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治療とその選択
断端陰性の判断と術後抗がん剤検討について
mana(大阪府) 2012/10/13
はじめて相談させて頂きます。
30歳・既婚・妊娠出産経験なしです。
若年性乳がんです。

★先日温存手術(温存・円状部分切除)を終え、最終病理検査結果が出ました。

・硬癌
・♯2~6、8に20mm程度(5スライスの厚み)の
 invasive ductal carcinomaが見られ脂肪組織に浸透
・グレード2(腺管形成3+核異型2+核分裂像1 スコア6)
・ER:100%
・PGR:数%
・HER2:陰性(+1)
・EIC(-)  ly(-)  v(-)
・Ki67:標識率は最も高いところで30%
・リンパ節転移なし 0/6 センチネルリンパ節生検のみ
・切除断端への露出はないが以下注意書きあり
 (♯6で胸壁側断端から1mmのところと、
  ♯8で皮膚側断端から2mmのところに入管内進展が見られる)
 (♯4で胸壁側断端から0.8mmのところと、
  ♯6で胸壁側断端から0.3mmのところにinvasive ductal carcinomaが見られる)

★今後の治療方針は以下のとおりです。

・放射線治療50グレイ
・ホルモン療法(注射2年+錠剤5年)
・抗がん剤の上乗せ効果は1%ぐらいなので必要なし

★ご質問させて頂きたいのは以下のとおりです

①術前画像診断では腫瘍の大きさは12mm×15mm×9mm
 だったのに、最終病理結果では20mm程度となっていました。
 これは入管内進展を含めての大きさになるのですか?

②主治医は断端陰性と仰せ。
 胸壁側断端から0.3mmのところにも癌があるようですが、
 追加手術は必要なく、まして放射線治療するので全く問題ないと仰せです。
 断端陰性と考えて良いのでしょうか。
 追加手術検討または放射線追加照射は私の考えすぎですか?

③術前マンモトーム生検結果ではKi67で
「標識率は最も高いところで10%」でしたが、最終病理結果は30%でした。
 主治医は腫瘍による平均は出しておらず、
 数値高めのところだけを抽出して数値を出していると仰せ。
 おそらく平均すれば10%代を予想とすると仰りました。
 Ki67の数値によって抗がん剤検討するのが
 現在の乳がん治療ガイドラインに記載されていますが、
 私の状況で抗がん剤追加は必要ないでしょうか?
 
④主治医にオンコタイプDXについて質問質問しましたが、
 閉経前・年齢が若いという事であまりやる価値はないと
 思うと仰せになりました。
 私の状況でオンコタイプDXは価値ない検査なのでしょうか?
 高額ですが、やる価値あるなら私自身は前向きに検討しています。

以上長文となり申し訳ございませんが、
どうぞよろしくお願いします。

   
Re:断端陰性の判断と術後抗がん剤検討について
津川 (神奈川県) 2012/10/14

文章からはinvasive ductal carcinoma(浸潤性乳管癌)の大きさのようです。術前画像診断と術後の病理組織検査で腫瘍の大きさが異なることはよくあります。


通常我が国の乳房温存手術では、皮下剥離をしたのちに円柱状に乳腺組織をくりぬき、大胸筋前面まで切除します。それゆえ、断端には水平方向(まわりの乳腺組織など)と垂直方向(皮膚側、胸壁側)があります。垂直方向に関しては明らかながんの露出が無く、外科医が層構造を理解してきれいにとれたと判断できれば断端陰性として良いことが多いと考えます。close marginとして追加(Boost)照射を加えるか、は施設によって異なります。


Ki67の測定方法はいまだ専門家でも意見が分かれるところです。現在のところ、数値高めのところだけを抽出してカウントする(悪そうなところを評価する)方が予後予測には有用と考える人が多いようです。
 

オンコタイプDXはホルモン陽性乳癌において、タモキシフェンを服用した場合の予後を予測すること、タモキシフェンに抗がん剤治療を上乗せすることの意義を予測することに有用な検査と考えます。

以上、ご参考いただいて、担当医とよくご相談の上、納得のいく術後治療を受けられますよう、祈念いたしております。
Re:断端陰性の判断と術後抗がん剤検討について
mana(大阪府) 2012/10/15
お忙しいなかご返答して頂きましてありがとうございました。
温存手術のやり方など、よく分かっていなかったのですが、
津川先生の説明で理解でき安心できました。
私自信もオンコタイプDXをやるかどうかかなり迷っている
状態ではあります。
自分が納得して治療に進みたいとは思っているので、
主治医に相談してみようと思っています。

本当にご意見頂きまして、ありがとうございました。

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