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治療とその選択
トリプルポジティブの術後治療
そら (神奈川県) 2010/07/11
先月、乳がんの全摘手術を受けました。
センチネル生検のみリンパ隔清なし、術前療法なし。
46歳閉経前です。

病理の結果を聞きましたが、素人では??な事が多く
どう理解すればよいのかわからず、投稿させていただきました。

先生からの説明は
大きさ 26x22mm
ホルモン感受性 あり(ホルモン治療がよく効くタイプ)
HER2たんぱく  3+ (ハーセプチンが使える)
核異型度 グレード1
リンパ節転移  なし(微小転移だからなしと考えて良い)
というものでした。

病理検査の結果コピーの所見には

乳管内成分と混在して、浸潤がんを認めます。
核異型度は中等度、脂肪組織に浸潤あり、
リンパ管浸潤も多数あり。
断端はDCIS陽性

INVASIVE DUCTAL CARCINOMA
PAPILLO-TUBULAR CARCINOMA
f(+),ly2,v0
26x22mm
sentinel lymph node:METASTATIC ADENOCARCINOMA(1/1)
Size:175μm,ITC
ER:Allred score 4+2=6 /JBCS score3
PgR:Allred score 3+2=5 /JBCS score3
HER2: 3+ (ASCO/CAP:3+)
MIB-1:20%

HER2 is strongly expressed in more than 30% of
carcinoma cells.

となっていました。

今後の治療を放射線とホルモン療法だけにするか、
さらにハーセプチン+化学療法をするべきか迷います。

先生からの説明だとリンパ節転移なしと考え、ホルモン療法が良く効くタイプなので、化学療法までしなくてもよいかなと思っていました。

先生はこれ以上は取れないところまで取ったその先に断端陽性が出てた。とおっしゃっていました。
DCISって非浸潤がんで乳管内にとどまっているものを指すと思うのですが、乳腺を全部とったのにDCIS陽性とはどう考えればよいのでしょう?

ホルモン感受性を何%という表現を良く見ますが、私の場合どのくらいに相当しますか?

1%でも感受性があればホルモン療法をする価値があるそうですが、ホルモン療法が良く効くタイプなら化学療法を省略しても大丈夫ですか?

リンパ管浸潤とリンパ節転移は再発転移のリスクを考える上で
大きな要素と思うのですが、どのように考えるべきですか?

MIB-1:20% とはどんな意味がありますか?

HER2の過剰発現が30%以上とはどのくらいの危険性があるのでしょうか?

病理の結果を聞いたものの、なにを質問すればよいのかも分からず、コピーも貰わず帰って来てしまいました。
後からコピーだけは頂く事ができたのですが、
「今度の診察までにこれからの治療について考えておいてね」と言われても、わからないことばかりで、治療方針について自分の考えも決めようがなく、質問させて頂きました。





   
Re:トリプルポジティブの術後治療
中山(大阪府) 2010/07/14
そらさん

こんにちは。確かに難しい選択ですね。
トリプルポジティブの術後治療の選択は、専門家の間でも難しいとされているものの一つです。
迷われているのもよくわかります。

さて、主治医の先生のお考えがはっきりと読み取れませんでしたが、お勧めの治療法について、お聞きになりましたか?
また、治療法の選択において、病理診断結果についての判断も確認されましたか?
大切な選択です。納得して治療法を選ぶ必要があると思います。あせらず、よく説明を聞いてみてください。

ER PRについて:
Allred scoreは、Total score (TS) = Proportion score (PS)+ Intensity score(IS) であらわされます。
そらさんの場合は
ER:Allred score 4+2=6 PS4なので1/3-2/3未満の細胞が陽性と考えられます。
ちなみに
PgR:Allred score 3+2=5 PS3なので10%-1/3未満の細胞が陽性と考えられます。

