主治医に二点質問する必要があります。
1．閉経前術前ホルモン療法が聞かなかった場合の予後のこれまでの臨床試験のデータは何か。
2．Adjuvant onlineでこの状況の再発リスクと生存率のデーターと、術後化学療法の効果の程度はいくらか？
ちなみに、ホルモン療法が効果ない場合後の術後化学療法の効果の組み合わせは無いと思います。つまり、二点のデーターに基づき治療を受けるかの判断が必要です。

上野先生、早速のお返事ありがとうございます。

Adjuvant onlineというものがわからないのですが、お教えいただけないでしょうか。
ＴＣ療法は、効果が見込めないということでしょうか。
閉経前術前ホルモン療法は、臨床試験に参加した形になりますので、データはまだ確立されていないかもしれません。この場合、閉経後術前ホルモン療法のデータを質問すればよいのでしょうか。
お教えください。

あゆさん

横から失礼します。虎の門病院で腫瘍内科をしております三浦と申します。

Adjuvant! Onlineというのは、我々が、再発のリスクがどのくらいかを推定するためによく利用するインターネット上のフリーソフトのようなものです。英語である事が難点かもしれませんが、以下のサイトから登録すれば、患者さんでも自由に利用する事が出来ます。
https://www.adjuvantonline.com/index.jsp

注意しなくてはならない事は、このソフトはあくまで「術後」治療（ホルモン療法や化学療法、もしくはその両方）を行う事によって、どのくらい再発のリスクを減らす事が出来るかを推定するものであるという事です。
（Adjuvantというのは「術後」という意味です。）

以前の掲示板でのやり取りの中で、神戸大学の向原先生がadjuvant onlineについてご紹介しており、参考になるかもしれませんので、以下にページを貼付けておきますね。
https://www.teamoncology.com/bbs/thread_dtl.php4?coid=1&cid=10&tid=3671

ご参考いただけましたら嬉しいです。

引き続き、三浦です。

あゆさんのこれからの治療方針は、確かに悩むところだと思います。
残念ながら、あゆさんの聞かれた「TC療法は効くのか、効かないのか」という問いに対する「エビデンス（科学的根拠）に基づいた」答えはないのが現状です。それは以下の２つの理由からです。

① 閉経前の術前ホルモン療法は開発段階の治療であり事。
② 閉経前、後に関わらず、術前ホルモン療法中に大きくなってしまった乳がんに対する、その後の治療法が確立していない事。

ただ、日常診療ではこのようにいわゆる「エビデンスがない」問題に多く遭遇します。その時、我々医療者が行う事は、今目の前にある問題に直接的な答え（エビデンス）がなくても、間接的に参考になる情報を多く集め、それを外挿し、その上でメリットとデメリットのバランスについて、他の医療者や患者さん自身と相談しながら、最も患者さんのメリットになる治療方針を探して行くというプロセスです。

あゆさんの場合には、このプロセスにおいて「外挿」するために、ふたつの情報を得る事が重要だと思います。
① 個々人の乳がんの性質についての情報
② これまでの臨床試験の情報

①に関しての情報を得る際に、先に述べたAdjuvant! Onlineが役に立ちます。あくまでも「術後」治療のデータになりますが、現時点ではこれが標準治療であり、かなり信頼性の高いデータなので、これを「外挿」します。
個々人のデータからその人の乳がんが、術後にホルモン療法も抗がん剤治療もしない時の再発率（→乳がん自体の再発リスク）が分かります。また、ホルモン療法がどれだけ再発率を抑えるのか、抗がん剤治療がどれだけ再発率を抑えるのか、も分かりますので、その人の乳がんがそれぞれの治療にどれくらい反応しやすいものなのかも推測出来ます。

②については、あゆさんが書かれているように、「閉経前」術前ホルモン療法の情報は非常に限られているので、より情報の多い「閉経後」術前ホルモン療法の臨床試験で、治療中に腫瘍が大きくなった人のその後の治療についての情報を「外挿」するのはひとつの手だと思います。

