掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
治療方針の受け入れについて...
たかはし(栃木県) 2009/02/02
上野先生、伊藤先生 先日はご丁寧なご指導を頂きありがとうございました、以後は院内における周りの目は厳しいですが私としましては気持ちも落ち着き心穏やかに過ごしてきておりましたが数日前の定期検診において今後の治療方針についての説明を受けいささか動揺をしております、以下に内容を書きますのでアドバイスを頂ければ幸いです。
(1)肺がんについては今まで通り治療を中断し肺繊維化の治療を優先せざるを得ません。
(2)転移が発症した場合の対処は、脳転移については放射線の全頭照射から始め治療をすすめます。骨転移、多臓器転移についても抗癌剤の使用は出来ないため頭部と同様に放射線のみの
治療になり症状によっては放射線を照射しても治療というより
も痛みをとる程度の効果しか期待出来ないかも知れません。
(3)肺繊維化については両肺の50%が繊維化しており病状としては重症と考えて下さいとのこと、しかし現在は繊維化の進行が停滞しており一時的な安定期の状態にありこの状態が永く続くことを期待するのみです。
そこで肉体的な副作用の軽減を図るためにも現在投与しているステロイド剤を最小限にまで減量したい、幸いにして副作用で発症していた糖尿病も完治の状態でもあり骨粗そう症もフォサマックの投与で安定しているし、血中酸素濃度も96%と安定しており酸素吸入も必要としない状況なので現状を維持することが延命そのものなのです。
と云うことでした。
私はこの数日間悩み続けております、この状況を受け入れられるかどうかと云うことです、まず第一にこれからの毎日が経過して来た過去の4年間のように転移の恐怖に付きまとわれて過ごすことができるのだろうかと云う不安です。
それと本当に治療方法は無いのだろうかと云うことです。
このままでは死刑を宣告された死刑囚のように何時訪れるか分からない執行日を待つだけなのでしょうか。
風邪を引かないように、肺炎を起こさないようにと注意を促されますが治療方法が今以上に無いという状況下ではこのような
状況を甘んじて受けなければならないのでしょうか、このままでは精神科の門を潜るのもそう遠くは無いような気もしております。
アドバイスを頂ければ幸いです。

   
Re:治療方針の受け入れについて...
たかぎまりこ(海外在住) 2009/02/02
横からですが、すみません。今書き込みを拝見して、元看護師として少しお話できます。良かったら読んでください。

たかはしさん、4年間不安な気持ちで病気と向き合ってこられて、心が疲れきっておられるのだな、と感じました。
病態を読ませていただくと、医療者にとっては一見「悪化がみられないのでよし」とされてしまいそうですが。たかはしさん自身にとっては、患者さんにしてみたら、本当に不安な毎日で辛いだろうと伝わってきます。

以前の書き込みも読ませていただきました。私の意見としては、精神科の先生にもっと気軽に診ていただいたら、とお伝えしたいと思いました。風邪をひいたら内科に行くように、心が風邪をひいたら精神科が専門です。どうかご気分を害さないでください。
一般的に精神科はとても特別なところのようなイメージをお持ちの方がほとんどですが、心のスペシャリストに時には診ていただく事もメリットがあるのではないかと思います。ただただお話を聞いてくださる専門家を紹介してくださるかもしれません。

あとは、少しでも病気の事を考えないでいられる時間ってありますか?
ほんの一瞬でも、笑ったり楽しくて全てを忘れられる時間って誰にでも必要ですよね。たかはしさんにそんな時があるといいのですが。

風邪を引かないように、肺炎を起こさないようにと注意されておられるようですが、病態に変化が無いなら、できる事は何か、どこまでハメをはずしていいか主治医の先生と相談された事はありますか?何かやりたいことができるといいですね。

