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乳がんのホルモン治療で、閉経後乳がんの【フェアストン】処方について教えてください。
ああこ(東京都) 2011/07/02
乳がんのホルモン治療で、閉経後乳がんの【フェアストン】処方について教えてください。

手術・抗がん剤治療初回までは順調に生理がありました。今回 ホルモン治療になり処方された薬が閉経後の【アロマターゼ】。生理が順調にあったのに、大丈夫か聞いたら心配ならと【フェアストン】に変更処方されました。
帰宅後、調べてみるとこれも閉経後乳がんの薬とあります。
この薬を飲んで大丈夫なのでしょうか?血液や他のデータで閉経後かどうかがわかるのでしょうか?
医学知識がないので、どちらでも大丈夫な薬かと勝手に思っていたのですが…。
5年間毎日飲む薬、しんどい抗がん剤治療も終わったため、効くかが不安です。
どなたか教えてください。

   
Re:乳がんのホルモン治療で、閉経後乳がんの【フェアストン】処方について教えてください。
三浦裕司(東京都) 2011/07/05
ああこ様

はじめまして、虎の門病院臨床腫瘍科の三浦裕司と申します。
お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。

まず、「手術・抗がん剤治療初回までは順調に生理がありました」とのことですので、「診断時閉経前であり、現在、抗がん剤治療の影響による無月経」の状態と拝察致します。

2010年に発表された、術後ホルモン療法における、米国臨床腫瘍学会(ASCO)ガイドラインでは、「診断時に閉経前もしくは閉経前後の女性、そして治療により無月経の状態の女性の全てに対して、タモキシフェンによる術後ホルモン療法を強く推奨する」と書かれてあります。
トレミフェンに関しては、タモキシフェンと同じグループに属する薬であるため、理論的に効果は期待できますが、タモキシフェンに比べ、特に閉経前の患者さんで有用性を証明したデータが少ないのが現状であります。
結論としては、標準治療としてはタモキシフェンが第一選択となると思われます。

また、もうひとつの質問「血液や他のデータで閉経後かどうかわかるのでしょうか?」についてですが、E2(エストラジオール)低値、FSH(卵胞刺激ホルモン)高値というのが、閉経の指標にはなりますが、この値は、抗がん剤治療の影響をかなり受けてしまいますので、正確な判断は出来ません。また、先のガイドラインでは、先行する治療の内容や患者さんの年齢によっては、晩期に卵巣機能が回復する事があるため、(一般的に指標となる)1年間の無月経を閉経とする臨床的判断は、治療関連の無月経においては適応できないと記載されております。

私自身が、ああこ様を直接診察させてもらっているわけではございませんので、タモキシフェンを選択しない理由について主治医の先生のお考えを聞いてみたら良いと思います。おっしゃられている様に、5年間お付き合いしていく薬なので、御自身が納得されて治療を受ける事が非常に大事な事だと思います。
Re:乳がんのホルモン治療で、閉経後乳がんの【フェアストン】処方について教えてください。
ああこ(神奈川県) 2011/07/06
三浦先生 ありがとうございます。
非常に丁寧な回答をいただき、ありがとうございます。
先生のコメントを拝読し、不安な気持ちが吹き飛びました。
認定病院であることや主治医の先生との関係が崩れるのも困るので、悩んでいました。
病院に薬の件でと伺ったところ、薬剤師さんに電話が回り、タモキシフェンより副作用が少ないから処方したのだろうとのこと。主治医の先生に電話はまわりませんでした。

とりあえず、45日分処方され、3日の日曜から飲み始めました。
もう一つだけ教えてください。
次回の診察時(8月中旬)に主治医の先生に相談でも大丈夫なのでしょうか?それとも、すぐにでも主治医の先生に相談して変えるかどうか相談した方がいいのでしょうか?
Re:乳がんのホルモン治療で、閉経後乳がんの【フェアストン】処方について教えてください。
三浦裕司(東京都) 2011/07/06
ああこ様

お返事ありがとうございます。
主治医の先生との信頼関係を非常に大事にされている、ああこ様のお気持ちがとてもよく伝わりました。

ご質問としては、主治医の先生には、すぐ相談すれば良いのか、それとも次回の外来受診時に相談した方が良いのか?という事ですね。

これに関して、正解はないと思いますが、例えば、私が主治医であった場合は、出来るだけ早めに連絡をいただきたいと思っています。それは、先のメールでも述べさせていただきました様に、患者さん自身が疑問を持ちながら治療を続ける事が好ましくないと思っているからです。私自身が診療を行いながら、最も心配するのは、その疑問が不信に変わり、治療を続けることが出来なくなる事です。

主治医と患者さんも人間同士なので、説明がうまく伝わってなかったり、誤解やすれ違いが生じる事もあると思います。また、患者さんの治療に対する感じ方、考え方も、あの時はこう感じたけど、今は違うといった様に心が揺れる事はあって当然だと思います。これらの事を解消する最良の方法は「医療者と患者さんとの間でコミュニケーションを十分にとる」事だと思っています。
Re:乳がんのホルモン治療で、閉経後乳がんの【フェアストン】処方について教えてください。
向原徹(兵庫県) 2011/07/06
ああこ様

はじめまして、神戸大学の向原と申します。

ああこ様に関わらずこの掲示板を見るたびに、患者さんが医師に質問をするときには、とても勇気がいるのだな、ということがよく分かります。

なんと切り出してよいのか、というのもありますよね。

そういう時に一助となるか、今は「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」というものも市販されています。ガイドラインに書いていないこと=間違い、という訳ではないのが医療ですが、少なくとも医師と話す時のたたき台にはなるかもしれません。

