掲示板「チームオンコロジー」
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アロマターゼ阻害剤について
ひかり (北海道)
2009/09/03
閉経後のホルモン療法で、フェマーラ(一般名:レトロゾール)を考えているのですが、ノバルティス ファーマのプレスリリースを読んで、素朴な疑問が出てきました。
今迄も「どういう事?」と思ってはいたのですが、治療変更のタイミングを迎え、きちんと質問してみようと思いました。
閉経後のエストロゲンは・・・
>副腎から分泌される男性ホルモン(アンドロゲン)から、脂肪組織などに存在するアロマターゼ
によって生成され、これが乳がんの増殖に関与します。
フェマーラは、このアロマターゼを阻害することによって、アンドロゲンからエストロゲンの生成
を抑止することでがんの増殖を抑制します。
と、記載されております。
脂肪組織などに存在するアロマターゼを阻害するという事は、体脂肪率の高い人と低い人ではアロマターゼ阻害の効果に違いはあるのでしょうか?
また、アンドロゲンの分泌は人によって値が違うのでしょうか?
アンドロゲン自体はアロマターゼ阻害には関係しないのでしょうか?
病理結果とこれまでの治療経過を基に、アロマターゼ阻害剤の上乗せのメリット、デメリットを考える時、「体脂肪率や脂肪量は考慮すべきなのだろうか?」と、単純な思いがかすめてしまいました。
意味のない疑問でしたら、ごめんなさい。
今迄も「どういう事?」と思ってはいたのですが、治療変更のタイミングを迎え、きちんと質問してみようと思いました。
閉経後のエストロゲンは・・・
>副腎から分泌される男性ホルモン(アンドロゲン)から、脂肪組織などに存在するアロマターゼ
によって生成され、これが乳がんの増殖に関与します。
フェマーラは、このアロマターゼを阻害することによって、アンドロゲンからエストロゲンの生成
を抑止することでがんの増殖を抑制します。
と、記載されております。
脂肪組織などに存在するアロマターゼを阻害するという事は、体脂肪率の高い人と低い人ではアロマターゼ阻害の効果に違いはあるのでしょうか?
また、アンドロゲンの分泌は人によって値が違うのでしょうか?
アンドロゲン自体はアロマターゼ阻害には関係しないのでしょうか?
病理結果とこれまでの治療経過を基に、アロマターゼ阻害剤の上乗せのメリット、デメリットを考える時、「体脂肪率や脂肪量は考慮すべきなのだろうか?」と、単純な思いがかすめてしまいました。
意味のない疑問でしたら、ごめんなさい。
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Re:アロマターゼ阻害剤について
佐治(東京都)
2009/09/04
こんばんわ
たしかに、時々聞かれる質問です。
以下はひかりさんのような、術後の補助療法という観点での話ですが。
体脂肪率の高い人と低い人ではアロマターゼ阻害の効果に違いがあるという明らかなデータはありません。自分たちの研究で、それに近いデータがでたことがありますが、確定的ではありませんでした。現時点では、差がないと考えておいていいと思います。これは、脂肪が多かろうと、少なかろうと、同じくらい低いレベルまで、血液中のエストロゲン濃度を強力に低下させてしまう力があるからだと思います。
ちなみに、アロマターゼは脂肪だけにあるわけでもありませんので、完全に脂肪の量と比例しないかもしれません。
アンドロゲンの分泌はある程度の範囲ではありますが、個人差があります。癌以外の他の疾患で、濃度がかなり下がる病気もあります。(副腎機能不全など)
ただし、アンドロゲンの濃度が高くても、低くても、フェマーラ、アリミデックスタイプの薬は、アロマターゼ変換する機械の歯車につっかえ棒をするタイプなので、どちらにしても止めてしまいますから差はないと思います。
アンドロゲンも濃度が高いと、なんらかの影響を乳癌に与えると考えられているので、そういう意味では関与はあります。ただ、フェマーラなどの薬の効きという点では前述のように差はつかないでしょう。
ちなみに、閉経後のホルモン陽性乳癌の発生に関しては、肥満が危険因子になりますが、閉経前のホルモン陽性乳癌では全く関連しません。(逆にちょっと危険性が下がるくらい)。アロマターゼの関連かもしれませんし、インシュリンや他の関連因子の問題かもしれませんが、このような関連がわかっています。ホルモン陰性乳癌の発生には、肥満は全く関連しません。
ということで、複雑ですみませんが。。
いずれにしても、脂肪のことはあまり気にせず、アロマターゼ阻害剤を使用いただいていいとおもいます。
たしかに、時々聞かれる質問です。
以下はひかりさんのような、術後の補助療法という観点での話ですが。
