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治療とその選択
卵巣がんの標準治療について
ひまわり (福岡県) 2010/06/03
54歳、卵巣がんの類内膜腺がんのステ-ジⅡCで、手術後、6回の化学利用法で、今CT、ペットCTどちらでも、「がんは、転移も再発もしてません。様子を見ましょう。」と言われました。
しかし、手術で取ったのは、右の卵巣だけでした。
左の卵巣と子宮が残っているのは怖いので取って欲しいとお願いしましたが、「左の卵巣と子宮はあきらかな「がん」がなかったので、取りませんでした。右は癒着していたのをできる限り除き、もう一度手術しても、これ以上右は取れないし、左と子宮は取る必要がないのでは。それより、地固め化学療法の方が良いです。」と言われました。しかし相談の結果、上記のように様子を見ることになりました。標準治療では、無いはずの左の卵巣と子宮を残しておいてよいでしょうか。体は手足のしびれ以外は元気です。

   
Re:卵巣がんの標準治療について
井沢知子(京都府) 2010/06/08
ひまわりさん。
大変な治療をされていることがよく伝わります。

卵巣癌の治療についてですが、2007年卵巣がん治療ガイドラインの治療フローチャート(日本婦人科腫瘍学会のHPでテキストがすべてPDFで閲覧できます)では、基本術式の後にステージングが確定すれば、その後化学療法6サイクルをするとなっていますので、ひまわりさんの治療は適切だと思います。

さらに、残っている右卵巣や子宮を手術するか否かというところでは、明らかな再発病変がない現時点では、身体の侵襲を考えて、行わないのではないかと思います。
私は、医師ではありませんので(すみません)的確な答えではないかもしれません。申し訳ありません。
Re:卵巣がんの標準治療について
向原徹(兵庫県) 2010/06/09
ひまわりさま

レスポンスが遅く申し訳ありません。
神戸大学、腫瘍・血液内科の向原といいます。

stage IIcの卵巣がんということだと、すでに調べられたように子宮や両側の卵巣(大網という腹膜の一部)も一緒に切除するのが標準術式だと思います。
ただ、これはあくまで標準術式で、癒着などの問題でその通りできないこともやはりあるかと思います。
私は内科医ですので手術の可否云々は言える立場にないのですが、残したのにはおそらくなんらかの意味があると思いますので、もう一度そのあたりを尋ねられてはと思います。
また、セカンドオピニオンにいかれることも、お勧めします。

すっきりした答えはできませんが、様々な状況を踏まえて(薬でも手術でもそうですが)リスクとベネフィットを考えながら判断していくことが大切ですので、どうかご理解ください。


Re:卵巣がんの標準治療について
ひまわり (福岡県) 2010/06/09
井沢様、向井先生 お答えありがとうございます。
主治医の説明では、前にも書いたように「右や子宮には癌が見えなかったので取らなかった。」と言われました。
今の主治医の先生、基本的には、とても信頼しているのですが、大きな病院なので、「手術時間が限られていて、右に時間がかかったので左や子宮をとる暇がなかったのかな」と思ってしまったりしてしまいます。そんなことはないでしょうか。

また、今のところ治った状態ですが、このような場合でもセカンドオピニオン受けたりすることは、できるのでしょうか。
Re:卵巣がんの標準治療について
杉山(東京都) 2010/06/09
ひまわりさん
こんにちは。
外科医の立場からコメントさせていただきます。
標準術式ではなかったことに対する疑問がすっきりされていないところが引っかかっていらっしゃるのだと思います。
一般的に病院の手術枠に限りがあることは事実ですが、時間がないので本来行うべき術式を省略するということはまずないので、そのようなご心配は杞憂かと思います。(もしあれば、問題ですが・・・。)
向原先生も書かれていますが、ガイドラインはあくまで標準を載せているので、それぞれの臨床現場のコンセンサスとは必ずしも一致しない場合があるのかもしれませんし、ひまわりさんの場合、なぜ最小限の切除にとどまったのかは、とるメリット、とらないメリットを考えた上での判断であったのかどうか、やはり主治医の先生の考えや根拠をもう一度確認されるのが良いのではないかと思います。

