掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
放射線の恐ろしさ
けん (新潟県) 2012/09/08
60歳男 7年前下咽頭がん、頸部食道がんになり放射と化学療法で治癒しました。その後放射の副作用で嚥下、咀嚼機能喪失で障害者3級で当初より胃瘻です。3年前から食道狭窄で検査の時点で治療不能です。
相談は飲み込みできないためのどにたまる唾液など引っ切り無しにしてる吐きだし、吸引が息苦しく体力的にもかなりつらいこと。夜のどがカラカラに渇き6回位起きて口を潤し、そのたびに吐きだしすること。(毎日寝不足)飲み込みできないため常に脱水ぎみ(点滴)なこと。吐きだし、吸引で不整脈、動悸、息切れになり内科に通院中です。 主治医に頸部食道再建を依頼したが放射のため術後合併症の危険ありで手術は止めたほうがよいと言われ他の大学病院でも同じようなことを言われました。死のうと思いましたが、やるだけやってからで遅くないと決めました。
そんな訳で何かいい治療法を教えて下さい。

   
Re:放射線の恐ろしさ
佐藤 由美子(愛知県) 2012/09/24
けん様

お返事遅くなって申し訳ありません。
薬剤師の佐藤と申します。
放射線の副作用で辛い思いをなさっているのですね。
私は消化器や頭頸部の医師ではないので、
けん様の求められているお答えができていないことをご了承ください。

私たち医療者は患者さんの命を救うのに必死で、
患者さんがその後に受ける苦しみに対して無頓着すぎるかもしれないと、
自分の日頃の仕事を振り返る思いになりました。

それと同時に、けん様にとっては腹立たしい言葉になってしまうかもしれませんが、
下咽頭がんと頸部食道がんになられて、化学放射線療法で完治できたことについて
大きな喜びを感じました。
化学放射線療法でなければ、きっと完治は難しかったのだろうと思います。
そして、この「完治」という言葉がくせものだということに気がつきました。

「完治」というのは、がんが目に見える形で体内に存在しなくなって、
命を脅かさなくなった状態のことをいいます。
でも、患者さんが聞いたら、がんになる前の元通りの自分に戻れることだと
当然思いますよね。
ここに医療従事者と患者さんの大きな隔たりがあるのだと思います。
私たちは、この隔たりを埋める努力をしなければならないと強く思いました。

けん様に今後考えられる選択肢は大きく分けて2つあるかと思いました。
1つは、放射線治療後の食道再建術が出来る病院を探して手術を受けられること、
もう1つは現在感じておられる苦痛な症状を、
ひとつひとつ少しずつ緩和して毎日を過ごされること。
後者については、けん様はこれまで必死で取り組んでこられたと思います。
前者が見つかると良いのですが、放射線治療後の手術は難しいと私も聞いています。
なぜなら、放射線治療後の組織は手術後にうまくつかない可能性が高いからです。
切って縫って再建しても、すべてうまくくっつかないと、
今より大変なことになってしまう可能性があるのですよね。

けん様が望んでおられる答えが見つからないことに、
自分でも腹立たしさを感じています。
Re:がんより怖いがん治療
A(海外在住) 2012/10/26
けんさんと同じがん治療で後遺症がのこっている者です。
9月の始めにけんさんの訴えを見て、人に言うに言えない思いをかかえながらいるのだろうと自分のことと重ねあわせ涙が出たのと、ただただ悔しくてたまりませんでした。

けんさんの容体が少しでもかろやかになることを祈っております。かならず、いい方向へ向かえますように。


がんより怖い がん治療。

この悲劇はきっと、まだまだ続き、被害者をこれからも増やし続けていくのだろうと思うと悔しく、またどうしようもない
憤りを感じるのを抑えることができません。

だれ一人として、こういう問題に対してまともに答えられる医者なんかいないのだろうと思っていましたが、やはりコメントもなくあきれかえっていました。

久しぶりにPCに向かいこのサイトを開いたら、コメントが入っていたので読ませていただきましたが、やはり怒りを覚えるばかりの内容でしかありませんでした。

「完治?」
あなたたちの完治とは自分たちの医療の結果、病気の元であるがんを消滅させることですか?
患者の体がその後、生きていけないくらいつらい状態になってもそれを完治とみなすのですね。

命を救うことに必死??
命とはなんですか??
本来、健全な体に健全な心が宿ってこそ一つの命です。
だいたい、あなたたちは命を救ってるんですか?
ただ、生きていれば命を救ったのですか?
命を救う?
あなた達は神様ですか?

ふざけるのもいいかげんにしてくださいと言いたいです。

そんな医療なら患者には必要ありません。
自分たちの努力した成果だけ認められたいなら患者ぬきにしてやっていたらいいのです。
あなたたちの自己満足のために患者は病と闘っているのではありません。

●「完治」というのは、がんが目に見える形で体内に存在しなくなって、 命を脅かさなくなった状態のことをいいます。

→それとひきかえに、それよりもひどい苦痛がともなう状態に治療していったい何が得られるのでしょうか?
患者は何を得るというのでしょうか?
医療者は何を得るのですか?自分たちのやってきたことの成果がみられて満足ですか?だから大きな喜びを感じるのですね。
信じられません。そんなことこんな場でどうどうと言うなんて非常識にもほどがあります。

