掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
トリプルネガティブの術後化学療法について
ota(東京都) 2012/09/25
7月にBの位置に乳がん見つかり、温存手術をしました。
40歳 閉経前 
浸潤性乳管癌 浸潤部の大きさ1.9cm 
センチネルリンパ節生検陰性 脈管侵襲なし 断端陰性
ホルモン感受性陰性(ER、PgRともに1%以下) HER2陰性(1+) 
核異型度3 Ki67 70%

主治医の説明では、トリプルネガティブなのと、核異型度3、Ki67の数値が高いことを考慮すると10年生存率は70%だが、AC療法をすることで10%ほど生存率が上がるので是非AC療法をやるようにとの説明がありました。
また、追加でタキサン系のパクリタキセル12回かドセタキセル4回をすることにより、2,3%生存率を上げることができるが、するかどうかは患者の意思に任せる、とのことでした。

術前の細胞検の段階でトリプルネガティブだとわかっていたので、術後の化学療法については納得しており、今週からAC療法が始まる予定です。
比較的早期発見だとしても、予後の悪いタイプの癌だとはわかっていますが、追加のタキサン系をするかどうかについて、悩んでいます。
そこで質問です。

タキサン系の抗癌剤は、手にしびれが残る場合があるとのことですが、そのしびれに対する治療法は確立されていないのでしょうか?今通っている病院では、無いと言われました。
西洋医学、東洋医学、民間療法を問いません。

実は、指に少しでもしびれが残るのが致命的な仕事をしており、今後の人生、QOLを考えると、しびれが残る可能性があるのならなりたくないというのが本心です。

追加でタキサン系をする場合、本当に生存率が2,3%しか変わらないのでしょうか?というより、やらなくても大丈夫なのでしょうか?

また、タキサン系を初めてみて、少しでもしびれが出始めたらやめるというのでも、やらないよりは効果が多少あるのでしょうか?

もう少し生存率を上げるために、タキサン系以外の抗癌剤を使うという選択肢はないのでしょうか?
今の病院では、そういう選択肢はないようです。

トリプルネガティブだということで、再発させないために最善を尽くしたいという気持ちと、2%の確率のために10年以上にわたるキャリアを無かった事にしたくないという気持ちの間で揺れ動いています。
お忙しいとは思いますが、アドバイスよろしくお願いいたします。

   
Re:トリプルネガティブの術後化学療法について
向原徹(兵庫県) 2012/10/12
otaさま

お返事が遅れ申し訳ありません。

まず、タキサンをすることでの上乗せ効果ですが、正確なことは分かりませんが、いただいた情報からは、書かれている数字は妥当なものではないかと思います。

手のしびれに関しては、残念ながら、これを使うと必ず予防効果があります、というものはありません。ただ、パクリタキセル毎週投与法に比べると、ドセタキセルを4回のほうが一般的にはしびれの副作用は軽いといわれています。手がしびれた場合の困り具合にもよりますが、しびれが困る方には、ドセタキセルを考える場合もあります。

一旦でてしまったしびれは、程度にもよりますが、やはり何カ月、何年と抱えてらっしゃる場合も実際多いです。

少しでもしびれがでたらやめる、というのは、基本的にあまり勧められる方法ではありません。例えば、パクリタキセル12回予定のところを6回でやめたとして、全く治療効果がない、とは言えませんが、80%なのか、50%なのか、20%なのか誰にもわからないからです。

タキサン以外を加えるという方法は、ota様のご施設がおっしゃるように、いまのところありません。

「トリプルネガティブだということで、再発させないために最善を尽くしたいという気持ちと、2%の確率のために10年以上にわたるキャリアを無かった事にしたくないという気持ちの間で揺れ動いています。」

とてもよくわかります。またとてもよく理解されていると思います。ただ、本当にそこは患者さんの価値観の問題になってきますので、主治医の先生との十分なdiscussionのうえ、決めていかれるのが唯一ベストな方法だと思います。
Re:トリプルネガティブの術後化学療法について
KEN(愛媛県) 2012/10/12
ota様、今回のご病気で大変な思いをされていることお察し申し上げます。やはりタキサン療法はしびれがあり、お仕事に差し支えることは大変なご負担になると思われ、治療法もありません。トリプルネガティブの乳がんに対する術後補助療法では、まだ決まったレジメンはなく、通常の化学療法を、諸因子を見ながら、患者さんと相談しながら投与しているのが現状です。トリプルネガティブ乳がんといいましても、さまざまなタイプがありますが、基礎的研究でBRCA1遺伝子の変異のあるタイプは、タキサンよりもDNA障害を作用機序に持つアドリアマイシンとかエンドキサンなどの抗がん剤が有効ではないか、というものはあります。AC療法は昔から使われているレジメンですが、しびれはほとんどなく、お仕事に差し支えはでないと思います。主治医と相談する時に、一つのヒントになるかもしれません。
Re:トリプルネガティブの術後化学療法について
ota(東京都) 2012/11/15
向井先生、KEN様、ご丁寧なコメントありがとうございました。
9月末に始まったAC療法の副作用がいろいろ出てしまい、入退院を繰り返していました。
先生方のアドバイスや主治医、家族と相談した結果、タキサン系はやらないことにしました。というより、これ以上の抗癌剤投与は、肉体的にも精神的も無理だと思っています。
現時点では、残り1回のAC療法を無事に終え、5週間の放射線治療に通えるだけの体力をつけることが、最大の目標です。

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