掲示板「チームオンコロジー」

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患者と医療者のコミュニケーション
ホルモン受容体5%未満の治療選択は
ななこ(福岡県) 2011/02/01
昨年末に温存手術をして、現在放射線治療中です。
病理検査の結果を見て、放射線治療後に治療を決めるようになっています。
40歳代
腫瘍0.7ミリ
リンパ節転移無し
悪性度グレード2
MIB1(増殖因子)20%
ホルモン受容体ふたつとも5%未満
HER2陰性(1+)

NCCNのガイドラインを参考にしていますが、
治療方針を確定できずにいます。

と、言うのは私のタイプは限りなくTNで、TNならば抗がん剤治療の選択になると思うのですが、今は1%でもホルモン陽性ととらえてホルモン療法が推進されているからです。
NCCNガイドラインのホルモン陽性、HER2陰性では、「抗がん剤治療(考慮)とホルモン療法の療法」と言うことです。

ホルモン療法がほとんど聞かないのであれば抗がん剤治療に絞れるのでしょうか。
それとも受容体は1%でもあれば治療効果が期待できるのでしょうか。それならば抗がん剤治療をせずにホルモン療法だけでも良いのでしょうか。

悩むばかりで落ち込みます。

主治医はゆっくり話せる雰囲気では無く、病院には腫瘍内科医の先生もいらっしゃいません。

アジュバントオンラインはこの悩みに応えてくれますか。

よろしくお願いします。

   
Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
柏葉(岩手県) 2011/02/04
乳腺外科医です。

ご心配ですね?
1つ確認させて下さい。浸潤径は7mm?0.7mmですか?
余りに小さな腫瘍ですと、如何にトリプルネガティブであろうとデータが乏しく、絶対的リスクはかなり低いと考えられますが…
Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
向原 徹(兵庫県) 2011/02/05
ななこさま

神戸大学病院の腫瘍・血液内科、向原と申します。
返事が遅れてすみません。
柏葉先生が書かれたように、腫瘍の大きさ(正確には浸潤がんの大きさ)が5mm未満ですと、基本的に化学療法は必要なかろうという判断になりますので、0.7mmと書かれていますが、おそらく7mmという風に考えて書かせていただきます。

書いていただいた情報からすると、我々医師でも大変迷うようなケースで、ご本人様はなおさらだと思います。

というのは、恐らく既にご勉強なさったように、ホルモン受容
体陽性、HER2陰性、リンパ節転移陰性の場合の、化学療法の適否というのは、もっとも迷うケースなのです。

書かれていた、NCCNのガイドラインの他に、我々がよく利用するものに、St Gallenガイドラインというものがあります。主にヨーロッパの医師を中心に作られているものです。このガイドラインでは、ホルモン陽性、HER2陰性の方の治療法について、いろんな因子を次の3つに分けて考えるように提唱しています。すなわち、①ホルモン療法だけで治療するように向かわせる因子、②化学療法を加えるように向かわせる因子、③そのどちらともいえない因子、というものです。

具体的には、ななこ様の場合、①、つまりホルモン剤だけで化学療法はいらないんじゃないの、と思わせる因子としては、リンパ節転移陰性であること、腫瘍の大きさが7mm(20mm未満)であることが挙げられます。一方、③のどちらともいえないなあ、と思わせる因子としては、悪性度2、MIB1 20%、というものになります。一番心配されているホルモン受容体が弱陽性というのは、実は①の化学療法を加えたほうがいいよね、と思わす因子の一つです。これは、ホルモン剤が効かないという意味ではなく、たとえば50%以上陽性の場合よりも、効果への信頼度が下がるということを意味します。裏を返せば化学療法に頼りたくなるよね、と思わす因子の一つと数えられるのです。
そのほかリンパ管や血管に癌が侵潤していたか、あるいは当然ながら患者さんが化学療法について積極的に考えられる方かどうかも参考にしなさいと、なっています。
これらの因子の数で多数決で決めるのであれば、判断も楽なのですが、実際にはこれらを”総合的に判断して”考えなさいということになっています。

