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乳癌検診
三輪 教子(兵庫県) 2010/02/02
乳癌は、早期に発見すれば治癒の可能性の高い癌です。早期に発見すれば、命のみでなく、乳房も守ることができます。

しかし残念ながら、日本では乳癌検診の受診率が欧米に比べて非常に低いのが現状です(欧米が70-80%であるのに対し、日本は全国平均10%足らず(2006年度)。

世界中で乳癌の患者さんが増えていますが、欧米では死亡率は減ってきています。一方、日本では患者数、死亡率、ともに増加しています。

これは乳癌検診受診率の差、を反映していると思われます。実際、発見時の様子を見てみると、欧米の方がより小さいサイズ、あるいは非浸潤がんの状態で見つかることが多いようです。

是非、日本でも乳癌検診率がもっと増えてほしい、と思い、この書き込みをしています。

実は、今度、乳癌検診呼びかけのお話をさせていただくことになりました。どうしたら検診に来ていただけるか、等々、検診についてのみなさんのご意見をお寄せいただけたらとてもうれしいです。

一般の方用掲示板と医療関係者用掲示板の両方に投稿させていただきますので、よろしくお願いいたします。

   
Re:乳癌検診
おおば(神奈川県) 2010/02/04
金銭的な負担をへらすことと、検診の機会の拡大。これに尽きると思います。
Re:乳癌検診
三輪 教子(兵庫県) 2010/02/04
おおばさん、
書き込みありがとうございます。そうですね、負担が少なく、機会が多いことが検診率を高めると思います。

負担と機会の問題以外で、検診を阻んでいるものはないでしょうか?
Re:乳癌検診
飯嶋洋治(東京都) 2010/02/04
コール・リコールシステムの確立が必要です。受診者を定義し、自治体で対象者のリストを作り、受診勧奨を行う。個人別に受診案内を行い(コール)、来ない人にはもう一度案内を出す(リコール)ことです。欧米では常識だそうです。

ただし、受診率の向上の前に、検診が死亡率を下げるという実証があること大前提だと思います。検診率だけ上がっても死亡率が下がらなければ意味がありません。それには効果の保証された検診をしっかりした管理体制の上ですることが必要です。
Re:乳癌検診
うな(海外在住) 2010/02/04
検診を受けやすいシステムの確立も重要ですが、本当にそれで皆が検診に行くようになるでしょうか。日本の婦人科や外科のクリニックに行くと「○○ガン検診、△才から」といったバナーがはられていたり、パンフレットが取れるようになっていて、それなりに医療機関側は努力しているとおもうのですが。

やはり個人個人の精神的な問題で検診率が上がらないのだと思います。お金の云々や受けにくい以前に、やはり皆さん「自分は平気」とか「悪い結果が出てしまったら怖い」と思っている。

米国ではPAPと呼ばれる子宮頚癌の検査は、一年から二年に一回、みなさん定期検査で受けます。40歳になるとそれにマンモが加わります。特にPAPはプライベートな検査となるので、「好きじゃないけど、もうお決まりだから仕方ない」といいながら受ける人もいますが、米国女性にとっては日常の一貫となっています。日本の皆さんが年に一回年末に必ず年越しソバを食べるのと同じぐらい日常化しているわけです。忘れないようにみなさん、ご自分の誕生日あたらいに検査日を設定している方が多いです。

それからサバイバーの人がもっと、「怖くないから検診に行こう」と声を出すのが重要だと思います。
Re:乳癌検診
あまのゆか(大阪府) 2010/02/04
はじめまして。このたび乳癌と診断された患者です。乳癌検診の必要性を感じています。私は現在34歳ですが、30歳になったら検診をはじめるべきだと思います。現在の自治体では40代から進めているのも、「自分は関係ない」という認識になりやすいと思います。
また、マンモグラフィは「痛い」というイメージがあります。実際には一瞬でしたが、思い込みやうわさというのは恐ろしいものです。

実際30代になると不安を抱えている人が多いと思います。ぜひ、乳癌検診を受けるのは当たり前、という雰囲気作りを。
Re:乳癌検診
h1tom1m(大阪府) 2010/02/04
検診に行くことがトレンドであるべき。

