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治療とその選択
髄様がんの治療について
ZOO(長野県) 2014/01/14
髄様がんについて教えてください。

手術後の病理結果で特殊型である髄様がんとのことでした。
髄様がんについて調べてみましたが特殊型であるためかあまり情報が得られないのですが、ガイドラインを見ると術後の治療はリンパ節転移陰性なら術後化学療法は必要ないかもしれない、省略することが多い、とありました。
恐れ入りますが下記2点について教えていただけませんでしょうか。

(1)髄様がんというのはどういった特徴の乳がんなのか教えてください。

(2)術後化学療法が省略できるかどうかは具体的に何によって判断するのでしょうか。

私の病理結果は以下の通りです。
・34歳
・腫瘤では強い核異型の強い合胞状癌細胞の胞巣状浸潤像を認め、ときに奇怪核を散見します。コメド懐死を伴い周囲に乳管内進展を伴っています。間質には豊富なリンパ球・形質細胞浸潤が認められます。
・Left,C,16×11×11mm,
・Carcinoma with medullary features, pT1c, f, ly0, v0, pN0, Stage 1A.
・Nuclear atypia 3, mitotic counts 3, Nuclear grade 3.
・ER 0, PR 0, HER2 1, Ki-67 90%.

以上、よろしくお願いいたします。


   
Re:髄様がんの治療について
Hiro(茨城県) 2014/01/21
ZOO様

返信が遅くなり申し訳ありません。
乳癌の術後とのことですが、体調はいかがでしょうか?
私は乳腺外科医であり、ZOOさんの髄様癌についてのご質問にたいし、私なりのお答えをしたいと思います。

1)髄様癌というのは乳癌ですが、その中でも特殊系に分類され、比較的稀(乳癌の5%以下)な特徴を有する癌とされています。通常は病理学的所見でその形態や周囲の組織のリンパ管侵襲などを元に髄様癌であるかどうかを判断します。若年に多い、ホルモン受容体(ERやPR)が陰性が多い、HER2陰性が多く異型度は高い症例が多いなどの特徴が報告されています。

元々の頻度が少ないため、術後化学療法の効果を確認する臨床試験では髄様癌のみを対象にしたものは検索した限りありません。いわゆるトリプルネガティブ乳癌の範疇には入るのですが、様々な術後薬物療法などの臨床試験に入った方のうち、髄様癌の方の予後を後から解析した結果では、浸潤性乳管癌(一般的なトリプルネガティブ乳癌と比較しても)に比較して低いことが多いことが報告されています。これは元々の再発リスクが低い可能性が最も考えられますが、また治療が非常に効果的であった可能性も考慮されます。

2)化学療法を省略できるかどうかを判断する基準は確定的なものはな胃のが現状です。しかしながらこれまでの報告からは髄様癌の場合であっても、ほかの癌と同様に、腫瘍の大きさやリンパ節転移の有無が予後因子となることは報告されています。

本来の術後化学療法の意味は再発をできるだけ減らすことにありますが、元々の再発リスクが少なければ化学療法のメリットがあまり大きくないと解釈できるので、やはり元々の再発リスクの評価が一番重要になります。
ZOO様の腫瘍が髄様癌であることが確実なのかどうかなどもポイントとなると思います。

治療の選択は難しいものではありますが、判断のためのご参考になればと思います。

Re:髄様がんの治療について
ZOO(長野県) 2014/01/26
Hiro様

回答いただき、ありがとうございます。

ホルモン受容体陰性、異型度が高いと再発リスク評価は高いと判断されると思いますが、それが髄様がんの特徴で予後が良いケースが多いというのは、なんだか矛盾しているようにも感じてしまいますね。。
Ki67も高いのですが、これも髄様がんと特徴なのでしょうか?


治療については通常のトリプルネガティブとして治療するしかないということは理解しました。

乳癌学会発行の乳がん診療ガイドラインに、「ホルモン受容体陰性・HER2陰性となりやすい髄様がんといった再発リスクが低い特殊な乳がんに対しては化学療法を行わないこともあります。」との一文があったため質問させていただいた次第です。






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