掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
閉経前乳がん患者に卵巣に放射線を照射して卵巣機能を断ち、アロマターゼ阻害剤を使用する
ロビン (東京都) 2013/07/12
いつもお世話になります。
閉経前乳がん患者にLH-RHアゴニスト+アロマターゼ阻害剤は、現時点で推奨されない事は、この掲示板の過去の回答を拝見して理解しましたが、卵巣に放射線を照射して卵巣機能を断ち、閉経前乳がん患者にアロマターゼ阻害剤を使用する治療方法があることを知りました。
下記質問の御回答をお願いします。

質問①
閉経前乳がん患者に卵巣に放射線を照射して卵巣機能を断ち、アロマターゼ阻害剤を使用する。
この治療方法のリスクやデメリットを教えてください。

質問②
必要最小限の範囲と照射強度で卵巣機能を停止する具体的な方法を教えて下さい。
(普通の放射線治療装置であるリニアックを用いて2グレイ×13回が一般的な方法らしいのですが、2グレイ×2~3回程度で生理が止まる迄の様子を見る方法もあると聞きます。
他にCT―リアニック等の最新鋭の機械を使用する方法などありましたら教えて下さい。)

質問③
この治療に大きなリスクが無いのならば、
・閉経前でもアロマターゼを使用できる。
・CYP2D6の活性による、タモキシフェンの効果の大小も気にすることがない。
・LH-RHアゴニストよりも経済的な負担が少ない。
などメリットが多い治療と思えます。
子供を望まない人にとっては、この方法を選択肢にしても良いと考えてしまいます。
先生方の御意見をお聞かせ下さい。

   
Re:閉経前乳がん患者に卵巣に放射線を照射して卵巣機能を断ち、アロマターゼ阻害剤を使用する
三浦裕司 (東京都) 2013/08/08
ロビン様

返信がとても遅くなってしまい誠に申し訳ありません。
虎の門病院臨床腫瘍科の三浦と申します。

リアルタイムの返信とならず、もしかしたら既に治療方針を主治医の先生やセカンドオピニオンでご相談になられた後かもしれませんので、参考程度にでもなりましたら幸いであります。

まず、ご質問の「卵巣への放射線照射+アロマターゼ阻害剤」に関しては、ごく少数の研究報告があるようですが、少なくとも標準治療と呼べるものではありません。即ち研究的(もしくは実験的)な治療という事です。これは、効果に関しても安全性に関しても全く不確実であるという意味です。
標準治療が確立している中で、あえて横道の治療を選択する時には、患者さんそれぞれの思い(例えば、より効果的な治療を探索したいなど)や大切にしている価値観や背景(例えば、許容できない副作用など)があると思いますが、それに関しては、ロビンさんの事を最も良く知る主治医やそのチームの医療者と相談する方が良いと思います。

また、標準でない横道の治療のひとつに臨床試験と呼ばれるものがありますが、この場合も、それを「実際に行う医師」から、その実験的治療のメリット、デメリット、方法などについて、詳しく説明をうける必要があります。今回の場合も、「卵巣への放射線照射+アロマターゼ阻害剤」という特殊な治療なため、このメリット、デメリット、リスク、詳しい方法などについては、実際この治療を勧めてい医師から確認する必要があると思います。

なぜ、標準治療であるタモキシフェンの治療でない、別の治療を受けようとお思いになったのか、その理由について、まずはしっかりと主治医の先生とご相談されると良いと思います。

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