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腋窩リンパ節郭清後の注射
ひかり(北海道) 2009/03/12
医療関係者の掲示板での投稿記事「乳がんリンパ節郭清後のケア」を読んでふっと疑問に思ったのですが、リンパ郭清後患側の腕は使えないというのは、エビデンスのある事なのでしょうか?
郭清後では免疫機能の働きが悪いからでしょうか?

私は両側乳がん患者で、左リンパ郭清0/11、右リンパ郭清0/8です。
左の腕は全く使えませんが、右は採血、血圧測定はOKです。
右手術の前に主治医に「右腕も使えなくなるの?」と聞いたので、最大使える範囲でのリンパ節郭清にしたのかなと思っています。

リンパ浮腫もなく、血管もきれいに出ているのにもったいないと思うのです。
因みに左腕はずっと上げてるとだるくなります。右腕は問題ないです。
検査の造影剤入れるのも足からだし、皮下注射もお尻です。
本当に腕使えないですか?

Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
上野 直人(海外在住) 2009/03/20
良い質問です。めちゃくちゃいいですよ。
エビデンス超弱いです。

でも、みんなの頭には恐れと慣習がこぶり付いています。ですので本当に問題なのかを調べてみる必要あります。調べるとは臨床試験で前向きに行う必要があります。

僕自身はやっていませんが、患者の恐怖心が先行しており普段の現場では使用していませんが、医療理由により反対側の点滴あるいは血会うをしようしたいときに本当に困っています。
Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
ひかり (北海道) 2009/03/20
上野先生、回答ありがとうございます。
あるブログでPET/CTの造影剤を術側で入れた方の記事を読みました。
同時期にこちらの医療者掲示板の記事も読み、「どうなんだろう?」と思い質問させていただきました。

その方は以前タキソテールを4回入れた事があり、それでOKが出たそうです。
医療現場では、どうしても血管が出なくてこのように術側を使っている方もいるのですね。

処置後にトラブルがあったか、無かったかなど、体験を投稿していただけると現状が見えてくると思うので、ここをご覧の患者の皆様に教えていただきたいです。

この質問してから何の反応も無かったので、「変な質問しちゃったかな~」と、もう少しで削除しようと思っていたところでした。
上野先生、セーフです。ありがとうございました。
Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
杉山(神奈川県) 2009/03/21
ひかりさん
投稿ありがとうございました。

医療者側である私も常々疑問に思っていることです。
私の施設でも、腋窩リンパ節郭清をした側の腕は、「原則として」採血や血圧測定をしないことになっています。

でも、ひかりさんのように両方リンパ節郭清をした方で、足の血管もとりづらくて大変な人は、浮腫が存在しなければ、採血や点滴を、消毒をしっかりすることを前提として、郭清後の腕で行うことがあります。

しかし、抗がん剤の点滴となると、薬が漏れたあとに潰瘍になったりするリスクを考えると、郭清側の腕からは行いたくないな、と思います。(し、実際に行っていないと思います。)
虫刺され程度の傷で、郭清した側の腕が激しい炎症をきたしてしまう人もいるので・・・。

エビデンスって、このようなことでも作れるのでしょうか?
まず、現状を把握することも大事なのかな、と思いました。
Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
レタス(北海道) 2009/03/21
術側の腕の血管を使う(使える)かどうか、とのことですが、
担当医の判断や患者の状態にもよるかもしれませんが、
私の場合は何度も使えています。

ひかりさんの言われる患者は、私のことかと思われます。
術後の担当医の説明では わたしの左の乳がんは、
しこりの大きさ2.5cm、ステージⅡ、リンパ転移が4/15で、
当然、腋窩リンパ節郭清しています。

術後4週間からEC5回とタキソテール1回を右腕で、計6回投与。
右腕はこれ以上使えず、残りのタキソテール4回は
担当医のOKが出たので左の術側になりました。
タキソテールの副作用は しっかりとありましたが
緊急を要するような体調の変化はなかったと記憶しています。
血圧測定では左上腕部の加圧は痛みが出るので右のみです。

今回(4回目)のPET/CTの造影剤は初めて術側からでした。
右腕血管はすっかり潰れて硬くなり、暖めても使えません。
PET/CTの係りの方も、術側をタキソテールに使っているし、
リンパ浮腫もほとんど見られないので、
と、言うことで術側を使いました。
私自身、いままで術側使用に恐怖感はありません。

造影剤使用後10日余りになりますが、体調に変化はないようです。
Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
上野 直人(海外在住) 2009/03/22
ひかりさん、変な質問でないですよ。レタスさん、経験を書いていただきありがとうございました。杉山先生、こんなでも、エビデンスつくれますよ。(^^)
おっしゃるとおり、現状を正確に把握することが始まります。現状が正確にわかると次に何をしないといけないか、患者にとって大切な問題点が何かが見えてくると思います。
Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
ひかり (北海道) 2009/03/22
★杉山先生
お返事ありがとうございます。