アジュバントオンラインでは、ホルモン受容体強陽性と弱陽性は区別してデータは与えてくれません。ですから、ななこ様のような場合、ホルモン受容体陽性と入力してでてきたデータから、ホルモン療法で見込まれる効果を少し下方修正して、逆に化学療法で見込まれる効果を少し情報修正して、解釈するようにしています。どれくらい修正するかは、もちろんデータがあるわけではありません。

より具体的に、ななこ様を、まことに勝手ながら45才、ほかに健康上問題なし、閉経前でタモキシフェンをホルモン剤として使う、とさせていただき、腫瘍の大きさ7mm、ホルモン受容体陽性、悪性度2、としてアジュバントオンラインにいれてみると、10年間の再発は約18%、ホルモン治療ではそのうち約7%を削れる、さらに化学療法を加えると5%さらに削れる、という見積もりが与えられます。
ちなみに、ホルモン受容体陰性として入力しなおすと、10年間の再発は約19%、ホルモン治療は効果なし、化学療法を加えると約9%削れる、というデータが与えられます。

つまり、アジュバントオンラインを信じるならば、化学療法をすることで、10年間の再発を防ぐことのできる可能性は、少なくとも5%くらいはありそうだけど9%はないだろうね、ということは言えるかもしれません。

ただ、アジュバントオンラインも欧米人のデータであり、日本人に当てはまるのか、疑問視する声も聞こえるのも事実です。

色々書きましたが、治療はやはり患者さまと直接話し合って決めていくものだと信じています。上に書いたことは、ご参考にとどめていただければ幸いです。
きっと、主治医の先生も、上のようなことはお考えになったうえで話されると思います。勇気をもって、十分discussionされた上で、納得されて治療にあたられるのが、とても大切だと思います。
Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
ななこ(福岡県) 2011/02/05
柏葉先生、向原先生ありがとうございます。専門の先生からのご意見が聞けるこの掲示板はとてもありがたいです。

腫瘍の大きさは7ミリです。また、血管リンパ管侵襲はマイナスでした。

向原先生お忙しい中にアジュバントオンラインにアクセスしていただきありがとうございました。治療による効果と副作用のかねあいでしか、判断できないので大変参考になりました。自分でもアクセスを試みましたが、無理でしたので。
しかし、アジュバントオンラインでは、ホルモン受容体の強弱は反映されないことが残念です。

重ねて質問なのですが、
①ホルモン受容体が3%としたら、ホルモン療法の効き目も3%程度しか望めないということでしょうか。
ザンクトガーレンの指標にあてはめてみますとホルモン療法のみの項目に一番多く当てはまるのですが、ホルモン感受性が低いことや増殖因子が高いことという最もキーになることがはずれている気がします。
②化学療法の種類?によって、再発防止効果が違うのでしょうか。(また、それはアジュバントオンラインに反映されるのですか。)
向原先生が出されたデータの化学療法はどの治療を行ったときのものなのかできたら教えてください。
主治医が提案しているのは、TC療法(そのあと2種類のホルモン治療)です。
③再発転移をすると最も怖いのは何でしょうか。何が何でも防がなくてはいけないのならば、苦しい治療でも積極的に受けたいと思います。
④80パーセントの人は何も治療しなくても再発せずにいるのですね。今自分がどこの状態かはわかりませんが、化学療法やホルモン治療をしなくても、食事改善等の努力をすることでその80パーセントの中に入りたいというのは、甘いのでしょうか。
⑤主治医は標準治療絶対で、それ以外のもので効果があるものはないと言いますが、そうなのでしょうか。

