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連載コラムを読んで
がん治療の原則(1)PSに関して
三浦裕司(千葉県) 2009/05/09
腫瘍内科のトレーニングを受けているものです。

がん医療の原則のコラムを読ませてもらいました。
PSに関しての記述、おそらく腫瘍内科を勉強している専門職であれば、全ての人が賛同する考えと思います。もちろん私もPSが、抗がん剤治療適応の原則である事は重々承知しております。

しかしながら、あえて、この事にクエスチョンを投げかけさせて下さい。下記に示しますような場合は、この大原則の例外となるのでしょうか?先生のご意見を伺わせて下さい。

①極端な例:若い頃に交通事故で脊髄損傷となり、車いす生活の50歳代の方ががんになった。歩行は不能、身の回りの事に介助が必要。しかし、日中50%以上は車いすで生活している。PSにすると3となります。抗がん剤の適応は?

②臨床現場であり得る例:50代の男性、がんの脊椎転移による下肢麻痺を初発症状として発症。すぐに脊髄除圧術を行なった。術後、症状は改善傾向にあり、車いす乗車は可能だが、介助を必要とする。しかしながら、歩行(介助付き)までは、3ヶ月以上の長期リハビリテーションが必要と見込まれている。術後、1ヶ月時点のPS3である。抗がん剤の適応は?歩けるようになるまで、3ヶ月以上待つべきなのか?

   
Re:がん治療の原則(1)PSに関して
上野 直人(海外在住) 2009/05/10
質問ありがとうございます。

もちろんPSの話は原則ですので例外はあります。ただし例外のときも,例外をはずことによっての理由をチーム全体でコンセンサスを得て治療を進める必要がありあます。

内科的疾患でなく,外傷などにより生活支障などがある場合はやはり例外です。PSは基本ててきに癌による症状を中心に判断されています。

さて,骨転移および脊椎転移での対応は微妙なものがあります。つまり,手術および放射線治療およびリハビリなどによって回復の予想率と癌の今後の進展の具合を考えて,治療をするかをきめます。これにはいくつかのペーパーがありますので,文献検索してみてください。

ポイントは手術することは回復を期待しているので,手術をするということは積極的治療を考慮してると考えているとみます。でも,術者が脳みそを使わないで手術だけを進め,癌は一挙に進行するタイプなら難しい状況が患者にはまっていますね。
Re:がん治療の原則(1)PSに関して
三浦裕司 三浦(千葉県) 2009/05/12
上野先生

迅速なご返答誠にありがとうございます。
先生のおっしゃるとおり、こういう患者さんに対しては特にチーム内のコンセンサスを得て治療計画を決定する事が重要ですね。

また、確かに患者さんの生命予後、運動機能予後(回復の予想)の評価が治療法決定に大きく関わってきますね。今まであまりぴったり来る論文を探し切れていなかったので、もう一度文献検索をおこなってみます。

ありがとうございました。

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