私の周りのがん患者たちとよく話していますが、まったく総合的な目をもって治療しないからこんな不憫な結果になることが多いのだとよく言っています。

がんが全部消えて、あなたたちがいう「完治」を患者が得たとします。でもそれとひきかえにもっと苦痛を味わう状況になるのと、がんがすべて消えなくても共存しながらより健康な状態に近い状態で過ごすのとどちらがいいのでしょうか?(もちろん程度、状況によって事情はかわると思いますが)

そんなのも完治でもなんでもありません。
あなたたち医療者の自己満足です。

副作用や後遺症の話はろくすっぽしないで、メリットばかり並べ立て患者を自分たちの思う治療に導こうとするのも腹がたちます。

患者にとってはデメリットのほうがある意味重要になってくることもあります。メリット デメリットをよく把握したうえで患者は自分の生き方と照らし合わせて患者自身が治療法を決めていく権利がありますから。

でも、デメリットをたくさん話すとその治療をうけたくないと思いだす患者が多くなるかもしれないですからね。代替医療などにはしる患者も多数でてくるかもしれません…

でもやれ、医者のプライドが、やれ立場が、やれ病院の経営がとそれにつきあわされて痛い思いをさせられたんじゃたまったもんじゃありません。

勘違いがはなはだしいと感じるのは、医療者は自分たちが何かできるとでも思っているのでしょうか?
重ねて言います。あなたたちは神様ですか?
ただの医者、医療者じゃないですか。

本来、病気を治すのは医者でも、薬でも、なんだかわからない
高価な医療機器でもありません。
患者自身です。本来人間は自分の力で病気を治す力を持ってますから。

医者も薬も、機材もそれを補助するものの何物でもありません。それが、その薬や治療に患者自身が破壊されてしまっては
なんの意味もありません。本末転倒もいいとことです。

自分たちが治すことの主役だと取り違えてる医療者が多いからこんな悲劇があとをたたないのです。

医者や医療者は患者の願いの範囲内で最善をつくせばいいだけのことです。

しょせん、医療者も病をわずらってないから、何もわかっていません。こんなひどいことを言えるのは、健康な体をもって高いところから患者を見下ろしているから平気でそんなことが言えるのです。

でも、この観点のずれはどうこうしてもなおらないでしょう。
結局、患者は患者自身で自分の身を守っていかなければなりません。
がんからではなく、むしろ医療によって施される治療からとでも言ったほうがいいかもしれません。

医者や医療者のいうことをすぐ「はい、はい」受けとめるのは危険です。まずは治療を進められたら、持ち帰って自分でも考える。調べる。勉強もする。
必ず、治療にはデメリットがつきものです。
特にがん治療は危険なことも多いです。
よく医療が発展した、よくなったなどと言いますが、
私たちがん患者からみれば、がん治療の限界をまざまざと
見せつけられるばかりです。

そして医者はデメリットのことをあまり説明しない傾向に
あります。げんに私もこんなことになり、なんの説明もなかったと当時の担当医に談判しに行ったら、「100%じゃないことには絶対に!とは言ってないはずです」と茶番のようなことを言われ頭にくるのを通り越してあきれ果てました。

そんなことを言ったら、この世の中に100%のことなんて何もなくなります。
それにそんなことを平気で言うこの医者はみずから、じゃあ医者の言うことは絶対にとつかないことはすべて疑ってかかれと言っているようなものです。医者は信用すべきではないと自ら言っているようなものです。

とにかく治療には必ずデメリットはつきものです。
そのことをよく念頭におきながら、自分の価値観、生き方、願いと照らし合わせて必ず治療方法は自分で決めること。
医者がすすめる治療だけが治療じゃないです。
これが、痛い思いをした者たちが得た内容です。

これから、治療をうけていく方々になんらかの参考になればとも思います。ただのクレームとうけとめるならそれでもかまいません。でも確実にこの治療というものの犠牲になっているものもいます。

こんな痛い思いをしたった1度しかない人生を後悔の波でおしつぶされるような人が少しでも減ることを願ってやみません。

医療者の方々、治療に関しての真実を話してください。
Re:放射線の恐ろしさ
三浦裕司 (東京都) 2012/10/29
皆様

虎の門病院で腫瘍内科をやっております三浦と申します。
皆様の投稿を拝読させていただきました。

けんさん、私の投稿が、けんさんのお尋ねになった、治療法についてでないことをご容赦ください。

けんさんのお書きになった治療の効果と後遺症のギャップから来る苦悩、佐藤さんのお書きになった、医療従事者と患者さんの大きな隔たりの存在、Aさんがお書きになった、観点のずれ、これが現在我々が直面している医療のとても大きな問題点なのだと思います。もしかしたら、医療だけでなく社会全体の問題なのかもしれません。

Aさんのお書きになった以下の事、これは本当にその通りです。
「医者や医療者は患者の願いの範囲内で最善をつくせばいい」
「治療には必ずデメリットはつきものです。 そのことをよく念頭におきながら、自分の価値観、生き方、願いと照らし合わせて必ず治療方法は自分で決めること。」

医療は人の営みです。そして、医療(治療ではなく)は人を幸せにする事を目的とする営みであると信じておりますし、そうあるべきだと思います。そのためには、私たち医療者と患者さんはもっと向き合って話しをしていく事が大事だと思います。

皆さんのお言葉を真摯に受け止めながら、明日からも患者さん達と向き合い、そして患者さんに向き合ってもらえるような医師でありたいと思います。

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