こんなことを考える気分じゃないかもしれませんね。余計なお話でしたらごめんなさい。少しでもお気持ちが軽くなられる事を遠くからですがお祈りしております。


Re:治療方針の受け入れについて...
伊藤高章(大阪府) 2009/02/03
たかはしさま
 伊藤高章です。再度自己紹介しますが、私は、医師でも看護師でも薬剤師でもありません。ですから、たかはしさんのお体のご様子や治療の選択肢について、専門的なアドヴァイスや情報提供をすることはできません。私は、病気を抱えながらお過ごしの方やご家族とご一緒する訓練を受けた宗教者にすぎません。以下のコメントも、そのような偏った立場からのものと、ご理解・ご寛容をお願いいたします。
 「安定期の状態」とはいえ厳しいお体の状況に居られるご様子、文章の中から伝わってきます。私なりにその不安を想像することはできますが、たかはしさんご自身の感覚は、どのようなものなのでしょう。私の不安の感覚は、頭と心の中に空虚な暗黒がグ~ッと押し寄せ、心が押しつぶされるような感覚です。自分がどんどん小さく冷たくなって行くような身体感覚もあります。手に負えない大きさと深さのものだということは直感的に分かります。その感覚に自分を委ねてしまったら、立ち直れなくなりそうです。可能なら、その感情から目をそらして過ごしたい。
 実は、今のたかはしさんには、この不安に捕まえられ足止めを喰らっている余裕はないはずなのではないでしょうか。いつかはその「安定期」のバランスが変化してきます。それまでの期間(どれくらい引き延ばせるか、祈るばかりですが)に、視線を上げ、眼差しを周りに向け、ご家族・ご友人・これまでのお仕事・成し遂げられて来たこと等、との関わりで、今だから出来ることがあるのでは・・・と考えます。体の状況が激しく変化していた時や積極的な治療をされていた時には、病気の様子を見極めるのに体も心もとても忙しかったことでしょう。今与えられたこの「安定期」は、病を抱えながらも一生懸命毎日を過ごしておられるたかはしさんが、ご自分を囲む状況や、これまで生きて来られた時間を振り返る、宝物のような時間なのではないか、と私には見えます。
 「不安から気持ちをそらすことが出来たら、こんなに苦しまない。お前は何もわかっていない。」というお怒りが帰ってくるかもしれませんが、この時に他の大切なことに目を向けなければ、それが出来る機会は、もしかしたら無くなってしまうかもしれません。不安を感じることのできる「気持ち」はとても大事ですが、それに自分を委ねないという無謀な努力も、時には必要なのではないか、と思っています。「気持ち」はたかはしさんの一部ですが、たかはしさんの全人格ではない。周りに目を向けた時、いろいろな「気持ち」が湧いてくることでしょう。
 「そんなことは、十分にやって来ている」のでしたら、何よりです。
 少しでもたかはしさんに届く言葉が含まれていればよいのですが。
Re:ありがとうございます
たかはし(栃木県) 2009/02/03
たかぎ 様  伊藤 先生

御丁寧な御意見をありがとうございます。
お二人の御意見を読んで気持ちの高ぶりを抑え切れなくなりました、何かが目覚める高ぶりです。
全部をプリントして友人のところへ出かけて来ました。
快く迎えてくれた友人はゆっくりと読み返しながら(これが正解だね、ほんと..)と何度も頷いて(お前はね、やり過ぎなんだよ、がんばり過ぎるんだよ..)と言われました。
(同じような病気の人は皆んな同じ思いなんだよ、だだ人は夫々だから自分のペースでしか歩けないんだ、それをお前はこうすれば良くなるだろうとか、こうしてみてはどうか、などと誰れよりも早く治ってみせるとかこうすれば自己管理は上手くできるとか、命の時計なんか作って4年は絶対生きてやるなんて意気込んで期待する気持ちが強いだけに一度悩んでしまうとそこから抜けだせなくなるんだ、あんな命の時計なんて捨ててしまえよ...) 友人は涙ながらに言ってくれました。
確か麻酔部の緩和ケアの先生からも(貴方は頑張り過ぎだよ..もう少し余裕を持って過ごしてみたら、血圧表も体温表も付けるのはよしてすきな絵でも描いてみたら..)と言われた時期がありました。
私は気持ちに余裕の持てない自分の思いの中に自分自信を置いていたのかも知れません、家族の前で強がってみせ、お見舞いの電話にもできるだけ声を張ってみせて他人にも強がってみせることで自分は元気になっているんだと思い込ませていたのかも知れません。
弱い自分を見せたく無いと云う思いは確かにありました、しかし気持ち的に追い込まれてしまうと現実を見ようとしなかったのかも知れません、今日から少しずつ気持ちの切り替えをしていきたいと思います、大好きなクラシックに暫くは浸ってみたいと思いますスケッチもしたいと思います。
このコーナーに集まる心優しい先生方をはじめとする回答者のみなさんや友人達に少しだけ支えてもらいたいと云う気持ちが
どこかにありますお許し下さい。
でもこのようなコーナーがあるからこそ私のような人間が救われていることも事実ですから。
伊藤先生の言われる(宝物のような時間)を心穏やかに過ごしてみたいと思います。
(散るさくら、残る桜も散るさくら)私の母校の碑に刻まれた詩です先に逝った人たちに思いを馳せながら大切な時間を過ごしていきたいと思います長生きして欲しいと願う家族のためにも
頑張り過ぎないようにありのままの自分の姿を見せながら過ごしたいと思います。
本当にありがとうございました。


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