>でも、ひかりさんのように両方リンパ節郭清をした方で、足の血管もとりづらくて大変な人は、浮腫が存在しなければ、採血や点滴を、消毒をしっかりすることを前提として、郭清後の腕で行うことがあります。

実は今度CT検査を受ける時、腕を使ってみようかと企んでいたところです。笑。
足は親指延長上の足首の血管を使っていますが、どうも足の血管って細いようです。
タオルで暖めたり、叩いたりして注射の上手な(?)看護師さんが呼ばれて対応してくれてます。
(看護師さんもすごく緊張してるのがわかるんです)

以前細胞診の後、主治医が「お風呂は入らないように」と注意しながら「注射してもお風呂入らないでって言わないから、僕は良いと思うんだけどね」と言ってた事があり、その時はシャワー浴びてみました。
でも先生のお返事を読んで、つい自分でやってみたくなるので、ちょっとだけ慎重にしなくてはと思いました。笑。

医療従事者側からのお話を聞けて、とても参考になりました。
お忙しい中、ありがとうございました。


★レタスさん
まずお礼を言わせて下さい。
本当に私の勝手な願いを受けて下さって、こうして投稿して詳細を教えていただき、本当にありがとうございます。(^-^)

レタスさんの投稿で、また別の患者さんも自分の体験も・・・と思ってくれたり、医療従事者の方もこのように対処してます・・・という事を教えていただければ、患者としても主治医と話し合って決めていける道も見えてくるかなと思います。
貴重な体験談、ありがとうございました。


★上野先生
お返事ありがとうございます。

>良い質問です。めちゃくちゃいいですよ。

先生のこの言葉でとっても気が楽になり、レタスさんにも投稿をお願いする事ができました。
掲示板に何か書くというのは、ブログと違って結構大変です。
ましてここは医療従事者の方の閲覧が多いですから緊張します。笑。(ちょっとだけ)

このテーマは患者もお気楽に参加できるかなと思うので、皆さんの体験談を投稿していただきたいですね。
上野先生の回答があると、掲示板動きますね。爆。。。
Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
レタス(北海道) 2009/03/22
先にコメントしました、レタスです。
書き漏らしがありましたので、追記いたします。

術後の第一回 EC点滴後、10日目に血液検査がありました。
初めての抗がん剤での影響を見るためです。
点滴前の診察で血液結果のプリント一覧は毎回いただいてます。
低い値が出ていたのは次の項目です。

白血球 - 3.1 X10*3/μ1
ヘモグロビン - 11.6 g/d1
ヘマトクリット - 33.1 %

この状態でも2回目のECは受けられました。

でも2回目以降、5回までのEC投与前の血液検査では
白血球は 4.1~4.8で、他も基準内の数値です。
タキソテール投与の血液検査では、
白血球は 5.0~6.2 で、他も基準値内の数値です。

毎回 血液検査の結果をクリアできたので、
休薬することなくスムーズに抗がん剤投与できました。

ご参考までに追記いたします。
Re:医療従事者が多いので掲示板に書き込むのが緊張する
上野 直人(海外在住) 2009/03/23
なかなかいいご指摘ありがとうございます。

なるほどと思いました。笑
馬鹿な質問は医療にはありません。納得して医療を受けることが大切ですから。
お互いに建設的にコミュニケーションが出来る場を目指しています。この掲示板は日本で一番建設的に患者同士あるいは医療従事者同士あるいは患者、家族、医療従事者がフランクにコミュニケーションできてる場だと多くの方に言われています。

それには、幾つかのルールが守られているのだと思います。
1.建設手的に意見を言う。
2.冷静になる。笑
3.素直になる。
4.話をよく聞く。

当たり前ですけどコミュニケーションの基本です。

医療従事者も緊張しているんですよ。どう返事をしていいか、時々みんなとコミュニケーションしています。でも、この掲示板で気軽に答えられてないなら、僕たち私達、医療従事者はまだ修行が足りないんだと思います。笑
Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
ひかり (北海道) 2009/05/18
先日ふとした事がきっかけで、患側の腕で造影剤の注射をしました。
何かの参考になればと思い、ご報告させていただきます。

心臓の検査で内科医より紹介状をもらい、ある循環器センターに行きました。
採血の時、血圧、採血は右腕のみ使える事を伝え、足からいつものようにルートを確保し検査室に向かいました。
この検査は冠動脈造影CT(MSCT)なのですが、検査技師より足からの造影剤投与では、きれいな画像が撮れないので無理だと言われました。
技師自らオーダー入れた医師に電話を入れ、造影剤を使わないCTを行う事になりました。