今更尋ねにくい、というお気持ちもあるかもしれませんが、主治医の先生を信頼していることを伝えたうえで、自分自身の治療のことで、どうしても引っかかることがあり、納得できる説明を聞きたいということをおっしゃっていただく勇気を出していただければと思います。

私だったら、そのように言っていただくことは、医師として大変ありがたいことです。

それでも納得できなければ、セカンドオピニオンという方法も良いと思います。

井沢さんがおっしゃっていたように、今の段階での再手術は、侵襲というデメリットのほうが大きいので、お勧めはされないと思います。
Re:卵巣がんの標準治療について
向原徹(兵庫県) 2010/06/09
ひまわりさま

もちろん、現在の状況でもセカンドオピニオンは可能です。
納得されて治療に望まれるのは非常に大切なことですので、どこか心のわだかまりが残るようなら、他の医師、施設の意見をきかれることはとてもいいことだと思います。

私の患者さんもときに希望されますが、積極的にお勧めしています。患者さんは気を使って申し訳なさそうに言ってくださいますが、その必要もありません。すべての医療がガイドラインで行えるのであれば医師はいりませんし、ガイドラインに沿わない(沿えない)場面では、特に他の医療者の意見を聞くのは大切だと思います。
Re:卵巣がんの標準治療について
ひまわり (岡山県) 2010/06/22
杉山先生、向原先生
お答え、ありがとうございました。
主治医の先生ともう一度話した結果、「取っても、取らなくても、私の場合一緒」というお答えを信じて、これからは、経過観察としました。
再発しないことを願って、頑張ります。
Re:卵巣がんの標準治療について
杉山(東京都) 2010/06/26
ひまわりさん

主治医の先生ともう一度お話されたと伺って、うれしく思います。

ひまわりさんのように、医療者と積極的にコミュニケーションをとって、ご自身の治療を納得しながら進めていかれる方が増えると、日本のがん治療がもっと良い方向に進むのではないかな、と期待しています。

がんと診断されて治療を継続してゆくのは、本当に大変なことですが、これからもご自身の納得のできる治療を続けられると同時に、充実した生活を送られることをお祈りいたします。
Re:卵巣がんの標準治療について
向原徹(兵庫県) 2010/06/28
ひまわりさん

日ごろから患者さんがなんでも聞きやすい雰囲気を作っているつもりですが、やはり医療者に質問をするというのは、相当の勇気なのだろうなと思います。

ありがとうございます。

向原
Re:卵巣がんの標準治療について
としゆき(岡山県) 2011/04/03
 はじめまして。
先日、50歳の妻がチョコレート 嚢腫で左右の卵巣の切除手術をしました。
その際、癒着により卵巣がパンクしまいました。
後日の組織検査の結果 明細胞腺がんⅠc期相当だった為再手術となりました。
標準追加治療
単純子宮全摘、骨盤・傍大動脈リンパ節廓清、大網切除を予定しています。
その後、化学療法をする予定になっています。
上記の処置内容で今後の再発の可能性はありますか?
切除の際、卵巣がパンクした為がん細胞が飛散したと思われます。
主治医の先生より
明細胞腺がんは抗がん剤が効きにくいと聞いています。
術後の予防処置として抗がん剤の他に免疫細胞療法は効果的でしょうか?
Re:卵巣がんの標準治療について
向原徹(兵庫県) 2011/04/08
としゆき様

こんにちは、はじめまして。神戸大学、腫瘍・血液内科の向原と申します。思いがけず、がんという診断をされ、大変ご心配のこととお察しします。

明細胞癌は、既に書かれていたように、明細胞癌は最も多い漿液性腺癌に比べて化学療法抵抗性といわれています。明細胞癌は欧米人に比べて日本人に多いこともあり、この癌をどのように治療をしていくのがよいか、研究が盛んにされている分野でもあります。研究者、医者とも、明細胞癌には特別な治療が必要だ、と感じながらも、現時点では、標準治療であるプラチナ製剤(多くはカルボプラチン)とパクリタキセルの組み合わせに勝る治療法はみつかっていないのが現状です。現在、手術後の化学療法として、イリノテカンとシスプラチンの組み合わせを、標準療法であるカルボプラチン+パクリタキセルと比較する臨床試験が進行中で、その結果が待たれます。

