掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
化学療法中の多発性骨転移患者に対するストロンチウム‐89の実施について
ナースれんたろう(愛媛県) 2009/03/06
 いつも拝見させていただいてます。掲示板を読ませていただいくうちに皆さんの暖かくて的確なアドバイスを信頼できるようになり、今回自らテーマを立てさせていただきました。
 私は30歳代半ば。看護師をしていましたが2008年3月に胃癌(Stage4)を発症しました。当時は原発巣のほかにウィルヒョウリンパ節転移と脊椎や肋骨・骨盤などへの多発性骨転移を認め、シスプラチン+TS-1を3クール実施した後の6月半ばに胃幽門側亜全摘術(あくまで姑息手術です)、翌7月より術後化学療法としてタキソテール+TS-1を9クール実施したところです。これらにより現在では、画像で確認できるがん病巣は骨のみとなってます。
 12月頃より倦怠感・食欲不振などがみられ始めましたが化学療法は継続し、1月下旬より脊椎2箇所(Th10・L3)に痛みが出始めたため、2月上旬に放射線治療(外部照射・3Gry×10)を2箇所同時に実施しました。
 化学療法と同時進行だったため、副作用(食道炎・腸炎・食欲不振・悪心・骨髄抑制に伴う不顕性感染症)が強く出ました。しかし、現在の体調は良好です。
 実際先の放射線治療検討の際には、転移部位の数の多さの問題から、外部照射ではなくストロンチウムにすべきだ、との意見が放射線科の医師より出たのですが、「その場合には化学療法を2~3ヶ月中断しなければならない」とのことだったため、私自身の意思で疼痛の出ている部位のみの外部照射を選択したのです。その結果、照射部位の疼痛は完全に消失したので、今回の選択には満足しています。
 しかし、問題は今後のことです。2月下旬にPET-CTを実施したところ、骨盤に1箇所反応が出ていました。今のところは麻薬性鎮痛薬の効果のおかげか、その部位の疼痛はほとんどありません。しかし、おそらく(骨シンチなどを実施すれば)肋骨などの転移巣も残っているはずですし、外部照射はあと1箇所くらいが限度らしいので、いつかはストロンチウムによる治療を実施しなければなりません。
 でも、今回の外部照射だけでも強い副作用がでてしまい、不顕性感染症を発症した2月下旬は入院を余儀なくされた状況です。これが静脈を巡って全身に作用するストロンチウムとなると、一体どんな副作用に襲われるか?不安です。日本では昨年秋から保険適応になった新しい治療法ですが、(骨髄抑制に伴う感染症で)早くも死亡者が(ごく少数ですが)出ているようです。
 そうなると、当然化学療法を中断して臨むことになりますが、2~3ヶ月の中断ということになると全身のがん細胞の増殖は避けられないと思うのです。
 よって、自分なりに考える実施時期の選択は2つです。一つ目は現在のタキソテールが効かなくなり、残る一つの抗がん剤(イリノテカン)に切り替える際。もう一つは私に使えるすべての抗がん剤がなくなった後です。
 もちろん、疼痛の出現状況によっては悠長なことも言ってられなくなるかも知れません。逆に、今の時点で今後のことを考えるのは早すぎるかもしれません。それでも何か今後の対応へのヒントだけでも頂ければありがたいです。
 ご教授よろしくお願いします。

   
Re:化学療法中の多発性骨転移患者に対するストロンチウム‐89の実施について
井沢 (京都府) 2009/03/09
ナースれんたろうさん

こんにちわ。ご質問の件ですが、私もれんたろうさんと同じ看護師をしています。院内の放射線治療医の先生にれんたろうさんのご質問内容を見ていただきコメントをいただきました。
参考になるかわかりませんが、よろしくお願いします。
以下、その放射線治療科の先生の内容です。

