掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
タルセバとセレブレックス併用について
nana(広島県) 2006/12/23
はじめてお邪魔します。こんなに素晴らしいホームページがあることに感動しています。質問のし方が悪かったらご指導ください。

父65歳、4期の肺腺がん、PSは0、仕事(軽作業)継続中、2006年2月よりイレッサ毎日内服、イレッサPDとなり7月よりカルボプラチン+パクリタキセルで治療中です。
10月のPETでは「全身に悪性腫瘍を示唆する異常集積は認めない」との結果でした。脳転移はガンマナイフで半年間CRでしたが再発、12月に20個以上をガンマナイフにて治療していただきました。原発には抗がん剤が著効しても脳転移巣には効果が無いことで、今後の経過に不安を抱いています。原発をコントロールしつつ脳転移も抑制する方法はないものか?情報収集していますが、明るい話がありません。
主治医にも相談しています。イレッサが数ヶ月でPDとなった父にはタルセバの効果も期待薄であること、アバスチン併用は喀血の副作用が血小板の減少している父にとってリスクが高いこと、今後も化学療法で原発をコントロールしながら、脳転移が出たときにガンマナイフという方法が今のところ最良と考えられる、ということでした。

検索中以下の文献を見つけましたので、お考えを教えていただければ幸いです。
タルセバとセレブレックスを組み合わせることによって、タルセバ単独より3倍高い奏効率が得られた、というものです。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=Abstract&list_uids=16740761&query_hl=1&itool=pubmed_docsum
父は今年9月頃からセレブレックスを服用しております。素人の安易な考えなのですが、タルセバへの抵抗性がCox-2発現が原因とすると、セレブレックス併用によってタルセバが奏功する可能性も高くなるように思うのですが…。
その他脳転移へ効果可能性のある薬剤および組み合わせはないでしょうか?

   
Re:タルセバとセレブレックス併用について
上野直人(海外在住) 2006/12/25
[カルボプラチン+パクリタキセル]

質問です。現時点でこの治療は聞いているのでしょうか?
Re:タルセバとセレブレックス併用について
nana(広島県) 2006/12/26
上野先生へ

はい。原発には効いています。イレッサPDとなった時点では約4センチ四方の腫瘍でしたが、直近のCTでは「胸膜側軟部陰影が残存するのみ、肺門や縦郭リンパ節腫大は完全に消退」との結果、続いてのPETでは「全身に悪性腫瘍を示唆する異常集積は認めない」との結果でした。

よろしくお願いいたします。
Re:脳転移の対処法
上野直人(海外在住) 2006/12/27
脳の転移に関しては、ガンマナイフは症状緩和するのに有効とされています。ですので、お話を伺っている限り、納得をされたアプローチではないでしょうか。ただ、何か、肺ガンにおける脳への転移を防ぐことの出来る治療薬は標準療法として現時点ではないのが現状だと思います。ここで、一番大切なのは、お父様がどのように現状を理解しているかだと思います。

つまり、今後治療が聞かなかった場合特に脳転移が進行したとき、お父様がどのように人生を過ごしたいかをこの時点で考えることが大切だと思います。また、仮に治療が効いていても、お父様はどのように今後の人生を歩みたいと考えているのでしょうか?
Re:タルセバとセレブレックス併用について
上野直人(海外在住) 2006/12/27
さて、セレブレックスを組み合わせる、臨床試験は限られた経験しかなく、本当にセレブレックスがTarcevaの効きをよくするかは現時点では何とも言えないです。標準といわれている治療法をいかにお父様の体調にあわせて、治療を提供するかがポイントだと思います。腫瘍学の難しいのは目の前に美味しそうな治療法がいっぱいあるのですが、本当に患者のためになる治療はそんなに多くないのが現状です。主治医と今後の方針をじっくりお父様を交えて話をされましたか?
Re:タルセバとセレブレックス併用について
nana(広島県) 2006/12/27
上野先生へ

早速ありがとうございました。
父は現状をすべて受け入れております。病状の説明もすべて父と家族で聞いて参りました。父は治療法や薬剤への関心は具体的でなく、希望は「入院したくない」「今まで通りの生活(仕事)を続けたい」と一貫しており、実際気管支鏡検査とガンマナイフ以外はすべて通院で治療を受けてきました。