体脂肪率の高い人と低い人ではアロマターゼ阻害の効果に違いがあるという明らかなデータはありません。自分たちの研究で、それに近いデータがでたことがありますが、確定的ではありませんでした。現時点では、差がないと考えておいていいと思います。これは、脂肪が多かろうと、少なかろうと、同じくらい低いレベルまで、血液中のエストロゲン濃度を強力に低下させてしまう力があるからだと思います。
ちなみに、アロマターゼは脂肪だけにあるわけでもありませんので、完全に脂肪の量と比例しないかもしれません。
アンドロゲンの分泌はある程度の範囲ではありますが、個人差があります。癌以外の他の疾患で、濃度がかなり下がる病気もあります。(副腎機能不全など)
ただし、アンドロゲンの濃度が高くても、低くても、フェマーラ、アリミデックスタイプの薬は、アロマターゼ変換する機械の歯車につっかえ棒をするタイプなので、どちらにしても止めてしまいますから差はないと思います。
アンドロゲンも濃度が高いと、なんらかの影響を乳癌に与えると考えられているので、そういう意味では関与はあります。ただ、フェマーラなどの薬の効きという点では前述のように差はつかないでしょう。
ちなみに、閉経後のホルモン陽性乳癌の発生に関しては、肥満が危険因子になりますが、閉経前のホルモン陽性乳癌では全く関連しません。(逆にちょっと危険性が下がるくらい)。アロマターゼの関連かもしれませんし、インシュリンや他の関連因子の問題かもしれませんが、このような関連がわかっています。ホルモン陰性乳癌の発生には、肥満は全く関連しません。
ということで、複雑ですみませんが。。
いずれにしても、脂肪のことはあまり気にせず、アロマターゼ阻害剤を使用いただいていいとおもいます。
Re:アロマターゼ阻害剤について
ひかり (北海道)
2009/09/04
佐治先生、お忙しい日常を送っていらっしゃる中、深夜にこのようなご丁寧なお答えをいただきありがとうございます。
とっても分かりやすくて、大変参考になりました。
私の周りにも同じようにAIにスイッチする時期を迎えている方がおりますので、皆さんにも先生の回答をご紹介したいと思います。
因みに、もし体脂肪を減らす事でAIの効果に影響があるなら、今以上に運動して体脂肪をもっと減らし服用をしない方法もあるのか?なんて事を考えてました。
(再発リスク、副作用を考慮して)(^-^)
先生、素人って、患者って、お医者さんが予測しないような発想すると思いませんか。笑。
とっても分かりやすくて、大変参考になりました。
私の周りにも同じようにAIにスイッチする時期を迎えている方がおりますので、皆さんにも先生の回答をご紹介したいと思います。
因みに、もし体脂肪を減らす事でAIの効果に影響があるなら、今以上に運動して体脂肪をもっと減らし服用をしない方法もあるのか?なんて事を考えてました。
(再発リスク、副作用を考慮して)(^-^)
先生、素人って、患者って、お医者さんが予測しないような発想すると思いませんか。笑。
Re:アロマターゼ阻害剤について
佐治(東京都)
2009/09/04
はは、たしかに。
といっても、今回のご質問は、昔、自分もそうかもと思って調べてみたわけですので、同じようなものです。
では。。
といっても、今回のご質問は、昔、自分もそうかもと思って調べてみたわけですので、同じようなものです。
では。。
Re:アロマターゼ阻害剤について
上野 直人(海外在住)
2009/09/06
体脂肪率の高い人と低い人ではアロマターゼ阻害の効果に違いがあるという明らかなデータはありません。
ヒカリさんの質問は考えさせれますね。
本題とは関係ないですが。
こういう素朴な質問を科学的に解明することにより、医療は改善されるのだと思います。
ホルモン療法など患者の視点からすると一定の治療効果が確定されいても、この手の素朴な疑問が基礎医学で解明されると治療効果がさらに改善される可能性があると思います。
ヒカリさんの質問は考えさせれますね。
本題とは関係ないですが。
こういう素朴な質問を科学的に解明することにより、医療は改善されるのだと思います。
ホルモン療法など患者の視点からすると一定の治療効果が確定されいても、この手の素朴な疑問が基礎医学で解明されると治療効果がさらに改善される可能性があると思います。
Re:アロマターゼ阻害剤について
ひかり (北海道)
2009/09/06
佐治先生、上野先生、
素朴な質問もこうして受け止めていただき、お答えを貰うと「やっぱり聞いて良かった」と
素直に思えます。
ありがとうございました。(^^)
素朴な質問もこうして受け止めていただき、お答えを貰うと「やっぱり聞いて良かった」と
素直に思えます。
ありがとうございました。(^^)
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