とにかく巻き込んで友達同士で受診するような勢いが大切かと。ピンクリボンムーブメントが日本でも熱くスタンダードになってきていますが、やはり恥ずかしいという意識の方がまだ強いのかもしれません。それでも以前に比べればその意識よりも受診する大切さを知っている人及び伝道師が増えてきているのは確実だとおもいます。しかしまだまだその努力も足りないようですね。もっと広めるためには検診行ってない方が「ダサい」という考えにしなければと。そうすれば、流行に遅れるなという日本人気質がうまく活用されることでしょう。

医師側の接客の向上。

もしかすると一度は検診に行ったことがあるかもしれないけれど検診の仕方、触診の仕方、声掛けのしかたが、不愉快に感じ定期検診を結局避けているかたがいるかもしれません。病院側のサービスの向上を願います。
Re:乳癌検診
???(東京都) 2010/02/05
三輪先生

教えてください。乳がん検診はどの程度の効果がありますか?
30才台でも本当に意味があるんでしょうか?
他のがんも若い人がかかることがありますが、一般的に言って何故乳がんだけ若いうちから検診が勧めらるのでしょうかね?
素朴な疑問です。。

Re:乳癌検診
kayo(東京都) 2010/02/05
結婚したのを機に乳癌検診(マンモ隔年と触診毎年)を受けていましたが、昨年44歳で乳癌に罹りました。そのときすでに浸潤した2㎝弱のものが数個。乳腺密度が高く、マンモには腫瘍が全く映っていませんでした。普及しはじめていますが、エコーの必要性もあることを痛感しています。

職場の人たちにも現状と検診の必要性を聞いてもらっていますが(患者から心を開かないと、誰も聞いてくれないので)、私も含め、ガンにも種類があったり、特に乳癌の場合、いくつかの罹患リスクは漠然と知っているけれども、実際にホルモンに曝されている期間が長いということがどういうことか?等を理解している人はいませんでした。出産経験がないだけでなく、生理周期が短いとか、そういう知識が学生の頃からあれば、私も、検診を受けているから安心ということではなく、より一層の早期発見を心がけたかもしれません。

経験者が語っても、それでもなお、避けてしまうのは、恥ずかしいとか、女医さんじゃないと嫌という意見も多いですが、基本的には、私は、大丈夫という気持ち、検診に行って何かあったら怖いという気持ちが重なり、結局のところ行かないのが楽である、ということが一番の理由のようです。
そういう意味でも検診がトレンドになる…というh1tom1mさんの意見に賛成です。
Re:乳癌検診
h1tom1m(大阪府) 2010/02/05
???さんが検診に行くと疑問に思うことがナンセンスです。
 現に、三十代で癌になりますよ。骨折を先に経験するより、癌になってしまうこともあるのです。それが現実。癌になるのは。もはや遠いものではないのです。だから検診受けるのです。そして、もし病気になっていても、早期に見つけることができればよいのです。見つからなければ、今年一年無事に過ごせたと自分に感謝するのです。この不思議な世の中、いつ自分の体に異変が起きるかわかりません。だから、せめて一年に一度くらい、自分のカラダをいたわってほしい。そして、常に自分の体を、観察してほしい。例え乳がん検診目的で行っても、血液検査などで、違う病気を発見する可能性だってありうるから。
 それに、病気になったら???さんを愛する人たちが悲しむでしょ?そうならないために、あなた自信が自分の体のことを愛して、病気にならない環境を作ってほしいのです。
 もし、乱暴な言い方をしているのであれば謝ります。
でもねそれだけあっさり癌にはなってしまうのですよ。驚くぐらいにね。迷っている暇なんてありません。だから今、動くのです。それが一番かっこいいことだと私は思います。
 
Re:乳癌検診
???(東京都) 2010/02/06
うーん。うまく議論がかみ合っていませんが、色んな意見が合って良いと思います。

まず乳がん検診を否定しているわけではありません。
ただ、若い人でも乳癌になる可能性があるから検診をしましょうという理論に素朴な疑問を感じているだけです。

この議論を聞いていると、「一人の命は地球より重い」と同じ感じがします。個人として検診に行くのは自由です。ただ、人に勧めるには根拠が必要です。乳がん検診をするデメリットはないですか?たまたま早期乳がんが見つかって治った人はラッキーです。しかし、検診をしたがために、ほうっておいて良いような事まで、追加の検査をする必要性は明らかに増えますよね。検査結果がでるまでの精神的な苦痛もかなり大きなものです。