たくさんの質問ばかりになりました。
一部でも教えていただければ助かります。
よろしくお願いします。







Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
向原徹(兵庫県) 2011/02/06
ななこさま

ご質問に、一つ一つ回答しますね。

①ホルモン受容体が3%としたら、ホルモン療法の効き目も3%程度しか望めないということでしょうか。

→いえ、3%とは癌細胞を100個見たときに、3個の細胞がホルモン受容体陽性ということで、効果のでる確率とは全く異なります。実は私以外のチームオンコロジーの他のメンバーも、陽性細胞何%から効果がでるのか、あるいは逆に例えば3%陽性なら90%陽性の方よりほんとに効果が落ちるのか、ということについて沢山調べてくれました。しかし、実はその回答となる明確なデータはありません。ただ、1%以上陽性のがんは、いわゆるtriple negativeとは違う性質そうだ、というデータもあって、そのようなことから、1%以上陽性細胞があれば、ホルモン治療が最近では勧められるようになってきているのかもしれません。

②化学療法の種類?によって、再発防止効果が違うのでしょうか。
→乳がんの術後化学療法には、沢山の種類があります。アジュバントオンラインでも、治療の強度によりいくつかの段階(第1, 2, 3世代)に分けています。再発のリスクが高ければ、より強度の強い化学療法を選択すると思ってください。
リンパ節転移が陰性の方では、一般に第1または2世代がされます。
TC療法は、実はアジュバントオンライン上では、どこにも分類されていないのですが、第1世代に分類されるAC療法よりも治療成績が良かった、という臨床試験の結果が1つ発表されて以来、標準治療の一つとなっています。乳がんには沢山の臨床試験が行われていますので、1つのいいデータがでても、世界中がその治療に換わってしまうことはないのですが、我々の病院でも、リンパ節陰性、HER2陰性の方には、TCを第一にお勧めしています。ちなみに、お示ししたアジュバントオンラインのデータは第2世代として入力しました。しかしながら、アジュバントオンラインで正式に第2世代となっているものと、TC療法が比べられたことはありません。

③再発転移をすると最も怖いのは何でしょうか。
→再発転移をした場合でも、治療法は多くの場合あります。ただ、いわゆる病気を0(治癒)させるのは極めて難しくなります。そういうことから、術後で癌細胞が身体に残っていたとしても目に見えない(種のような状態)の時に、種を摘み取ってしまいたい、という考えから薬物療法が開発されてきたのです。

④80パーセントの人は何も治療しなくても再発せずにいるのですね。今自分がどこの状態かはわかりませんが、化学療法やホルモン治療をしなくても、食事改善等の努力をすることでその80パーセントの中に入りたいというのは、甘いのでしょうか。
→これについては、冷たいようですが、最終的には患者さんが決められることになります。何もしない時の再発率に加えて、ホルモン剤と化学療法で12%再発が削れる、と言われても、「12%も」と思われる方と、「12%しか」と思われる方がいてしかるべきだからです。ただ、③のご質問の答えとして書いたように、もし”種”があった場合には、摘み取れるとすれば今ですので、熟考される必要はあります。ただ、物事にはバランスというものがありますので、副作用の話など十分聞かれて、判断されるのが、とても大切です。また、食事療法で再発を減らせるという証拠はないと思いますので、あまりそれに頼られるのはお勧めしません。

⑤主治医は標準治療絶対で、それ以外のもので効果があるものはないと言いますが、そうなのでしょうか。
→少し言葉の掛け違いがあるのかもしれませんが、一般的には、標準治療以外のものは、本当に効果があるか、ないのか、分からない、というのが正確だと思います。
我々が使う化学療法薬には、必ず副作用があり、さらに高価なものです。それを使うにあたっては、きちんとした効果、副作用のデータがあってしかるべきだと考えています。そういった意味で、日常診療においては、きちんとした標準治療がある場合は、それを行うのが基本だと思います。
Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
ななこ(福岡県) 2011/02/06
向原先生

お忙しい中に丁寧に応えていただいて感謝します。
本当は主治医とコミュニケーションすべきものなのに、関係作りがうまくできていません

今回アジュバントオンラインによる再発率データをはじめ先生のおかげで疑問点が大分解決されました。

あとは自分が治療をすることによる効果と副作用を考えて決めなければなりません。

そこでお尋ねなのですが、
①TC療法の副作用で特徴的な者に手足のしびれというものがあるようです。このしびれは後々残るようなことがあるのでしょうか。本を見るとかなり強い副作用の現れ方(お箸がもてない、まっすぐ歩けないなど)の方がいて恐ろしくなりました。

