悪くなったり、乳房再建時に支障がでると、理解しております。
 また、一度放射線をかけた部位には、二度とかける事が出来ないとの事ですが、仮にその部位近くで、再発してしまった場合、放射線治療は出来ず、選択肢としては、抗がん剤しかないということでしょうか... 

確かに放射線治療で気持ちわるくなったりすることもありますが、この点は放射線治療医とお話しされた方がいいと思います。また、再建をお考えでしたら、形成外科医と放射線の影響をこの時点ではなされるといいと思います。形成外科医は本当にいい人をみつけてくださいね。


5.FEC治療→手術のあとの抗がん剤 タキソテール+ゼローダについては、通常よりも 量が多いときいております、

通常より多いと言うのはどういう意味でしょうか?

Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
ちゃしば(東京都) 2009/01/25
 上野先生が書かれているとおりだと思いますが、少しだけ追加させてください。まず全摘で放射線治療はあり得ないということはありません。一応リンパ節転移が4個以上では推奨されていると思います。全摘後に胸壁再発を起こすと対処が大変となることもあるので、放射線治療により局所制御率を高めようとするわけです。では乳房温存術後のようになぜ全例で施行しないのかといえば、乳房全摘後の胸壁照射は照射される肺野の体積も増えるため副作用を起こす確率が高くなること、乳房再建術の際に支障をきたす可能性などから、コスト・ベネフィットを考え、現時点でのコンセンサスに至っていると理解しています。ですから、個々の患者さんの状況に合わせて適応も柔軟に考えなければならない場合も出てくると思います。

 そういう意味からすれば、放射線治療担当の先生が手術を受けた施設にいるならば、まずそこで相談するべきだと私は思います。放射線治療医は担当医や病理医と状況についてよく相談したうえで適応を慎重に考えると思います(もちろん、患者さんの意向も十分配慮して)。そのうえで、セカンドオピニオンも考慮されてもいいと思います。

 乳房切除後の胸壁への放射線治療については確立されたコンセンサスがありますが、実は、その根拠となっている試験結果はかなり古い時代のものが多いです。慣用電圧X線装置を用いたデータなども加わっています。しかし、患者さんの恩恵が明らかであるため、最近の比較試験などはないと思います(倫理的にもできない)。ここらへんの経緯に関しては、系統的レビューが専門誌の速報版に掲載されていて、海外癌医療情報リファレンスのPubMed抄録に近日中にUPされると思います。(『リンパ節陰性乳癌に対する乳房切除術後の胸壁への放射線治療:系統的レビュー』)

Rowell NP.Radiotherapy to the chest wall following mastectomy for node-negative breast cancer: A systematic review. Radiother Oncol. 2008 Nov 7. [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18996609

胸壁の放射線治療で気持ち悪さやだるさを訴える人がいないとは申しませんが、それほど頻度は高くは感じません。またネットで答えが出る問題でもないと思いますので、さまざまな懸念を担当医に率直に伝え、納得できなければセカンドオピニオンをとるなどして、最善の治療を選択されることを希望します。
Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
shige(東京都) 2009/01/25
ある程度意見が多いほうが、参考になるのではとおもい、追加させていただきます。

自分もちゃしば先生のご意見に賛成です。
またできれば放射線科治療部の先生とお話できるといいと思います。

全摘後の患者さんではリンパ節転移の4個以上のかたが、かなり確立された、放射線をうける患者さんのグループです。

現在、1-3個のかたではどうかという臨床試験はおこなわれています。まだ結果はわかりません。

主治医先生とお話するときに、たぶん迷う点は
この”4個以上”は最初に手術をした患者さんでの話ですので、術前化学療法をうけたあとに手術した場合のリンパ節転移の個数では、本当は判別が難しいこと。
(たとえあまりしこりが小さくならなかったとしても、最初は4個以上あったかもしれません)

このあたりも含め、”はっきりしていること”、と、”まだはっきりしていないこと”、のご説明をうけ、その上で、納得して決められるようなかたちになることを願っています。



Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
izumippy(東京都) 2009/01/26
上野先生、ちゃしば先生、shige先生、ありがとうございます。
質問させて頂いておりますizumippyです。
上野先生:放射線に対する不安につきましては、自身の意見をまとめて次回外来受診時に、主治医に伝えようと思います。抗がん剤の副作用につきましては、むくみ防止の為に、ステロイドを処方されておりました。これは抗がん剤タキソテール点滴日の前後3日のみの投薬で、現在は飲んでおりません。手足症候群については、爪が化膿してきた為(黄色に変色し、爪の間から膿みが出てる状態)これも、次回受診時に主治医に相談予定です。抗がん剤につきましては、通常はタキソテールまたはゼローダのどちらか一方のようですが、私の場合、2種を同時処方という点で多い様です。具体的なところまでは確認しておりません。主治医に確認すべき点等 アドバイス頂きありがとうございました。改めて患者として主治医とのコミュニケーションが大事だと痛感致しました。

ちゃしば先生:ありがとございました。私の認識が誤りでした。とても勉強になりました。私は大学病院に通っておりますので、放射線科に確認してみます。1つだけ質問させて下さい。もしも胸壁再発してしまった場合、どのような治療法が残されているのでしょうか? お忙しいところ申し訳ありません。

shige先生:ありがとうございます。術前抗がん剤治療以前に触診でリンパ転移が1つある、と言われましたが、術後病理検査では、リンパ転移がゼロでした。shige先生のご指摘のように、この点がはっきりしないので、次回受診時に確認してみます。 
Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
ちゃしば(東京都) 2009/01/26
izumippyさん。放射線治療は局所療法ですからその分野の人間が言うのもなんですけれど、もう少し御自身の身体を全体として見てください。現代医学ですべてをパーフェクトとすることは非常に困難ですから、バランスを考えた対処が必要になると思います。ひとつひとつを考えたらとれも怖いこと、嫌なこともあるでしょうけれど、それらすべてを忌避していたらとてもバランスが悪いことにもなりかねません。落ち着いて当該施設の放射線治療医によく話を聞くことだと思います。想定されることを列記することは容易いですが、それぞれの病態によって想定される頻度も変わってくると思いますし。

 リンパ節転移の少ない乳房切除術後の放射線治療については、ちょうどタイミングよく先ほど紹介した論文が出ています。大学病院であればASTRO会員もいると思いますから、速報版も電子版で読めるでしょう。確立されたエビデンス以外の、科学的な根拠を教えてもらえるかもしれませんね。担当医の『経験』だけでなく、過去のエビデンスを参考にしてもっともよいと考えられる選択肢を選んでください。

 ちなみに、現時点で放射線治療であれば一般的にはX線が用いられますが、今回放射線治療を施行しないとすれば、皮下などに再発した場合、電子線治療がなされることになるかもしれませんね。その場合は、再発部位のみの治療となり、そこに近接した部位に再々発した場合は放射線治療対象外となる可能性が高いと思います。
Re:放射線治療について、お尋ねいたします。
伊藤淑子(京都府) 2009/01/30
各先生方から、貴重なご意見をいただき、本当にありがとうございました。少し時間が経ちましたが、改めて御礼申しあげます。「放射線治療」につきまして、意思決定をするにも基準となるデータが、私には、何もなかったため、毎日先生方からのメールを何度も読み返しました。おかげさまで、「何が何なのか」全体の様子をつかむことができました。いろいろ教えていただいた知識をもとにしまして、主治医の先生ともその後、話し合いました。結局、私の場合は、HER2は、マイナスでしたのでリュープリンを使ってホルモン治療を続けていくことになりました。腫瘍から乳頭までの間が約8ミリなので、病理の細かい分析結果を主治医が依頼してくれました。その結果により、放射線の有無を再度検討してみようということになりました。その件につきましては、もう少し後日になるため、わかりましたら報告していきたいと思います。なお、上野先生から、いただきました、その根拠を尋ねるように、というご指摘に関しましては、「私の場合の放射線の必要性の有無について根拠はありません。もともと医学というものに、根拠がないからです。」という風に前置きされ、しかし、「私の場合は、、2週間ごとに診察をして細かく経過観察していく」とのことでした。私は、この治療方針に賛成できると思っています。これらにつき、ご意見などございましたら、よろしくお願いいたします。

記事内容を変更することはできません。記述を修正したい場合はコメント欄を使って補足・訂正を行ってください。