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治療とその選択
炎症性乳がんの治療法について
hideki(神奈川県) 2010/04/11
はじめまして。
炎症性乳がんについて教えていただければ幸いと思い投稿させていただきます。

妻(38歳)が昨年10月に炎症性乳がんとの診断をいただきました。子供が二人(2歳と7歳)います。何としても子供が成人するまでは、がんばってほしいと思っています。
私ができる限りの事をしたいと思います。

お聞きしたいことは
①炎症性乳がんの診断について
 妻は会社の健診で腫瘍の疑いありとなり、直ぐに乳腺外科でマンモグラフィーとMRIを行いました。MRI直後、脇の下が腫れはじめ、直ぐに細胞をとり検査したところ悪性。
乳房の細胞も検査した結果、炎症性乳がんと伝えられました。
乳房が赤く腫れたり、大きくなるような事はありませんでしたが、細胞の検査で炎症性乳がんと診断することはあるのでしょうか?

②抗がん剤について
 現在、AC6クール後Wパクリタキセルを2クール(4クール予定)しています。パクリタキセル後手術の予定です。
炎症性乳がんにはアバスチンやゼローダやナベルビン、白金製剤がより有効との情報もあります。本当にACやパクリタキセルよりも有効でしょうか?
日本では未承認であったりするので、使用するにはかなりの金額がかかります。もし本当に有効であば予算をなんとかして、使用していただけないか手を尽くします。

③炎症性乳がんと他の乳がんとの最も異なる点はなんでしょうか?
 主治医の先生から説明していただいたのですが、非常に稀で進行が早く予後が悪いとの事でした。
それ以外の説明はありませんでした。(していただいても、私には理解できないかと思いますが。。)
ただ、他の乳がんと同じ治療をしているのが良く分かりません。
妻の場合、健診でわかったので比較的早く治療がはじめられたのではないかと思うのですが、それでも治癒は困難なのでしょうか?

④免疫療法やウイルス療法?などがあるとの事ですが、現在の治療が行き詰まることがあった場合、受けることは有意義でしょうか?
炎症性乳がんは治験の対象から外れやすいとも聞きました。
しかし、少しでも元気でいられるのであれば、なんとかしたいと思います。
あと20年は最低でも元気でいてほしいのです。
そのために出来る事をしたいと思うのです。

   
Re:炎症性乳がんの治療法について
津川浩一郎(東京都) 2010/04/12
こんにちは。ご心配ですね。わかる範囲、一般論でお答えさせていただきます。

①炎症性乳がんの診断について
 >「炎症性乳がん」という診断は、診察所見などによって臨床的になされます。すなわち、乳房皮膚に発赤、浮腫、熱感、疼痛などの症状を認め、あたかも細菌感染による炎症のように見えるが感染はない、という病態です。顕微鏡検査では皮下のリンパ管にがん細胞が広がって起こると考えられていますが、それがあったからといって臨床的に上記の症状を認めなければ通常は炎症性乳がんとは診断しません。担当の先生にご確認ください。

②抗がん剤について
 >炎症性乳がんの治療方針は、すぐ手術ではなく、薬物療法を優先します。薬剤の選択は基本的には通常の乳がんに対する薬剤選択と同じです。針生検組織から、ホルモンレセプター(ER、PgR)、HER2などのバイオマーカーを調べ、その結果から薬剤を選択していきます。抗がん剤を使用する場合は、アンスラサイクリン系抗がん剤、タキサン系抗がん剤が中心になります。AC、パクリタキセルはよい選択です。HER2が陽性ならば、ハーセプチンも使用します。アバスチン等は臨床試験の対象で、一般的にはまだ推奨されません(副作用だけで効果がないという可能性もある)。

③炎症性乳がんと他の乳がんとの最も異なる点はなんでしょうか?
 >担当の先生のご説明どおりと思いますが、集学的治療(薬物療法、放射線療法、手術療法)を積極的に行うというところが重要だと思います。ホルモンレセプターが陽性であれば、もちろん内分泌療法(ホルモン療法)も有効です。

④免疫療法やウイルス療法?などがあるとの事ですが、現在の治療が行き詰まることがあった場合、受けることは有意義でしょうか?
 >基本的には有意義ではないと思います。

 一度、担当の先生が炎症性乳がんと診断された根拠をお尋ねされたら良いと思います。
 奥様の治療が順調に進むことをお祈りしております。
Re:炎症性乳がんの治療法について
hideki(神奈川県) 2010/04/12
津川先生
コメントをいただきありがとうございます。

炎症性乳がんの予後については、あまりいい情報がないようなので、良くなる可能性を少しでも広げる事があれば何でもしてあげたいという気持ちですが、ただおろおろしているだけかもしれません。

