掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
術後抗がん剤の要・不要について
M J(福岡県) 2015/02/05
はじめまして。

今年の年明けに右乳房切除の手術を受けました。
痩せていて乳房が小さく浸潤がんが皮膚に近いところにあった(表面から見てわかるところにあった)ため、浸潤がんの周りの皮膚も若干切除しました。

41才、閉経前です。

病理の結果は、
乳頭腺管癌
切除断端 陰性
浸潤がんのサイズ 1.2×1.1cm(周りに5.2×2.3cmの範囲で非浸潤がんがあり、さらに乳頭をはさんで対極にも2.0×1.9cmの非浸潤がん、その他にも微小な非浸潤がんがいくつかあったとのこと)
センチネルリンパ節転移 なし(0/6個)
核異型度 3
Ki-67 4.9%
ER 陽性(80%)
PgR 陽性(95%)
HER2 2+、FISH法で陰性

主治医の先生からは、ホルモン陽性、HER2陰性なので、術後はホルモン療法のみでよい、と言われました。
確かに、St.Gallen2013の表からすると、ルミナルAのようなので、ホルモン療法だけでもいいようにも思えますが、
核異型度3であったことと非浸潤がんが広範囲にわたっていたことが気になっています。

ネットや本などで調べると、核異型度3はやはり悪性度が高く再発率が高い、と書いてあり、数年前までは、「核異型度3」も抗がん剤治療を受けたほうがよいとされる因子のひとつだったようですが、現在ではどうなのかがわかりません。

主治医の先生は、「核異型度は気にしなくていい」、「(2009のSt.Gallenの表を見て)これは古いから」と言われましたが、気にしなくていいものならなぜ検査があるのでしょうか?

・現在の核異型度の扱いについて
 (抗がん剤の適用に影響しないのかどうか)
・非浸潤がんが広範囲にあったということは、他にも微小ながんがある可能性が高いということか

について教えていただけないでしょうか?

よろしくお願いいたします。

   
Re:術後抗がん剤の要・不要について
Y.Kojima(神奈川県) 2015/02/08
MJ様
主治医の先生とうまくコミュニケーションを取りながら、ご自身の状態についてしっかり把握されている様ですね。
その「古い」「St.Gallenの表」を見てみますと、治療方針を決める際には複数の因子を総合的に判断しておりまして、決して一つの因子だけで全てが決まっているわけではないことに気付かされると思います。核異型度と申しましても、人間が判断するもの、絶対的な尺度ではないのです。
微小ながんは手術で取りきった組織の中を調べたら見つかったのであって、体の中にはもうないと思っていてよいと思います。ですが、がんという細胞は肉眼や画像検査では認識できない様な小さな単位で体内に残っている可能性があります。これを放っておきますと、十数年もかけて再発してくることもあるのです。それを防ぐ為に補助療法といって現在お受けになっているホルモン療法が必要になってきます。
因みに切除した腫瘍組織を用いて再発のリスクを点数化する遺伝子検査OncotypeDXというものもあり、その結果に基づきまして治療を選択することもできるかも知れません。但し、保険がききませんので40万円前後と非常に高価なものですし、取り扱ってないご施設もあるかも知れません。主治医の先生と治療方針について、納得できるまで、引き続きコミュニケーションとられることをお勧め致します。
Re:術後抗がん剤の要・不要について
M J(福岡県) 2015/02/08
お忙しいところご返信ありがとうございます。

非浸潤がんが広範囲に散らばっていたことはあまり気にしなくていいということでしょうか?

核異型度については、何を見ても「悪性度が高い、再発リスクが高い」を書いてあるので気になってしかたがありません。

主治医の先生からは、「病理の結果、再発リスク10%、ホルモン療法をやったら4割程度リスクを下げることができる」と言われましたが、その「10%」が何を根拠にしたことなのかを聞きそびれてしまいました。
これはステージIの一般的は再発リスクなのでしょうか?

