神戸大学腫瘍・血液内科の向原といいます。

結論からいいますと、やはり乳房を温存されたのであれば、放射線はセットということになります。これは主には、乳房への再発（局所再発といいます）を抑えるためのものです。乳房温存術では、乳房切除に比べて小さく切除する分やはり局所再発が多くなります。過去のデータでは40%程度は局所に再発するといわれます。それを放射線治療を施すと、局所の再発は1/3程度の減らせます。局所に再発しても、再度切除して治ってしまうことも多いので、いわゆる治る・治らないへの影響は少なくなりますが、それでもやはり放射線をあてられた方のほうが治りがよいというデータがあります。大体5%程度の違いがあります。つまり100人の患者さんがいたとすると、5人の患者さんはあてたことで治る、治らないというのが分かれることになります。

次に放射線をあてる範囲ですが、これはリンパ節転移の数であるとか、乳房の腫瘍の大きさによって違ってきます。リンパ節の転移が多い場合や乳房の腫瘍が大きい場合には、乳房に加えて、鎖骨のところなど幅広く照射されることもあります。

照射の範囲によって白血球への影響などに強弱はでますが、一般的にはそれほど問題にならないことが多いと思います。放射線治療後もしばらくは白血球が低めで推移するかもしれませんが、現在の数字＝2400程度あれば、抵抗力についてもそれほど問題にはならないと思います。

以上参考にしていただければと思います。ただ、患者さんご自身のいろんな状況がありますので、最終的には主治医の先生とよくご相談されて、納得されたうえで治療に望まれるのが一番だと思います。

向原先生
お忙しいところ、ご丁寧にとても納得の出来るお答えをいただきまして　ありがとうございました。何度も何度も読み返しました。主治医と相談して　前向きに考えたいと思います。ありがとうございました。腫瘍の大きさは2.2センチでリンパ節転移8/23ありましたので、鎖骨の辺りまでの広範囲ということになるのでしょうか？放射線を当てることによる副作用の主なものはどんなことでしょうか？皮膚がかなり弱いのですがその点は心配ないでしょうか？対策出来るようなことはあるのでしょうか？

向原です。
そうですね、お話を伺うに、胸の壁と鎖骨の上には少なくとも放射線をあてるのが標準的ということになりそうです。
放射線治療の副作用については、また放射線治療医から説明があると思いますが、あてている間にも起こってくる急性のものと、あてた後何カ月もたってから起こってくる晩期性のものがあります。急性のものとしては、皮膚症状とだるさなどがあります。皮膚症状には個人差がかなりありますが、発赤や色素沈着が主でじゅくじゅくしてくるような方は少数派だと思います。対処法としては、あまりお風呂でごしごししないことと、塗り薬を施すといったことくらいしかありません。
晩期性のものとしては、肺臓炎、上肢のむくみ、腕にいく神経の障害、心筋への影響、などがありますが、いずれも頻度は低く、一般的にはこれらデメリットよりもメリットのほうが上回ると考えられています。

向原先生
ありがとうございます。デメリットを上回るメリットがあるとのことで　納得しました。副作用の軽いことだけを祈って　挑みます。ありがとうございました。

確かに主治医が治療方針をど真ん中で変えるとショゥクデすよね。
いまいち、治療経過と病歴がみえないのですのが。もう一度正確に書き出して頂けますか。

主治医に聞くべきことは。

１．予後
２．治療によって予後がどれだけ改善されるのか。
３．短期の副作用
４．長期の副作用

これらに関してはどのように理解されていますか？

　上野先生
ありがとうございます。H.20.12乳がんと診断され、治験に参加しています。その時点から半年間のゾラデックスとホルモン治療で小さくなり　H.21.6に手術。リンパ節転移　（８/２３）があり　抗癌剤治療が必要ということで、ＦＥＣ４回タキソテール４回が終わったのが昨年の１２月、１月から再びホルモン治療が始まりました、ゾラデックスはずっと継続しています。浸潤がん　診断時ＥＲ５５%→術時３０%　診断時ＰｇＲ７５%→術時２０%　グレード２　腫瘍の大きさ2.2㎝です。温存と放射線はセットという認識はありましたので抗癌剤治療が開始時に主治医に確認したところ　やらなくてもよいとのことでした。やっと抗癌剤が終わってほっとしておりましたが　今月の診察時思いもよらず放射線を勧められ　ショックで何も返事が出来ず帰ってきました。まだ白血球も低めということもあってか　様子をみて、次は来月診察ということになっています。恥ずかしいのですが放射線に関しては治療の範囲ではなかったこともあって　ここにきてメリット、デメリットについても確認しつつあります。再発率などの数値を聞くとやっておくべきなのかと思います。主治医にはしっかり聞いてきます。なぜ治療方針が変わったのかも。

