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治療とその選択
トリプルネガティブ乳がんの術後化学療法の選択
RK(三重県) 2010/07/07
初めまして。2週間ほど前に左乳がん全摘手術を受けました。46歳です。
術前化学療法なし、病理の結果は、1.5cm×1.5cmと0.9cm×0.6cm、2個のInvasiveDuctalCarcinoma scirrhous typeでグレード2、脈管侵襲なし、センチネルリンパ 0/1 ステージⅠ、er/pgr(-)、HER2(-)のTNBC でした。
手術をした総合病院の化学療法科ではAC+TかCEF+Tのどちらかしかできないので、セカンドオピニオンをとるなりして選ぶようにとのことでした。CEF+Tのほうがよりハイリスクの人向けの治療である、という程度のざっくりした説明でした。
インターネットでTNBCにはアンスラサイクリン系、タキサン系は奏功しにくいという情報を得ていましたので、どちらの方法も選べず困っています。
医師にそのことを告げ、治験でTNBCの再発進行乳がんににも効果があったというXC(内服)などはどうかと聞いてみましたが、ゼローダは再発乳がんにしか使えないし、標準治療しかできないの一点張りでした。
標準以外の治療なら隣県のがんセンターに行って、治験にでも参加したらどうかと言われましたが、治療自体は、できるだけ早く開始したいので、治験を待つ余裕はありません。
かと言って、他に治療に通える病院の当てもなく、セカンドオピニオンをとったところで今の病院で治療を受けるなら、AC+TかFEC+Tかを、副作用に苦しみながら「効かないかも」と思いながら受けなくてはならないのでしょうか。
そもそも、TNBCにはアンスラサイクリン系、タキサン系は奏功しにくいという情報はどのくらい確かなのでしょうか。
ある腫瘍内科医のサイトでは、CD-DST法抗がん剤感受性試験の試験結果としてそのことを示しています。
とりとめがなくなりましたが、何か方向性が見えるようなご意見が伺えたらありがたいです。
手術ではさほど落ち込みませんでしたが、現在の方が気分が滅入っています。

   
Re:トリプルネガティブ乳がんの術後化学療法の選択
柏葉匡寛(岩手県) 2010/07/08
RK様
2つの腫瘍があったにせよ厳しい手術を受けられたショックに加え、術後化学療法が決められない精神的に辛い状況をお察しします。患者さんがTNBCという言葉を使われることからして、この概念が日常臨床にも浸透し、また医療者含め対処に困惑している現状がみてとれます。

術前化学療法を選択されなかった場合、薬剤感受性というのは個人毎には解らないのが事実だと思います。しかし過去の臨床試験の解析や術前化学療法の試験では必ずしもTNBCが抗癌薬に感受性が高くない、耐性であるという結果ではないと考えられています。むしろホルモン感受性の高い乳がんに比較し、化学療法実施の利益は高いとも解釈できます。
RKさんは化学療法の効果が僅かでも治療にチャレンジしてみたいお気持ち、あるいは性格ですしょうか?その理由はどの辺りにあるのか、お教え頂けますか?
Re:トリプルネガティブ乳がんの術後化学療法の選択
RK(三重県) 2010/07/08
柏葉様
早々のコメントありがとうございます。お返事がいただけて、少し救われたような気がします。
「RKさんは化学療法の効果が僅かでも治療にチャレンジしてみたいお気持ち、あるいは性格ですしょうか?」
もちろん、化学療法にチャレンジする気持ちはあります。というより、少しでも長く無再発ですごすために、一刻も早く治療を開始したいのです。ただ、そのための薬剤は、少しでも奏功する可能性が高いものを使いたいのです。
「TNBCにはアンスラサイクリン系が効かない、タキサン系も効きにくい」という情報があるにもかかわらず、手術した病院ではAC+TあるいはFEC+Tしか選択できない、といわれたことで悩んでいます。
その情報源では、5F-Uは感受性があった、との結果も示されておりましたので、5F-Uを含むFEC(現在の病院でできる)はどうかと思いましたが、その場合、エピルビシン、エンドキサンは必ず併用しないといけないのでしょうか。いっしょに用いることで、相乗効果でもあるのでしょうか。FTなどという使い方はできないのですか?
「TあるいはTC終了後ゼローダを内服する」という方法もあるようですが、現在の病院ではやってくれそうにないです。これは、他の病院ならやってもらえるのでしょうか。
どの病院でどんな抗がん剤が使えるかは、どうしたらわかるのですか?
術後、続けて治療を受けようと思っている現在の病院の化学療法科で、それが最上と思われないにもかかわらず、「これとこれしかできない」と断言されたため、どうしたらいいのか途方に暮れています。このまま、どちらかの治療法を選んでも、医師に対し信頼感を持って接することができるかどうか、自信がありません。ちなみに、今までは外科手術をしてもらった医師が主治医で、それなりに信頼して手術をしてもらいました。こんなだったら、奏功性を確かめるために術前化学療法をしておけばよかったかなと、今では少し後悔しています。