MIB-1:20%について
細胞の増殖を評価するための方法です。
一般的に、低:1-15%、中間16-30%、高:30%以上と言われています。

HER2の過剰発現が30%以上
これは、HER2の判定基準の一つで、HER2陽性を意味します。
2009年のSt. Gallen(ザンクトガレン)コンセンサス会議よると、抗HER2療法の適応であることを指します。

ひとつ質問です
核異型度グレード1とありますが、核異型度は中等度との表現もみられます。どちらが正しいか確認してみてください。

とりあえず、情報提供させていただきました。
最初に申し上げたように、主治医の先生とお話し頂き、その結果をお知らせください。





Re:トリプルポジティブの術後治療
そら (神奈川県) 2010/07/14
中山 様

丁寧なご説明ありがとうございます。

昨日、主治医の先生と話をしてきました。
今朝、書き込み頂いているのを見つけました。

核異型度の話は聞きそびれましたが、病理のコピーには

Histological grade: 2+2+1=5,G1
Nuclear grade: 2+1=3,G1

となっていました。


治療法については
「ホルモン療法が良く効くとはいえ、HER2出現があるのでハーセプチン+抗がん剤+ホルモン療法を全部頑張った方が良い。どうしても抗がん剤がイヤでホルモン療法+ハーセプチンという方法をする人もいるが、標準治療からは外れ、エビデンスも無い。ハーセプチンは抗がん剤とセットで使う薬です。」との事でした。

抗HER2療法をする場合
EC3カ月4クール→TC3カ月4クール+ハーセプチン1年+ホルモン療法5年 というプランです。

父がⅣ期肺がんがみつかり、で4-6月にカルセド?で抗がん剤治療を受けました。吐き気、脱毛、味覚障害、口内炎、など様々な副作用を見ていたため薬の種類が違うとはいえ抗がん剤治療をを受ける事の不安が大きいです。

会社の仕事(事務)との両立ができるか心配です。
どの程度まで心配する必要があるのか、測りかねています。
Re:トリプルポジティブの術後治療
kayo(東京都) 2010/07/15
そらさん、こんにちは。先生からの的確なアドバイスを求められていることとお察ししましたが、年齢やGradeなど似た部分があったので、トリプルポジティブのひとりの患者の意見として、少しでもお役に立てれば…。

私も昨年手術をして、トリプルポジティブでした。そらさんの主治医がおっしゃっている標準治療を受け、今は、ハーセプチンとホルモン療法を行っています。確かに、抗がん剤は、様々な副作用がつきまといますが、今は、それに対処できる、かなり効果のある薬があります(脱毛は仕方がないですが、前の投稿にもありましたが、今は、ウィッグ流行り、それなりに楽しみました)。私も事務職の仕事をしていますので、続けられるか、休みがちになって辞めなければならないストレスを抱えるのなら、辞めちゃった方がよいのでは?とも思いましたが、私の主治医は、「仕事も治療法もやってみて、だめならその時に考えなさい」その言葉に押され、1年が経ちました。

そらさんは、お父様の病気を間近で見ていらっしゃるので、そんな簡単に決められないと思いますが、走りはじめると案外走れるものだな…ということに気付かされます。毎週のように病院に通って先生の診察を受けることは、逆に安心材料のひとつになる場合もありました。もちろん、家族や看護師さん、同じ病院内での患者どうしの繋がりとアドバイス、協力も大切にしたいところです。

同じような傾向とはいえ、乳癌は、100人100通りと言われてますので、あくまでもご参考までですが、まだ私も治療中の身、トリポジの同士として、一緒に頑張りましょう!ポジティブの人は、結構少なかったりするので、私も心強いです。



Re:トリプルポジティブの術後治療
そら (神奈川県) 2010/07/15
kayo さま

心のこもったメッセージをありがとうございます。
今夜は、kayoさんの言葉を良く考えながら寝ようと思います。
明日も朝早いので、とりあえずお礼を伝えたくてコメントさせて頂きました。ありがとうございました。