先生にコメントをいただき、現状が良い方向に向かおうとしている事がわかり、心強くなりました。妻をよりしっかりとサポート出来そうです。

ただ、もし炎症性乳がんという診断結果ではなく、硬がん(?)から脇の下への転移のみということであれば、予後について大分変ってくるでしょうか。
主治医の先生ともお話できればと思います。

本当にありがとうございました。
Re:炎症性乳がんの治療法について
hide(東京都) 2010/11/28
妻が炎症性乳がん治療を行っており、4月に投稿させていただいた後、先生のアドバイスを胸に妻のサポートを心強くしてまいりました。
また、主治医の先生方のお陰で、手術も無事終わり術後も合併症などなく順調に回復しました。
しかし、6月に全摘+リンパ節切除をして、3か月後のCT検査で再発が確認されました。
乳がんの治療ではホルモン感受性があれば、ホルモン療法はかなり有効と聞いていたので、全摘後3カ月での再発はとてもショックでした。

手術の後はホルモン療法(リュ-プリン)をしていました。
再発後は放射線治療を30回行っています。
放射線治療後は、ゼローダを服用予定です。
このまま、安定してくれればうれしいのですが、とても不安です。
ゼローダが効かなくなれば、他の抗がん剤・・・になるのかと思いますが、あまりに速く進行している感じがして、毎日一緒に生活している者としては、とても耐えがたい心情です。

先日、ある人から樹状細胞免疫療法と言うものがあるとお聞きしました。

アメリカ(FDA?)でも承認が得られている療法との事で、
抗がん剤に上乗せすれば、30~60%の人に有効であるそうです。副作用もほとんどなく、樹状細胞免疫療法に反応があれば、長期間の延命に可能性があるそうです。
今まで普及しなかったのは、抗がん剤に比べ商品コストが非常にかかり、医薬品メーカーが採算が合わないとの理由で量産しなかったからだそうです。
あと5年~10年後には第4のがん治療となりうるそうです。

言葉通りならば、物凄く魅力です。
治療費がかかりますが、日本での未承認薬の治療や先進医療とほぼ同額なので、副作用が無く、効果が30%でもあるならばぜひ治療を妻に勧めたいと思います。
しかし、素人が情報を集めても正直わかりません。
先生方の率直なアドバイスといただけないかと思い、再度投稿させていただきます。
何卒宜しくお願いいたします。
Re:炎症性乳がんの治療法について
上野 直人(海外在住) 2010/11/29
パートナーとして、病気がコントロールされていないと状況は大変つらいですね。奥様、今の現状をどのように理解されているのでしょうか?

炎症性乳がんの再発にどう取り組みたい、またどのように今後人生をHideさんと歩みたいとお考えでしょうか?

免疫療法に関しては、まずこのコラムをまず読んでみて下さい。
http://www.teamoncology.com/column/column_setoyama.php4?f=100915.inc

Re:炎症性乳がんの治療法について
柏葉(岩手県) 2010/11/29
Hide様
本当にご心配で、なんでもしてあげたいと心を痛めている状況と拝察します。

以前から津川先生、上野先生のレスがありましたように炎症性乳癌といえども標準治療、その前段階として治験も優先されると思います。
その上で「何も効果が期待できない」状況では様々なところで行われている免疫療法も満足のいく治療選択もあるかも知れません。

私は随分前にはなりますが米国で樹状細胞のワクチンの研究をしていました。もう10年にもなりますが、その後の進歩は期待したほどではありませんでした。色々な原因が考えられますが、我々人間の分化して分業化した免疫では逆に自己抗原を多く有する癌には余り上手く反応しないということが一番の原因です。沢山の実験の結果では非常に強い反応を起こす(分子標的療法でのInfusion reactionレベルかそれ以上)ことも事実で、決して広告でうたっているように「副作用のない夢の治療」ではありません。唯一今後進歩が期待されるのは術後アジュバントかもしれません。

不勉強と思い最近の文献、登録されているトライアルを検索しましたが、乳癌でも第II相試験にいっているものは極めて少なく、かなりの試験が中断しています。抗がん剤との併用による効果の増強もやはり進捗は遅々としています。もう一つの問題点は治療が進んだ患者さんの基本的免疫能も極めて多様なところです。多くは一般の方より落ちていることが多く、これも治療に反応しない原因となっています。

コラムでの瀬戸山先生の期待とはちょっと違った意見になりましたが、免疫治療の中の最も期待の星であった樹状細胞ワクチンでしたが私は悲観的です。
また非常に高額な医療になるため、時間とお金の使い方に関しては熟考なさって下さい。旅行や温泉、家族との時間等、心身に効くものは他にも沢山有るように思います。しかし、それが免疫療法であれば皆さんの志しという意味で決して全否定は致しません。

この治療に関しては自分の時間を多く費やした者として一言申し上げました。

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