掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
TIL療法の臨床試験について
石井  昭子(秋田県) 2015/02/13
はじめまして。40代の乳癌(肝臓転移)女性です。米国のTIL(tumor-infiltrating lymphocytes)臨床試験を検討しておりますが、以下の点について御教示頂ければ幸いです。

1. 乳癌(肝臓転移)もしくはその他固形癌の患者に対する治療効果とその持続時間のデータはございますでしょうか。

2. 肝臓転移巣のサイズによって治療効果に差違はありますか。例えば、肝臓転移巣の中で、最大直径のものが約2.1cm,小さいもので約0.5-1cmでしたら、期待できる治療効果は異なりますか。サイズの違いにより、体外培養可能のTILもしくは抗癌活性のあるTILが切除した固定癌の中に存在しない可能性もあるのでしょうか。

宜しくお願い致します。

   
Re:TIL臨床試験について
匿名(千葉県) 2015/02/16
TILとは術前化学療法や術後化学療法のように、切除可能乳癌において良好な治療の反応や再発の低下を示唆するマーカーですが、いまだ研究段階で確立したものではありません。乳がんのサブタイプや治療レジメンによって異なる反応を示す可能性もあります。少なくとも転移性乳癌のように複雑な背景のある患者では、まだまだ不明点が多く今後の臨床研究の結果が待たれます。つまり御質問の内容に関しては分からないというのが現時点での回答になると思います。

質問の内容に関して気になる点があります。患者さんからはTILの臨床試験を検討しているとのことですが、TIL自体は治療効果の目安になるかどうかのマーカーとして研究されているものであって、私が認識しているTILはそれ自体が治療薬ではありません。もしかするとTILを用いた新薬での研究とか免疫療法としてのリンパ球輸注のことを示しているのではないかと推察しました。ただ、この臨床試験がどういう内容かに関わらず、結果が分からないから研究を行うのであるということを認識する必要があります。もちろん試験では仮説と言って、どういう結果を期待しているのかを示すために行っているので、その点については主治医とよく相談してください。試験は必ずしも期待している結果にならないこともあるのです。

以上の点を総合して推察すると、患者さんは免疫療法としてのリンパ球輸注が転移の大きさによって治療効果に差があるのか気になるというのが質問の内容になると思われました。治療を行った結果として、がん組織にリンパ球が集まってくるとよい治療効果が期待できるという仮説は妥当と思われますが、治療を行う前にがんが大きいから効きにくいとか、小さいから効きやすいとかは現時点では結論付けられておりません。

最近CAR-Tというリンパ球の輸注で劇的な臨床効果を示す治療が開発されつつあります。ただこれも研究段階であり、世界中の研究者はいかにして副作用を減らすかを検討しており、本当に有益な治療であるかは不明です。
Re:TIL臨床試験について
石井 昭子(秋田県) 2015/02/16
丁寧なコメントを頂き感謝申し上げます。ご意見を吟味し主治医と良く相談して参りたいと思います。

こちらの説明不足をお詫び申し上げます。
ご察しのとおり、腫瘍浸潤Tリンパ球療法のことで、癌組織を取り出し癌細胞に取り付いているリンパ球を増殖・活性化させ、これを再び体内に戻して癌を攻撃することを期待する療法です。現在の懸念は、私の肝臓転移巣のサイズが小さく(1cm未満が多数)期待するTILを取り出せるかどうかという点です。

CAR-T療法も検討しておりますが、残念ながら乳癌や他の固形癌に対する効果は理想的ではないと聞いており、現在のところ私のような転移性の乳癌患者を募集している臨床試験はございません。

今後とも宜しくお願い致します。

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