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治療とその選択
このケースでも、RS値による治療変更は正しいでしょうか?
ぴゅあ(東京都) 2012/12/02
はじめまして、45歳ステージⅢb、Ki67 =40の浸潤性乳癌(硬癌)の診断をされた者です。
Ki67が高値で病期もそれなりの進行だったため、
早々に抗がん剤の全身治療を要すという治療方針でした。

念の為Oncotype検査を受けたところ、RS値が想定外に低かった為、
急遽RS値に依存した治療方針に変更する事になりました。
私の以下ケースでも正しい判断であるのか怖くなり
是非専門の先生方にご意見伺いたく投稿させて頂きました。


<4年前>しこりを確認。その時の検査では良性で乳癌ではないと診断
<1年前>固定と大きくなっているのを感じはじめる
<現在>
■浸潤性乳癌(硬癌)の診断で、触ると明らかに硬いしこりを確認でき
固定され皮膚表面にも凸凹が表れている状態
■最大径2.1㎝
■ステージ=Ⅲb
■ER=10.2(+)
■PR=8.1(+)
■HER2=8.8(-)
■PET検査=遠隔転移なし
■Ki67=40

<経緯>
一か月前乳癌と診断され、上記の結果から増殖能の高さと切除部分が小さくなる可能性を考慮し、
早期に全身治療(術前抗がん剤+ホルモン剤治療)、→その後切除手術という治療方針を告げられました。(セカンドオピニオンでもほぼ同じ方針でした)

仕事上抗がん剤治療に抵抗があった為、針生研の細胞を送ってOncotypeの検査依頼をしていました。

<結果>
抗がん剤治療開始三日前になって、Oncotypeの結果が出てきたのですが
RS=9という想定外?の低スコアだった為、
「抗がん剤の必要性は低く、そこまで急を要する心配も無さそう」との判断で
抗がん剤治療はペンディングになりました。

治療計画も練り直しになり、自分の人生に合わせ選択すべきという方向性になり
切望していた海外での身辺整理も済ませ(諸事情があり)
2~3ヵ月後、ホルモン剤治療からスタート→状況を見て手術という事になりました。

<疑問と不安>
担当医師も「ほとんどは裏付ける様な結果が出るのに、こんなケースは初めてです」と驚いていましたが
私自身も治療方針が覆され動揺していて、
安堵した部分と逆に、判断や選択に間違いはないか不安も出てきました。

そこで質問です。

判断基準に今回のOncotypeのRS値に依存した治療方針に変更する訳ですが

<質問>
1.■通常はステージⅠ・Ⅱの方に適した検査という事ですが、
私の様に進行しているケース(ステージⅢb)でも、
RSが低ければ抗がん剤を使用しなくて大丈夫なのでしょうか?
2.■通常は切除細胞を使っての検査ですが、私の場合は針生研の組織でしました。
結果が異なる可能性はありますか?
3.■この変更により、2~3ヵ月何も治療をしない状態になりますが、全身へのリスクはありますか?

検査の仕方や時期に無理があったようにも感じるので、
上記で問題ないのか
もしこのケースではデータの有用性が異なる等
ありましたら教えてください。

大きな変更と決断になるのでどうぞよろしくお願い致します。

   
Re:このケースでも、RS値による治療変更は正しいでしょうか?
KEN(愛媛県) 2012/12/12
愛媛県の乳腺外科医です。ご心配のことと存じます。今回Ki67の値とONCOTYPE DXの結果が一致しておらず、治療変更となられたようですね。この不一致は術後補助療法においては時々あるようで、今までの臨床データで決定した治療方針と、ONCOTYPE DXを見て決定した治療方針のどちらを優先すべきかまだ分かっていませんが、術後補助療法に沿った臨床試験のデータは、RSの高低が予後指標になりうるということを示唆しています。ただし、あくまで後ろ向き検討の結果で、前向き試験は現在臨床試験が行われており、その結果を待つべきと思います。また今回は術前療法にONCOTYPE DXを適応しておられますが、現在のところONCOTYPE DXの適応は術後補助療法の際の判断に用いることしか認められていません。各種臨床研究、臨床試験の付随研究で術前療法にも有効ではないかと言われているようですが、メーカーさんにも確認したところ、現在術前療法に関するONCOTYPE DXの有効性を見る臨床試験は、大きなものは行われていないようです。現時点ではあくまでも参考程度にされる方がいいのではと思います。今回、術前ホルモン療法をされるようですが、副作用も軽く、術前化学療法の目的とは違い、著明な縮小効果はなくとも、術後ホルモン療法における有効な薬剤として使える薬の選択もできるので、いい治療選択をなされたのではないかと考えます。主治医の先生とのお話を再度されて納得の上治療をされることをお勧めします。お答えになりましたでしょうか?

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