掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
化学療法とホルモン療法の比較検討につきまして
匿名希望(神奈川県) 2010/07/08
先月、右乳がん部分切除手術を受けました。

術前の組織検査結果を元に、手術直後の外来までは、ホルモン治療と放射線治療を受けていく予定でしたが、切除部分の病理検査結果とコンピューターシミュレーションの結果、化学療法(TC療法)をまず行なうことを推奨されました。(全体比較として、AC ≒ CMF < TC と受けとっております)

再発率その他を危惧してくださってのドクターからの説明だったとは了解しておりますが、なかなか判断がつけられず、迷っております。かなり重い副作用などを考えると、可能ならば当初の予定通り、ホルモン治療と放射線治療の2つを補助療法として進めていきたいと思ってしまうのですが、長期的な見解として、ベター/ベストなご提案として素直にお受けすべきでしょうか。


38歳女性 術前治療無
粘着性がん 
グレードⅡ
6x4.5x2cm範囲内に腫瘍有(術前病理診断では2cm核の予測)
f+ ly+ v-
EIC+ ew+ n(-)=0/2
ER・PgRともに(+ 90%) HER2-FISH検査中(組織検時は1.0)

10年後再発リスクは50%、
当初予定のホルモン治療だけでは40%、化学療法&ホルモン治療のミックスでは60%の有効性の差があるようです(シミュレーション)。


基本24病系分類表だけを見ると、HormonalまたはCombinedが当てはまるらしく、なかなか腹をすわらせることが出来ません。
恐縮ながら、アドバイスいただけますと助かります。

   
Re:化学療法とホルモン療法の比較検討につきまして
佐藤由美子(愛知県) 2010/07/08
匿名希望様

こんにちは。はじめまして。
名古屋で薬剤師をしている、佐藤と申します。

ネット上で、お顔も拝見していないのに、
匿名希望様のたいへん大事な問題について、ディスカッションさせていただくことに、少し緊張しています。よろしくお願い致します。

さて、術後補助療法の選択で迷っていらっしゃるとのことですね。
私としては、一番大事なポイントは以下の部分だと思ったのですが、いかがでしょうか。
「10年後再発リスクは50%、
 当初予定のホルモン治療だけでは40%、化学療法&ホルモン治療のミッ クスでは60%の有効性の差があるようです(シミュレーション)。」
この意味について、具体的にイメージ出来ていらっしゃるかどうか不安に感じたので、補足説明をさせていただきます。

この数字の通りだとして、わかりやすく考えると、
匿名希望様と同じ病状の方が100人いたとして、
術後補助療法を何もしないと、10年後に再発する人は50人、
ホルモン療法を行うと、それが40%減少するので、30人、
さらに、化学療法とホルモン療法を行うと、20人になると予測されますよ、という意味です。

このように具体的にイメージした場合に、いかがでしょうか。
どのような選択をしていきたいとお考えですか?
Re:化学療法とホルモン療法の比較検討につきまして
匿名希望(神奈川県) 2010/07/09
佐藤様、
お忙しい中、お時間を割いていただきましてありがとうございます。

ご指摘のとおり、「ホルモン療法だけ」の場合と「化学療法+ホルモン療法」の場合で、再発率の違いが10人という値になるわけですが、その値をどこかで「10人も」「10人しか」と両方とらえてしまう自分がおり、なかなか決めかねている状況です。

もちろん再発させないことが術後療法の一番の目的であることは了解しています。
化学療法を受ければ再発のリスクはもちろん下がります。逆に、それに伴う生活環境の大きな変化は否めません。自身が30代後半でありいわゆる進行が早いといわれる若年性タイプではないことに、療法を変えてまでその10人という差の価値があるのかが自身で判断をつきかね、迷っているともいえます。

今まで健康だけがとりえだったこともあり、この10人という10%向上のシミュレーションの差が想像しかねています。中途半端な回答で申し訳ありません。
Re:化学療法とホルモン療法の比較検討につきまして
佐藤 由美子(愛知県) 2010/07/09
匿名希望様