ホルモン療法については、主治医の先生から、「治療方針に納得してから治療を始めたほうがよい。通常抗がん剤から先に始めるので、ホルモン療法から先に始めたことはない」と言われて、まだホルモン療法を開始していません。

通常術後1-2ヶ月以内には薬物療法を開始するようなので、判断に迷っていて開始が遅れることについても心配していますが、どうすればいいのかわからず困っています。


病理の結果について、手術前に他の病院で針生検(パコラ)を受けた時には、「核異型度2、充実腺管がん」だったものが、今回の術後の結果では、「核異型度3、乳頭腺管がん」でした。
このことについては主治医の先生も、「病理医によって若干見方が違ったりするから多少結果が違うことがある」と言われていたのでやはりそういうものなのでしょうか?
また、「うちは病理医一人でやってるから忙しい」と言われたことがあり、疑っていたらきりがないのでしょうが、病理の結果にも少し不安を感じています。

病理標本を郵送して自費で検査を依頼する「病理セカンドオピニオン」というものがあるようなのですが、そういったものを受ける意義はあるでしょうか?

あるいは、受けるのであれば、ご回答でいただいた遺伝子検査のほうがいいのでしょうか?

遺伝子検査について必要ないか主治医の先生に確認した際に、「うちではやったことないからどうやって検査に出すのかよくわからないなぁ。確かアメリカに送るんでしょう」と言われたので、受けたい場合はどこか取り扱いをしている他の病院に行かなければならないのでしょうか?

遺伝子検査(オンコタイプDX)は通常3-4週間かかるようなので、検査を受けてみたい気持ちもありますが、結果が出た頃には術後3カ月位になってしまうので、今からでは遅いのではないかと思っていますが、いかが思われますか?

あるいは、とりあえずホルモン療法を開始した後に、遺伝子検査を行い、その結果によっては、「ホルモン陽性、HER2陰性」タイプの乳がんに効く可能性が高く、ホルモン療法と併行して行う経口タイプの抗がん剤(TS-1、UFTなど)があるようなのでそういうものを追加、というようなこともありなのでしょうか?

最終的には主治医の先生と相談して決めることでしょうが、診察時間も限られており、次の診察までにある程度自分で前もって知識をつけておきたいと思っております。

再度長々と申し訳ありませんが可能な範囲でご返信いただけますと幸いです。

よろしくお願いいたします。
Re:術後抗がん剤の要・不要について
Y.Kojima(神奈川県) 2015/02/08
MJ様

核異型度の結果が不安の様ですね、心中お察し致します。
どの様な情報源をご覧になっておられるのかは、分かりませんが、ご心配になる気持ちが強いことはよく伝わって参ります。

主治医の示した「根拠」についても、直接お聞きになるのが良いと考えます。
いずれにしましても、過去のデータの蓄積から、条件を揃えた上で、再発リスクを類推することができる、ということであるとご理解下さい。

病理所見に関しても、針生検で取れて来た部位と手術で核異型度を判断した部位は異なることも予想されます。検査には常にぶれがございます。それも加味して、得られた情報から総合的に判断することを日々行っております。

病理の所見に限らず、治療方針も含めて、主治医の意見と同じなのか、異なる意見があるのか、 についてはセカンドオピニオンをお受けになられることを強くお勧め致します。セカンドオピニオンを受けてくることも主治医と良好なコミュニケーションを取る一般的な方法の一つです。複数の専門医の意見を聞き、理解、納得そして不安が解消されますことをお祈り申し上げます。

Re:術後抗がん剤の要・不要について
M J(福岡県) 2015/02/10
再度のご回答ありがとうございます。

セカンドオピニオンを受けることにしました。

もう1点可能であれば教えていただきたいのですが、
再発リスクの算出方法は、標準治療を行なっている病院であればだいたいどこも同じなのでしょうか?
それとも、決まった算出方法があるわけではなく、病院によってまたはお医者さんによって、多少違ってくるものなのでしょうか?(たとえば、病院によって、核異型度を重視するところとあまり気にしないところがある、など)

度々申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
Re:術後抗がん剤の要・不要について
Y.K(神奈川県) 2015/02/13
標準治療を行っている病院であれば、エビデンスに基づいて患者さんへの説明や治療を提供している筈ですので、自ずと提示されるデータは同じになると考えます。
すくなくとも、著しく異なることはないはずです。

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