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患者と医療者のコミュニケーション
ラロキシフェンは乳がんの再発転移予防の効果は無いのでしょうか?
風香 (埼玉県) 2015/03/08
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
どなたかがこちらに、乳がん術後にタモキシフェン服用後子宮副作用によりラロキシフェンに変更と投稿をされていましたが、ラロキシフェンは、新規乳がん発生予防に効果はあっても、再発転移予防の効果は無いと聞いており、私も子宮内膜増殖と骨粗鬆症(閉経後)に悩んでおり、ラロキシフェンを使用できたならと関心を抱いているため、表題のご質問をさせて頂きました。
4年前の薬剤師の試験問題に、ラロキシフェンの再発予防効果を大がかりに調べる研究が開始されている旨の記述があったようですが、何か情報がありましたらお教え頂ければ誠に有難く存じます。

Re:ラロキシフェンは乳がんの再発転移予防の効果は無いのでしょうか?
fm(神奈川県) 2015/03/19
ご返信遅くなりまして大変申し訳ございませんでした。病院で薬剤師をしている者です。
風香さんがたいへん勉強熱心であることがわかり、もう既にご存知の内容かもしれませんが少しでも情報提供となればと思いお伝えさせて頂きます。

ラロキシフェンは日本では閉経後骨粗しょう症に用いる薬です。子宮や乳房に存在するエストロゲン受容体(ER)には作用せず骨にあるERに作用することで選択的な効果(骨代謝を改善、骨密度上昇)をもたらすと考えられています。乳房に対しては抗エストロゲン作用をもたらすのではないかということでこれまでに複数の試験がなされ、従来使用されているタモキシフェンと比較しラロキシフェンは劣らないのではないか?とか、ホットフラッシュなどの副作用も少ないのではないか?という結果が出ました。これを受け、アメリカでは閉経後骨粗鬆症の女性、または浸潤癌の高リスクがある閉経後女性に対し浸潤癌リスク減少のために適用が追加されました。

エビデンスは構築途中であり、残念ながら今のところ日本での適用追加はなされていません(保険適用外)。ご質問の転移再発予防に関してですがこちらもまだわからない状況です。

乳癌治療薬は刻一刻変化しています。患者様同様、私たち医療者も期待を膨らませながら適切な判断のもとベストな治療が行えるように努めています。ささいなことでも医療者にお話しください。風香さんの不安や疑問が少しでも晴れることを祈っております。

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