ここで、今がチャンスと思い「乳腺の主治医に右腕使えないか確認していいですか?」と聞いて承諾を得ました。
そして乳腺クリニックの主治医に事情を話した所、右腕なら使っていいという事になりました。
今度から造影剤は腕で行おうと思います。
あくまで私の場合のお話です。
Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
上野 直人(海外在住) 2009/05/19
エビデンスが明確でないというのはつらいところです。同じような問題点を自分の患者から指摘されて。最終的にはお互いの同意の上でリンパ節除去された腕に注射をすることにしました。

Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
あんこ(香川県) 2009/05/20
病院で薬剤師をしています。腋窩リンパ節郭清後の注射、採血について患者さんへの説明を統一できないかと近隣の病院での状況を調べたりエビデンスをさがしましたが結果は様々でした。個々の患者さんの腕の状態も違うと思いますのでやはりひかりさんのように主治医の先生に相談されるのが一番でしょうね。あと日常の腕のケアについて看護師さんに聞いておくのも大切だと思います。
Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
上野 直人(海外在住) 2009/05/20
結果が明確でなくても論文にしたらいかがですか。 Negative resultsも大切な結果です。Negative resultsが論文にならない理由はNegativeが重要でないという医療従事者の態度がとても大きいです。もちろんジャーナルの編集あるいはreviewerの態度も問題ですけどね。もちろんそのreviewer達は医療従事者です。笑

でも、negative resultsの論文がrejectされるもう一つの最大の理由は研究手法に穴が大きくあいてることが多いからです。negativeをnegativeと証明するのは大変です。でも頑張ってくさい、患者さん達のことを考えるととても重要な問題です。

研究してるのに論文を書かないのは、患者をほったらかしにするぐらい倫理的に問題があります。また研究をおろそかにする医療従事者も倫理的に問題あります。
医療従事者は常に医療を良くすること、エビデンスを吟味し、創る、造る毎度セットをもつことが大切です。かりに本格的な研究することができなくても、facilitateするのは私たち医療従事者の義務です。
Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
あんこ(香川県) 2009/05/22
そうですね。様々であるという証明ができますかね。多施設で指導の状況を含め調べてみたいです。
Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
上野 直人(海外在住) 2009/05/25
ぜひ,その結果をまた教えてください。
Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
ふうせんかずら(北海道) 2020/01/30
患側の下肢での点滴、採血は可能でしょうか? 教えて下さい。
Re:腋窩リンパ節郭清後の注射
SS(福島県) 2020/02/04
ふうせんかずら様
お待たせして申し訳ありません。看護師のSSです。

リンパ節郭清後の患側の下肢の採血ということですね。
これは、どの場所のリンパ節を郭清したのかによります。
わきの下のリンパ節郭清であれば、患側の下肢の採血は支障ありません。
例えば、右側のわきの下のリンパ節郭清を行った場合、右腕の採血は「原則」避けた方が良いとされています。リンパ浮腫につながるリスクがあるためです。しかし、右下肢の場合では、採血をしてもリンパ浮腫になることはまずありません。
下肢のリンパ管が集まってくる場所はわきの下のリンパ節ではないので、大丈夫ということですね。

ふうせんかずらさんは、下肢の採血を気にしておられましたね。
わきの下のリンパ節郭清であれば、下肢の採血は問題ありませんので、ご安心ください。
ですが、「足の付け根にあるリンパ節郭清を行った場合、患側の下肢の採血はどうなのか?」という疑問であれば、また話は変わってきます。
足に流れているリンパ液は、足の付け根にあるリンパ節に集まってきます。
例えば、右側の足の付け根のリンパ節(鼠径リンパ節)を郭清した場合、右足のリンパ液は滞りやすい状態になります。
ですのでこの場合、右下肢での採血は「原則として」行いません。反対側の左側であれば問題ありません。
私の所属する施設では、リンパ浮腫のリスクをできる限り減らすため、避けるように指導されています。

既にチェックされたかとは思いますが、がん研究センターのサイトに分かりやすい解説が載っていますので、ご紹介しますね。
https://ganjoho.jp/public/support/condition/lymphedema/ld01.html

リンパ節郭清をした場合、日常的な観察やケア、早期の異常発見がとても大切になってきます。ふうせんかずらさんは、患側の下肢の採血を気にされておられましたが、なにか気になることがありましたでしょうか。
何だか皮膚が張っている、突っ張る、重苦しい、など普段と違うように感じられるときは医師や看護師にご相談ください。

また、なにか分からないこと、心配なことがありましたらお気軽にこの掲示板をご利用いただけたらと思います。

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