掲示板「チームオンコロジー」

Bulletin board

患者と医療者のコミュニケーション
病院での薬剤師、栄養士などの方々
野中希(大阪府) 2007/08/31
上野先生はじめチームオンコロジーのアドバイスは患者にも積極的参加を促す具体的な指針を示してくれ、上野先生の著書や、掲載記事などとても勉強になっています。ありがとうございます。

個人的見解ですが、家族の闘病中、主治医や看護師の方々以外の、薬剤師、栄養士、心理士、ソーシャルワーカー他といった方々にはお目にかかる機会がありませんでした。ほとんどの患者はそうではないかと思います。日本では主治医対患者のみに重点が置かれているのかもしれません。実際には特に薬剤師、栄養士の方にはチャンスがあれば伺いたいことも大変多かったのにと思っています。チーム医療では、米国の現状など含め、そういった交わりは本来どういうものなのでしょうか。

   
Re:病院での薬剤師、栄養士などの方々
上田(市立伊丹病院)(兵庫県) 2007/09/01
私も病院薬剤師ですが、野中さんの訴えを痛感しています。
日本では薬剤師配置基準というものがあり、入院患者さん70人に対して薬剤師1人という基準があります。患者さん70人の病態を正しく把握することは現実的に不可能で、もちろんMDアンダーソンのあるテキサス州には、こういった規制はありません。実際の薬剤師の数も10倍以上多いのです。
このような厳しい現状の中でも、日本でがんチーム医療(チームオンコロジー)を実践している薬剤師は数多くいます。患者さんに会う時間を作ることも難しい状況で、ご家族の方々に会うのはとても大変なことなのですが、チームオンコロジーを実践する上で、患者さんを支えるご家族の方々にも信頼していただけるチーム医療を築いていくことはとても重要なことなのです。
主治医に「薬剤師の話を聞いてみたい。」と尋ねてみてください。そして薬剤師に、ご自分の病態や治療について質問してみてください。
主治医と同じ内容を正しく説明できる薬剤師は本物です。(正しく理解していなかったり、「主治医に聞いてください」と返答をごまかす薬剤師は偽者かもしれません。)
私の病院には、チームオンコロジーを実践している薬剤師が4人います。普通の市民病院ですが、このことを私はとても誇りに思っています。
Re:病院での薬剤師、栄養士などの方々
佐藤 由美子(愛知県) 2007/09/02
私も薬剤師であり、常時担当の入院患者さんを40人ほど担当し、
その患者さんのベッドサイドで服薬指導を行っています。
しかし、実はご家族のみえる時間をなるべく避けていました。
なぜなら、ただでさえ不自由を強いられている入院生活の中で、
ご家族がみえているときくらい、
他人に邪魔されずにゆったり過ごしていただきたいと思っていたからです。
日本ではまだまだ入院病室は大部屋が多く、
他の入院患者さんのことや、診察や処置の関係もあって、
ご家族の面会時間も限られていますしね。

ちなみに、MDACCでは、入院病室は全室個室で、
ご家族は基本的に24時間付き添える環境でしたので、
患者さんとご家族は常時一緒に診察や治療を受けて、
医療従事者とも十分なコミュニケーションを取る事ができていました。

ただ、今回の野中様のご意見をお聞きして、
私も自分の患者さんのご家族とお話をするよう、
時間をとる努力をすべきだったかなと少し反省しています。
これからは、ご希望があればご家族ともお話をする時間を取るよう、
働きかけていきたいと思います。
貴重なご意見ありがとうございました!
Re:病院での薬剤師、栄養士などの方々
野中希(大阪府) 2007/09/02
上田様、佐藤様、早速丁寧なご回答ありがとうございました。
少し、言葉が足りなかったかもしれませんが、家族へのフォローという意味だけではなく、対患者、というつもりだったのですが、もしかしたら、本人は薬剤師さんらとの面談など受けていたのかもしれないとふと思いました。

70人に1人では双方ともに接点はないかもしれません。M.D.アンダーソンでは10倍の数ともなると、相当密なケアができそうですね。患者へのベッドサイドでの指導のほか、どのようなことがなされているのでしょう。
確か、患者:看護士の数も1:2だったと記憶しています。

