掲示板「チームオンコロジー」

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患者と医療者のコミュニケーション
入院して患者同士が親しくなった場合...
たかはし(栃木県) 2007/01/06
私は、2005年9月に入院し、6人部屋(男性)2室の患者諸氏12人
と親しくなりました、1クールごとに入退院を繰り返しますが
5日から一週間で再入院してきます、お互いに又来たなと云う感じで迎え合います、12月末には新年らしい気持ちを味わおうとお互いに年賀状を交換し合って1月の初めには又全員が顔を揃えると云う嬉しさを味わいました。

処が、2006年に入った1月から11月までに私を除く11人全員が私をおいて逝ってしまいました、生き残りは私一人です。
暮れになってから届く11人の方のご家族から年賀辞退のハガキが来る度にその日は泣いてすごしました。

私は1月で65才を迎えましたが、逝かれた方々は54才から65才までの人達ばかりです、ガンと云う病気の恐ろしさと、あっと云う間に11人の友達になった戦友のような思いで付き合った方々を失った辛さは表現のしようがありません。

看護師さんからは○○さんの分も生き抜いてねと声を掛けられると返す言葉が出ません。
それ以外に私に掛ける言葉はないのですか..と怒鳴りたい気持ちです。
幸か不幸か私は、肺繊維化症を発症しガン治療を中断して繊維化症の治療に専念するために自宅療養となり月1度の外来で診察を受ける事になりましたが、繊維化が重症化の傾向にあるので主治医から再入院を薦められましたが、大部屋は楽しいが
見送りするのが辛すぎると言って入院を拒みました。
主治医もそうでしょうね...と、個室が空いたら入りますかと
聞き直してきましたが、自宅をホスピスと思って居ますので
最後の瞬間だけ入院させて下さいと言ってあります。

患者同士が親しくなって、そして自分よりも先に次々と仲間を
失う者に対して医師や看護師さん達は生き残った者には○○さんの分まで生き抜いてね、と云う程度の言葉しかやはり掛けられないのでしょうか、私には11人分の重荷を背負って行くだけの生命力がありません、自分一人がようやくです、退院して1年を迎えましたが新しく仲間を作らなかった事を今では良かったと思っています、逆にネットで知り合った人達との付き合いの方がとても気持ちがリラックス出来ています。

医療関係者の人達の私のような患者への心のケアと云うのはどのようにお考えなのでしょうか。
どうすれば私が11人の重荷から解放される事が出来るかご教示頂ければ幸いです。

   
Re:入院して患者同士が親しくなった場合...
上田宏(兵庫県) 2007/01/06
たかはしさん
つらい思いを伝えていただきありがとうございます。
私も医療者の一人ですが、がん患者の心のケアについて十分な配慮ができていないのが、日本の多くの医療者の現状だと思います。

私の担当する患者さんも、知人の死や自らの死の恐怖、残される家族への思い、また再発への不安や社会からの孤立といった心の負担を背負っておられます。死への覚悟と共に、今を生きる覚悟も求められますよね。

個人的な考えですが、自分を支えてくれた友情や愛する家族への日々の感謝の気持ちが、患者さんの生きる覚悟を支えてくれるのではないかと思っています。医療者として我々ができることは、患者さんの話を聞くことしかできないかもしれません。
Re:○○さんの分も生き抜いてね
上野直人(海外在住) 2007/01/06
高橋さんの仰るとおりだと思いますよ。○○さんの分も生き抜いてね、医療従事者として発言するべきでないのではないでしょうか。人間はいずれ死にます。私も含めてです。どのような死を迎える(経験する)かは、その人の人生観、経験、など様々な要素がかかわっています。医療従事者が患者を包括的に知る努力をしてもなかなかその患者の死生観、人生観を推測するのは難しいですよね。でも、いりょうは一生懸命聞くことが大切です。でも多くの医療従事者は聞くことよりも答えを出すことが大切だと勘違いしています。○○さんの分も生き抜いてね、なんて、無責任な発言が出来るのだと思います。
Re:入院して患者同士が親しくなった場合...
たかはし(栃木県) 2007/01/08
上田先生・上野先生

早速のご回答有り難うございました、昨夜ですが偶然にもNHKの特集で病院を診断すると云う(医療機能審査機構)の審査の実態を特集したものなのですが、その中で審査を受ける病院も、審査する側も盛んに言葉にしていたのがチームワークがどうなっているのかと云う言葉でした。
ある大学の審査を受ける場面では、隣の医局の壁を越えるのは米国に行くよりも遠いと云う事を発言されていた事がとても印象に残りました、それと審査を受ける側の病院が医療事故を防ぐ事に専念し患者の目線でどのような改革をすれば良いかと云う事には殆ど触れて居らず、審査をするサーベイヤーの人も、
カルテの管理や薬の取り違え等とにかく事故防止対策をしているかに目が注がれており、患者の目線からの院内改革には程遠いと感じた番組でした、上野先生が提唱されているチーム医療の本領発揮は日本では遠い道乗りなのかナーと、とても残念に思った次第です、仕事に追われる医師や、看護師さん達の姿から、患者一人一人に掛ける言葉の選択に時間を掛けてまで慰めてなど居られないような雰囲気が伝わってきました、患者は我が侭であり特に私のような病状の患者は典型的な我が侭な患者の頂点であるような気がして来ました。
今の病院の医師を始め看護師さん達には患者の言葉に耳を傾ける時間の無い事も良く解りました、また、患者自身(私も含めて)も超多忙の人達に優しい心のこもった言葉を掛けて貰おうと思う事が今の日本では甘すぎると実感しました。
同規模の米国の病院と日本の病院では医師から事務職に至るまでが米国の半数にも満たないと云う報告を見て驚きました。
上田先生の患者の話を聞くことしか出来ないと云うお言葉が、
日本の他の病院の先生の気持ちの中にどれくらいあるのかは
解りませんが、上田先生のような、上野先生のような優しい心の先生が現在こうして居られる事に感謝申し上げると同時に
つまらない質問をしてしまった事を反省しております。
どうも有り難うございました。

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