掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
抗がん剤の効果の判断
kerorin(兵庫県) 2010/04/05
以前 再発卵巣癌の治療について相談させていただいた者です。
あれから抗がん剤治療を3回終了してCTを撮ったのですが 治療スタート時点と全く変化がなく PET-CTで再度確認してから今後どうするか決めることになりました。

治療スタート前から腫瘍マーカーにも変化はなく(CA125は5)CTで確認出来た腫瘍の大きさは7mmと12mmです。

3クールやって変化がなかったのは 抗がん剤の効果がなかったと考えるべきなのか 効いているからこそ増大していないと捉えるべきなのか・・。

主治医は 直腸の吻合部にある12mmは 手術の痕が盛り上がっているという可能性もないとは言えないので CTの結果だけで判断して治療を進めるより もう一度PETで確認した方が良いと言っています。

腫瘍マーカーに反応しないようなので 生検やセカンドルックオペについても訊ねてみましたが 腫瘍が小さくて生検に無理があることや オペによる身体への負担を考えても CTとPETの結果で判断するのが妥当という意見でした。

3ヶ月前のPETの結果は 再発という判断だったので 今回やっぱり再発ではなかったなんていう事にはならないと思いますが スッキリした判断が出来ない場合は セカンドオピニオンを受けたほうが良いかなと考えています。

3クールの治療で変化がないというのは その抗がん剤が効果がなかったと考えるべきですか?
主治医は PETの結果 やはり再発だと確認出来た場合は お薬を変えて治療をすると言っています。

   
Re:抗がん剤の効果の判断
向原徹(兵庫県) 2010/04/08
神戸大学の向原と申します。

実際の画像をみていないので、なんともお答えするのは難しいのですが、一般的に、7mm、12mmの腫瘍をもって正確に治療効果を判断するのは難しいと考えられます。
我々は、臨床試験といって、あるお薬の効果を評価する研究を行うことがあります。臨床試験では、世界中同じ基準である薬が腫瘍をどれだけ縮小させたか判断します。その基準では、CTのスライス幅(何ミリ刻みで輪切り画像を出すか)の2倍以上の大きさの腫瘍を評価しなさい、となっています。通常のCTは5mmまたは10mmスライスで撮られることが多いですので、最低10mm-20mmの腫瘍の大きさがないと、治療効果を正確に判定する病変としてはふさわしくないと考えられます。もちろん、これは臨床試験を行う上での基準で、日常診療ではこの基準にあわない病変をみていく場合もあります。

それから、大きさが変わらなかったときの判断も、とても難しいです。効いているから大きくならないのか、効いてないから小さくならないのか・・・。実際には、症状、腫瘍マーカーを参考にして患者さんに利益があるかどうかを熟考し、化学療法の副作用、他に期待できる治療があるのか、など様々な要素を加味して、その治療を続行するかどうか判断しています。

一般論になりましたが、実際に診察させていただき、画像をみせていただいても迷う判断ではあると思うので、ご容赦ください。
Re:抗がん剤の効果の判断
kerorin(兵庫県) 2010/04/09
向原先生 コメントありがとうございます。

PETの結果 胸部リンパ節にもう一つ1㎝前後の光るモノがみつかりました。
でも これも小さいのではっきりしないということです。
私の場合 腫瘍マーカーには変化がないので どうしても画像で判断するしかないようです。
主治医からは 体調と相談してすぐ治療をスタートするか少し時間を置くか決めましょうか?と聞かれました。
今の時点で体調は悪くないので 確かに再発だということであれば治療を始めても良いと思いましたが PETの画像では大きさが不鮮明で 絶対再発だと言い切れるものではないということでした。

今までの経過を見ていて やっぱり再発の可能性は高いとは思うのですが スッキリしないまま治療を始めたくないとも思います。
主治医も もう一度CTで確認してからの方が確実だという見解だったので 今月末に再度CTを撮ってから判断することになりました。

今のところ特に症状はないのですが 新たに怪しいモノが見つかったという事は やっぱり病状が進んでいるのかも知れませんね。

治療を急がないといけない状況なのか 急いでも仕方無いのか・・・。
治療を始める場合 ドキシルを使う予定ですが その後はこれというお薬は決まっていないそうで 転院を勧められることもあるそうです。
不安でいっぱいです。
Re:抗がん剤の効果の判断
向原徹(兵庫県) 2010/04/09
Kerorinさま

ご不安でしょうね。
すぐに治療をすべきか、待ってから治療をすべきか、これも非常に難しい問題です。もちろん、待っているうちに大きくなってしまって体調を崩してしまった結果治療が難しくなる、という可能性はないわけではありません。ただ、一般的に、手術でとりきることを目標にしているような場合は別ですが、薬物療法ではすぐに始めるのと、少し大きくなってから始めるのと、同じ薬が使える限りは、あまり治療成績には変わりないと考えられています。ですから、"drug holiday"と言いますが、休憩をはさんで病気が大きくなった時点で治療を開始されるのも、大きな選択肢だと思います。特に(おそらく現在のKarorinさんのように)現在お元気で、多少病気が大きくなっても、十分治療をうけていただけると予想される場合には、drug holidayをとることはよくあります。

またKarorinさんの場合、病変も小さく、先日書きましたように、薬の効果も大変評価しづらい状態にあると想像します。大切なお薬を使っていくのに、やはりきちっと評価ができる状態でするほうが、スムーズに治療が進むかもしれません。また、次に大きくなってくるまでの期間がある程度長ければ(例えば6か月以上)、状況次第ですが、今まで3コースされていた治療をもう一度チャレンジすることもありうるかと思います。

繰り返しますが、本来は、直接診察をさせていただいて、病気そのもの以外のいろんな要素を加味し、さらに患者さんと十分な相談の上決定していく事柄ですので、私のコメントはどうか参考程度にお考えください。
Re:抗がん剤の効果の判断
kerorin(兵庫県) 2010/04/12
向原先生 どうもありがとうございます。
色々考えた結果 次のCTの結果で主治医の判断を伺ってから セカンドオピニオンをお願いしてみようと思います。

主治医に失礼になるのでは・・という思いもあってなかなか踏み出せませんでしたが 自分が納得して治療を始めるためにもその方が良いと思います。

向原先生にお話を伺えて とても心が楽になりました。
とても感謝しています。
Re:抗がん剤の効果の判断
向原徹(兵庫県) 2010/04/12
ありがとうございます。

2nd opinionは患者さんの権利であって、何も主治医に悪いと思われる必要はありません。私も、2nd opinionを受けるだけではなく、希望される方には、是非行かれるように勧めています。

どうか、納得して治療に向かわれることをお祈りしています。

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