臨床試験の話が出ましたが、様々な治療法、治療薬は臨床試験で検証されて世の中で標準治療と認められます。免疫療法は古くから研究されている治療戦略ですが、未だ標準療法と呼べるものはほとんどありません。標準療法でないからといって、効かないというのではなくて、免疫療法で利益を得ている方もいらっしゃるのかもしれません。ただ、どれだけの方に効くのか、あるいはどれだけの副作用があるのか、をお話するだけの材料が未だ十分でないというのが現状だと思います。

一般的なお話に終始しましたが、沢山の患者さまが興味を持たれている分野ですので、一度卵巣がんにお詳しい主治医の先生に直接聞いてみられたら、もう少し分かりやすく教えてくださるかもしれません。
Re:卵巣がんの標準治療について
としゆき(岡山県) 2011/04/18
向田先生、コメントありがとうございました。
あれから、PET検査も受け主治医の先生とも再度相談して以前投稿した標準的な治療を受ける事にしました。
ちなみにPET検査での異常は見つかりませんでした。
私と妻は山登りが好きで約2年前から始めていますが、今回の手術を受けた場合、術後の後遺症としてリンパの流れが悪くなるので足のむくみが出る可能性があると聞きました。
「足に負担がかかるような登山等は避けた方がいいです。むくんだ状態で傷をすると感染して高熱が出ます。」
むくみについて何かいい対応策はありますか?
Re:卵巣がんの標準治療について
向原徹(兵庫県) 2011/04/23
としゆき様

返事が遅くなり申し訳ありません。
リンパ浮腫に関しては、決して専門ではないのですが、以前看護師のリンパ浮腫の研究を手伝った際に感じたのは、治療法について必ずしもエビデンス(その治療がよいのか否かの証拠)がはっきりしないことも多いということでした。

インターネット上にもいろいろな情報があるようですが、比較的よく書かれている資料をみつけました。

http://www.lympho.org/mod_turbolead/upload/file/Lymphoedema%20Best%20Practice%20Document%20Japanese.pdf

から日本語版をとれるようです(主に医療者向けのようですが)。

リンパ浮腫のリスク軽減については、エビデンスはあまりないがと断りをしながら、次のようなことが推奨されています。

①皮膚や爪をよく手入れする、②適正体重を維持する、③バランスのよい食事を摂る、④きつい下着、衣服、腕時計、装身具を着けない、⑤リスクのある部位に外傷を作らない、⑥極端な寒さ、暑さを避ける、⑦効果の高い日焼け止めや虫除け剤を使用する、⑧リンパ性フィラリア症流行地域では、蚊帳を使用する(あまり日本では関係ないですが)、⑨予防的弾性着衣が処方された場合は、これを装着する、⑩エクササイズ/運動、患肢挙上を行う、⑪履き心地が良く、安定性のある靴にする

山登りがお好きということですが、どの程度制限すべきなのかは私には分かりませんし、誰も明確な答えはもっていないのではないかと想像します。個人的には、少しずつ試しながら、散歩→ハイキング→軽い山登り、と進めていかれたらどうかと思いますが。

最近は病院によると、リンパ浮腫専門の看護師がいたりします。そういう方に情報を求められるのもいいかもしれません。
Re:卵巣がんの標準治療について
ゆきちゃん (長崎県) 2015/05/04
はじめまして
先月、子宮筋腫の手術をしたところ卵巣癌だと言われました。
左卵巣!右の卵巣と子宮も摘出してます。
左卵巣だけにがんがあり、ステージ1aとのことです。
癒着もなく、ぽろっととれたそうです。
しかし、顔つきの悪いがんだったらしく…
その、顔つきが悪いがんって明細胞がんなのでしょうか?
来月から抗がん剤治療が、4週に3回を半年間する予定です。
怖くて怖くてたまりません。ちなみに、お酒も1滴も飲めないです。
Re:卵巣がんの標準治療について
向原徹(兵庫県) 2015/05/05
ゆきちゃんさま

神戸で腫瘍内科医をしているものです。
御心配が募っていらっしゃるのがよくわかります。

卵巣がんに限らず手術で見える病気を取りきった後行う化学療法のことを補助化学療法と呼びますが、その目的は「目に見えない状態で残ってしまっているかもしれない病気を化学療法で根絶する」というものです。