まず、この２つについて主治医の先生と相談してみては如何でしょうか？

三浦先生、私の疑問について分かりやすくご説明いただき、感謝申し上げます。

おかげさまで、Adjuvant! OnlineのHPにもたどりつきました。おはずかしながら、使い方がわかりませんのでこれから頑張ってみます。

化学療法を選択する際の判断基準について、主治医の先生におたずねすることが見えてまいりました。暗闇の中に明かりを見出した気持ちです。

お忙しい中、こうして、ご回答いただける先生方がいらっしゃることに感激しております。ありがとうございました。

あゆさん、はじめまして。

今後の治療方法についてお悩みのこととお察しいたします。

ひとつ質問なのですが、ホルモンレセプター陽性であったのに、
術前ホルモン治療の効果がなかった理由について、主治医から
ご説明はありましたでしょうか？

例えば、陽性率が低いとか、SYP2D6(代謝酵素)の遺伝子型が
低活性であるとか、、、

わたしは、あゆさんが術前にされた治療を術後に行っておりますので、効果なかった理由がわかれば教えていただきたいです。

よろしくお願いいたします。

chihiroさんはじめまして。

お尋ねの術前ホルモン療法について、効果がなかった理由については、主治医の先生もわからないとのことでした。

化学療法の効果についても、術前にホルモン療法をした細胞なので、オンコタイプ検査やAdjuvant online　での確率計算もきないとのことでした。

True an not true.
You may not able to calculate the exact estimate but you still can use this to do some theoretical risk. I would still calculate so that you can get a sense. Adjuvant online is just a tool and need to be use with flexibility.

上野先生

ご意見をありがとうございます。
確率計算は可能だということでしょうか？
（英語が不得意なので、読み違えていたら教えてください。）

主治医の先生は、術前にホルモン治療をしていない状態で、手術であれば、ホルモン療法を術後に勧めたけれども、効果がなかったので、化学療法を提案されたようなのですが、このまま、無治療でいくのか、化学療法をするのかで、悩んでいます。

あゆさん、はじめまして。
閉経前術前ホルモン療法を受けたうえで、手術を受けた患者です。
治療方針については本当に悩みますよね。お気持ち良く分かります。

私は閉経前術前ホルモン療法を受けるかどうかを決めるにあたってセカンドオピニオンを求め、その際、術後の化学療法に関しても尋ねたのですが、そのセカンドオピニオンの先生は、
①　術前ホルモン療法が効いた場合には化学療法は効きにくい、逆に、術前ホルモン療法が効かなかった場合には化学療法が効くと考えられる。
②（術前ホルモン療法が効いたとしても化学療法による上乗せ効果があるか否かを判断するためにオンコタイプDXを受ける意味はあるのではないか、という問いに対して）術前ホルモン療法をしている場合にはオンコタイプDXは不適応である。ホルモン受容体陽性のタイプはホルモン療法をするとKi67がかなり下がる。オンコタイプDXのスコアはKi67の高低を考慮するので、多分スコアは低く出ることになる。
③（術前ホルモン療法前の針生検の検体でオンコタイプＤＸを受けることはできないか、という問いに対して）針生検の検体は全体像を反映してないかもしれない。ある程度局所進行して腫瘍径が大きい場合だと、局所的にKi67が高くなっていたりするので、オンコタイプＤＸが正しく反映されるかどうか結構疑問。
との意見を下さいました。

また、オンコタイプDX検査を行っているジェノミックヘルス社に対しても問い合わせをしました。そうしたところ、日本の代理店を通じて回答をもらうことができたのですが、
④（上記②を伝えた上で、術前ホルモン療法をしている場合でもオンコタイプDXは適応になるか、術前ホルモン療法の影響で正しいスコアが出ないのではないかとの問いに対して）
術前治療前後でオンコタイプDXのスコアはかわらないというデータがあるため、治療後でも正しいスコアは出すことは可能。
⑤（上記③を伝えた上で、針生検の検体でも正しいスコアが出るのかとの問いに対して）
針生検の検体で問題はない、ただ、浸潤癌の量不足で検査不能になるケースがある（検査不能の場合、検査費用は発生しない)。
とのことでした。

セカンドオピニオンとジェノミックヘルス社の回答で食い違うところもあるのですが、私があゆさんの立場だったら、①の意見を踏まえて化学療法をするか、あるいは、針生検での検査が可能であればそれの結果を見て考える、針生検の検体がないか量不足の場合には、摘出した腫瘍の方で検査を依頼して、その結果を見た考えることになるかな、と思います。
経済的な問題もあると思いますが、ご参考となれば幸いです。

みさきさん、はじめまして。

同じ治療を受けられた方のご意見、とても参考になりました。
ホルモン療法が効かなかった場合のほうが、化学療法が効くということは初めて知りました。
オンコタイプ検査も可能なのですね。
主治医の先生に無理だと言われていたので、どうお話をするか悩むところですが、希望が出てきました。
感謝しています。