もう一度言いますと、乳がん検診を否定している訳ではありません。ただ、勧めるには根拠が必要です。自分が乳がんになったので人に勧める・・では根拠が弱いです。
Re:乳癌検診
kayo(東京都) 2010/02/06
???さんのように、なぜ?と思うことは大切だと思いますし、いろいろと意見があってよいと思います。若いうちからがん検診をするその根拠については、三輪先生をはじめとする先生方におまかせするとして…ひとつだけ。
乳癌患者は、私でさえ乳癌になったから、検診に行った方がよいですよ…と単純に検診を勧めているわけではないと思いますよ。乳癌になった段階で、まず先生方は、がん細胞が1㎝成長するまでに7,8年かかるとか、さまざまな治療のリスクとベネフィット、そういった全体的なお話をしてくれます。
そして患者自身もそれなりに勉強し始め、やっぱり30代ぐらいから検診はした方がよいと判断して、みんなに勧めていると思います。
確かにマンモグラフィーで被曝を恐れるという人もいるでしょう、でもこれも、ちゃんとした根拠があって確立されている検診のこと、また良性の腫瘍が見つかった場合は、なんでもかんでも細胞診などはせず、経過措置が取られるでしょう。結果が出るまでは、不安という気持ちは非常によくわかりますが、みんなが乳癌をはじめ子宮頸がんなどについて不安にならない程度の知識があれば、これも解消できるような気がします。
Re:乳癌検診
三輪 教子(兵庫県) 2010/02/06
みなさん、活発な議論をありがとうございます。たくさんの書き込み、とてもうれしいです!

1)ええと若い人でも乳癌になることがあるので検診に行きましょう、というのは、ちょっと違うと思います。

集団検診というのは、コストに見合う効果があると判断されて実施されるものです。乳癌についていうと、40代から患者さんが増え始め、患者さんの平均年齢は50代後半です。ということで40代からが検診の対象年齢になっています。

40代以上では、マンモグラフィ検診によって、乳癌の死亡率が下がる、というエビデンスがありますので、現在日本ではマンモグラフィ検診がほとんどの自治体で採用されています(日本乳癌学会編、「乳癌 診療ガイドライン2008年版」)。視触診だけではあかんです。40代では50代よりも少しエビデンスレベルは下がります(乳腺が発達しているため、マンモグラフィで乳癌が検出しにくいのも一因かもしれません)。

ちなみに、40代以上の患者さんは92.5%、30代は7.5%です。10代、20代でも乳癌の患者さんはおられますが少数です(2006年次症例、日本乳癌学会調べより)。

というわけで若い方は、乳癌検診の対象にはなっていない、のですが、気になる症状や家族歴がある場合などは、是非早めの受診をお勧めします。特に30代の方は検診対象にはなっていませんので、自己検診など、自衛が必要と思います。

2)どうやったら検診受診率を上げられるか?
自治体側の努力として、おおばさんが挙げてくださったように、検診料値下げ、機会増、そして飯島さんは対象者への連絡を挙げてくださいました。確かに、病院に行くと、受診お勧めのポスター等でのお知らせも出ていますね。

受診者側の努力として、あまのゆかさん、h1tom1mさん、kayoさんが挙げてくださったように、乳癌検診に行くのが“トレンド”になるのは大事だと思います、気軽に行けるように。あるいは、うなさんが御提案くださったように、サバイバーから声を上げていくのも大切と思います。

医療者側の努力として、対応の仕方の向上も、受診者の安心と信頼のために重要ですね。

実は、胃がん検診率等ほかのがんの検診率も10-20%と低いのです(厚生労働省調べ、2006年度)。これらの受診率を軒並み上げるには、自治体側の制度改正、のみではむつかしいかもしれません、意識を変えていくことは大きな力になると思います。

がん検診の受診率が低い一方で、基礎健康診査の受診率は約40%(厚生労働省調べ、2006年度)、とまずまず普及しています。この違いは一体どこにあるのでしょうか?