ご返信ありがとうございます。
10%も、と、10%しか、の間で悩んでいらっしゃるお気持ちを感じることができました。
極端にいえば、術後補助療法をしなくても再発しないかもしれません。
ただ、術後10年を迎えるまでの間の、不安なお気持や、
また、もしも、再発してしまった場合に、後悔のお気持などはいかがでしょうか。
ところで、化学療法を行う場合の、副作用や治療スケジュールについてはどのようにお聞きになっていますか?
匿名希望様が、化学療法をためらわれる一番の理由はなんですか?
Re:化学療法とホルモン療法の比較検討につきまして
匿名希望(神奈川県) 2010/07/09
佐藤様

化学療法選択の場合、すぐに開始する予定となっております(TCの予定なので4回投与予定)。
化学療法終了後、ホルモン治療に再移行します。

副作用についても、しっかりと教えていただきました。今までとQOLがかなり異なってくることもご説明いただきました。併せて、化学療法をすることによる予後可能性の価値も教えていただきました。

つい最近まで健康だけがとりえな生活だったため、あまりに急な展開に、これからのことは今時点の方向性が右にも左にも転びうるという事実が、療法を決めかねる一番の理由になっているのかもしれません。業務のほうはこのところの休暇の頻度より終了が決定しましたが、併せて、大好きな球技からも遠ざからざるを得ないのも寂しいのかもしれません。

ホルモン治療のみに専念して万が一再発した場合、典型的な人間の一人として、たしかに後悔をしてしまう気もします。幸いにも再発しなければつまりはそれだけ体に大きな負担もかからないまま再発を防げたということであり本当にそれに越したことはないです。「極端に言えば」とおっしゃってくださったということは、10年の間不安の中で過ごすよりは、自分はここまで補助療法をしている、と前向きな心理的な思いも大切、ということにもなりますでしょうか。
Re:化学療法とホルモン療法の比較検討につきまして
佐藤由美子(愛知県) 2010/07/09
匿名希望様

今後の治療についてもきちんとご理解されていて、その上で悩んでいらっしゃることがよくわかりました。
この先は、どうしても私の個人的意見が入ってしまうことをお許しください。
私は仕事柄、残念ながら再発されてしまった方とよく接しています。
その中には、十分な術後補助療法を行った方も、様々な事情があって、完遂出来なかった方も含まれています。
私も匿名希望様と同じ、30代後半です。
もし、同じ状況におかれたら、今は辛いし、まれに起こる強い副作用で何か起きる可能性もゼロではないですが、
化学療法を受けると思います。
10年後の40代後半を、再発なく迎えられるように、できる限りの手を尽くそうと思うからです。
例えば、予後の改善率が5%だったとしても、受けようと思います。
ただ、1%だったら、さすがに受けないかもしれません。

TC療法4クールですと、長くかかっても4ヶ月、様々な副作用が改善して、すっかり元通りになるまでにはもうしばらくかかるかもしれませんね。
匿名希望様が、化学療法を受けられるとしても、ホルモン療法のみにされるとしても、
治療の間に副作用などでお困りのことがありましたら、またいつでもご相談いただければと思っています。
Re:化学療法とホルモン療法の比較検討につきまして
匿名希望(神奈川県) 2010/07/10
佐藤様、

医療現場の方からのセカンド的な意見をお伺いできる機会を持たせていただいて、本当にありがとうございます。

大変遅まきながら、本件は周りの人間の今後の生活も鑑みないといけない判断項目であることに、本日気づかされました。これまた新たな難題ですが、一人称単数だけで考えればこの病気は再発しないことが一番であるわけですが、化学療法の副作用による二人称三人称の人への負担とその人たちの生活ダメージの考慮と対応策検討も忘れずに、化学療法を受けるか受けないかを判断していきたいと思います。

今後またご相談させていただくことがあるかもしれません。
そのときはまたどうぞよろしくお願いいたします。この度はあたたかなサポートをくださいまして、本当にありがとうございました。
Re:化学療法とホルモン療法の比較検討につきまして
佐藤由美子(愛知県) 2010/07/10
匿名希望様

こちらこそ、ご相談いただきありがとうございました。
よいお答えが出来たかどうか自信はありませんが、
少しでもお力になれたとしたら、うれしく思います。
蛇足ですが、最後に付け加えさせていただくと、
二人称、三人称の方々にとっても、
匿名希望様の再発阻止がなによりの望みであるのではと思っております。
私も、切に願っております。

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