掲示板「チームオンコロジー」

Bulletin board

治療とその選択
浸潤癌の皮下乳腺全摘術
ゆゆ (愛知県) 2014/07/11
はじめまして。

2か月ほど前に右乳癌皮下乳腺全摘術をうけました。
針生検で非浸潤との診断、しこりも7mmほどだったので主治医もおそらく浸潤していないから温存でいけるとの事でしたが、全摘を選びました。乳首を残す方法もあると言われた為深く考えずに、残せるならと皮下乳腺全摘になりました。
ところが術後の病理で浸潤が見つかりました。
乳癌学会のHPなどを見ても、浸潤癌にこの術式はあまり適応にならない事、また全摘よりも局所再発率が高くなるとの事で後悔しています。
乳癌のできた場所は胸の上の方(乳首の2㎝ほど上)でした。
痩せ形で胸も小さく、あまり脂肪のない、乳腺の端にできたため、皮膚との距離はあまりない状態だったようです。
主治医に乳頭乳輪、針生検の痕やしこりの真上の皮膚の再切除をお願いしましたが、手術で取りきれているから必要ない、放射線照射も意味がないと言われました。

質問ですが
①針生検の痕や乳頭乳輪からの再発率は浸潤癌の場合は高いですか?
②再切除をする(してもらえる)方法はないでしょうか?
③放射線は本当に意味がないのでしょうか?
④脂肪がないため、肋骨が浮き上がっています。局所再発したらそのまま胸壁や肋骨に転移する事になるんでしょうか?再建をしたら大丈夫でしょうか?

42歳閉経前、乳頭腺管癌、乳管内進展1㎝のうち浸潤部6ミリ、ER、PgRとも70~80%、HER2 1+、核グレード2(2+2=4点)、
Ki67 4%、リンパ転移なし、脈管侵襲なし。
現在リュープリンとノルバデックスのみの治療です。

グレード2という事もあり、局所再発の事が頭から離れず不安です。よいアドバイスを頂けたらありがたいです。よろしくお願いします。

   
Re:浸潤癌の皮下乳腺全摘術
S(東京都) 2014/07/15
ゆゆさん、こんにちは。
まずは、手術を無事に終えられてお疲れさまでした。ご質問に関して、いまわかっている範囲でお答えいたします。

1. 針生検のあとから再発することはきわめてまれだと言われています。温存術でも全摘でも針生検のあとを切除することは少ないです。乳頭乳輪からの再発も同様に多くはありません。皮下乳腺全摘は、原則として非浸潤癌に対する術式ですが、浸潤癌であっても再発リスクの少ない場合で断端を確実に確保出来るときには、比較的広く行われている術式です。ゆゆさんの病気の状態では、オプションとして十分許容されると思います。
2. いただいた情報から判断する限り、断端は確保されていると思います。断端が近いからと言って再発が増えるわけではありませんので、追加で切除する意義はあまりないと思います。
3. 温存術の場合は残存乳腺からの再発を抑制するために、全摘の場合には再発リスクの高い場合(しこりが大きいときやリンパ節転移の個数が多いとき)に、放射線治療を行います。今回の場合、乳腺はすべて取りきれていますので、放射線治療によるメリットはないと考えられます。
4. 局所再発のリスクは非常に少ないと思いますが、万が一再発したとしてもいきなり周囲に浸潤することはありません。また、ほとんどの局所再発は早期に自覚症状で発見されることが多く、浸潤するまで気付かないと言うことはまれです。

グレード2であることがご心配なのですね。病理の項目は、見れば見るほど不安に見えて来てしまいますよね。病理学的な評価は一つの項目を重視するわけではなく、その他の情報を含めて総合的に判断します。また、グレード1や3に比べて、グレード2は病理医によって判断の幅が広く(広くならざるを得なく)、治療選択の際にはあまり重視しません。拝見する限り、しこりも小さく、浸潤部の大きさも小さいです。生物学的にもおとなしいタイプです。残念ながら現在の医学では再発をゼロにすることは出来ません。だからこそ、メリットとデメリットのバランスを考えて、納得して治療を選択して行くことが必要です。
ご心配はつきないと思いますが、納得できるよう主治医の先生としっかりお話しされることをお勧めいたします。
Re:浸潤癌の皮下乳腺全摘術
ゆゆ (愛知県) 2014/07/16
丁寧でわかりやすい説明をありがとうございます。
ネットで検索するといろいろな情報があり、不安になる事が多いです。
浸潤径も小さく早期発見だと言われても、浸潤している以上必ず再発リスクはあり、それを一生気にしながら生きていかなくてはならないのかと思うと気持ちが沈みます。

治療に関しても、本当に抗がん剤は必要なかったのか不安です。(必要だったとしてももう遅いですが)

でも先生にコメントを頂き、少し気持ちが落ち着きました。
前向きに治療を受けたいと思います。
本当にありがとうございました。
Re:浸潤癌の皮下乳腺全摘術
パンダ(長野県) 2016/01/19
手術方法で悩んでいます。
A医師:部分摘出(B医師の紹介)
B医師:全摘(検診時の医師)

B医師の診断で癌の可能性があり、手術施設のあるA医師を紹介していただきました。
診断結果は下記です。
両名のアドバイスが違うため、手術方法のの判断に迷っています。
下記の状況の場合、何を持って判断すれば良いでしょうか?