3)乳癌検診を受けるデメリットは?
???さんが言われるように、過剰診断になってしまう恐れもあるかもしれませんね。しかし、マンモグラフィだけでは確定診断にはならず、超音波やそのほかの画像診断、最終的には病理診断が必要です。また、マンモグラフィだけでは良悪の鑑別の難しい場合や、乳癌がみつけにくい場合もあるでしょう(kayoさんのご体験のように)。

しかし、検診を受けるデメリット云々以前の受診率の低さ、のようにも思うんです。

やはり、乳癌検診率を上げ、そうして早期で見つける機会を増やすことが、全体として乳癌による死亡を減らしていくんじゃないでしょうか?

長くなってしまいましたが、ご意見引き続きお待ちしています。
Re:乳癌検診
飯嶋洋治(東京都) 2010/02/07
乳がんの検診率アップの方法に絞ると、私は一定の結果が出ているという面でコール・リコールシステムがいいと思います(正確に言うと「エビデンスがあるという記事を読んでいます」ですが)。ただ、他の方法もいろいろアイデアを出して研究することは非常に大事だとも考えています。

「トレンドにする」ということを考えると、ピンクリボン運動がそうした動きのひとつなると思うのですが、現状を見れば残念ながらそれが検診率のアップにつながったという実績はなかったといっていいと思います。マスコミが取り上げるということもあまり効果は期待できないということでしょう。
Re:乳癌検診
ニース(神奈川県) 2010/02/07
途中から割り込むようですみません。
私は薬剤師です。
あまり検診に詳しくないので的はずれだったらすみません。

胃がんや大腸がんの検診は乳がんと比べてその受診率が低いと言われていると思います。
数字の読み方や患者さんの年齢層にも違いがあるので同じ物差しで比べることは難しいとはおもいます。

私が思うのは、一つの部分、たとえば乳房とか大腸だけの検診で十分ではないということです。
でも、どこまで受ければいいんでしょう?
自治体は内容は異なると思いますが、それぞれ補助をし検診率を向上させようとしていると思います。

ただ、自治体検診の検査代と○○がんセンターの予防検診センターでの検査代には大きな差があると思うのですが、結果に差はないのでしょうか???

差があるとすれば各地のがんセンターと名がつくところには検診センターすらないところも多いと思います(ホームページを見る限りでは)が、これも問題ではないでしょうか?

私は30代(後半)男ですが検診は一度も受けたことがありません。乳がん検診は要りませんがそろそろ便潜血などの大腸がんスクリーニングを受ける年齢に差し掛かっています。
医療者のくせにって思われるかも知れませんが、正直「がんがみつかったらどうしよう」「自分だけは大丈夫」と思う気持ちもあります。

とりとめのないことを書いてしまいました。すみません。
Re:乳癌検診
上野 直人(海外在住) 2010/02/07
三輪先生も言ってますが、ポイントは誰に有効に検診をして多くの人を助けられるか、また不必要な検査により体を傷つけたり、心のストレスを与えないかがポイントです。米国では同意が得られるとのは50歳代で隔年です。40歳はアンダーソンがんセンターでは奨めていますが、エビデンスは強くないです。日本では乳がんの罹患率が40代にやや欧米と比較して強くありますので、35ぐらいの年齢から臨床試験を行う意義は大きいと思いますね。

でも、検診を普及するにはガンだけでなく健康自身に関心がないとむずかしいのでしょうね。健康食品、健康製品には興味はあるけど自分の体にはあまり関心がないのが不思議でしょがないんですがね。
Re:乳癌検診
たかぎ(海外在住) 2010/02/07
アメリカに住んでいて実際に医療を受けて思う事があります。
病気になる事よりも保険が怖い、、ということ。(ちなみに主人の口癖)
病気になったら必要な治療が受けられるか受けられないか、保険会社が決定するので。受ければ助かるかもしれない治療が受けられない可能性もあるのです、有名な話ですが。
なので、検診率が高いのは保険でカバーされる検診を受けてできるだけ早期に発見しようとしてるのだと思います。日本と大きく違いますね。

