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治療とその選択
乳がんの手術 切除断端0.3mmの場合
ブラームス(東京都) 2013/06/15
乳がんのため右乳房全切除しました。
腫瘍径は0.5cm以下と小さかったのですが、再発リスクを1%でも下げるために全摘にしてもらいました。
しかし、術後の病理診断結果には、「断端 深部側 0.3mm」とあり、「margin close」とあります。
二人の医師に説明を求めましたが、自分の不安を解消するには至らず、毎晩のように再発する夢を見ます。 
心の問題と言われれば精神科に行くしかないと思うのですが、どうしてもムシして前に進むことができません。0.5ミリのシャープペンシルの芯を見て、ため息をついたりしています。
Kiは50%、核グレードは3。医師は放射線治療の必要はないと言われました。
本当に何もしなくてよいのでしょうか。
よいアドバイスを頂ければ助かります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

   
Re:乳がんの手術 切除断端0.3mmの場合
三浦裕司 (東京都) 2013/06/16
ブラームスさん

虎の門病院で腫瘍内科をしている三浦と申します。
お悩みのご様子で、心中お察し致します。
お二人の医師に説明をお受けになったとの事ですが、それは他院へセカンドオピニオンをお受けになったと言う事でしょうか?
Re:乳がんの手術 切除断端0.3mmの場合
ブラームス(東京都) 2013/06/16
三浦先生
早速お返事を頂きましてどうもありがとうございました。
私が手術を受けた病院は、二人の担当医がいます。

手術をしていただいた先生は「ちゃんととりきったから大丈夫」、もう一人の先生は「この病院ではこういうことはよくありますので心配ありません」、でした。

腫瘍径が0.4×0.4cmであり、浸潤していない部分も含めて0.5×0.4cm(手術前は1.2cm、浸潤していない部分も含めれば2.6cmといわれていたのですが)そんなに小さいのに全摘までして、なぜ肝心なところが0.3ミリになってしまうのか、自分の力では理解できません。
乳がんについては都内で有名な病院です。
自分のがんの位置が、深部側の悪い場所(脂肪まで浸潤していました)にあったのが悪いのですが、「このまま放置でよい」と言われても不安で仕方がない(悪性度が高いので)のが現状です。
0.4cmの大きさで局所再発したとき、悔やんでも悔やみきれないと思います。
検診ではひっかからず、自分でしこりを発見したのですが、最後までマンモには写りませんでした。
再発したときに、こんな小さい状態で見つけられる自信もありません。

グチばかりですみません。どうぞよろしくお願いします。
明日までに、今後の治療方針について決めてくる(ホルモン治療か、抗がん剤をプラスするか、オンコに出すか)ように言われたのですが、そこまで思考が到達できずに困っています。
Re:乳がんの手術 切除断端0.3mmの場合
ブラームス(東京都) 2013/06/16
三浦先生

たびたびすみません。参考になるかどうかわかりませんが、病理診断結果を書き加えます。

診断:
Invasive ductal carcinoma, papillotubular carcinoma breast, Bt+SNB,
area=A, 0.40*0.40 cm, n(0/1,i-),
margin close,  NG(3), ER(8), PgR(7), HER2(0),
g f, ly0, v0,
status:primary,UICC 7th:pT1a pN0 pM0Stage 1A,
Jap 17th:pT1a pN0 pM0 Stage 1

所見:  右乳腺 乳癌病巣数:1病巣
切除術 Bt+SNB 15.0×17.0×3.0cm
腫瘍径:0.40×0.40cm、腫瘍径 in situ ca 含む:0.50×0.40cm
組織分類:invasive ductal carcinoma, papillotubular carcinoma
核異型スコア:2 核分裂スコア:3(12/10 HPF)、核グレード:3
ER: Allred PS 5 IS 3 TS 8 PgR: Allred PS 5 IS 2 TS 7
HER2:score 0, 強陽性:0% 中等度陽性:0% 弱陽性:3%
波及度:gf, リンパ管侵襲ly:0  静脈侵襲:v0
断端:皮膚側:- 深部側:close, 0.3mm inv #26, 側方:-, 乳頭側:-
in situ ca+、EIC -, 娘結節-, comedo +,  石灰化 -, リンパ球浸潤 +
リンパ節転移:合計(0/1,i-)
UICC 7版:pT1a pN0 pM0 Stage 1A 規約17版:pT1a pN0 pM0 Stage 1