MR所見
右乳房D領域の乳頭近くに約10×7㎜大の不整形結節(+)
やや緩やかに増強され、後期にやや下がるパターン
その乳頭側にも小結節(+)その他にも少結節散在
DCISの可能性(+)と思われる
また乳頭より遠位側にも少結節(+)
上記結節影と連続するような位置にあり、DCISの一部であることを
否定できず。
左乳房にもやや結節様に増強される部位が認められますが、増強は
漸増増、腫瘤と断定できず。
MR診断
右D領域の結節と、乳頭側や遠位側に散在する少結節。
DCISの可能性否定できず。

病理検査結果
右乳房、針生検に検体。約4本の組織が採取されています。
種々の程度に拡張した乳管が多数見られ、これらの内腔には腫大した核を有する異型
細胞が充実性~一部管腔形成性のパターンを増殖する像が見られます。
間質への浸潤も部分的に伴っています。脂肪組織への浸潤を疑う画像も見られます。
DCIS+浸潤性癌と考えられる。
癌細胞の核は核異型スコア2点、核分裂像スコア1点、核グレード1
Re:浸潤癌の皮下乳腺全摘術
y(千葉県) 2016/01/21
パンダさま
2人の医師に違う選択肢を提示されて迷っておられるんですね。大事なおからだのことですから、迷われるのは当然のことと思います。たいへん申し訳ないのですが、MRIと病理診断の結果の解釈は、直接診察させていただいていないということもあり、コメントは控えさせてください。術式に関する考え方について参考になればと思い、少しコメントさせていただきます。

がんを治すための手術は、がんをきれいに取り除けることが前提になります。長期的にみた場合、治る、治らないを術式が分けるわけではありません。
パンダさまの、手術の方法で迷われているポイントはどのようなことでしょうか?
温存術(部分摘出)か乳房切除(全摘)をするかは、多くの方は、 外見の変化、術後の治療、再発のリスクなどがポイントとなるようです。
①温存で乳房がきれいに残せるか
・・・ これは、腫瘍の大きさ、場所、乳房の大きさなどが影響します。
②温存術後の再発予防の放射線療法を許容できるか
・・・とはいえ、全摘をしても手術の所見により放射線療法が必要な場合もあります。
③温存後の追加切除や再手術のリスク
・・・温存は取り残しや新しい乳がんができる場所を残すことにもなります。 

医師は、このほかにもさまざまなデータをもとに、ご本人のご希望などから総合的に判断すると思います。ぜひ、迷っているということを伝えていただき、それぞれの治療の特徴と勧める理由を聞き、そしてご自身の大事にしたいことを照らし合わせて、選択していただくのがよいかと思います。
難しい決断にはなるかもしれませんが、主治医や看護師などと十分話し合い、パンダさまの納得のいく選択ができることを願っています。
Re:浸潤癌の皮下乳腺全摘術
パンダ(長野県) 2016/01/21
術式に関するコメントありがとうございました。
自分が何で迷っているのか整理できました。

まず1番は癌を取り除くことで間違いないのですが、やはり審美性も気になっています。

当初は腫瘍が近い部分に二箇所だけという事だったので、部分切除と決めていましたが、最終に診察時には離れたところにもう一箇所あるため、大き目に取り除き手術時に乳頭も切除する可能性もあると。
手術後再発し、また手術という事にでもなったら、再建はできなくなりますよね。
それなら最初から全摘をしたほうが良いと考えました。

初期であるし部分で対応可能と言われていますが、全摘の決断は行きすぎでしょうか?

明日PET検査をすることになっています。
初期でも必要なのでしょうか?
組織検査の病理結果も出てないうちに、手術日の予約も迫られ不安です。
Re:浸潤癌の皮下乳腺全摘術
y(千葉県) 2016/01/23
パンダさま

手術方法の選択に悩みながら、PETなどの検査や手術日の予約を迫られるなど、お気持ちに緊張や不安を抱えて、とても大変な日々かとお察しします。
少しでもお役に立つことができれば幸いと思い、コメントさせていただきます。

がんを取り除き、かつ、審美性も大事にしたいというお気持ちで全摘を選択されたのですね。
お気持ちを決めるのはつらいところもあったかと思いますが、パンダさまが納得のいくまで考えて選んだ選択こそが、パンダさまにとって最善の方法です。
気持ちが揺れ動いたり、新たな気がかりが出てくることもあると思います。その中では、現在のパンダさまの病気の状況を一番よくわかっている主治医との話し合いは重要です。
「私はこう考えてこう選択したけれど、ここが気になっているので教えて下さい」
「これは何を調べるための検査ですか?」
「手術の日程を決める前にこのことを教えて下さい」
などと伝えてみるのはいかがでしょうか?

もし、外来受診時に主治医と話をするのが難しいと感じることがあれば、
・気がかり、心配なこと、質問したいこと、自分が大事にしたいこと、伝えたい
ことをメモに書いて持って行く。
・看護師などに気持ちを話してみたり、主治医との橋渡しを頼んでみる。
・当日急だと時間をとるのは難しいかもしれないので次にこの話をしたいと伝えて時間をとってもらう。
といった方法もよいかと思います。

パンダさまの大事なおからだと今後の生活のためによりよい選択を、主治医や看護師などとパンダさまが十分話し合って一緒に治療を乗り越えていけることを願っております。

記事内容を変更することはできません。記述を修正したい場合はコメント欄を使って補足・訂正を行ってください。