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治療とその選択
乳がん術後の治療スタート時期と治療法について
佐藤 真由美 (海外在住) 2012/11/02
術後の治療について大変悩んでいます。皆様是非相談にのって下さい、お願いします。
9月24日海外で右胸の温存手術を受けました。その後、通常抗がん剤をしない場合放射線治療は術後何週くらいではじめるものですか?色々調べてみたりすると普通3~6週間で放射線治療をはじめるもので8週間過ぎるてはじめると再発、転移率がかなり上がるとかかれていました。私の場合すでに5週間今週で術後たっていますがまだレーディエーションオンコロジストとのアポもとれていません。毎日そんなんでこの待っている間に温存で切り取った後にわずかに残っている癌細胞がどこかに流れていってしまい再発、転移するのではないか・・または初期で再発、転移のリスクの低いといわれていた癌なのに転移再発がすぐ起こってしまうのではないかと思いつつ寝れない日々が続いています。
私の乳がんはステージ1、グレード1でホルモンレセプターは2つとも95%~100%ポジティブ、HER2はネガティブでした。10日ほど前にメディカルオンコロジストにあって彼に”あなたの病理結果だと抗がん剤治療をしてもしなくてもほとんどリスクは変わらないので抗がん剤はいらないだろう・・だけど一応オンコタイプDXも見てみたいのであなたの検体をカルフォルニアに送ってみてその結果で抗がん剤のことを最終決定しよう”といわれました。その時点では余り深く放射線治療のことも考えていなかったのですがこんなに無治療で術後長くいていいのか?と大変不思議+不安に思いこのメディカルオンコロジストに電話したところ”まだオンコタイプDXの結果は返ってきてないが他のオンコロジストと話した結果君の場合やはり抗がん剤は必要なさそうだ”といわれました。だったら放射線をすぐやりたい・・・と申し出たところ”まだレィディエーションオンコロジストとの予約が取れていないので来週からホルモン治療をするようにしてあげる、ホルモン治療でも治療していることに変わりはないのだから放射線治療が多少遅れても癌はプロテクトできる!!”といわれました。また彼は”放射線は最高遅くとも術後3ヶ月までにはじめれば大丈夫”ともいっていたんですが・・・私、個人的には早ければ早いことにこしたことがないと思っていまがこれも本当でしょうか?
医療体制がかなりがさつな国なのでこのままいったらレィディエーションオンコロジストにいつあえるかさえもわかりません放射線治療ももちろんいつはじまるのかさえも全くわかりません。
放射線治療前のホルモン治療でも大丈夫なのでしょうか?通常抗がん剤治療をしてから放射線治療というのが定番だと思いますがホルモン治療も抗がん剤治療と同じくらいの効き目があって放射線治療をはじめるまえにすれば温存手術でわずかに残っている癌をプロテクトすることは可能なのでしょうか?
それともう1つ抗がん剤治療の怖さも知っていますがもしこのように抗がん剤治療をオンコロジストから勧められなかった場合患者の私達はその意見に従わなくてはいけないものですか?患者が最終決定意見をするというのはドクターから見るとかなり嫌なことなのでしょうか?これだけ放射線治療が遅れているのとできる治療は何でもしたいと思っていた(今でも思っています)私なので抗がん剤治療なしと簡単にドクターにいわれて余り今のところ納得できていません。
大変長くなってしまって申し訳ありませんがどうかこれらについてご存知のドクターの先生方、医療関係者のかたそして私同様乳がんと闘っていらっしゃる方ご助言下さい。私の住んでいるこの国の医療体制の遅さにいつもながら悩まされています。どうかよろしくお願いします。

   
Re:乳がん術後の治療スタート時期と治療法について
Ban(茨城県) 2012/11/07
佐藤様

術後、治療方針が定まらない状況において、不安が募っていらっしゃること、お察しいたします。
1. 化学療法は本当にしなくてよいのか
2. ホルモン治療の効果はいかほどのものか
3. 放射線治療の開始時期が遅れてもよいのか
の3点が大きな不安点のように思われます。