Re:トリプルポジティブの術後治療
中山(大阪府) 2010/07/16
そらさん

主治医の先生とゆっくりお話しされたようですね。治療方針についても納得されましたでしょうか。

NCCNのガイドラインによると
そらさんの病状には...
化学療法+内分泌療法+トラスツズマブ(ハーセプチン)が推奨となっています。
化学療法を受けられるのがよいと思います。

日本乳がん情報ネットワークのHPにNCCNのガイドラインの日本語訳が載っています。参考にしてみてください。

(NCCNのガイドライン:米国の代表的な21の癌センターによって結成されたNCCN(National Comprehensive Cancer Network)というガイドライン策定のための組織が作成するガイドライン。最新のエビデンスをいち早くガイドラインに取り込み、一般臨床家や患者に浸透させることを目的としている。1年に1回の改訂を原則としている。)

ただ、化学療法に伴う副作用が心配なようですね。確かに、皆さん治療を受けられる前は大変心配されます。しかし、kayoさんが頑張っておられるように、ほとんどの方が化学療法の副作用を克服し、治療を完遂されておられます。
「走りはじめると案外走れるものだな…ということに気付かされます。」このコメントはまさにその通りだと思います。
私も、これまで、何人もの働く女性の治療に携わってきましたが、皆さん、仕事と治療をうまくこなされています。それどころか、仕事をされている方のほうが副作用が軽いと感じる場合さえあります。
最近、2つの強力な吐き気止めが、日本で相次いで使えるようになりました。アプレピタント(イメンド)とパロノセトロン(アロキシ)という薬です。吐き気が強い場合は主治医の先生に相談してみてください。
まずは、一歩を踏み出して、頑張って治療を受けてみてください。


断端陽性について

切除した組織の端までDCISが及んでいたということですね。われわれも頻度はそれほど多くはないですが、このような状況を経験することはあります。乳腺の存在する範囲は切除しているので、よしとする(追加切除を行わない)ことが多いです。



kayoさま

貴重なコメントをありがとうございます。そらさんの大きな支えとなったと思います。
患者さんからの声は患者さんのみならず、我々にとっても大きな力となります。このような形で、みんなでがんばっていければ、とても素晴らしいですね。
あらためて、コメントを頂き、ありがとうございました。とてもうれしかったです。
Re:トリプルポジティブの術後治療
そら (神奈川県) 2010/07/17
中山 さま

こんにちは。
丁寧なご説明ありがとうございました。

やはり、迷っている場合では無いのだということが良くわかりました。

手術を終えて目に見える「ガン」がほぼ無くなったとはいえ、まだ見えない敵(本当に敵がいるの?-と思ってしまいます)と闘わなくてはならないのですよね。

抗がん剤を始めて母にガンであることが知れた時の母の事も心配でした。ただでさえ心配症の人に夫とさらに娘までガンにかかったと知ったらどうなってしまうか。

もちろん、自分の副作用も怖いし-せっかく今は元気で目に見える敵はいなくなったのに本当に闘わなくてはならない敵がいると思いたくない。

ガンとわかった時点で観念しなくちゃいけなかったのに、往生際が悪く、なんとか楽な道は無いかと逃げ道を探していました。

もし再発した時に絶対後悔しない自信があれば存在しないと考えても良いかもしれないけど、「あの時やっておけば、もしかしたら。。。」と思うなら、今、取り組むべきなんですね。

「みなさん、治療とお仕事と頑張ってのりこえてますよ」と医療者の方から聞きますが、kayoさんのように、年齢やグレードの近いとても似たような境遇の方からの言葉はとても心に響きました。

「とりあえず、取り組んで見てダメだったらその時に考える」のが正解ですね。立ち止まっていたらいろんな意味で前には進むことができないし、ここで治療をやめてしまったらおっぱい取っちゃった意味なくなるし。

一歩踏み出してみようと思います。
ありがとうございました。

P.S コメント頂いていたのに遅くなってしまい、申し訳ありません。
Re:トリプルポジティブの術後治療
kayo(東京都) 2010/07/17
そらさん、一歩を踏み出されるとのこと、コメントを読んで私もその勇気にあらためてパワーをもらいました。なんだか、そらさんとは共通点が多いですね、私も両親に話すまでに1ヶ月考え、自分に都合のよいブログやガイドラインだけを読んでガンから逃げていた時もありました。

