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がん診療における代替医療について
朝倉 義崇 (沖縄県) 2011/10/03
皆さんこんにちは。沖縄県で血液内科を中心に診療を担当している医師です。
時々患者さんから、様々な代替医療と抗がん剤などの併用の是非について意見を求められることがあり、がん診療における代替医療に関して、皆さんから御意見をお聞きしたいと思い、投稿しました。

代替医療と言う言葉が聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、「通常の」医療の代わりに、代替として、用いられる医療という意味です。同じような呼称に、補完医療という言葉があり、これは「通常の」医療に加えて、補足的・補完的に行う「医療」ということを指します。
現在は、これらを合わせて、補完代替医療と呼ばれることが多いようですが、東洋医学や音楽療法、ハーブ・ビタミン・ある種の食品、整体、気功など、様々なものが含まれます。

インターネットの普及により、通常の医療だけでなく、こうした補完代替医療についても容易に様々な情報を得ることが出来るようになりましたが、逆に情報の氾濫あるいは洪水によって、悩み困っている方も多いのではないかと思います。

そこで、がん診療における補完代替医療に関しての思い、悩んでいること、相談したいことなどをお聞かせ願えないでしょうか?
よろしくお願いします。

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Re:がん診療における代替医療について
ミモザ(兵庫県) 2011/10/08
朝倉先生


再発卵巣がんの母を持つ者です。

現在母は、補完医療といわれるもののうち、ヨガ、食事療法、ビタミンサプリを取る、といったことを実行しています。
いずれも主治医より指示があったわけではなく、自主的にです。

初発の際も、主治医に補完療法について、してもよいのか質問しましたが、「そういうものは根拠がないですからね」と言われて、はっきりとした医学的根拠がない療法はあまりしない方がいいのかな、と積極的にはしませんでした。
しかし、初発の化学療法後に、再発を防ぐため+体のために、ということで、先に挙げた補完療法を始めました。


補完医療の中でも、●●しか食べない!といった極端なものは別として、たとえば、リラクゼーションを目的としたヨガやアロマ、ストレスマネジメントなどについては、ストレスが軽減する効果がある程度証明されているんだから、医師から「してみてはどうですか」という風に言ってもらえると、患者としては、心強く思います。

直接的にがん細胞が死滅する効果がなくても、少しでもがんと闘うためのパワーにつながる方法を知ることは、患者やその家族にとっては重要だと思います。そればかりに頼るのは問題ですが、ちょっとした心の拠り所として補完医療は必要だと私は思います。

世間にはそうした患者側の心理を利用したエセ代替療法なども多数存在しているので、ある程度効果があるとされる方法などは、たとえ参考程度でも病院で紹介してもらえると、ありがたいです。

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Re:がん診療における代替医療について
上野 直人(海外在住) 2011/10/09
私達の病院では、多岐にわたってすべての代替療法の情報を与えています。
しかし、情報を与えることと推奨することとは別物です。仰る通り大半の代替療法は、とんちんかんなえせ科学あるいは治療であるからです。

そこで重要なのは、医療従事者と患者が共にこれらの情報に取り組む事が必要です。
では、どういう状況の時に代替療法を真剣に模索できるかです。
1.全ての治療が終わり、それでも何かしたいとき。
2.完治が見込めないとき。

つまり、治ることが出来る治療を受けているときに、科学的根拠のないものあるいは低いものを与えると、とんでもないことが良くあります。例えば、サプリを化学療法中に飲んだために肝機能障害がおこり、化学療法のタイミングがずれる、これは生存にかかわる致命的な間違いですね。

最終的には医療従事者も患者も家族もオープンに情報を共有して代替療法をするかしないかを決めるべきです。

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Re:がん診療における代替医療について
奥山 裕美 (東京都) 2011/10/14
東京の大学病院の乳腺外科で仕事をしている薬剤師です。
乳癌治療を受けていらっしゃる方から、補完・代替療法のご相談を受けることがあります。
日本の乳癌患者さんの求める補完・代替療法は、アガリスクやサメの軟骨などの食品の摂取や漢方を希望される方が多いという報告があります。白人女性は食事療法・精神療法、アフリカ系女性は瞑想、中国女性は漢方を好む傾向があり、民族背景で嗜好は異なっています。
欧米系の患者さんが癌の進行に伴う痛みなどの症状緩和や心理的不安の軽減、がん治療に伴う有害事象の症状緩和を主な目的としている一方で、日本では癌に対する直接的な治療効果を目的とされている方が多いのが気になります。国内で代替療法を利用している方の半数以上は、十分な情報収集や、専門医師への相談を行わず、広告や友人、家族からの勧めで利用している状況だからです。
米国の国立代替医療センター(The National Center for Complementary and Alternative Medicine :NCCAM)は、癌に対する補完・代替療法を研究するさまざまな臨床試験(ヒトを対象とした研究)のスポンサーとなっています。現時点で乳癌に関する補完・代替療法の臨床試験で、癌の縮小効果や、再発抑制効果を認めたものは存在していません。現在までの試験の結果から容認される補完・代替療法は、肥満の乳癌患者に対する脂肪摂取制限、化学療法中の悪心や、内分必療法によるホットフラッシュに対する鍼治療の効果、痛みや不安に対するマッサージ療法、適度な運動、サポートグループやリラクゼーションなどによる心理療法や心体介入などが挙げられています。
避けなくてはいけない補完・代替療法として、高度の食事制限、化学療法中の抗酸化サプリメント、セントジョーズワートや同様の成分を有する漢方の摂取、乳癌患者のイソフラボンや大豆の高用量摂取、抗凝固療法中の鍼治療やマッサージ療法、高用量のビタミンAやC療法などが挙げられています。サプリメント摂取による高度の肝機能障害の報告もありますので、安易な摂取は禁物です。
アメリカでは、補完・代替療法やサプリメントがとても盛んですが、国を挙げて研究する取り組みが行われています。いかにも効果がありそうな雰囲気や宣伝に振り回されることなく、研究することの重要性を理解する国民性もあるのだと思います。
我々医療者は、通常の医学のみならず、補完・代替療法においても、科学的根拠をもって最善のケアを提供していきたいと思っています。現在使用中あるいは検討中の補完・代替療法については、まず医療者に相談して頂く事が重要だと思います。

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Re:がん診療における代替医療について
織田 聡 (富山県) 2011/10/14
上野先生が書かれている通り、補完代替医療はどの病期での利用なのかをはっきりさせる必要があります。
私はアリゾナ大学の統合医療プログラムで学んだ医師ですが、癌においてはまず始めに「補完医療はあるが代替医療はない」と強調されます。そして、補完医療は予防期・治療期・治療後の3期に分けて、推奨されるのか避けるべきなのかを検討する必要があります。膨大な癌に関わる補完代替医療の情報で、この時期の記載がない場合は、基本的に信頼できないと考えて良いと思います。

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