>主治医に「薬剤師の話を聞いてみたい。」と尋ねてみてください。そして薬剤師に、ご自分の病態や治療について質問してみてください。

看護士さんは、よく「主治医でなければお答えできません」と言われますので、主治医しか話せないものだと思っていましたし、主治医以外に尋ねてはいけないものだと思っていました。今後は意識を変えるべきなのでしょう。勇気付けられました。

佐藤様もおっしゃるように、日本では大部屋が多く、家族の面会時間は避ける、というのも当然だと思いました。ただ、患者が精神的にも体力的にも弱っている場合など特に、家族も一緒に聞かせていただければとてもありがたいという一面もあります。本人から口伝で聞くしか方法がなく、一番気を揉んで不安な立場です。すべてで主治医を煩わせるわけにいかず、なんでもいいので話を聞きたい、という気持ちではないかと思います。

ベッドサイドでの服薬指導などをいただけるなど、本当に心強いと思います。薬剤師さんや他の方々の手厚いケアを遠慮せずに受けられるようになればいいと思います。
なかなか前面には見えてこない方々のご苦労やご尽力を見せていただき、大変身近に感じることができました。
主治医以外に尋ねてはいけない
上田(兵庫県) 2007/09/03
>主治医以外に尋ねてはいけないものだと思っていました。

そう思っている医療者も、まだまだたくさんいると思います。確かに主治医でないと答えられない内容もありますが、主治医と同意が取れている場合は、治療方針なども我々から患者さんに説明しています。当院には、優秀ながん化学療法の認定看護師さんもいて、彼女も同様の説明をします。

患者説明以外の薬剤師としての関わりとしては、疼痛や症状のマネージメントであったり、抗がん剤の副作用対策、腎機能が低下しているときの薬の量の調節、抗がん剤処方のチェックなどなど、いろいろな役割を担っています。

また患者さんの治療方針についても、薬剤師としての専門性をもとに患者さんのベストな治療について自らの見解をもつことが、チームオンコロジーでは求められています。ですから時には主治医と意見がぶつかるときもあるのです。(笑)

Re:主治医の責任
上野直人(海外在住) 2007/09/04
主治医が他の医療従事者をどう見ているかによって患者が薬剤師、看護士とどのように話し出来るかが大きな影響があると思います。主治医が積極的に「私が信頼する、薬剤師、看護士に」ーーーーをお願いしますあるいは説明を受けてくださいと医師が発言することが大切ですね。

患者には医療従事者間の信頼関係は見えないので、患者と家族に見せる必要があるのではないでしょうか?
Re:病院での薬剤師、栄養士などの方々
野中希(大阪府) 2007/09/04
上田様、上野先生、ありがとうございます。

>また患者さんの治療方針についても、薬剤師としての専門性をもとに患者さんのベストな治療について自らの見解をもつことが、チームオンコロジーでは求められています。

上野先生のコメントとともに、チームオンコロジーの新しい考え方を少し拝聴した気がします。

M.D.アンダーソン施設では、薬剤師の方のご活躍も患者と密接なサポート体制をとられているとのこと、医療者のみならず、患者も古い慣習にとらわれず、自主的に参加することが大事と理解しました。日本の現状とはすぐには合致しないところもあるかもしれませんが、力をあわせることで大きな希望と満足を生むのだと思います。

>主治医が積極的に「私が信頼する、薬剤師、看護士に」ーーーーをお願いしますあるいは説明を受けてくださいと医師が発言することが大切ですね。
>患者には医療従事者間の信頼関係は見えないので、患者と家族に見せる必要があるのではないでしょうか?

すばらしいチームですね。
そのとおりと思います。主治医から紹介、または薬剤師と話したいときは・・といった案内が必要かもしれません。

別件になりますが、市民講座でM.D.アンダーソンのKomaki先生のお話を聞く機会がありました。栄養についての質問に、栄養は大変重要なものだと考えていますというご意見でした。各科の栄養士さんが、化学療法などの前後の食事についてなど指導をされるというお話を聞き、興味深かったです。

記事内容を変更することはできません。記述を修正したい場合はコメント欄を使って補足・訂正を行ってください。