詳細な情報ありがとうございます。
話を聞いているだけでは、そもそも放射線治療適応があるように思えますが。
やなり主治医に治療方針の変更理由の必要を聞く必要があります。僕なら納得できないですが理由の説明を聞かないと。

１．ちなみにおいくつですか？
２. メリット、デメリットについても確認してください。
３．今後の展望もきくべきできです。また、展望の根拠も聞くべきですね。

また、教えてください。

上野先生
ありがとうございます。47歳です。来月しっかり聞いてきます。そして又、連絡します。

年齢に関しては了解しました。つまり閉経前に乳がんと診断されてのですね。

上野先生
そうです。閉経前に診断されました。

了解しました。主治医とのコミュニケーションをまた教えてください。

昨年末に２グレイｘ２５回の放射線治療を終えたばかりの者です。温存手術後、センチネルでリンパ節転移が発見され、FEC点滴を４回やったあと放射線照射に入りました。

私の主治医は温存と放射線照射は標準の治療セットだと最初からおっしゃっておられたので当たり前に治療を受けたのですが、いきなり治療方針が変更したかのようなことを主治医からおっしゃられては、トピ主さんも驚かれたことでしょうね。ご心中お察しします。

でも、主治医の先生からよく温存手術と放射線照射の関連についてお聞きになり、納得されて不安なく治療を受けられますよう、祈っております。

放射線治療を受けた患者として結論から言いますと、放射線治療の副作用は（人にもよるそうですが）決してこわいものではありません。そのことをしっかりお伝えしたいです。

私もFEC中には白血球が大幅に下がり、規定値まで戻らず点滴を延期したこともある体質ですが、照射は、最初こそだるさが生じましたが、徐々に体が慣れて平気になりました。毎日病院に通うことがかえって良い運動代わりにもなりました。わざわざ照射の帰りに地下鉄ひと駅分を歩いたりしていました。そんなことができるくらい、体は抗癌剤のときに比べて回復してくるのです。

照射は、機械の下に寝たらほんの数分です。
胸が動くので照射中はあまり大きく息をしないで、と言われたときはドキドキして余計に息が荒くなり困りました。でも、腹式呼吸で胸を動かさずにお腹だけ上下させれば大丈夫でした。

照射中の皮膚のトラブルは、私は幸いありませんでした。
ただ、放射線技師さんが照射最終回のときに「皮膚がきれいなままで終わりましたねえ」と感心したようにおっしゃったので、もしかしたらふつうは多少のトラブルがあるのかもしれません。照射後に少し黒ずみましたが、それも１ヶ月ほど経つ今はだいぶん薄れてきています。

皮膚トラブル対策として私がやったといえるのは、保湿作用と消炎作用のあるカミツレというハーブの入浴剤を入れた風呂に毎日入ることです。照射中は皮膚が乾燥しカサカサしてきますが、乾燥を防ぐクリームは塗ってはいけないと言われますので、入浴剤で保湿するのはなかなか良い案だったと私は思っています。またカミツレは消炎作用があるので、それも皮膚トラブルを防いでくれたのではないかと思っています。

ちなみに、時間がなくてシャワーだけの時も最後にカミツレの入浴剤を洗面器のお湯で薄めて、それを掛け湯のようにしていました。

それと、カミツレの入浴剤には大変な保温効果もあります。テキメンに湯ざめしないので、体を冷やしたくないガン患者にはありがたいです。我が家はたまたま湯ざめを防ぐ目的でカミツレの入浴剤を購入していたのですが、突然にガン患者となって以来、カミツレに心身共に助けられています。