Re:トリプルネガティブ乳がんの術後化学療法の選択
柏葉匡寛(岩手県) 2010/07/09
RK様
治療に関しては積極的に、かつ効果の高いものを選びたいのだと理解しました。そのとおりですね?効かないものは受けたくないですよね、多くは脱毛等で生活の質に大きな変化をもたらすのに…その様な方にはお話しがし易いです(笑)。

さて、ではTNBCにはアンスラサイクリン/タキサンは有効ではないでしょうか?ここはこのサブタイプの分類が免疫染色による臨床的分類か、お金も時間も掛かるマイクロアレイという遺伝子の発現でのものかで解釈が違うと思われます。臨床的なものはただ単にホルモン受容体もHER2も発現が非常に弱いというカテゴリーでこれは特別抗がん剤に耐性という訳ではないです。事実、殆どの術前化学療法の試験でもホルモン感受性のある乳がんよりはpCR(術前に癌が消えてしまう)を得やすいのです(TNBCではおよそ40%、LuminalAといわれるホルモン感受性癌では<5%)。逆に言い換えればその様な試験の多くではアンスラサイクリン/タキサンを使用しているというのは確実な事実です。
一方、RKさんが興味を持たれているカペシタビンはご理解いただいているとおり術前/術後治療のデータは未だ乏しく臨床試験レベルです。更に言えば、65歳以上の患者さんへの49907試験ではカペシタビン単剤は標準的抗がん剤(ACやCMF)に負けたのですが、特にTNBCに相当する患者さんには殆ど効果が無かったことも解っています。

RKさんが本気でwebでいろいろ探されて行き着いた結果を否定しているようにお感じになるのではと不安ですが…これは私の論拠を含めて入手可能な断片的な知識でTNBC全体を理解しようとする為に起こる理論的、情報的な偏向のためなんです。私もある程度は自信がありますが、これも真実に沿っているのか未だ解らないというのが事実なんです。この様にTNBCのような医療者でも難解な概念が患者さんにダイレクトに届いている、更には意志決定のサポートも主役である患者さんが不安に思う程度というのが問題なんでしょうね?(看護師さん、どなたか意見無いですか?)

RKさん、こんな感じですが今までの所はどうご理解されました?

*さらにBasal-likeというTNBCの中の抗がん剤抵抗性、遺伝子不安定性を有する腫瘍に関して、試験管や培養細胞での話しがまことしやかに伝わっている点に関しては一言あります!が、だらだら書いてしまいましたので、ご興味がありましたらリクエスト下さい。
Re:トリプルネガティブ乳がんの術後化学療法の選択
RK(三重県) 2010/07/11
柏葉様
お返事遅くなりました。いつもありがとうございます。
病理は、免疫染色だと思います。
つまり、簡易的な検査法による結果では、一概にTNBCとくくってしまえない、ということで理解してよろしいでしょうか。
また、アンスラサイクリン系の奏功性も皆無ではなく、有効である場合も多いということですね。
結局のところ、検査結果やデータでは正確な予測がつかない性質のものであると理解しました。
であるならば、現在の生活になるべく支障が出ないような形での治療、つまり、通院の手間や家族の負担、仕事との折り合いがつく現在の病院でできる治療を選ぶのが最良という結論に達しました。
幸い、インターネットで相談した他の医師からも、現在提示されているFEC+Tでいいのではないかというご意見をいただきました。このようにきっぱりと肯定していただけると、たいへんすっきりします。
医師の側も多くの患者さんに個別に対応するのは大変だと思いますので、このような場で第三者の意見が聞けるというのは非常にありがたいことだと実感いたしました。
どうもありがとうございました。
Re:トリプルネガティブ乳がんの術後化学療法の選択
上野 直人(海外在住) 2010/07/11
https://www.teamoncology.com/bbs/thread_dtl.php4?coid=1&cid=10&tid=2312&rid=2325&pg=

質問内容が似てるので、上記に書き込ませて頂きました。
よろしくお願いいたします。

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