今まで通り仕事を続けている父にとってガンマナイフは侵襲の少ない最適の治療で、主治医とも十分話をした上で納得しております。
ガンマナイフは今回4度目で、これまでは数個でしたが今回20数個の多発、今後も繰り返し出てくるであろうとのことでした。化学療法が原発によく効いているのに、他臓器への転移はないのに、なぜ脳転移だけ?という思いです。
決して奇跡や藁を求めているわけではありません。ただ、医療も日進月歩の世の中なので、世界のどこかで脳転移抑制に効果のある薬剤や研究があるのでは?とつい情報を探し求めてしまっております。

父はこれまで脳転移の症状もなく、主治医のお陰で化学療法の副作用も最小限に抑えられ、現在普通通りの生活を送れています。

>ただ、何か、肺ガンにおける脳への転移を防ぐことの出来る治療薬は標準療法として現時点ではないのが現状だと思います。

上野先生のお言葉に、現時点で脳転移には対処療法しかないという厳しい現実を再認識しておりますが、例え結果として効果が無くとも、可能性のある治療を試さずに脳転移の進行を見守ることは本意ではなく、父自身も脳転移をなんとか抑制したいと考えております・・・。
Re:タルセバとセレブレックス併用について
上野直人(海外在住) 2006/12/27
[例え結果として効果が無くとも、可能性のある治療を試さずに脳転移の進行を見守ることは本意ではなく、父自身も脳転移をなんとか抑制したいと考えております]

お父様の取り組む姿勢には感服します。ここまでに至るまでお父様も家族も色々と大変ではなかったかと思います。
そうですね。可能性を探すのはとても大切だと思います。色々と調べてみてください。ただ、試すときは必ず本当の可能性があるかを確かめてください。何も害がなければなければいいのですが、多くの場合は有害がともないますので気をつけてくださいね。

一番大切なのは、生活の質を保つことだと思います。
今後とも宜しく御願い致します。
Re:タルセバとセレブレックス併用について
nana(広島県) 2006/12/28
上野先生、ご多忙の中ご親切に教えていただきありがとうございます。

>一番大切なのは、生活の質を保つことだと思います。

そうですね。父も告知当初からQOLを一番重視してきました。完治のないことを受け入れ、残された人生を病院のベッドの上でなく家で今まで通り生活したいと、当初は無治療を希望したほどです。
私たち家族はどの治療なら父の思いを叶えられるのか、の判断はできませんが、父の思いを医師に理解していただけるよう努力してまいりました。でもそれは簡単なことではなく、今の主治医に出会い通院でQOLを保った化学療法をしていただけるまでには、言い尽くせないほどいろいろな経緯がありました。

今回こちらの掲示板で相談させていただき、脳転移抑制に関しては世界的にも確立された治療法がないとのことで納得できました。しばらくは脳転移の経過を見守り、主治医と相談しながら今後のことを考えていきたいと思っています。

父には、完治は無くともQOLを保ち元気でより長く生きて欲しい、希望を持って生きて欲しいので、あきらめず情報収集を続けていきます。

今後も相談させていただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。
あと数日で今年も終わり新しい年を迎えますね。どうぞ良いお年をお迎えください。
Re:タルセバとセレブレックス併用について
nana(広島県) 2007/02/01
途中経過ご報告です。
上野先生、昨年は父のことでいろいろとご相談に乗っていただきありがとうございました。
2006年12月のガンマナイフ(多発脳転移)後の脳MRI検査を2007年1月末に受けましたが、腫瘍が認められないとの結果でしたので、途中経過としてご報告させていたただきます。
昨年秋から右肩上がりだった腫瘍マーカーも、今回の検査で3桁から2桁に激減しており、マーカー増大の原因が脳転移にあったことを示唆するものだと認識しました。右肺の原発は今のところCT上も大変良い状態を保てています。カルボプラチン+パクリタキセルの化学療法はまだまだ続きそうですが、主治医を信じて父を見守っていきます。
本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
Re:タルセバとセレブレックス併用について
上野直人(海外在住) 2007/02/07
頑張ってくださいね。応援しています。

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