②副作用を抑えるための方策としてクロノテラピーという取り組みが紹介されていました。今の病院では行っていませんがせめて午後からの投与をお願いすることで副作用抑制効果はあるのでしょうか。

③休眠療法などの抗がん剤少量投与は、副作用が少ないと言うことは効果も素kないと言う考えができるのでしょうか。


早く副作用の少ない薬剤や、がん幹細胞をやっつける治療法が見つからないものかなあ・・・と思います。

また、病院の中に腫瘍内科医の先生(もしくは同じように知識や経験がある乳腺外科医)やカウンセリングのできる体制があれば、どんなに患者が救われるだろう。と思います。

一人で悩むことが多く大きなストレスです。今回この掲示板と出会えたことはラッキーです。
自分も悪いのですが、セカンドオピニオンを乳腺外科医にもとめたからか(誤解があったらすみません)疑問は解決されないままでした。

Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
向原徹(兵庫県) 2011/02/07
ななこさま

理解を深めていただけたようで、うれしく思います。
ご質問についてですが、

①TC療法の副作用で特徴的な者に手足のしびれというものがあるようです。このしびれは後々残るようなことがあるのでしょうか。本を見るとかなり強い副作用の現れ方(お箸がもてない、まっすぐ歩けないなど)の方がいて恐ろしくなりました。
→確かに、TC療法のT=taxotere (タキソテール=ドセタキセル)という薬は多少、手足のしびれ、医学的には末梢神経障害のリスクはあると思います。しかし、タキソテールと並んでよく使われる、タキソール(特に毎週投与法)に比べると少ないと思います。TC療法が報告された論文も確認しましたが、末梢神経障害自体の発生率が書いてありませんので、恐らく大きな問題になった方は少なかったものと推測します。実際起こるとしても、急に生活に支障をきたすようになることは、極めてまれで、起こるとしても徐々にですので、しびれに関しては様子をみながらやっていけると思います。

②副作用を抑えるための方策としてクロノテラピーという取り組みが紹介されていました。今の病院では行っていませんがせめて午後からの投与をお願いすることで副作用抑制効果はあるのでしょうか。
→一日の中での投与時間などを変えることで、副作用を軽減しようという考えかたは昔からあります。しかしながら、まだ研究段階で、効果がどれくらいなのか、私が知る限り検証されていないと思います。午前と午後とで副作用が違うかについては、恐らくないと思いますが、これもデータがないので、分かりません。少なくとも、日常診療で感じるほどのものはありません。

③休眠療法などの抗がん剤少量投与は、副作用が少ないと言うことは効果も素kないと言う考えができるのでしょうか。
→副作用の出方と効果の出方は別の話ではあります。しかし、安易に抗がん剤の量を少なくすることは、お勧めできません。乳がんの術後療法では、単位時間当たりに投与される薬の量=医学用語では、dose intensityといって、mg/m2/週(例えばタキソテールが75mg/m2 [m2は患者さんの体表面積]が3週に一度入ると、25mg/m2/週)で表わされる指標が高い方が治療成績が上回るというデータもあります。TC療法で、dose intensityと効果の関係について検証されたわけではありませんが、術後療法に関する基本的な考えとして、安易に投与量を減らしたり、投与間隔を延長すべきでない、というのが一般的です。
Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
ななこ(福岡県) 2011/02/08
向原先生3度にわたってご丁寧に、また的確にお答えいただきありがとうございます。

化学療法に対しては極度の嫌悪感を抱いていました。それは以前家族の闘病で植えつけられました。副作用に苦しみ、亡くなりました。
まさか、自分が抗がん剤を受けることになろうとは。考えただけでも気分が悪くなったることさえありました。

