掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
術後6年の治療
ゆみっち(愛媛県) 2012/04/21
■手術日 2006年 3月 手術時 44歳 現在50歳
■右乳がん乳房切除術
腫瘍径             1.0cm×0.6cm
乳管内癌の広がり        4.6㎝×1.4㎝
腋窩リンパ節郭清 転移の数 15個/0個
組織型             硬癌
グレード 1
 Nuclear atypia Score2(細胞核の異型度はスコア2で中程度)
mitotic figures 3/10HPF(SWH10X):Score1,(細胞分裂は軽度)
ホルモン受容体エストロゲン 3+(10パーセント以上)
ホルモン受容体プロゲステロン 3+(10パーセント以上)
HER2             2+  FISH陰性(FISHスコア1.19)
1y0(HE),v0(HE)
■2011年12月病理見直し
ホルモンER 4+(50%以上
ホルモンPGR 4+(50%以上
HER2 1+
Ki67 15%(Low≦15%)
通院病院Ki67概算標識表
low ≦15%
intermediate 15%~30%
high 30%≦


■術後 治療
2006年5月よりノルバデックス+ゾラデックス   治療期間6年現在に至る 
■ 副作用と持病?
○高血圧のため以下3剤を服用
(降圧剤ARBブロプレス カルシウム拮抗薬ノルバスク 利尿剤トリクロルメチアジド
高血圧のため心臓肥大であったが降圧が奏功し心臓肥大はよくなっている
○ノルバデックスの副作用でこの6年間で5回子宮頸管ポリープができました。
婦人科医師はタモキシフェンの服用があれば子宮内膜の厚さは3ミリ+3ミリで許容範囲とのこと

術後6年ゾラデックスとノルバッデクスでホルモン療法を続けてまいりましたが主治医よりLH-RHの5年以上のデーターがないためゾラデックスをいったん中止するか?ノルバデックスだけで様子を見るか?閉経していると仮定してAIをしてみますか?と提案されています。

私自身はできる限りの治療をしたいと考えていたので6年前の標本でKi67、HER2、ホルモンを見直して頂いたところHER2は新しい基準では2+から1+になっていたもののKi67は15%という結果が出ました。NCCNガイドラインにおいてはKi67の数値が10%で抗がん剤を考慮するとの事ですが術後抗がん剤をしていません。今しっかり踏ん張って無治療になるにせよ治療を継続するにせよ納得して前に進みたい気持ちです。どうぞご教示よろしくお願いいたします。

質問1
Ki67 15%(Low≦15%)Lowリスクと出ました。しかしNCCNや2011ザンクトガレンカンファレンスの区切りは14%であり、>14%をルミナルBとし、ある文献では標識率14%以上が予後不良とありました。
またNCCNでは10%以上は抗がん剤の適応としているようですが私は抗がん剤をしていません。
この事からLOWリスクながら増殖能は高くルミナルBになる可能性がありますか?

ルミナルAであれば低リスクとなりBIG1-98の試験を受けてタモキシフェンのみでもAIをかぶせても同等の効果となり今後無治療という選択肢もあるでしょうか?

質問2
「Ki67の再現性と有用性に関する資料」の中でKi67ハイリスクではタモキシフェンよりAIを使用するほうがDFSが伸びたとありました。私はこの試験でKi67ハイリスクに属するのでしょうか?
ゾラデックス+AIに変更する治療はいかがでしょうか?

ゾラデックス+AIの治療を考えた時術後と術前の違いがあるもののSTAGE試験とABCSG12試験の相反する結果をどうとらえればいいでしょうか。
STAGE試験を受けてアリミデックスはLH-RHと併用することで閉経前乳がん治療にも広く使われるようになるだろう。と述べた医師もいますがABCSG12試験ではDFSは両群に差はなかったがゾラ+アナストロゾールのOSが低く出たともありました。
ゾラデックス+AIに確固たるエビデンスがないのは承知していますがタモキシフェンをAIに変えることはいかがでしょうか?その際の治療期間は何年でしょうか?

質問3
閉経していると仮定してAIをすることは避けたいと考えています。一旦治療を中止し血液検査で閉経を確認してからAIを投与するという治療はいかがでしょうか?
MA-17試験の結果を受けてタモキシフェンを5年服用して間が空いてしまってもフェマーラを服用したほうがよいとありますが現在50歳で閉経が来るまでに5年以上空いてしまう可能性もあります.
何年までの空白なら効果が期待できますか?