1.化学療法の必要性
佐藤様のご病状の詳細に関し、わからない点もありますが、ステージや組織の状況から考えると、現在の分類ではLuminal Aと呼ばれる、再発リスクが比較的低い腫瘍に分類されるのだと思います。Luminal Aの場合は、抗がん剤の感受性があまり高くなく、ホルモン治療の感受性が高いと推察されます。抗がん剤を受けても、その結果として生存率はあまり変わらない可能性があります。
化学療法の副作用には、短期的(脱毛、骨髄抑制、吐き気やしびれなど)に加え、長期的(頻度は少ないですが発がん性や心臓への毒性)なものも知られておりますので、医療者として本当に必要と考えられる場合に推奨すべきではないかと考えております。
佐藤様にとり、本当に治療が必要かと考えると、今までの情報からすると、抗がん剤治療を受けても、その恩恵は大きくない=本当に必要とは考えにくいとされる主治医の先生の御意見は妥当と思われます。オンコタイプはもう少しこれまでの顕微鏡からのデータ以外の情報をもたらしてくれます。それにより、もし化学療法のメリットがあるとされれば化学療法を考慮してもよいのではないでしょうか。ちなみに日本でオーダーすると結果が出るのに1カ月ほどかかります。アメリカ国内ではもう少し短く結果が出るかもしれませんが、待つ時間はおつらいですよね。

2. Luminal Aの場合、ホルモン治療の感受性は非常に高いと考えられます。効き方は抗がん剤とは異なりますが、ホルモン治療でも治療効果は十分にあると考えられます。ホルモン治療など薬物治療の抗腫瘍効果は全身再発の抑制に加え、局所再発の抑制も期待されますので、抗がん剤を行わない場合には、放射線治療開始前であってもホルモン治療を開始されてよいかと思います。

3. 放射線治療は手術で取りきれなかったかもしれないがん細胞をターゲットにした局所再発を防ぐことが目的です。生存率に直接的に関与するものではないとも考えられます。断端陰性の場合は局所再発の危険性はそれほど高くはないと考えられますので、あくまで補助的な治療ですね。いたずらに治療開始を遅らせるのは、御心配の通り望ましくはないかもしれません。ある研究では局所再発の観点からは8週以内に放射線治療開始が望ましいとしています。別のイギリスの大規模なコホート研究では局所再発および生存率からみた場合には術後20週は超えないことが重要とされています。
現在5週目とのことですが、もともと局所再発の危険性も高いとは思われない状況のようですので、あと1カ月以内くらいに方針決定・治療開始されれば、心配される必要はないのではないでしょうか。

何らかの治療をすぐにでも行いたいというお気持ちを、佐藤様をはじめ、皆様がお持ちのこと、改めて感じ入りました。ありがとうございます。
佐藤様ご自身、深く勉強されていらっしゃるようところ、差し出がましいようではございますが、乳癌治療医としてコメント申し上げました。

今後の方針が定まらにないうちは、不安が募ってしまうことと思いますが、様々な情報をしっかりと吟味したうえで、これからの治療戦略を決めていかれること、今後安心して治療を受け、人生を歩んでいただけますようにお祈り申し上げます。

Re:乳がん術後の治療スタート時期と治療法について
佐藤真由美 (海外在住) 2012/11/08
Ban先生ご親切にかなり長い私の質問に本当に親切にそして的確にお答え頂き頭のさがる思いです。本当に本当にありがとうございました。悩んでいた気持ちがとっても楽になりました。図々しいとはわかっているのですがいくつかまたお聞きしてもよろしいでしょうか?
ルミナールAはKI-67を受けないと確実のことはわからないのでしょうか?オンコロタイプDXでもルミナールAは確認できますか?私のオンコロジストはKI-67は再発した人とかはいいが今の私には必要ない・・といいしてくれませんでした。私も多分?ルミナールAだと思うのですがはっきりわかればもっと安心できるかな~と思っています。
それとオンコロタイプDXは日本人の私達でも100%信じてよい結果ですか?私、個人的にはかなり信じられるものだと思って入るのですが時々乳癌の色々なサイトで”オンコロタイプDX”はアメリカ人用に発明されたものなので日本人には会わない場合もある”とかかれていました。
もしご存知でしたらこの2点について教えていただけますか?お願いします。
心配していた放射線治療も何とかはじめめられそうです。本当に本当に毎日悩み、心配していた私に暖かいお言葉下さってありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

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