あとはプライマリードクターやファミリードクターと言われるかかりつけ医の働きが大きいと思います。
これらのドクターが検診などコーディネートしてくれるので。日本で健康な人が定期的に同じドクターにかかるってないですもんね。
ま、これもいい保険に入っている人に限った話です。

ちょっと本題からはずれてるかもしれません。
アメリカでは乳がん検診基準が変わって、大きな衝撃が走っていましたけど、この件から、これからは個人個人の価値観によって自分の身体と健康をどうしていくか、もっと考えて行かなくてはならないな、と強く思いました。
それゆえ、やはり信頼できるエビデンスが必要になりますね。
信頼できる判断基準があって、その情報が発信されていないと、一般人は自分で決められませんからね。

日本は自治体から検診のお知らせが届くし、どこでも好きな病院にかかれるし、皆同様に高度医療が受けられる。十分な条件はそろってます。しかも3割負担だけ。

誰の為に検診率をアップさせたいのか?
国民の為に、であるのなら受けた方が受けないよりも良いという情報を皆に届くように発信したらいいのではないでしょうか。

地域の開業医の先生方が意識的に検診の意義を説明してくだされば、大きな力になると思いますが。
でも、40・50代は健康で病院にかかることもないでしょうから、、。配布されるお知らせに何故受けた方がいいのが具体的に説明を付け加えたらどうでしょうか。大きな話ですみません。
そこから先は個人の判断だと私は思います。

それにしても検診率10%は低いですね。。


Re:乳癌検診
飯嶋洋治(東京都) 2010/02/07
ちょっとゆるい投稿をします。がん検診率が低い日本で、平均寿命は世界一(特に女性が)。これどう理由付けますか? パラドクスかなと。
Re:乳癌検診
三輪 教子(兵庫県) 2010/02/07
飯嶋さん(漢字まちがえておりました、すみません)、トレンドにする、というのは確かにむつかしいかもしれませんね、おっしゃるように自治体からの制度の整備のほうが効果的かもしれません。基本健康診査は40%くらい受診されているので、そこに乳癌検診も組み込むとか。また、基本健康診査がまずまずのパーセンテージの受診率ですので、そこから医療機関受診され、フォロー中にがんがみつかる、ということもあるのかもしれません(これが日本人ががん検診率が低いのにもかかわらず、長寿である一因かもしれません)。

たかぎさん、米国の事情をお話いただきありがとうございました。なるほど、と思いました。確かにかかりつけ医がいて定期的に受診されている方に対しては、地域の開業医の先生のご説明は役に立ちますね!

ニースさんが言われるように、どこまでがん検診を受ければよいののでしょう。がんセンターとよばれるところに検診センターがないところは確かにありますね、それはがんの治療のほうに特化しているからじゃないかと思います。確かに、検診センターがあって、そこが啓蒙、受診案内、予防、教育等々を一手に引き受けてくれれば、よいのかもしれません。

上野先生が書かれたように、自分の体そのものには関心がうすい傾向があるように思います。これは日本人が国民皆保険で守られていて、自衛のための早期発見に不熱心である、ということにもつながっていくのかもしれませんね。
Re:乳癌検診
三輪 教子(兵庫県) 2010/03/08
3月3日のひな祭りの日に、おかげさまでなんとか無事「乳癌検診の大切さ」と題した講演を終えることができました。ほっとしています。

しかし、最後の質門「なぜ日本、特に兵庫県で検診率が低いのでしょうか?」にはうまく答えられず---。

あれこれつらつら考えるに、やはり何か受診者にメリットがないとだめではないか(もちろん早期発見というのは大いなるメリットですが、それ以外に)、と思うようになりました。

検診で診断がついた方と、検診を経ないで診断がついた方とで、治療費を変える、というようなことはできないのでしょうか?あるいは、検診で診断がついた場合、治療費の補助が出る、とか。

そうしたら、もっと熱心に検診を受けに来て下さるような気がするんです。

そうすると検診側も、検診しておしまい、というのではなく、治療まで踏み込んで関わることが必要になってきて、結果として、受診率のアップに貢献できるんじゃないかな~と思います。