A領域に異型乳管上皮が腺管状、乳頭腺状に間質に浸潤する、invasive ductal carcinoma, papillotubular carcinoma が見られます。papillary,comedo type のductal component が少量見られます。

タイプミスがありましたら申し訳ありません。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
Re:乳がんの手術 切除断端0.3mmの場合
三浦裕司 (東京都) 2013/06/16
ブラームスさん

詳細な情報を誠にありがとうございます。

現時点での状況を受け入れる事ができてない中、次の治療方針を決めなくてはいけない、となるとさらに悩んでしまいますよね。確かに決定するのにあまり長い時間をかけてしまうと、治療効果(今後のホルモン治療や抗がん剤治療の)に関わる事もありますが、悩んだまま先へ進むのも良くないように思います。

以下のように主治医の先生に相談してみては如何でしょうか?
(全身治療であるホルモン療法は行うという前提で、局所治療を行うか否かという質問になりますが)

・断端陽性の患者さんで、局所治療の追加を行わなかった時、局所再発のリスクはどのくらいですか?
・断端陽性の患者さんに対する、標準的な治療はどうなりますか?(追加切除?放射線治療?など)
・その治療の局所再発予防の効果はどのくらいで、その治療の合併症にはどのようなものがありますか?
・その治療をするとしたら、どのタイミングで行うのがいいでしょうか?

局所治療をやる事のメリットがどのくらいで、やった事によるデメリット(治療の合併症や局所治療をやる事による全身治療開始の遅れ)がどのくらいかを判断してみてはどうでしょうか。

これらの質問も必ずしも何%みたいにはっきりとした答えにならない事になるかもしれませんが、主治医がどういう事を考えた上で、現在の治療方針を導きだしたのか、そして、その考え方が、ブラームスさん自身の価値観にあったものかを判断するのには、役に立つかもしれません。

これからもいろいろな悩みがあるかもしれませんが、主治医の先生や他の医療者にうまく質問をする事で解決することも多くあると思います。どんな風に質問すれば良いかについて分からない事がありましたら、いつでもご相談下さい。ブラームスさんの悩みが少しでも解消できるようお祈りしております。
Re:乳がんの手術 切除断端0.3mmの場合
ブラームス(東京都) 2013/06/16
三浦先生

大変ご丁寧なご回答を頂き、心より改めて感謝いたします。

これまでの担当医とのやり取りを付け加えさせていただきます。
「0.3ミリというのは断端が陽性であることに近いと思うのですが・・・・」と質問に対して、「この病院ではこれは断端陰性としています」と言われ、さらに「ガイドラインには1ミリ未満の断端の場合、放射線治療を考慮する、と書かれていますが・・・・」と質問したところ、「この結果で放射線治療をするならば、この病院の全医師を集めて合意をとらなければいけません」と言われ、このことについてそれ以上質問することができませんでした。(私は逆にそんなに変なことを質問したのかと驚きました)

したがって、明日私が「断端陽性」という言葉を使ったときにどういう反応が返ってくるか、それもまた不安になります。
何度もお答えいただき大変申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
Re:乳がんの手術 切除断端0.3mmの場合
三浦裕司 (東京都) 2013/06/17
既にいろいろとご質問なさっているわけですね。
乳腺外科医師に確認しましたが、乳房切除の深部断端であり、筋膜面までしっかり取れているなら局所治療の追加は行わなくてもいいのでないか、とアドバイスをいただきました。
主治医の先生がどういう考え(メリットとデメリットのバランス)で治療方針を決めているのかを知り、ブラームスさん自身が何を不安に思っているかを伝える事は、これからも治療を続けるうえで、とても大切なことです。はじめは勇気のいる事だと思いますが、良いコミュニケーションが築けるよう願っております。
Re:乳がんの手術 切除断端0.3mmの場合
ブラームス(東京都) 2013/06/17
三浦先生
早朝からわざわざ乳腺外科の先生に確認までしていただいて、本当に恐縮するばかりです。
家族、親戚の死因に「癌」という病名を聞いたことがなく、さらに「あなたの癌は非常に悪性度が高い」と言われ、そこから2ヶ月以上、薬を飲まずには眠れない日々でした。
でもこうしてお会いしたこともない先生方に、心優しいアドバイスをたくさんいただいて、頑張って乗り越えなければいけないと思いました。
今日は今後の治療について病院で先生とよく話しあい、早く全身治療に入って「完治」に向けて気長に戦っていく心構えができました。
心より厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

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