掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
術後病理結果とオンコタイプDXの結果の相違と術後療法の選択について
ナナ(大阪府) 2013/12/27
いつも興味深く見させていただいています。
10月に温存手術をしました。現在放射線治療中です。
術後の化学療法について質問です。ご意見をお聞かせください。
50代閉経

病理結果
腫瘍の大きさ21×13×18ミリ
がんの種類乳管がん(硬がん)
核分裂スコア1
核異型度スコア2
核グレード1
リンパ節転移-
リンパ管浸襲-
脈管浸襲-
ホルモン感受性ER高
       PgR中
オールレッドスコアER 8
         PgR 3
HER2 +1(-)

オンコタイプDX
再発スコア26
ホルモン療法をしての平均再発率17%
ERスコア9 positive
PRスコア3.4 negative
HER2スコア13.3positive

また、術前の組織生検のときにMIB-1は 30%でした。

ホルモン感受性が病理では+ですが、オンコタイプDXでは PRがnegativeです。ホルモン感受性はあまり高くないと考えたほうがいいのでしょうか。
このような場合、術後の化学療法は必要でしょうか。必要な場合の選択はどうすればいいのでしょうか。

まず一番疑問に思うのは、病理ではHER2-で、オンコタイプDXではpositiveでした。どちらが信頼できるのでしょうか。


この結果を踏まえて、UFTの提案やTS-1の治験参加などを提案されていますが、再発を抑えるのに経口のUFTはやや不安です。

また10月に手術が終わっており現在は放射腺治療中ですが、順番としては、化学療法が先で、後から、化学療法をして効果が期待できるのでしょうか。オンコタイプDxの結果どおりHER2がpositiveだとしたら、化学療法が遅すぎないか心配でもあります。
現在、HER2の再検査をお願いしています。






   
Re:術後病理結果とオンコタイプDXの結果の相違と術後療法の選択について
Hiro(茨城県) 2014/01/10
ナナ様

ご質問に対し、返信が遅くなり申し訳ありません。体調などはいかがでしょうか。
文脈から乳癌について、非常によく理解されていらっしゃる印象を受けました。

基本的にこの掲示板はおひとりずつの治療方針を検討する場ではなく、皆さんと医療者の良いコミュニケ―ションが結べるようにもうけられておりますことをまずははご理解いただけますよう、お願い申し上げます。治療方針への助言的なコメントではありませんが、ご容赦をお願い申し上げます。

ナナさんの場合、乳癌の再発危険性や今後の治療方針決定の段階で、病理学的なホルモン受容体やHER2の評価と、オンコタイプDxという比較的新しい検査方法の結果が一致していないことについて、疑問をもたれてらっしゃるのですね。

乳癌だけではなく、医学的には様々な検査で起こりうることですが、検査方法の違いにより、結果が異なって見えることは比較的よく経験いたします。原因としては検査方法が違うため、方法は同じでも施設により検査手法が異なるため違った結果となる場合、ひとつのしこりの中にもERがプラスのところとマイナスのところがあり検査に用いた部分で結果が異なる場合、等々様様々な要因が考えられます。

今回のナナ様の場合も病理学的な免疫染色はタンパク質の発現を見ており、オンコタイプは遺伝子発現を見ているため、名称は同じでも異なったものを異なった方法で検査しています。オンコタイプは比較的新しい検査手法でもありますが、免疫染色や後述するHER2のFISH検査と一致しない場合があることは数%-10%程度は起こりうるとされています。
どちらか信頼度が高いかについては決定的なエビデンスはついておりません。どちらを信頼するかは医療者との相談が重要になってまいります。

HER2の再検査と書かれていらっしゃいますので、おそらくされておられるかもしれませんが、HER2に関してはFISHもしくはCISH法という病理学的に遺伝子発現を評価する方法もありますので、主治医の先生と検討してみても良いかと思います。免疫染色が陰性でもFISHなどが陽性であれば化学療法+抗HER2療法の適応と考えられます。

放射線治療と化学療法の順番についてはどちらが先でも大きな問題とはならないと考えられます。焦って治療方針を決める、あるいは悩みすぎて治療の開始が遅れるよりも、必要なことを順々に行っていかれている今の方針で問題ないと存じます。

検査については絶対的なもの、確実なものが未だなく、ある程度の曖昧さが存在します。それを踏まえてどの様な治療方針が一番納得できるのか、良い選択肢が見つけられますよう、お祈り申し上げます。
Re:術後病理結果とオンコタイプDXの結果の相違と術後療法の選択について
ナナ(大阪府) 2014/01/10
Hiro様

ご丁寧なコメントありがとうございます。

術後病理検査とオンコタイプDXでのHER2が違うこともありうるのですね。病理がHER2たんぱくの発現、オンコタイプDXはHER2遺伝子の発現をみているのですね。当然一致するものかと思っていました。
また放射線と化学療法の順序が違っても大丈夫だとわかって大変安心いたしました。再検査がFISH法かどうかわかりませんがその結果をみてしっかり考えて主治医ともよく話し合っていきたいと思います。


年末年始を挟み次回の診察まで1が月あり不安に思いこちらに書かせていただきました。申し訳ありませんでした。

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