あき様

こんばんは。はじめまして、神戸大学、腫瘍・血液内科の向原と申します。

手術後の定期検査については、我々医療者の中でもしばしば議論になるところです。

主治医の先生がご提案されている検査で、マモグラフィーとエコー以外は、いわゆる転移（医学用語では遠隔転移といいます）を見つけようとするものです。胸部CT=肺転移、脳CT=脳転移、肝造影剤検査（これはMRIでしょうか）=肝転移、という具合です。

日本乳癌学会が出しているガイドライン、そのほか世界の各種学会が出しているガイドラインにどのように書いているかというと、これら遠隔転移を発見しようとする画像検査あるいは血液検査は、有用性が明らかではなく勧められない、とされています。これは、過去の研究に基づいたものです。

早期発見がなぜ悪いの？と思われるかもしれませんが、遠隔転移がでてきてしまうと、なかなかそこから病気を０にしてしまうのは難しいため、あまり画像診断で早期発見しても、なにか症状なり身体診察での異常がでてからでも、治療への反応は変わらないため、その後の治療成績も変わりませんよ、という風に考えられています。

逆に推奨される検査は、定期的な問診、詳細な診察、年に1度のマモグラフィーです。マモグラフィーは、新たな乳癌、あるいは残っている乳腺への局所再発は早期発見することで、病気を0にできる可能性が高まるので、推奨されるのです。

ただ、ガイドラインはあくまでガイドラインであって、法律ではありません。状況に応じて、医師の判断が入るべきだと思います。ですので、一番お勧めしたいのは、主治医の先生がどのようなお考えで今の定期検査を勧められているのか、やはりお話されることだと思います。日本乳癌学会は「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」というものを出していますし（2300円のようです）、それを参照されて、ディスカッションされてはいかがでしょう。

どのような医師でも、患者さんによくなっていただきたいと思って検査なり、治療なりしているはずです。大切なのは、その考えを理解されて、一緒にチームとして臨んでいけるかだと思います。勇気のあることだと思いますが、それ以外の解決策はあまりないと思います。

さて、被ばくに関してですが、CTでの被ばくは理論的にはがんのリスクを上げる訳ですが、一般にはCTでの被ばく量は極めて少なく、がんの誘因の中では非常に小さなものだと考えられています。しかし、何事にもバランスというものがありますので、それで得られるベネフィットの方が大きいとの判断で、検査は行われるべきです。

治療が上手く進んで、主治医の先生とも手を携えて進んでいかれることをお祈りします。

向原先生、アドバイスありがとうございました。

早速本日、書店でガイドラインを購入してきまして、現在読んでいる最中です。

とてもわかりやすくて感激です。
他の本は読んでいたのですが、こちらの本は知りませんでした。
ありがとうございます。

色々考えをまとめて、次回の診察時に主治医に相談してみようと思います。

考えてみれば、主治医とのコミュニケーションもあまり良好だとはいえません。

今回、向原先生にアドバイスを頂き、勇気がでましたので、一度しっかり相談してみます。

自分の体、自分の人生、しっかり見つめたいと思います。

本当にありがとうございました。