質問4
③の治療でリンパ節転移陽性はOSに有意な差が出たけれど私のようにリンパ節陰性ではOSの延長は認められないのでしょうか?
それともKi67が15%あるので増殖能が高いと判断してOSが伸びるという恩恵を受けられる可能性もありますか?

③の治療で再発は遅らせても全生存期間は延長させられないのでしょうか?

質問5
③の治療をするとしたらAIを投与する期間はやはり5年がベストでしょうか?

質問6
一旦ゾラデックスを中止しタモキシフェンで治療を続けながら血液検査をし閉経が確認できたらAIをするというのはいかがでしょうか?
タモキシフェンを5年以上の投与の有効性はやはりないのでしょうか?
タモキシフェンを投与しながらの閉経確認は苦慮しますか?

質問7
閉経までゾラデックスという考え方を発信されている医師がいましたが一旦タモキシフェンとゾラデックスを中止し閉経が来れば再度ゾラデックスのみを投与し閉経が確認できればAIはいかがでしょうか?
その際うまいタイミングで閉経になればいいですがなかなか閉経が来ずゾラデックスを中止したり投与したりで(ゾラデックスは第1回目の投与で女性ホルモンが2倍になる?)かえって予後に悪いのでしょうか?

質問8
ゾラを6年間してきたことで骨粗鬆症の高リスクとなっている可能性やABCSG12試験の84か月に追跡調査結果ではOSが伸びていることから再発予防と骨粗鬆症の予防のためゾメタをしてはどうかと考えています。
しかし相反する試験結果が多く困惑しているのも事実です。しっかり閉経していることLH-RHでエストロゲンが薄くなっているとまだゾメタの効果は期待できますか?
このまま無治療でいてゾメタだけを投与しても予後改善には全く結びつかないのでしょうか?
AIを投与しながら再発予防と骨粗鬆症の予防でゾメタを投与するとしたらゾメタ4mgを6か月に一度6回つまり3年でいいでしょうか?

質問9
自分の治療方針を決めていく時私であれば標準治療を離れ6年間ゾラ+タモをしていますのですべてがピッタリなエビデンスはないですがたとえばIESO31の結果やABCSG8、ARNO95,ITAの3つの試験のメタアナリストの結果も考慮してよいのでしょうか?
それとも術後5年以内の治療結果を術後6年後の私の治療方針を決める際参考にはなりませんか?

標準治療から離れている質問もありお叱りを受けそうですが最新の情報これからの動向を教えていただき今の私にベストな治療を見つけたく思います。どうぞよろしくお願いいたします。




   
Re:術後6年の治療
佐治(京都府) 2012/04/22
こんばんは

とても詳しくご自身の病状を把握しておられ、臨床試験のデータなども勉強もされていて感服しました。

ただ、お願いにありますとおり、この掲示板では診断や治療の直接の判断に相当することは基本的にはさける方向で運営しております。掲示板という性格上、ご理解いただければと思います。

ちなみに、ゆみっちさんはこれらの質問に関し、セカンドオピニオンを受けられたことはあるのでしょうか。もしあるのであれば、それでは不十分と感じられたのはどの点なのでしょうか。
教えていただけると幸いです。
Re:術後6年の治療
ゆみっち(愛媛県) 2012/04/22
早速のお返事ありがとうございます。
セカンドオピニオンはとっていません

しかしセカンドオピニオンをとってはどうか?と勧められてはいます。


ある患者会で医師を交えての談話の中で同じ病の再発患者の方から「再発もしていないのに何でそこまで心配するのか??」というような趣旨の発言をされました。同席していた医師はお優しい方で私が不安になる気持ちはわかるよと言っていただけましたが・・・

自分が他の方よりも医療者に対して求めていることが多いことは認識していますがこのまま自分が納得しないまま前に進めなくてここ数か月ずっと悩んでいます。

お忙しい主治医にはこのような詳細な質問はしたことはありませんが看護師とは今の悩んでいる状況を話はしたことがあります。その後おそらく主治医にその旨伝えていただけたのだと思います。看護師からセカンドを取ってはどうかと提案されました。看護師は主治医も同じ気持ちなので遠慮せずセカンドをとるようにと話して頂け私もセカンドオピニオンを取るつもりでいます。

セカンドオピニオンで望むことはここの掲示板のように
自分の症例をエビデンスの高い最新のデーターと照らし合わせ説明頂けることです。

6年前術後HER2が2プラスと出ましたが主治医はFISH法で確かめなくていいとのことでした。しかしその頃パーセプチンの効能が海外からデーターとして挙がってきているところでしたから私の強い希望でFISH法で確かめていただきました。
陰性でしたのでハーセプチンの適応ではありませんでしたが陽性なら治療のチャンスを逃していたことになると感じました。
主治医は保険適応外なのできっとFISH法で調べなくていいといったと思いますが・・・