しかし、向原先生のおかげで、治療にチャレンジしてみようかという気持ちになってきました。ありがとうございます。
Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
向原徹(兵庫県) 2011/02/08
ななこ様

いえ、やさしい言葉をありがとうございます。
治療中は辛いこともあるかもしれませんが、一人で闘わなければならない訳ではありません。誰かの力を借りるようにしてください。我々も、患者さんに癒されながら毎日仕事をしているのです。

向原
Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
ななこ(福岡県) 2011/05/04
こんにちは

3か月前に、向原先生に丁寧に質問に答えていただいたおかげで、絶対にしたくなかった化学療法に前向きに取り組むことができました。
そして、次の治療に進むにあたってまた、この場に戻ってきました。よろしくご示唆ください。

44歳 腫瘍7ミリ MIB1 20%
ホルモン受容体(ER,PGR)5パーセント未満
温存手術 放射線治療 化学療法(TC4サイクル)を終了
化学療法で現在月経が止まっています。

この後、ホルモン療法になります。
主治医の提案はゾラッテク2年・タモキシフェン5年です。

私は、閉経は近いことや化学療法をしたこと、ホルモン感受性が低いことから、タモキシフェンのみでよいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
以前アジュバントオンラインで向原先生が入力してくださったホルモン療法もタモキシフェンのみでした。

二つをしたほうが効果が相加的になるのでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。


Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
向原徹(兵庫県) 2011/05/05
ななこ様

無事に化学療法を終えられたとのことで、何よりです。がんばられましたね。

さて、閉経前の患者さまの化学療法後ホルモン療法については、実臨床ではかなり議論の分かれるところではあります。
いくつかの研究を総合すると、40歳未満の患者さまでは、化学療法後も月経が再開する可能性が高く、そのためゾラデックスなどの卵巣機能抑制を加えることで追加効果があるかもしれない、と考えられています。
一方、40歳以上の患者さまでゾラデックスなどのLH-RHアナログを加える意義はより不透明なのですが、日本乳癌学会のガイドラインでは次のような記載になっています。「40歳以上の患者であっても、化学療法後に月経が継続している、あるいは再開した症例にはLH-RHアナログ追加を考慮する必要があると思われる」

アメリカのNCCNガイドラインではそのあたりははっきり触れられていません。NCCNで強調されているのは、血液検査でエストロゲン(E2)とエストロゲン分泌を刺激するホルモン(FSH)を定期的に測ることで、本当に閉経しているのかどうか推し量りなさい、もし閉経しているようなら、将来アロマターゼ阻害薬にスイッチすることも考えなさい、ということです。ただ、E2とFSHの値も、LH-RHアナログを使うと参考にできません。またタモキシフェンだけでも影響がでることもあるようです。

ということで、冒頭にも書きましたが、答えが完全に定まっていないところで、意見の分かれるところではあります。LH-RHアナログをすることで、マイナスには少なくともならないですが、プラスがどれだけあるかは不透明、という状況だと思います。私個人は、化学療法で月経が止まった場合には、タモキフシフェンのみにして、再開した場合には知らせていただいてLH-RHアナログを開始するような方針を患者さまにはお示ししていますが、それが絶対ではありません。E2やFSHを参考にされる先生や、初めからLH-RHアナログを使われる先生もいらっしゃるかとは思います。

より混乱させたか分かりませんが、どうかご参考にしてください。ななこ様は、とてもよく勉強されて、我々医師顔負けの論理的な考えをされるので、とても驚きます。
なかなか難しいのは分かりますが、どうか、主治医の先生とよいディスカッションをされて、化学療法の際にそうであったように、前向きに治療に向かわれることをお祈りします。
Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
ななこ(福岡県) 2011/05/10
向原先生、連休中に早速お返事いただき、ありがとうございます。次の日に投稿させていただきましたが、送信失敗か、内容不適切で削除されたのかなあ(管理のところでそう書かれていましたので)・・と思っています。