このように、消炎作用や保湿作用のあるお風呂に入ってみたりするのは一つのアイディアです。副作用対策には、主治医の先生のお力をいただきながら、同時に自らも知恵を絞りつつ、長い治療生活をお互いがんばってまいりましょう！

さんママさん
ありがとうございます。詳しく教えていただいて感謝です！カミツレの入浴剤は薬局で買えますか？出来ればどこの会社が出しているものか教えてください。

上野先生
主治医に尋ねました。放射線を受ける短期の副作用は皮膚の炎症,ひどくなる場合はじゅくじゅくすることもある　長期の副作用は半年から一年くらいして肺炎　ともに数%の確率です。心配していた白血球の低下については若干下がる人もある　しかしこれも数%とのことでした。治療の変更の理由についても尋ねましたが　この質問はかわされてしまい、予後についても今後の展望についても　再発転移を防ぐためにも「放射線はやったほうがいい」ということでした。気持はすっきりしませんが 向原先生から頂いたお返事やそもそも初めから放射線治療の対象であるのではないかというご意見からも　受けることが私にとって最大のメリットであるように認識致しましたので放射線治療を受けることにしました。質問をかわされてしまうと、次に質問しようという気にもなれず、怒りもストレスとなるだけなので。本当にこのようなありがたい掲示板があって感謝しています。もうひとつ質問ですが　私の場合温存で鎖骨にも放射するのですが、全摘の場合は放射線はしないと聞いていますが鎖骨にも放射はしないのでしょうか。

お返事遅くなりました。

カミツレの入浴剤ですが、「カミツレ研究所」という会社の「華密恋薬用入浴剤」というものです。販売会社が独自にホームページを持っておられ、そこからも購入できます。私はソニーの通信販売（ライトアップ）にて購入しました。

照射の前には私も、ろっ骨や肺の一部まで照射がどうしてもかかってしまうので、骨がもろくなったり肺炎になったりする可能性がこれから出てくると聞きました。それゆえ、照射後は長期にわたって定期的に経過観察があるとのことでした。

そう聞くとちょっとこわいですが、ガンの再発の方が私にはずっとこわいので、とにかくカルシウム剤を取ったり適度な運動をしたりして、体が打ち勝つ方向にがんばって歩いていきたいと思っています。

抗癌剤治療中、私の頭はほとんど髪を失いましたが、わずかな髪がバーコード状態になってずっと残りました。いま、抗癌剤の治療が終了して再び髪が生え始めていますが、新しい髪が芽吹いたのと同時に、バーコードのような長い髪は、ゆっくり、はらはらと抜け落ちていきました。

その様子をみて、私は自分の髪に感動しました。抗癌剤の強い作用の中で身体はほんとうにヘロヘロだったけれど、わずかな髪は抗がん剤に負けずに、長い髪と短い髪に入れ替わりながら必死に私の頭を守り続けてくれたんだ、と思いました。自分の身体が私のいのちを守ろうとしているようにみえました。それは、当たり前のようだけど、心底嬉しかったです。

おたがい、自分の身体の「治る力」を信じて、受けられるガン治療をきちんと受けながら、副作用を乗り越えて再発しない身体にたどりつきたいですね。共に、がんばりましょう。

さんママさん。ありがとうございます。カミツレ入浴剤購入してみます。さんママさんはＦＥＣ４回のみだったのですね。私はそれに加え　タキソテール４回をしました。タキソテールに入り眉毛　まつ毛まで抜けて見事にツルツルになってしまいましたが、最後の抗癌剤から２カ月半ほどになりますが、今は芝生のように黒々と髪の毛が5ミリほど伸びてきて　生命力の強さに感心しています。ほんとに再発なんてしていられないですよね。放射線もまだ今日で３回目ですが、再発なしと信じて２５回受け、私もさんママさん見習って　カルシウムも摂りながら　適度な運動もしながら　毎日楽しく過ごし　がんに打ち勝ちます！ありがとうございます。　

返事が遅れて申し訳ありませんん。鎖骨下に放射線治療するかは、本当にガンの広がりのパターンと再発のリスクを見ながら放射線治療医が決定しますので、全摘に後にするかしないかはなんともいえないですね。

上野先生
個々で違うということですね。ありがとうございました。