ご参考までに。

医師とよいお話ができるようにと願っています。三浦先生が書いてらしたように、これから医師と一つのチームでやっていく訳ですから、納得して進まれるのが大切だと思います。

Re:乳がんのホルモン治療で、閉経後乳がんの【フェアストン】処方について教えてください。
ああこ(神奈川県) 2011/07/06
三浦先生 向原先生、 返信いただきありがとうございました。
お二人の先生のコメントに、ホロッときました…。
患者が先生の治療に対して、質問(特に今回のようにあっているのでしょうか?みたいな)
をぶつけるのは主治医の先生に失礼ではないかとか、【厄介な患者だな】と思われたくないなど…
悩んでいただけに不安な気持ちを理解いただけたことが素直に嬉しかったです。

いきなりの診断から、入院・手術・放射線・抗がん剤と終え、最後のホルモン治療まで来ただけに、
ここで不安なまま5年薬を飲むことにためらいがありました。

先生を信じて治療をしたいからこそ、その場その場できちんと質問して、不安を解消すべきなのですね。
ありがとうございました。
仕事と調整し、早めに受診してみます。

主治医の先生はもちろんですが、この掲示板を通し、お二人の先生に知り合えたことに感謝いたします。
お忙しい中、ご回答いただきありがとうございました。



Re:乳がんのホルモン治療で、閉経後乳がんの【フェアストン】処方について教えてください。
ああこ(神奈川県) 2011/07/06
向原先生

乳がんのガイドラインがしはんされていること、初めて知りました。
早速、購入して参考にしてみようと思います。

アドバイス、ありがとうございました。
Re:乳がんのホルモン治療で、閉経後乳がんの【フェアストン】処方について教えてください。
ああこ(神奈川県) 2011/07/14
三浦先生、向原先生、 アドバイスありがとうございました。
【患者のための~ガイドライン】を購入し、主治医の先生に薬について、直接訊ねました。
薬再診という予約枠だったので、じっくり先生の話を伺い、納得できました。
主治医の先生に何か聞くなんて失礼かと思っていましたが、話したことで、さらにコミュニケーションが深まった気がします。
本当にありがとうございました。
Re:乳がんのホルモン治療で、閉経後乳がんの【フェアストン】処方について教えてください。
三浦裕司(東京都) 2011/07/16
ああこ様

ご連絡誠にありがとうございました。
主治医の先生と良いコミュニケーションがとれたみたいでよかったですね。
微力ながらお手伝いできた事を私自身も嬉しく思っております。

Re:乳がんのホルモン治療で、閉経後乳がんの【フェアストン】処方について教えてください。
大下惠子(兵庫県) 2012/06/01
ああこ様、この場をお借りします事、お許しくださいね。

向原先生のお名前が目に留まり、書き込んでしまいました。

昨年12月に乳がん全摘術を受け、後治療を先生に考えていただき、ホルモン療法となりました。

初めて見るとリュープリン皮下注射、ノルバデックス錠服用となったのですが、副作用がひどく透析医師の配慮で毎日の透析を受けさせていただきましたが水分が抜けきれず、心不全状態となり、治療を断念いたしました。

後何か月間は薬が体内に残っていたためか、除水ができない日が続き、スタッフからは何時まで薬のせいにして甘えているのかと厳しいお言葉を頂戴し、精神的にも理解されない苦しさにまいっていました。

脱毛もあり余計滅入って行く自分がいました。
誰かにわかってほしい一心で他の医師の診察を受け、ストップがかかりました。

それが主治医にはご不満な気持ちにさせてしまったようです。
後で説明して理解されたかと思うのですが。

ホルモン療法に決めていただいたのが先生でした。

今後、閉経後となれば試してみようと提案されていますが、前回の様な副作用であれば、考えてしまいます。

もともと子宮内膜増殖症という病がありヒスロン錠にて疑似閉経の状態を作っていましたが。
治療を断念した時期にヒスロン錠も服用をやめています。

次回の診察時にホルモンの値で閉経となれば試してみてはと提案されていますが、まだ迷っています。

透析ということがネックになっています。

先生はどうお考えでしょうか?

ご意見聞かせていただけないでしょうか・

それと先生の診察受けることは可能でしょうか?
主治医に申し立てしても構わないでしょうか?
Re:乳がんのホルモン治療で、閉経後乳がんの【フェアストン】処方について教えてください。
向原徹(兵庫県) 2012/06/04
大下さま

こんばんは。
思いがけずホルモン療法が大変だったとのこと、お気持ちをお察しします。私個人的にも、透析の患者さんにタモキシフェンを飲んでいただいた経験は限られているのですが、正直想定外ではありました。一度、そういう報告があるのか調べてみますね。

もちろん私の外来に来ていただければ、いつでも相談にのります。主治医の先生も同じチーム内ですので、全く問題ないと思います。
不正確なことがあってはならないので、そこで相談しませんか。

向原
Re:乳がんのホルモン治療で、閉経後乳がんの【フェアストン】処方について教えてください。
大下惠子(兵庫県) 2012/06/05
向原先生、お返事ありがとうございます。

6月26日に診察予約が入っています。
その折に主治医に話してみたいと思います。
よろしくお願いいたします。

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