その時標準治療以外の新しい世界の動向にはアンテナを張っておくことが大切であることを感じました。

セカンドを取る前に術後治療を決めるにあたってのデーターの生かし方治療の方向性を整理したいという自分勝手な思いから場違いな質問をしてしまった失礼をお許しください。

これからもこちらの掲示板が患者の進む道を照らしてくださる道しるべになりますように

Re:術後6年の治療
上野 直人(海外在住) 2012/04/23
掲示板に投稿して頂きありがとうございます。うーんすごく学術的なな質問をされいていますね。とても良いのですが、学術的なデーターが実際臨床の場で生かすべきかはそのデータの質、再現性などが重要になります。その店を考慮しないと鵜呑み状態になり困惑するのでは、ないかと心配します。
しかし、勉強することはとても良いことですので、この姿勢に関しては、感動しています。

さて、この質問に関しては、どれも明確なデーターがないので答えられないですね。しかし、少なくともゾラデックスとノルバッデクスを辞めて頂くことは大切です。
後は、アロマテース阻害剤を使用するかしないかを主治医と相談するべきですが。これらの質問の中身によって主治医が判断するのはとても難しいと思います。
Re:術後6年の治療
佐治(京都府) 2012/04/23
ゆみっちさん 

ありがとうございました。
看護師さんが相談相手にのってくれているようで、とてもよいです。

お書きになっていましたが、データーの生かし方というのが、最も本質的なところと思います。個々のデータをひとつひとつ当てはめるということは、多くの場合うまくできないので、データーをもとに全体としてどうバランスをとっていくかということを説明しながら、収束点を探していく相談になっていきます。

セカンドオピニオンなどが、そのような形になるようにすすめられればと思っています。

Re:術後6年の治療
ゆみっち(愛媛県) 2012/04/25
上野先生
 
早速のお返事ありがとうございます
上野先生のお考えが聞けてうれしかったです。

アロマターゼ阻害剤の使用するかどうか
医師も苦慮する事例なんですね。
でも逆にこれらの質問がなければ解答は簡単ということでしょうか?

方向性を主治医に示してもらいながら最終的には自分で判断していくということでしょうか?
   

実は、上野先生の著書「最高の医療をうけるための患者学」を読み直しつつ自分の治療を
模索していました。

「インターネットで見つけた情報を自分なりにまとめもっと知りたいこと疑問に感じたことを医師にぶつけてください。
自分の状況がわかってくると情報の信憑性の判断もつきやすくなります」

ネットとガイドラインで情報収集していた段階で著書のこの一文がスーッと私の中に入ってきました。本当に
以前にはわからなかった自分の状況がおぼろげながらわかってきたのです。

今の私の段階は疑問点をまとめた段階で主治医には疑問をぶつけてはいませんので
これから主治医との話の中で自分の進むべき道がもっとはっきりとわかってくるのでは?と期待しています。


先生の著書にあったように遠回りしすぎて体力を使い果たしゴールにたどり着けなくなることのないように
と肝に銘じながら
病気の地図の中で自分の位置をより正確に知って
納得して自分の進むべき道を見つけていきたいと思っています。


 
佐治先生


「個々のデータをひとつひとつ当てはめるということは、多くの場合うまくできないので、データーをもとに全体としてどうバランスをとっていくかということを説明しながら、収束点を探していく相談になっていきます。」

やはりバランスなんですね
自分とよく似たデーターを収集はできても
素人にはどのデーターをどの程度とりいれたらいいか?
そのバランスが難しいです。

ある患者が「人はしばしばより多くの薬剤を使えばそり延命されると考えるのですがそうでないことも明らかです。新薬は一般に病気が悪化するまでの時間を延長させますが生存期間を延長できないものもある」と言っていました。

私はどちらかといえば治療=安心の構図がありましたが
今回様々なデーターと向き合ったおかげでこの言葉に素直にうなずけることができました。

自分の気持ちや不安を医師以外の医療者に聞いてもらえる環境には感謝しています。
そして医療者の「私はあなたのことを気にかけているよ」といった姿勢が患者の安心や勇気に繋がってきます。
今回、看護師の橋渡しのおかげでセカンドの前に主治医と話せる機会が持てそうです。

自分にピッタリの収束点を模索していきたいと思います

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