内容を整理すると、
①2008年3月にMK stage IV(骨転移)の診断で、術前化学療法・手術・術後化学療法を受けている女性

②現在病巣は骨転移のみで、化学療法を継続中

③2009年2月にTh10とL3に外照射

④PETで新たに骨盤骨転移指摘されたが無症状

の方が、
「骨盤骨転移の治療として、メタストロンをしなければいけないと考えておりその施行時期について教えて欲しい」ということだと思います。

まず、この方が少し誤解されている点は「外照射はあと1回しかできない」と考えている点で、今まで照射されていない部位であれば外照射は可能です。
それと、外照射にしてもメタストロンにしても両者とも疼痛緩和の治療であり、メタストロンを注射して骨転移そのものが無くなるわけではありません。
なので、現在症状がなく骨折や脊髄圧迫等の危険性がないのであれば特に治療の必要はありません。

よって、施行時期はいつが良いかという質問については、「痛みや脊髄圧迫の症状が出てきたときや骨折の危険性がある時」で、条件が合えば外照射も可能です。
副作用が心配であれば照射時のみ化学療法(S1だけでも)を中止された方が良いと思います。メタストロンの副作用は実際にやってみないとわかりません。
Re:化学療法中の多発性骨転移患者に対するストロンチウム‐89の実施について
ナースれんたろう(愛媛県) 2009/03/12
ナースれんたろうです。
井沢さん、コメントいただきありがとうございました。
返信が遅れて申し訳ありません。

わざわざ勤務先の医師にまで相談していただいたそうで、ご足労をかけました。恐縮です。

おかげでよく理解できました。安心しました。

ただ、メタストロンの副作用については、やはり過去の統計がない分、当然予測できないことは否めないのでしょうね。
と言うよりも、僕自身が未来の患者への礎になる立場なのでしょうね(^_^)
Re:化学療法中の多発性骨転移患者に対するストロンチウム‐89の実施について
上野 直人(海外在住) 2009/03/20
返信が送れて申し訳ありません。本当に死者がでてるのですか?

この手治療にはセメリウム(Sm)とストロンチウムと二つがアメリカで認可されていますが。症例を限定すればかなり安全な治療です。とくにモルヒネなどでペインコントロールされてないときに使用すればかなり有効です。ただし、もとの骨髄が正常に機能してることが条件です。たぶん化学療法を過度に使用されて、骨髄機能が普段から抑制されている人は使用に限界があります。
Re:化学療法中の多発性骨転移患者に対するストロンチウム‐89の実施について
ナースれんたろう(愛媛県) 2009/03/20
上野先生、お忙しい中コメントいただき、ありがとうございます。

僕が放射線科の医師から聞いた話だと、ごく少数(1・2名)ではあるが・・・、ということでした。しかし、まだまだ日本では症例数が少ないため、ケモとの併用療法が本当に危険なのか、あるいはたまたまの特別な症例だったのかはわからないのだと思われます。

よって、僕の独断で大げさに書いてしまったのかもしれません。申し訳ありません。

今後僕自身がこの治療を受ける際は、主治医や放射線科の医師とよく相談して、十分納得した上で受けたいと思います。
Re:化学療法中の多発性骨転移患者に対するストロンチウム‐89の実施について
上野 直人(海外在住) 2009/03/22
了解です。そうですね。情報を正確に患者も伝える、医療従事者も伝えることが大切ですね。特にインターネットは医療の情報がひとり歩きする傾向がありますからね。また、医師が特に経験を振りかざすのはとても危険です。患者には経験と正確なデータとは区別なんか簡単にできないし、わらにもすがりたい気持ちの時に経験を言うと飛びついてしまいますから。患者は医師に「経験ですかそれとも確定されたエビデンス(科学的根拠)であるか」を聞く必要があります。
Re:化学療法中の多発性骨転移患者に対するストロンチウム‐89の実施について
上田 宏(兵庫県) 2009/03/26
昔、MDアンダーソンのTheriault先生の診察に同行させてもらった時のことです。
患者さんからの質問に対して、
「あなたの質問に対して、これまでに3つの報告が示されています。2つは***で1つは***という内容です。そして私は****と考えています。ご了解いただけますか?」
この答えに、患者さんはとても満足しているようでした。
医師だけでなく、がんの専門職を担う看護師や薬剤師も、患者さんが納得できるICのスキルが必要だと思っています。
(本題からずれてすいません。)

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