その「「目に見えない状態で残ってしまっているかもしれない」確率がある程度見込まれる場合にのみ、術後補助療法が勧められることになります。

一般にstage Iの卵巣がんでは、stage IC、明細胞がん、グレード(顔つき)3の場合は、その確率が無視できないため、補助化学療法が勧められます。

ゆきちゃん様が言われた、「顔つきが悪いがんだった」というのが、明細胞がん、という意味なのか、グレードのことなのか、わかりませんが、いずれかのことを話されていると思います。

ただ、明細胞がん、あるいはグレード3であったとしても、もちろん補助化学療法なしで、手術だけで治ってしまう方もいらっしゃいます。補助化学療法をしなければ、どれくらい再発が見込まれ、化学療法によってどれくらい再発率を減少させることができるのか、その再発率減少(メリット)を得るために、化学療法のデメリット(副作用、お金、時間など)を許容できるかは、最終的には患者さんが判断すべきことだと思っています。正確な数字を知ることは難しくても、大まかな見込みは主治医の先生も頭の中にもっていらっしゃるのではないでしょうか。一度尋ねられることをお勧めします。

お酒に関しては、パクリタキセルという薬剤に含まれるアルコールを気にされているのだと思います。通常、アルコールに弱い(お酒に弱い)というだけでパクリタキセルを回避することはありませんが、時にアルコールにアレルギー様の反応を示す方がいらっしゃいます。通常、アルコール消毒が大丈夫かどうかなど慎重に判断をしています。採血時のアルコール消毒のときの皮膚の反応や、お酒を飲んだ時に蕁麻疹がでないか、など、主治医や薬剤師さんに伝えておくのがよいと思います。

化学療法は医師に勧めれて「じゃあやります」という訳にはいかないことは十分理解できます。納得されて治療に向かわれることを切に願います。
Re:卵巣がんの標準治療について
ざき(埼玉県) 2015/05/14
ゆきちゃん様

今は不安で眠れない夜が続いていらっしゃるとお察し致します。
私はざきと申しまして、卵巣がん現役患者兼現役薬剤師です。

2007年1月に初発の卵巣がんの手術+2週間後にTC療法を受けました。病理検査ではIa期でしたが、術後のCA125が80であった事・術前のCT検査で肝臓に怪しい影が見られた事から、主治医に「TC療法を4クールしましょう」と提案(当時は強制としか感じられませんでした…副作用が辛くて)されて、苦しみながら化学療法を受けました。

しかし、その後13ヶ月で肝臓に再発。→手術+DC療法4クール
再々発はS字結腸部分。→DC療法1クール受けた後に手術+DC療法3クール
再々々発は小腸部分。→手術後にDC療法を行う予定でしたが、この時は自分が化学療法に耐えられないと感じて「パスさせてください」と外科的治療のみでした。

次までの再発まで2年近く無事でしたが
再々々々発が腹部傍大動脈リンパ節付近。→局部でしたので放射線治療で寛解しました。
6ヶ月後(今年1月)にS字結腸部分にまた再発し、現在TC療法(80%に減量)の3クール中です。
ここまで、9年と7ヶ月間ずっとお付き合いして来ました。

自分でも、よくやってるなぁ~と思っています。でもまだまだ長くお付き合いしていらっしゃる方も多いです。

気楽なオフ会や、卵巣がんに罹った方同士の情報交換会、同じ趣味を持っている方達のお茶会‥全国的にチマチマと数名~数十名の規模で集まってお喋りしているのが現状です。

「薬が効きにくいと、医師に告げられた」方達もたくさんいらっしゃいますよ。今は孤独でこの世界にひとりぼっちにされた様に感じるでしょうが、同じ様な経験をされて来た方たちとお話すると安心できる様になると思います・・というか、そうおっしゃる方が大部分です。

一番の不安は先が見えない事ではないでしょうか?医師に何を聞いて良いかもわからないし、何を信じていいのかさえわからないと感じます。

ただ薬剤師の目線でも患者の目線でも「この治療で必ず○○します」と断言する事は出来ません。個人差が大きいのです。統計上の数字はあくまでも「数字」です。自分がどうなるかとは関係ありませんよ。
私自身、診断書を書いてもらうと「予後について: 5年生存率20%の患者さんです」と、7年前から書かれています。

お一人で悩まないこと、ここが以外と大きいポイントだと経験上実感しています。

失礼いたしました。


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