財源等々いろんな問題があるかもしれませんが---。
Re:乳癌検診
寺田真由美 (千葉県) 2010/03/09
初めまして。乳がん体験者です。

受診率の低さの原因ですが、他の方も書かれていたように「私は大丈夫」と「見つかったら怖い」が大きいように感じています。健康食品などに関心が高いのも、「病気になるのが怖い」「飲んでれば大丈夫」の延長線上にあるのではないでしょうか。

それを打破するための策ですが、1つには飯嶋さんが書かれている「コール・リコールシステム」はエビデンスがあることですし、良くも悪くも「お上からの通達」に弱い日本では効果が高いと思います。コクラン・レビューでも個別の通達が効果があるとしていますよね。http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0006/4/0006_G0000100_T0000803.html

現在でも自治体からがん検診のお知らせは来ますが、日程が書かれているだけで、本来の「コール・リコールシステム」とはかけ離れていると理解しています。

もう1つは、がんという病気についての伝え方です。まだまだ「がん=死」というイメージが強く、恐れる気持ちが強いと感じます。そのため「早期発見なら治ります」と安心させることを狙った言い方が盛んに使われていますが、果たしてそれでがんがどういう病気か、きちんと伝わっているのでしょうか。たとえばわたしだけかもしれませんが、自分が罹患するまで「転移する」とはどういうことかすら分かっていませんでした。
賛否両論あるところかもしれませんが、がんになるとなぜ死ぬのかから始まって、転移していない段階のほうが助かる確率が高いこと、また、国が進めているがん検診は「死亡リスクを下げる」エビデンスがあることきちんと伝えたほうが、納得できるのではないでしょうか。「見つかったら怖い」から、「がん検診を受けておいたほうががんで死ぬ心配が減る」との理解に転換をはかれたらと思うのです。

同時に、私のような体験者がもっと表に出て、治療成績のあがった今、罹患しても普通に暮らしている人間は大勢いることを示していき、無知に基づく誤解を解いていくことが必要だと感じています。

あと1つ教えていただけますか。「基礎健康診査の受診率は約40%(厚生労働省調べ、2006年度)」とのこと、これはいわゆる普通の健康診断でしょうか? だとしたら、受診率が40%とは驚きました。それこそ70~80%行ってるのかと思っていました。40%ということは、現在国ががん検診の受診率の目標としている50%より低いということですよね…? 普通の健康診断が40%ならば、オプションとして提示されるがん検診が20%前後なのも納得できるように思いました。
Re:乳癌検診
村上 茂(広島県) 2010/03/09
私は広島県で乳がん検診の体制を考える立場であり、かつピンクリボン運動にも関わっています。皆様の議論を拝見しての意見です。

1:受診率向上が乳がん死の減少につながるか?
詳しい根拠は知りませんが50%を超えると乳がん死の減少が期待出来るようです。広島県は現状20%で、将来的には50%を目標にしています。

2:乳がん検診の啓発はすすんでいるのか?
今の情報が十分か不十分かというと、私個人は十分ではないかと思います。ピンクリボン運動はいたるところで目に付くようになりました。10月ともなればインターネットはピンクリボン花盛りです。企業のイメージアップの手段となっている感すらあります。有名芸能人が乳がんになるとマスコミも取り上げますし、メディアの露出は結構あると思います。勿論さらなる努力は必要でしょうが。何か良いアイデアはありますでしょうか。

3:検診料が高いのか?
全て保険診療外で行いますと5000円ぐらいは必要かも知れませんが、自治体の検診、企業検診の枠であれば、それほどの負担にはならないはずです。それこそ、流行のデザートを並んで買うのと同じぐらいの負担ではないでしょうか。高いか、安いかというと、主観が入りますが、私個人は受診をためらうほどの金銭的負担ではないのではないかと思っています。

4:受診者の意識の問題?
やはり30代-50代のかたは、自分が乳がんにかかることは頭では分かっても実感するのは難しいと思います。個人の意識改革を迫るより、システムとして社会全体として取り組んだ方が良いのではないでしょうか。乳がん検診受診率が低い会社は公表されるとか、乳がん検診を受けていなかったら乳がんで診療を受ける時に自己負担率が高くなってしまうとか(これはハードルがかなり高いですが・・・)。
案外とピンクリボン運動を展開している企業の社員の乳がん検診受診率は低かったりして・・・などど思っています。
禁煙が進んだのも、喫煙場所がなくなったり、病院全面禁煙になったのが大きいですよね。受けざるを得ない、もしくは受けなかったら損をするようなシステムが有効な気がします。これも何かご意見ないですか?
Re:乳癌検診
川上律子(長野県) 2010/03/09
医療に少し関係している程度の乳がん患者なので、話がとんちんかんだったらごめんなさい。