NCCNのガイドラインを読んでみましたが、先生が言われるようにやはり決定打がなく迷います。

アジュバント内分泌療法の項では、「タモキシフェン2~3年±卵巣抑制または切除」とあります。化学療法については順序についてしか触れていませんね。
化学療法をしたことが、卵巣抑制をするかしないかの判断の元になるかどうかはわかりません。また、ホルモン受容体の強弱との兼ね合いについてもわかりません。

また、別のページでは、「卵巣抑制と内分泌療法を併用するほうが抑制単独よりも優れているようである。アジュバント化学療法を受けたことのある卵巣抑制の効果は明らかではない。」と書かれています。
ここでいう内分泌療法とはタモキシフェンだと思いますが、治療の選択肢として、卵巣抑制単独もあるのかと、疑問です。

結局難しくてよくわかりません。

自分としては、向原先生の考えられるタモキシフェンを服用し、その最中に閉経状態や月経回復などを観察し、LHRH作用薬またはアロマターゼ阻害薬などの服用をに変える等を考えるという選択が望ましいのでは、と思います。

そこでお尋ねしたいことが一つあります。
タモキシフェンのみの治療をすることの肯定的な理由として、「化学療法後の卵巣抑制効果が明らかでないこと(化学療法をしたこと)」のほかに「ホルモン受容体が5%未満で不明確であること」も加えて考えてよいのでしょうか。

なぜこんな質問をするかというと、主治医に勧められた治療を“しない”`選択をする理由が、一つより二つ(更にありばもっと心強いです)のほうが、長い治療をする上で「しなかったから再発するかも」という不安が少なくなると思うからです。

スーちゃんのことがかなりショックだったこともあり、再発防止できる治療ならば積極的に受けたいと思う気持ちがあります。しかし、相反しますがそうでないのならば身体的にも経済的にも受けたくないとも思います。

よろしくお願いします。






Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
向原徹(兵庫県) 2011/05/12
ななこ様

返事が遅くなり申し訳ありません。
とても勉強されて、すごいと思います。

タモキシフェンのみの治療をすることの肯定的な理由として、「化学療法後の卵巣抑制効果が明らかでないこと(化学療法をしたこと)」のほかに「ホルモン受容体が5%未満で不明確であること」も加えて考えてよいのでしょうか

というご質問についてですが、タモキシフェンだけに、という主な理由は前者で、後者はなんとも言えないと思います。つまり、LH-RHアナログに否定的な言い方をすれば、ホルモン剤での効果はホルモン受容体強陽性の方のように期待できないから、LH-RHアナログを加えるメリットも無いかあってもちょびっとでしょう、となりますし、肯定的な言い方をすれば、いやいやホルモン受容体が弱陽性だからこそ最強のホルモン治療をすべきだ、ということになります。どちらも一見正しく聞こえますが、そこには明確な答えはないと思います。

余計にこんがらがせているのかもしれませんが。。。

これだけ情報をえることが可能になり、実際ガイドラインまで読まれているわけですから、お考えのことを、そのまま主治医の先生に話されればいいと思いますよ。実際の治療を受ける主治医の言うことに納得できず、目標を共有できないのは、いずれの治療を受けるにしろお互い不幸なことですから。

向原
Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
ななこ(福岡県) 2011/05/12
向原先生

なんともわかりずらい素人の質問に、いつも真正面からお答えくださり感謝いたします。

そうですね、努力したいと思います。
ありがとうございます。
Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
向原徹(兵庫県) 2011/05/13
ななこ様

いえいえ、とんでもないです。
患者さんの持たれている疑問は、我々が普段何気なく通りすぎてしまっている内容であったりして、とても勉強になります。

いずれにしても、治療が上手く進んでいくようにお祈りします。

向原
Re:ホルモン受容体5%未満の治療選択は
佐々木幸子(埼玉県) 2015/05/13
HER2+2で、ホルモン受容性90%以上だそうですが、ホルモン受容性90%というのは何を示しているのでしょうか.残りの10%はホルモン治療で抑えられないのでしょうかね。

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