佐藤さま

返事が遅くなり大変申し訳ありません。日本で腫瘍内科医をしています向原と申します。

10年間の再発・転移率が15%という数字についてですが、それを高いとみるか低いとみるかは確かに患者さまによって受け取り方が違うと思います。ただ、乳癌を患われた方の、平均的な再発率に比べると低いということができます。

ご投稿をみて、低リスクって勝手に言っているのは、医療者側の見方なのだな、と気付かされます。

化学療法に関してですが、それも化学療法をすることで減らせる再発率をどのようにお感じになるか、ということになります。化学療法をしなくても再発率が低い場合は、当然化学療法で減らせる再発率も少なくなります。

例をあげてご説明すると、例えば再発を70%に抑えることのできる化学療法があったとして、化学療法をしない場合50%再発する患者さんでは、50%X0.7＝35%つまり、50-35%=15%再発率が減少することになります。同じような患者さまが100人いれば15人のかたの再発が化学療法で防げるということです。一方、化学療法をしない場合の再発率が15%であれば、15%X0.7＝10.5％、つまり15-10.5=4.5%しか変わらないことになります。100人のうち化学療法でベネフィットがあるのは4.5人ということになります。上に"4.5%しか"と書きましたが、"4.5%しか”と感じられるか、"4.5%も”と感じられるかは患者さま次第ということです。

このような具合ですので、上の数字は架空の数字ですが、最終的にはどれだけのベネフィットに対して、どれだけの犠牲（副作用、コスト）を支払えるか、ということになってきます。

上でいう10.5%、4.5%はabsolute risk reductionといいますが、オンコロジストの先生と、化学療法をした場合のabsolute risk reductionはどれくらいに見積もるべきなのか、discussionされることをお勧めします。

一般に術後療法は2か月以内に始められることが多いですが（臨床試験でそのようにするため）、どれだけ遅れると効果が薄れるのかははっきり分かっていません。

visitがまだ先であることを祈りますが、納得されて、平穏に過ごされることをお祈りします。

向原先生お忙しい中ご親切に詳しくご回答下さってありがとうございました。
実は先週オンコロジストに会ってきましたその際オンコタイプDxの用紙をみせてもらいスコアーと再発、転移のリスクが反対の値になっていてスコアーが１５（これもとっても低くはないですが低スコアー内の値でした）再発、転移率が１０％とと私が前回の時聞いていた数値が実は逆でした。向原先生に１０年間の再発、転移率が１５％でもそれほど高いとは思えないといわれとっても嬉しく感じていたのですが実際は再発、転移率が１０％とということがわかりかなりほっとして今のままのホルモン剤服用だけでまた自分のオンコロジストをこの先も信じていけそうです。
本当に向原先生暖かいお言葉ありがとうございました。これからも色々不安になること心配になることがあると思うので御世話になることがあるかと思いますがよろしくお願いします。