私は今から5年前(45歳)に発病しましたが、その時点ではマンモグラフィを受けるべきか迷ったことすらありませんでした。

理由の一つには、自分が癌になるとは思っていなかったこと、
もう一つには、病気を発見されたら怖いということ、
また市の検診など皆で一度に受けることに抵抗があったこと、
そして個人で乳がん検診を受けるにはどこへ行けばいいのかわからなかったこと、
があります。(実際胸にしこりをみつけた時も、どの診療科を受信すれば良いのか分かりませんでした。)

そして発病後はかなり多くの人に「乳癌だから大丈夫だよ」「乳癌で良かったね」と言われたことにびっくり。
乳癌は他の癌とは別の物、日本にはなんとなくそんな空気があるように思います。
さらにデリケートな場所だということもあり、一歩踏み出せない感があるのでは。
かかりつけでなくても、風邪でたまたま診ていただいたドクターが、「マンモ受けましたか?」などの後押しをしていただけたら良いようにも思います。
自分が癌患者になってからはたくさんの人にマンモをすすめています。ほとんどの人がマンモを受けたことが一度もなく、そして「どこで受けたら良いの?」と尋ねてきます。
今となっては自分の意識があまりに低かったことにあきれるほどですが、実際の感じはこんなものです。
他人事なのです。
他人事ではない、と思えるためには、身近な患者の声と身近なドクターの後押し、これが一番のような気がします。


Re:乳癌検診
村上 茂(広島県) 2010/03/09
私は広島のピンクリボンで講演とかもしますが、いくら良い講演をしても、乳がん患者さんの声には勝てません。実際に乳がんにかかり、つらい思いをされた方の声が聴衆の胸に一番響くようです。
Re:乳癌検診
三輪 教子(兵庫県) 2010/03/09
みなさん、書き込みありがとうございます!

寺田さん、
そうですね、健診だと思います。日頃病院勤務してますと、余程でないと病院に行かない、という方によくお会いします。もっと早く来てくれていたら!と思うことしばしばです。そういう方が結構おられる、ということは、何の症状もないのに、わざわざお金と時間をつかって検診に行くなんて!と思われる方が結構おられるということでしょう。

今回、乳癌検診について、地元の保険所のホームページから受診方法を調べて紹介しましたが、これが結構めんどくさいのでした。保健所に検診券を申請して、受け取って、指定病院で予約を取って、検診券を持って予約日に検診に行く、という手順でした。思い立ったが吉日、ってな感じではないですね。

はがき1枚、ではなくて、乳癌についての簡単な説明資料も含めたお知らせがあるといいのかもしれません。コール・リコールシステム、きっと有効なのでしょう、教えていただいたURLのぞいてみたいと思います。

かかりつけ医で、「乳癌検診行った?」と勧めるだけでなく、待合い室に検診の受け方のポスター等が貼ってあるといいですね。乳癌検診、行くのが普通、となるといいと思います。

経験者が声を上げていく、というのも有効だなと思いました。今回、日本乳癌学会の最新の乳癌症例登録(2006年度版)をもとにスライドをつくりましたが、実は私もその統計に入っています、と話したことで、より関心を持ってもらえたかもしれません。

Re:乳癌検診
nozomi(東京都) 2010/03/11
米国政府の推奨は50才以上に隔年、40代では過剰診断などの不利益を考え推奨とはせず、各個人で判断することとされました。意外なことに自己検診も推奨されませんね。

http://www.cancerit.jp/xoops/modules/nci_bulletin/index.php?page=article&storyid=348

乳癌検診について、利益と不利益を理解することは大事ですね。その上で適切に受診されればと思います。
Re:乳癌検診
三輪 教子(兵庫県) 2010/03/20
nozomiさん、まとめていただいてありがとうございます。自己検診は、自分の身体に関心を持つ、という点で意味があるかなと思っています。

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