掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
ハーセプチン単独投与について
さとこ(埼玉県) 2014/05/12
37歳で昨年末に乳房全摘の手術を受けました。

ステージ Ⅰ期
HER2陽性 3+
ホルモン受容体陽性
脈管侵襲なし

現在術後治療中です。
FEC療法4回を終え、ドセタキセル+ハーセプチン、その後にホルモン療法を予定してましたが、ドセタキセルで2回アレルギー様症状が出てしまい、殆ど投与出来ずに中止となりました。(ハーセプチンは同じ日に問題なく投与)

3回目にあたる日に主治医から話しがあり、ホルモン療法もハーセプチンも効くタイプなので抗ガン剤の投与は止めてハーセプチン残り16回とホルモン療法(ノルバデックス1日1錠)で行きましょう。ということになりました。

色々調べているなか「ハーセプチンは抗ガン剤と併せることで効果があがる」「ハーセプチン単独投与ではあまり効かない」などを目にし不安を感じています。
ハーセプチン単独投与は抗ガン剤を併せたときと比べて、効果が変わってしまうのでしょうか?

調べるとアレルギー様症状が出にくい抗ガン剤もあるなか、主治医からはその抗ガン剤の話しはなく、自分から話しをと思ったものの副作用やアレルギー様症状のことを考えるとやらないで済むならと思う反面、効果のことを考えると不安です。

自分が安心して納得して治療を受けられるように、お力をお貸し頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。

   
Re:ハーセプチン単独投与について
横田(海外在住) 2014/05/14
さとこ様

がん診療に携わる薬剤師です。

ドセタキセルのアレルギー様症状が出現し投与が中止、主治医の先生とのお話で抗がん剤の投与はしない方針となり、心配されているとのことですね。

ドセタキセルによる急性過敏反応(アレルギー症状)のこと、ハーセプチンと併用可能な抗がん剤についてお答えしたいと思います。

一般的にドセタキセルによる過敏反応は添加剤の「ポリソルベート80」が原因で起こるといわれています。
また薬の溶剤としてアルコールを含むため、特にアルコールに過敏な方はアルコール無しで投与する必要があります。
過敏反応には痒み、皮膚の赤み、蕁麻疹のような軽度のものから、全身性の症状(息切れ、胸や喉の閉塞感、血圧低下、意識低下)のような重症で生命に関わるものがあります。
どの抗がん剤でも共通のことですが、過敏反応が起こった場合には、「投与の中止・治療の変更」もしくは「次回投与前にその症状を抑える薬(副腎皮質ステロイド剤、抗ヒスタミン剤:「前投薬」と呼んでいます)を使って十分な注意のもと投与継続」をその程度と治療の重要性を考慮して判断します。

また、ハーセプチンと併用する抗がん剤の選択肢として第一に「パクリタキセル」が挙げられます。
ドセタキセルと同系統のお薬で、同様に急性過敏反応の頻度が高く十分な注意が必要となります(アルコールも含んでいます)。
パクリタキセルによる過敏反応は添加剤の「ポリオキシエチレンヒマシ油」が原因と考えられていますが、特にドセタキセルで過敏反応の既往のある方に投与する場合は、同様に症状が起こる可能性があるため十分な前投薬と注意深い観察、投与速度をゆっくりにする等の対策をする必要があると思います。


さとこ様が最初にドセタキセルを投与された時の症状の度合いやその時の対応はどのようなものだったでしょうか。
2回目の投与の際に症状を抑える前投薬を使ったかどうか、アルコールを含んでいたかどうかについて、主治医や他のスタッフからお話がありましたでしょうか。
その内容に応じて、ドセタキセルの再投与やパクリタキセルへの変更が可能かどうかの判断が変わってくると思います。

抗がん剤を併用した方がよいかどうか、の判断のために
術後の再発リスクはどの程度か、再発予防効果の期待できる抗がん剤は何か、
ドセタキセルやパクリタキセルを投与することによるアレルギー症状のリスク

について、一度主治医の先生に相談してみてはどうでしょうか。

さとこ様が納得して治療を継続していくための一助となれば幸いです。

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