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治療とその選択
IORTについて
Celia(海外在住) 2013/08/19
米国在住、48歳(閉経前)、浸潤がん(腫瘍1cm)
先日、執刀医との最初のコンサルテーションにてIORTを勧められ、IORTについて現在自分なりに調べています。 

治療期間の短縮、QOLの向上、コスト削減などのアドバンテージについての記述はいろいろ見つかるのですが、再発率の低減、生存率の向上などに関しては、殆ど見当たりません。

IORTの治験を行うにあたって、再発率についての仮説、ターゲットなどは、どのように考えられているのでしょうか。

私としては、IORTを受けることで、再発率の低減、生存率の向上につながるのであれば是非受けたいと思うのですが、あまりそれが期待できないのであれば、従来の放射線治療を受けたいと思っています。 また、IORTを受けることで、医師団の日程調整が複雑になり、手術日が遅くなることも心配しています。

いくつかの病院のサイトに、IORTのディスアドバンテージとして、手術で腫瘍が取りきれず、再手術になった場合、従来式の放射線治療を受けなければならない可能性がある、と書かれているを見ました。 もし、それが本当だとした場合、放射線を過剰にあびる心配はないでしょうか。

よろしくお願いします。

   
Re:IORTについて
豊田昌徳(兵庫県) 2013/08/25
Celia さん

治療方針を決めるのは、本当に難しいですね。日本ではまだ、IORTは標準治療ではありませんので、私の知る情報では不十分かもしれませんがご参照頂き、主治医団と再発率の低減、生存率の向上についてもご相談頂ければ幸いです。

2000年から始められたTARGIT-A trialという、IORTが従来のEBRTに比べて劣らないかどうかを比較した試験があり(非劣勢試験といいます)、温存された乳房の局所再発率が調査されました。結論としては、IORTとEBRTの局所再発率には統計学的な差はみられず(劣ってはいないという結論)、副作用の発現にも差がみられなかったようです。生存に関しては、現在のところ不明であるとしかいえなさそうです。

PubMed(医学の文献検索web site)でTARGIT-A trialを検索されると、医学的な情報は幾つかひっかかります。また、National Medical PolicyにもIORTの記載がありますので、ご参照ください。
https://www.healthnet.com/static/general/unprotected/pdfs/national/policies
/Intraoperative_Radiation_Therapy_IORT_Apr_11.pdf

現実的には、IORTが提案されているのであれば、主治医団とリスク、ベネフィットを十分にご相談されるのが最善と思います。

治療がうまくいくことをお祈り申し上げます。
Re:IORTについて
Celia(海外在住) 2013/08/28
豊田様

ご回答頂き本当にありがとうございます。
ご紹介頂いたサイトなどを拝見し、今はIORTを受けようかと思っているところです。

質問メールを送った後、MRIで影が見つかり、Ultrasounds→MRI/Biopsyと検査が進んでいます。 もし、この影もガンだった場合には、IORTは受けることが出来なくなると思います。 いずれにしても、主治医としっかり相談して治療方法を決めたいと思います。

まだ不安でいっぱいです。 そのような時に頂いた豊田様からのご回答はとても心に響きました。 本当にありがとうございます。

Celia

Re:IORTについて
豊田昌徳(兵庫県) 2013/08/28
Celia様

不安が拭い去れないこともあるかと思いますが、診断から治療、経過観察にいたるまで、信頼できる関係を医療者と築いていっていただければ、と思います。

時には、辛いこともあると思いますが、頑張ってくださいね。
Re:IORTについて
Celia(海外在住) 2013/10/21
豊田様

あたたかいメッセージをありがとうございます。手術を控えて心が折れておりましたが、前向きになることが出来ました。そのお礼になるかどうかわかりませんが、私の経験をご報告させていただきます。

手術は9月の末に受けました。悩んだ末、IORTを選択しませんでした。現在はオンコタイプDXの結果を待っています。

MRI生検で見つかったもうひとつの影はネガティブでしたが、手術の際にこの影の部分も一緒に取ること(biopsy)になりました。影が悪性腫瘍である可能性は低く、IORTの実施も可能であり、もし摘出した影から癌が見つかり全摘手術を実施することになった場合には、IORT治療部は摘出されるので心配なし、との説明を放射線科医から受けました。しかし、「不要になるかもしれない放射線治療」をどうしても受け入れることができず、IORTを選択できませんでした。

幸いにも影から癌は見つからず、再手術は必要ありませんでした。癌腫瘍が予測よりかなり大きかったにも関わらず、一度の手術で済み、執刀医の先生はじめ多くの人に感謝をしています。

怖かった手術も無事に終わり、少し気持ちに余裕ができてみると、術後の治療がなかなか始まらないこともあり、IORTを選択していれば、と考えることもありますが、選択肢が他にもある中、踏み切れませんでした。

化学療法、放射線治療、ホルモン治療とまだまだ初期治療は続きます。様々な副作用で自分が自分でなくなっていくことを想像してしまい、不安で胸が張り裂けそうです。ただ今できることは前に進むことだけということも理解しています。豊田様をはじめ、私の治療の為に心を砕いてくださった方々のご尽力を無駄にしない様、心を強く持ちたいです。

本当にありがとうございます。
Re:IORTについて
豊田昌徳(兵庫県) 2013/10/21
Celia様

ご報告ありがとうございます。
待たされている時間は複雑な心境になることもあると思いますが、これからも治療が順調に進むことをお祈り申し上げます。

また、
自分が自分でなくなっていくことを想像され、不安で胸が張り裂けそうであるとの心の動きをお伝え頂き、ありがとうございます。

我々、医療者は多くの患者様を診させていただくなかで、がんや病気に慣れてしまっているかもしれません。Celia様のお言葉より、一人一人の患者様に真摯に接する事がいかに大切であるか、改めて感じました。ありがとうございます。Celia様に、心の変化やご不安をお話できるような場があってくださればよいな、と思います。

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