中山先生のコメントにもあるようにNCCNのガイドラインも、ちらっと読んでくださいね、主治医が薦める治療法とご自身の選択は間違っていない!と、より自信を持って前進できますよ。自信を持つことも治療を続けられる秘訣だと思っています。

副作用や気になったことは、こんなこと聞いてよいのかしら?と躊躇わずにコミュニケーションをとることによって、主治医や看護師さんとの距離が縮まります。そして、なにより情報交換できる仲間も増えます。では、そらさん、焦ることなくマイペース、一緒にがんばりましょう!

中山先生:私にまでコメントありがとうございました。こちらこそ嬉しかったです。チーム医療を念頭に置いた一方通行でない掲示板や情報は、長い治療を続けている患者にとって、勉強にもなり、励みにもなっています。
Re:トリプルポジティブの術後治療
そら (神奈川県) 2010/07/18
kayoさま

こんばんは。
応援メッセージありがとうございました。
まだ、こころは揺れ動いていますがきっと大丈夫、頑張れます。

主治医の先生とのコミュニケーションを上手にとるのって難しいですよね。
コミュニケーションをの話は違うカテゴリーになってしまうので改めて書き込みをしようと思います。

中山先生
お世話になりました。NCCNのガイドラインを読んで勉強しています。また迷子になった時はお世話になるかもしれませんが、その折にはよろしくお願いします。
どうもありがとうございました。


Re:トリプルポジティブの術後治療
りんご(東京都) 2010/07/19
こんにちは。いまさらですがコメントさせていただきます。
医学的な事は全く書けませんが、そらさんと境遇が似ていたので。。

私もそらさんと同じトリプルポジティブで、先月抗がん剤が
終了しました。(EC4クール)
私の主治医はFISH検査でHER2陽性と出たところで
有無を言わさず抗がん剤をしましょう。とおっしゃいましたので素直に従いました。
やる前はそらさんと全く同じような心の逡巡がありました。
けどやれることをやって憂いを残さないのが一番だと今は思います。
抗がん剤は確かに楽ではありません。
でも私の感覚ではインフルエンザよりはましです(笑)
終了後一カ月もたっていませんが、友達に会うとみんな
あまりにも元気そうでびっくりしたといいます。
もちろん個人差はありますが、40代は体力もあるようで、
あっという間に元気になりますから大丈夫ですよ。
引き続き来月からハーセプチンです。
ウィッグも今は季節柄暑くて大変ですが、まぁ慣れます(笑)
仲間はたくさんいます。お互い頑張りましょう!
Re:トリプルポジティブの術後治療
そら (神奈川県) 2010/07/19
りんご 様

こんばんは。
メッセージをありがとうございました。
kayoさんやりんごさん、みんな頑張って乗り越えてきた道
なんですね。
私も1年2年後に同じ様な人に出会った時に「大丈夫だよ」って
言ってあげられるように頑張ります。

お医者様の言葉はもちろんですが、なにより、同じ様な境遇の方
からの言葉はとても支えになります。

この掲示板で様々な方に支えて頂くことができましたことを
感謝します。
皆様ありがとうございました。
Re:トリプルポジティブの術後治療
中山(大阪府) 2010/07/22
そらさん

お返事遅くなり、すみません。
皆さんの後押しのおかげで、前向きに一歩を踏み出されようとしておられますね。頑張ってください。
私自身、あまり、コメントするのは得意ではありませんが、乗りかかった船です。また、迷子になったら質問してください。

kayoさま、りんごさま

コメントありがとうございます。
我々医療者の言葉より、ずーっと大きな力が感じられますね。
このサイトは、皆さんがお互いに支えあえるような場であればいいですね。
みんなで一緒に頑張っていきましょう。

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